クリストファー・パイク

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クリストファー・パイクChristopher Pike)は、アメリカのSFドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の人物である。

『宇宙大作戦』のパイロット版エピソード「歪んだ楽園」の主人公及びU.S.S.エンタープライズの船長として初登場している。映画版『スタートレック』でも同艦の船長を務めており、『スター・トレック:ディスカバリー』(シーズン2)では、エンタープライズからU.S.S.ディスカバリーの船長に転任している。


劇中での経歴[編集]

正史(主要時間軸)[編集]

地球のモハヴェ出身。

エンタープライズ船長として[編集]

2250年、U.S.S.エンタープライズNCC-1701の2代目船長に就任、以後5年間の宇宙探査任務を2度行う。階級は大佐。

2254年、上陸班を率いてライジェル7号星を訪れる。その際、同星の種族であるケイラー人に襲撃され、上陸班のうち3人が死亡、7人が負傷するという事態に陥る。パイクはこの事件の責任を重く受け止め、指揮官としての自信を失いつつあることと艦隊から引退すべきか否かをフィリップ・ボイス医療主任に語っている(宇宙大作戦 (以下TOS) パイロット版「歪んだ楽園」)。

ライジェル事件から2週間後、エンタープライズはタロス星群からの救難信号を探知したため、パイクら上陸班はタロス4号星へ降り立つ。発信元は18年前に消息を絶った地球の測量船S.S.コロンビアで、遭難していた乗員たちから救出の歓迎を受ける。しかし、それらは皆、テレパシー能力に長けたタロス人による幻影であり、実際の生存者は女性乗員のヴィーナのみであった。タロス人の本来の目的は、そのテレパシーを駆使し異星人を幻覚で手なずけ標本にすることであり、その標本に選ばれたパイクは動物園のごとき施設に拉致監禁されてしまう。更にヴィーナと共に夫婦として生きることを強要され、タロス人の生み出す幻覚によって、ヴィーナと過ごす様々な人生を体験させられる。次第にヴィーナへの情が芽生えるパイクであったが、それでも毅然とした態度を保ち降伏を拒否し続け、やがて策を見い出し施設からの脱走を果たしている。そして、檻の中で平和に過ごすくらいなら死を選ぶとタロス人に強く抗議し、彼らに拘束を諦めさせてもいる。結果的に、このファーストコンタクトから得た逆境の克服が、パイクに自信を取り戻させ、改めて艦隊士官として生きていく決意を抱かせるに至った。ただし、エンタープライズに帰艦する際には、ヴィーナからタロス星からの脱出を拒否される。実際の彼女は、コロンビアの遭難で瀕死の重傷を負い、タロス人の施す幻影に頼りながら後遺症の苦痛に耐えている状態であった。その事実に為す術を持てなかったパイクは、不本意ながら救出を諦めざるを得なかったため、自身の苦い記憶として抱えていくこととなる(TOS パイロット版「歪んだ楽園」)。

この事件からタロス人との交流は危険と判断され、タロス4号星は宇宙艦隊規則(一般命令7条)により接触が一切禁じられた制限区域となり、違反者は死刑という禁断の惑星となっている(TOS 第11話「タロス星の幻怪人」)。

ディスカバリー船長として[編集]

宇宙大作戦』の約10年前に始まる『スタートレック・ディスカバリー』では宇宙艦隊の「名指揮官リスト」に彼の名前を見ることができ、かなり有名な様子が伺える。2257年、3万光年に渡って広がる7つの謎の信号を探索中、U.S.S.エンタープライズNCC-1701が航行不能に陥る損傷を受け、それに伴い発信した救難信号を受信したU.S.S.ディスカバリーNCC-1031とランデブーすることになる(スタートレック・ディスカバリー 第15話「新たなる旅立ち」)。

第16話からは宇宙艦隊からの特別指令により、パイクがディスカバリーの船長に就任する。パイク船長はマイケル・バーナム中佐らとともに、7つの謎の信号と行方不明の部下スポック大尉(当時)を追う。道中、10万年分以上もの莫大な記録を保存する巨大データベース「球体」に遭遇、壊滅寸前の球体から莫大なデータファイルをディスカバリーにダウンロードする。信号とともに現れる「赤い天使」および逃亡犯とされたスポックを捜索中、パイクは彼とバーナムを追ってタロス4号星に再び向かい、タロス人の幻影投射によってヴィーナと再会する。タロス人によってスポックが見た「近い将来地球はおろか近隣の星間国家が滅び去る未来映像」を確認し、治療を受けたスポックを乗艦させる。スポックの助力によりタイムトラベルを繰り返す赤い天使を捕獲し、近隣星間国家が滅ぶ未来が確定的だと知る。

その後惑星連邦の秘密組織セクション31の基地にて、セクション31が難しい判断の参考にするための高性能AI「コントロール」が暴走し、セクション31を操っている事実が判明する(コントロールは元は小説版のみに登場したAIである)。さらにはディスカバリーの球体データベースを取り込み進化し、全銀河の知的生物の殲滅を意図していることを知る。

パイクらはコントロールの野望を阻止するためデータベースの抹消を試みるが、データベースの自己防衛機能によりデータ削除どころかディスカバリーの自爆も破壊も不可能であった。データベース抹消のためにはセクション31で「ダイダロス計画」として極秘研究されていた、赤い天使と同じタイムスーツをバーナムが使い、ディスカバリーごと遥か未来にまで追放するしか手段がなかった。

