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クロロトリメチルシラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クロロトリメチルシラン
TMSCl
TMSCl
Ball-and-stick model of the trimethylsilyl chloride molecule
Ball-and-stick model of the trimethylsilyl chloride molecule
Space-filling model of the trimethylsilyl chloride molecule
Space-filling model of the trimethylsilyl chloride molecule
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.000.819 ウィキデータを編集
EC番号
  • 200-900-5
RTECS number
  • VV2710000
UNII
国連/北米番号 1298
性質
C3H9SiCl
モル質量 108.64 g/mol
外観 無色液体、湿った空気中で揮発
密度 0.856 g/cm3, 液体
融点 -40 °C (233.2 K)
沸点 57 °C (330.2 K)
反応
構造
ケイ素中心の四面体
危険性
GHS表示:
可燃性腐食性物質急性毒性(高毒性)急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
Danger
H225, H301, H312, H314, H331, H351
P201, P202, P210, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P281, P301+P310, P301+P330+P331, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P340, P305+P351+P338, P308+P313, P310, P311, P312, P321, P322, P330, P363, P370+P378, P403+P233, P403+P235, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 3: Short exposure could cause serious temporary or residual injury. E.g. chlorine gasFlammability 3: Liquids and solids that can be ignited under almost all ambient temperature conditions. Flash point between 23 and 38 °C (73 and 100 °F). E.g. gasolineInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazard W: Reacts with water in an unusual or dangerous manner. E.g. sodium, sulfuric acid
3
3
2
引火点 −28 °C (−18 °F; 245 K)
400 °C (752 °F; 673 K)
関連する物質
関連するハロシラン フルオロトリメチルシラン
ブロモトリメチルシラン
ヨードトリメチルシラン
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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クロロトリメチルシラン (Trimethylsilyl chloride) は、化学において色々な目的で使われる有機ケイ素化合物である。(CH3)3SiClという化学式を持ち、標準状態では、水分の非存在下で安定な無色の液体である。四塩化ケイ素の3つの塩素原子をメチルリチウム等の求核性のメチル源で求核置換反応することで得られる。市販もされている。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[1]

利用

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クロロトリメチルシランは、トリメチルシリル基の供給源、塩素の無水供給源として様々に利用される。アルコールアミン等の官能基は、クロロトリメチルシランと容易に反応し、トリメチルシリルエーテルトリメチルシリルアミンを形成する。新しく導入された官能基は、保護基として働くが、トリメチルシリル基の不安定性のため、その利用は制限される。

トリメチルシリル化は、化合物の揮発性を上げるためにも導入される。これにより、グルコース等の不揮発性の物質をガスクロマトグラフィーで分析できるようになる。クロロトリメチルシランは、金属アセチリドとも反応し、トリメチルシリルアルキンを形成する。これはアルキンの保護として有用である。

クロロトリメチルシランをアルコールと反応させると、塩化水素を生成し、この反応は、アルコール中での無水塩酸の製造に利用される。またカルボン酸ケトンを、それぞれエステルアセタールへと変換するのに用いられる。水とも旺盛に反応・分解し塩化水素を生じさせるため、使用・保管・消火などの際には水を近づけないよう注意する必要がある[2]

アルファ位に水素原子を持つアルデヒド、ケトン、エステルは、トリエチルアミンリチウムジイソプロピルアミドの存在下でクロロトリメチルシランを反応させることでトリメチルシリルエノールエーテルになる。これらの化合物は有機化学において広範な用途を持つ。エポキシ化やジヒドロキシ化による二重結合酸化は、元のカルボニル基のアルファ位にヒドロキシ基を導入するのに用いられる。マスクされたエノール剤として向山アルドール反応にも用いられる。

クロロトリメチルシランはまた、次のようなトリメチルシリルハロゲンや擬ハロゲンの合成の出発物質として用いられる。

これらの化合物は、クロロトリメチルシランと(擬)ハロゲン塩 (MX)の置換反応によって合成される。

クロロトリメチルシランは、ガラス器具をシラン化し、表面の親油性を向上させるためにも用いられる[4]

出典

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  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 職場のあんぜんサイト:化学物質:クロロトリメチルシラン”. anzeninfo.mhlw.go.jp. 2024年10月11日閲覧。
  3. ^ L. Birkofer and P. Wegner (1988). “Trimethylsilyl azide”. Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 6, p. 1030
  4. ^ Such as in Norbert Zander and Ronald Frank (2005). “The use of polystyrylsulfonyl chloride resin as a solid supported condensation reagent for the formation of esters: Synthesis of N-[(9-fluorenylmethoxy)carbonyl]-L-aspartic acid; α tert-butyl ester, β-(2-ethyl[(1E)-(4-nitrophenyl)azo]phenyl]amino]ethyl ester”. Organic Syntheses (英語). 81: 235.