ギジェット (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ギジェット
Gidget
Gidget (1959) trailer 1.jpg
監督 ポール・ウェンドコス
脚本 ガブリエル・アプトン
原作 フレデリック・コーナー
Gidget, the Little Girl with Big Ideas
製作 ルイス・J・ラックミル
出演者
撮影 バーネット・ガフィ
編集 ウィリアム・ライオン
配給 コロンビア映画
公開
上映時間 95分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 150万ドル[1][2]
次作 ヤング・ハワイ
テンプレートを表示

ギジェット(Gidget)はコロンビア映画が制作し1959年に公開した長編映画である。サンドラ・ディージェイムズ・ダレンクリフ・ロバートソンらの出演で、カリフォルニアのサーフィン文化に出会い、サーファーと恋に落ちる少女を描く。続編やテレビ映画、テレビシリーズが作られたほか、後に"ビーチパーティー映画"と呼ばれるジャンルが形成される一因となった。公開当時は一部の愛好家のスポーツであったサーフィンとこれに付随する文化が一般に知られる上で、主要な役割を果たした作品として評価されている。

物語[編集]

フランシス・ローレンス(サンドラ・ディー)は17歳になる少女である。ある夏の日、海岸へ男漁りに出かける友人たちについていくが、発育もよく肉感的な友人たちの中で、胸も平らなお転婆娘のフランシスは浮いてしまう。一人で泳ぎに出たフランシスは海で溺れそうになり、サーファーのムーンドギージェイムズ・ダレン)に助けられる。ムーンドギーはそっけない態度を示すが、フランシスはサーフィンに興味を持つ。

帰宅したフランシスを父ラス・ローレンス(アーサー・オコンネル)と母ドロシー・ローレンス(メアリー・ラロッシュ)が迎え、知人の息子ジェフリー・マシューズと会ってみるよう勧めるが、フランシスははねつけ、中古のサーフボードを購入しようと、代金25ドルをねだる。両親は早めの誕生日プレゼントとして娘の願いを聞き入れる。

海岸に戻ったフランシスはそこでカフーナ(クリフ・ロバートソン)という名のサーファーと出会う。カフーナは朝鮮戦争では空軍で活躍したが、復員後は社会に馴染めず、海岸に小屋を建てて暮らしていた。そこへムーンドギーをはじめとする若者が集まり、その夏をサーフィンで過ごしているのだった。独特のあだ名で呼び合う仲間たちから、フランシスは'girl'と'midget'とを合わせてギジェット(Gidget)と名付けられる[3]。練習を積んだギジェットは徐々に上達し、男ばかりのサーファーたちに交じって波に乗れるまでになる。しかしサーファーたちはギジェットを依然として小娘扱いし、近々開かれるというルアウパーティーにもお呼びでないという態度を取る。

苛立ったギジェットはムーンドギーを嫉妬させようと、サーファー仲間のホットショット(ロバート・エリス)をエスコート役として雇い、ルアウパーティーに行こうとする[4]。しかしホットショットはギジェットの狙いに気付きもせず、エスコート役をほかでもないムーンドギーに押し付けてしまう。ホットショットの代わりにやってきたムーンドギーに、ギジェットは自分が嫉妬させたいのはカフーナだととっさに嘘をつく[5]。話を合わせるうちに、二人は次第に親密な雰囲気となるが、そこへホットショットが戻ってきてしまう。きまりが悪くなったギジェットは走り去り、今度はカフーナとビーチハウスで二人きりとなる。そこへギジェットを追ってきたムーンドギーが乱入、カフーナと喧嘩となる。ギジェットは逃げ出し、無免許で自動車を運転した挙句、タイヤがパンクして立ち往生していたところを警察に捕まる。警察官から顛末を聞いたギジェットの父ラスは、ギジェットにサーファーたちと二度と会わないよう命じる。

騒動の末、ギジェットは父が取り持ったジェフリー・マシューズとしぶしぶ会ってみることにする。しかし、実際に会ってみると、マシューズは実はムーンドギーであった。2人が海岸に行くと、カフーナが海岸の小屋を破壊していた。カフーナは航空会社でパイロットの職を得たのである。親密になった様子の2人を見たカフーナが、ギジェットは容易でない娘だとムーンドギーに警告を発したところで、物語は幕となる。

配役[編集]

ムーンドギー役には当初エルヴィス・プレスリーが検討されていたが、徴兵のため実現はしなかった[6]。役を得たジェイムズ・ダレンはサーフィンどころか泳ぎもおぼつかなかったが、サーファー役をこなした[7]。サーフィンの場面ではミッキー・ドラ(Miki Dora)やミッキー・ムニョス(Mickey Munoz)といったマリブのサーファーが出演している[8]。彼らは原作小説のモデルとなったサーファーである。主役を演じたサンドラ・ディーもジェイムズ・ダレン同様サーフィンができず、ギジェットがサーフィンをする場面は小柄なミッキー・ムニョスがかつらをかぶり、女性用の水着をつけて演じている[9]

音楽[編集]

劇中歌「Gidget」はPatti Washingtonが、「The Next Best Thing to Love」はスタンリー・スタイン(Stanley Styne)が作詞した。2曲ともフレッド・カーガーが曲をつけ、劇中ではジェイムズ・ダレンが歌っている。

ただしオープニングクレジットの最中にかかる「Gidget」を歌っているのはフォー・プレップスである。フォー・プレップスはルアウの場面にも出演し、メンバーのうちグレン・A・ラーソン(Glen A. Larson)とブルース・ベランド(Bruce Belland)の2人が「シンデレラ(Cinderella)」を披露している。

制作[編集]

