クレイトポン

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クレイトポン』(: Κλειτοφῶν, : Clitopho, : Clitophon)とは、プラトン名義の短篇の対話篇。副題は「徳のすすめ(勧告[1]」。

古代にトラシュロスがまとめた四部作(テトラロギア)集36篇の中に含まれるが、プラトンの真作であるかについては疑義が呈されることも多い[2]

作中の対話者であるクレイトポンや、話題に出てくるトラシュマコスやリュシアスといった登場人物、そして「正義」に関するその内容などが、全体として『国家』と近しいので、四部作(テトラロギア)集においては、『国家』や『ティマイオス』『クリティアス』と対にされている。

構成[編集]

登場人物[編集]

  • ソクラテス
  • クレイトポン - アテナイの民主・復古派政治家。『国家』にも登場。

年代・場面設定[編集]

ソクラテスがクレイトポンに、最近「クレイトポンがリュシアスに、『ソクラテスと話してもつまらないし、トラシュマコスと話す方がずっと面白い』と話していた」と話してくれた人がいたと切り出す。

クレイトポンは、ソクラテスを褒めている部分もあり、その伝聞は不正確だと言いつつも、2人はいい機会だから腹を割って話そうということで合意する。

クレイトポンはまず、ソクラテスを褒める点として

  • 魂の世話の重要性
  • 徳からこそ富や善きものが生じる
  • 悪は無知から生じる
  • 徳は教えられる

といった、よく知られたソクラテスの「徳・哲学のすすめ」に関する一連の主張を挙げ、これらを讃える。

そして次に、クレイトポンは、自分の関心・不満は「その先」にあるのだと述べる。彼は、ソクラテスの仲間と「正義」について問答した例を挙げつつ、ソクラテスやその仲間は、「徳・哲学のすすめ」は盛んにするが、いざその知識・技術・成果について問うと、それには答えられないと指摘・批判し、話が終わる。

補足[編集]

本篇は、初期対話篇に頻繁に見られるようなソクラテス等の議論の「行き詰まり」(アポリア)ぶりを批判する構成になっている。ソクラテスと問答した相手が「行き詰まり」(アポリア)に苛立ったり、ソクラテス自身が自嘲する構成の対話篇は他でも見られるが、本篇のように相手に一方的に批判されたまま終わる構成は珍しい。

内容[編集]

日本語訳[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 「プロトレプティコス」(: προτρεπτικὸς, : protrepticus)の訳語。
  2. ^ 『プラトン全集11』 岩波 pp.778-780

関連項目[編集]