パイクらはタイムスーツの材料となる「タイムクリスタル」を入手すべく、クリンゴン領内のボレス星の修道院を訪れる(ボレスはTNG149話「クリンゴン神カーレスの復活」にて登場)。タイムクリスタルに触れると自身が見たくない未来の映像を強制的に見せられてしまう。意を決してクリスタルを手に取るパイクだが、自分がデルタ放射線を大量に浴びて全身不随になる悲惨な未来を見せられてしまう。クリスタルを入手しなければ未来は確定しないと告げられるが、パイクは屈強な精神力をもって、その未来が確定することを承知してクリスタルを入手する。

修復されたエンタープライズとランデブー後、パイクはエンタープライズの船長に復職。ディスカバリーを狙い襲い掛かかってきた、コントロールに支配されたセクション31の艦隊と激しい交戦を行う。そして赤い天使と信号の真の正体は、この極めて困難を状況を打開すべくタイムループを繰り返したバーナム自身だと発覚する。そして多大な犠牲を払いつつも、ついにディスカバリーを未来に追放することに成功する。その後の宇宙艦隊の査問では他のクルーらと口裏を合わせ、ディスカバリーが爆発消失したと嘘の証言をする。ディスカバリーとそのデータベース、タイムスーツ、胞子転移ドライブ等は存在自体が機密となり、関係者全員にて秘密を守る誓いがされた。

地上勤務後[編集]

2263年、長らく務めたU.S.S.エンタープライズNCC-1701の船長を後任のジェームズ・T・カーク大佐に譲り、艦隊指揮官に昇進、その後は地上勤務に就く。

2266年、視察旅行中に搭乗していたJクラスのアカデミー士官候補生の練習船の機関部で事故が起き、候補生たちを救おうとして人体に有害な多量のデルタ線に被曝してしまう。その結果、常人と変わらぬ余命や知能を持ちながらも全身不随の一生を余儀なくされ、生命維持装置付きの車椅子に繋がれたまま、イエスかノーかをランプとビープ音で示すだけの単純な意思伝達しか出来なくなってしまった(TOS 11話「タロス星の幻怪人」)。

2267年、この悲劇を知ったスポック少佐によって、かつて訪れた禁断の惑星であるタロス4号星へ移送される。この際、スポックは綿密な計画の下、タロス人とコンタクトを取りつつU.S.S.エンタープライズを乗っ取るという艦隊規則違反を犯している。カークに「向こう(タロス4号星)へ行きたいか」と問われた際には「イエス」の意思を示し、タロス人も受け入れを許可したため、以前に知り合ったヴィーナと共にタロス人の施す幻影の中で余生を過ごすこととなった。なお、反乱罪を犯したスポックと、巻き込まれるという形ながらその違反に加担したカークであったが、艦隊司令部はパイクの業績と現状を鑑み、特例として規則違反を免責しスポックらの行動を承認する措置を取っている(TOS 12話「タロス星の幻怪人」)。

その他[編集]

鏡像世界ではI.S.S.エンタープライズの船長であったが、部下のカークに暗殺され、その地位を奪われている(TOS 第33話「イオン嵐の恐怖」)。

ジャン=リュック・ピカード指揮下のU.S.S.エンタープライズ(NCC-1701-D)には、パイクという名のシャトルが配備されている(『新スタートレック』 第70話「究極のコレクション」)。

24世紀には勇気ある指揮官に贈られる「勇気のクリストファー・パイク勲章」という褒賞があり、ベンジャミン・シスコ大佐らが受賞している(『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』 第150話「決意の代償」)。

リブート(ケルヴィン時間軸)[編集]

この時間軸は、2233年4月から分岐したパラレルワールドであり、パイク自身も正史から分岐した別の人生を歩んでいる。そのため、正史上ではU.S.S.エンタープライズの2代目船長であるが、ここでは初代船長となっている。また年齢も正史のパイクよりずっと上となっている。

2255年、リバーサイド造船所近くのバーにて、士官候補生らと喧嘩していた若きジェイムズ・T・カークと出会う。彼に優れた資質を感じ取ったパイクはその才能を惜しみ、宇宙艦隊への入隊を勧める。初めはカークから一笑に付されるが、亡父のジョージ・カーク大尉が如何にして艦隊の英雄になったかを説き、父親を超えてみろとカークの心を揺さぶり入隊を決心させる(『スタートレック』)。

2258年、惑星連邦がバルカン星からの救難信号を受けたため、副長のスポックらと共に、最新鋭艦U.S.S.エンタープライズNCC-1701を進宙式もせず出動させる。バルカン星を攻撃していたのはロミュランの採掘船ナラーダで、先着していた連邦艦7隻は全て撃破されており、エンタープライズも相手の攻撃性能に歯が立たず苦戦を強いられてしまう。ナラーダのネロ船長から交渉を求められた際には、スポックやカークらに指令を託し、自らの危険を承知の上で、敵艦へ単身乗り込んでいる。ナラーダ内では拘束され拷問も受けるが、やがて救出に現れたカークとスポックの尽力によって、エンタープライズヘの帰艦を果たし、地球帰還後は、カークに船長の座を渡し提督に昇進している。ただし、拷問の後遺症から車椅子姿となっている(『スタートレック』)。

翌2259年には、杖をつきつつも歩行が可能なまでに回復する。エンタープライズの任務が艦隊規則に抵触したとしてカークを解任し、再び船長に就任するが、その際にカークを副長に据える温情措置を執っている。ロンドンでジョン・ハリソン中佐によるテロ事件が発生したことを受けて、カークやスポックらと共に宇宙艦隊本部に招集されるが、その作戦会議中にハリソンの襲撃に遭い死亡する(『スター・トレック イントゥ・ダークネス』)。

結果的に、本時間軸でエンタープライズを指揮したのは、処女航海の数日間のみである。

演じた俳優[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』による
  2. ^ スタートレック:ディスカバリー公式Twitter