脚本はフレデリック・コーナーの1957年の小説『Gidget, the Little Girl with Big Ideas』に基づいている。コーナーはもともと映画脚本家であるが、この映画では脚本を担当せず、カナダの脚本家ガブリエル・アプトン(Gabrielle Upton)が担当した。アプトンはテレビ向け脚本が多く、昼ドラマ『The Secret Storm』の脚本も務めたが、ギジェット映画は本作が唯一となっている。

監督はポール・ウェンドコスが務めた。

ローズ・マリー・リードは女優陣全員の水着デザインを担当した[10]

サーフィン場面の撮影はレオ・キャリロ州立公園(Leo Carrillo State Park)で行われた。原作の舞台となったマリブは原作小説に触発されてサーフィンを始めたサーファーで既に混雑しており、撮影には適していなかったため、マリブからは北へ30kmは離れたこの海岸が用いられた[11]

公開[編集]

映画は1959年4月に公開された。映画評論家のハワード・トンプソンは公開直後『ニューヨーク・タイムズ』4月23日付で「映画を見終えた観客が、映画館を出るとその足で海岸に行きたくなる映画」と評した[12]。実際、原作小説の影響で既に若者が増え始めていた海岸には、映画の公開でさらに多くの若者が集まることになった。流行以前からのサーファーは混雑を嫌い、環境悪化の元凶として映画を憎む者もいた。サーファーの中には後に「サーファーが浜に戻ってきて、かつての映画関係者に報復する」という小説を書いた者もいる[13][14]

映画の人気を受け、サンフランシスコの放送局KPIX-TVは「ミス・ギジェット」なる美人コンテストを企画した。優勝したバーバラ・ブーシェは同局の番組出演を通じて人気を得、後に女優として活動するようになった。サンドラ・ディーも1960年のゴールデン・ローレル賞でノミネートを受けている。

続編[編集]

映画の公開後、10年の間に続編2本、テレビシリーズ1本、テレビ映画1本がそれぞれ制作された。劇場版の続編としてはデボラ・ウォーリーの主演で『Gidget Goes Hawaiian』(1961)が、シンディ・キャロルの主演で『Gidget Goes to Rome』(1963)が制作された。サンドラ・ディーは第2作『Gidget Goes Hawaiian』にも出演する予定であったが、実現しなかった[15][16]。1965年にはABCがサリー・フィールドをギジェット役にテレビシリーズ『Gidget』を放送したが、1シーズンのみで打ち切られた。1969年にはテレビ映画『Gidget Grows Up』がカレン・バレンタインの主演で放映された。

後に、成人後のギジェットを描いたテレビ映画『Gidget Gets Married』(1972)、『Gidget's Summer Reunion』(1985)が作られた。さらに1986年には新たなテレビシリーズ『The New Gidget』がカリン・リッチマンの主演で放送された。映画第一作のギジェットはブロンドだったが、続編ではギジェットの髪の色はまちまちである。

1987年、『サイコ・ビーチ・パーティ』と題するパロディ作品がオフ・ブロードウェイで上演された。作品には「チックレット(Chicklet)」という名のギジェットに似た人物が登場し、サーファー仲間の中に次々と起こる猟奇殺人に立ち向かう。 チャールズ・ブッシュの脚本で、ブッシュはチックレット役で出演もした。2000年には映画化された。

脚注[編集]

  1. ^ Lisanti 2005, p. 29.
  2. ^ "1959: Probable Domestic Take", Variety, 6 January 1960 p 34
  3. ^ Gidget. 該当時間: 0 26 
  4. ^ Gidget. 該当時間: 49 18 
  5. ^ Gidget. 該当時間: 1 07 11 
  6. ^ “Gidget: It's the summer of 69; The little girl with the big ideas still knows how to make a splash, writes Damien Murphy.”, Brisbane Times, (20 March 2010), http://www.brisbanetimes.com.au/national/gidget-its-the-summer-of-69-20100319-qm9y.html 
  7. ^ Lisanti 2005, p. 32.
  8. ^ http://www.tcm.com/tcmdb/title/4593/Gidget/notes.html
  9. ^ Warshaw, Matt (2005). "Gidget". The Encyclopedia of Surfing. Orlando, FL: Harcourt. pp. 224–226. ISBN 978-0151-00579-6
  10. ^ Layton, Roger (28 August 2015), “Iconic swimsuit designer the subject of new exhibition at BYU Library”, Daily Herald (Provo, UT), http://www.heraldextra.com/news/community/culture/iconic-swimsuit-designer-the-subject-of-new-exhibition-at-byu/article_7f68c560-fab8-51fe-8f1e-28e9be40eb18.html, "In 1959, Sandra Dee and the other female co-stars of the film "Gidget" all wore Reid’s suits." 
  11. ^ Lisanti 2005, p. 33.
  12. ^ Thompson, Howard (23 April 1959), “Screen: Sun and Surf; ' Gidget,' the Story of a Teen-Age Girl, Opens”, New York Times, http://movies.nytimes.com/movie/review?res=9D00E6DD1E3FE53BBC4B51DFB2668382649EDE 
  13. ^ Reiss, Fred (1995), Gidget must die: a killer surf novel, Santa Cruz, CA: Santa Cruz'n Press 
  14. ^ Martin, Hugo (17 June 2006), “Surfer Girl, forever”, Los Angeles Times, http://articles.latimes.com/2006/jun/17/entertainment/et-gidget17 
  15. ^ Shipman, David (1972), Great Movie Stars: The International Years, New York: St. Martin's Press, p. 122 
  16. ^ Miller, Edwin (1960), “Sandra Dee Out West”, Seventeen 19: 125–128, 162–165 

参考文献[編集]

  • Lisanti, Tom (2005). Hollywood surf and beach movies: the first wave, 1959-1969. ISBN 0786421045 

外部リンク[編集]