クロツリバナ

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クロツリバナ
福島県西吾妻山 2013年7月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ニシキギ目 Celastrales
: ニシキギ科 Celastraceae
: ニシキギ属 Euonymus
: クロツリバナ E. tricarpus
学名
Euonymus tricarpus Koidz. [1]
シノニム
  • Euonymus sachalinensis (F.Schmidt) Maxim. var. tricarpus (Koidz.) Kudô[2]
和名
クロツリバナ(黒吊花)[3]

クロツリバナ(黒吊花、学名:Euonymus tricarpus )は、ニシキギ科ニシキギ属落葉低木。別名、ムラサキツリバナ(紫吊花)[3][4][5]

特徴[編集]

樹高は2-3mになる。今年は緑色でなめらか、前年枝は紫褐色で、古いの樹皮は灰色になる。冬芽は長さ7-12mmで、芽鱗は7-10個が瓦重状に並ぶ。は年枝ごとに1-3対対生し、葉身は長さ2.5-12cm、幅1.5-9cm、形は楕円形で、先端は鋭くとがり、基部はくさび形ないし円形となる。縁には細かい鋸歯があり、葉の両面とも無毛で、いちじるしいしわがあり、表面の葉脈はくぼみ、裏面で隆起する。葉柄は長さ5-10mmになる[3][4][5]

花期は6-7月。今年枝と前年枝の間にある芽鱗痕わきから、長さ2.5-5cmになる1対の集散花序を垂れ下げる。総花柄は長さ2-4cmで、その先に径約8mmの暗紫色のをふつう3個つける。花柄は長さ5-10mmになる。裂片は5個で、広卵形で長さ約1.5mm。花弁は5個あり、ほぼ円形で径約3mmで、内面に微突起が密生する。雄蕊は5本あり、花盤の上につき花糸はほとんどない。子房は花盤に半ば埋もれ、花柱はほとんどない。果実蒴果で9-10月に紅色に熟し、長い3翼をもつ倒三角錐形になり、3個に裂開し、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が露出する[3][4][5]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州中部地方以北に分布し、亜高山帯の林縁に生育する。国外では樺太に分布する[3][4][5]

分類[編集]

学名は、YList に従ったが[1]、The Plant List によれば、本種は、Euonymus sachalinensis (F.Schmidt) Maxim. を標準とし、Euonymus tricarpus Koidz. 、Euonymus sachalinensis var. tricarpus (Koidz.) Kudo は、そのシノニムとしている[6]

和名・学名の由来[編集]

同属ツリバナに似ているが、花が暗紫色であることから、クロツリバナ(黒吊花)という[3]。また、種小名の tricarpus は、「三果の」を[7]sachalinensis は、「サハリン(樺太)の」を意味する[8]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b クロツリバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ クロツリバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.411
  4. ^ a b c d 『日本の野生植物 木本II』pp.37-38
  5. ^ a b c d 『樹に咲く花(離弁花 2)山溪ハンディ図鑑4』pp.426-427
  6. ^ Euonymus sachalinensis, The Plant List
  7. ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.1351
  8. ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.1345

参考文献[編集]