キン肉アタル

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キン肉アタル(キンにくアタル)は、ゆでたまご漫画キン肉マン』およびその続編『キン肉マンII世』に登場する架空の人物。

主な特徴[編集]

初登場は、キン肉星王位争奪編「ソルジャー登場の巻」。主人公キン肉マンことキン肉スグルの実兄で、キン肉王家の長男。 

幼い頃に、両親のスパルタ教育に耐え切れなくなり家出したため、アタルの存在は両親のキン肉真弓夫妻と極一部の側近以外には隠匿され、弟のスグルにも知らされていなかった。しかし、スグルの闘いをずっと見守っており、正義超人たちの友情がただの馴れ合いになっていると感じたアタルは、彼らに喝を入れるべく行動を開始。倒したキン肉マンソルジャーに成りすまし、キン肉星王位争奪サバイバル・マッチで25年ぶりに姿を現した。

経験豊富な先輩超人として、キン肉マンはもちろん他の正義超人たちからも一目置かれる存在。馴れ合いではない真・友情パワーを提唱し、火事場のクソ力の原型ともいえる業火のクソ力(アニメでは元祖・火事場のクソ力)を持つ。

作者のゆでたまごは運命の5王子を考えていくうちにキン肉マンの仲間を引き込み、より王位継承にふさわしいキャラとしてデザインし、キャラクターが固まるまで時間がかかったという。しかし、その苦労もあり、描いているうちに次第に感情移入し、王位争奪編シリーズの中ではアタルたちの試合が一番思い入れが強かったと語る[1]。また連載中、敵役であるキン肉マンスーパー・フェニックスを遙かに凌ぐ人気に嬉しい反面、少し困ったとも語る[2]

ゆでたまごは王位争奪編におけるキン肉マンチーム以外の試合を盛り上げるためにテコ入れとしてキン肉マンの兄を登場させようと決め、その正体を読者にバレないよう細心の注意を払って守り続けたと語っている[3]

劇中ではキン肉マンソルジャー(ソルジャーマン)から奪ったマスクを着用しているため、アタル自身のマスクは不明。回想およびイメージシーンなどでは顔に陰がかかっている。

一人称は常に「わたし(まれにオレ)」。『II世』においては「オレ」。

作中、アタルが牧師に扮し、強盗から身を挺して人質を救うシーンは映画『七人の侍』のオマージュ。作者によればアタルには『七人の侍』で志村喬が演じた島田勘兵衛のイメージを重ねているという[4]。またこれらの場面も描いていて面白かったと語る[5]

『キン肉マン』でのキン肉アタル[編集]

生い立ち[編集]

キン肉王家の第一王子として誕生したアタルはキン肉星の王子として、父キン肉真弓から遊ぶことも許されず、食事や入浴時間も取れないほどの厳しいスパルタ教育を受けていた。ところが9歳の頃ついにそれに耐え切れなくなり、非行に走った末、弟のスグルが生まれる前に家出した。その際に扉に左腕をぶつけて負傷し、以後古傷として残る。

王子としての立場を捨てて逃げたことに対しては責任を感じており、自分の代わりに満身創痍になりながらも闘うキン肉マンを見て感動し、正義に目覚める[6]

超人血盟軍結成[編集]

馴れ合いとなっている正義超人たちの友情に活を入れるため、キン肉星王位争奪サバイバル・マッチ出場を決意したアタルは、富士山で特訓中のキン肉マンソルジャー率いる残虐チームを襲撃。ナパーム・ストレッチで全員を倒し、ソルジャーのマスクを奪い去り、表向きはキン肉マンソルジャーとして活動するようになる。その後、ブロッケンJr.バッファローマンアシュラマンザ・ニンジャをスカウトするため、ドイツ西ベルリンに赴く。一度は断られるが、ベルリン市街にて子供を人質に取った強盗から子供を冷静かつ的確な判断と行動(牧師に変装して強盗を欺き接近、正体がバレるも子供を傷つけることなく強盗を撃退)で救い出す[注 1]。強盗退治後のアタルの気高い態度に引かれたブロッケンJr.たちは残虐チーム入りを決意し、超人血盟軍を結成する。

準決勝にて名古屋城でキン肉マンスーパー・フェニックス率いる知性チームと対戦。知性チームの先鋒サタンクロスに先鋒ザ・ニンジャを倒され、次鋒アシュラマンが引き分けとなる。状況を不利と見たアタルは、3対3の6人タッグマッチによる決着を考えるも、弱気に繋がることから言い出せずにいたが、それを汲み取ったブロッケンJr.(アニメではフェニックス)が代わりに発言したことで了承された。

関ヶ原上空に浮かぶ立方体リングでの戦いにおいて、アタルはフェニックスの実力を測るために消極的なファイトを行うが、その結果、ブロッケンJr.はプリズマンと相打ちとなって伊吹山の渓谷に落下する。責任を感じたアタルは勇猛果敢なファイトに切り替えて、フェニックスとマンモスマンに善戦。マンモスマンの「ビッグ・タスク」に恐怖するバッファローマンに活をいれ、真・友情パワーで彼を成長させ、馴れ合いの友情パワーになりつつあったキン肉マンチームにも大きな影響を与えた。両親であるキン肉大王夫妻は今戦っているソルジャーの正体が長男アタルであることに気付くが、正々堂々としたクリーンファイトからフェニックスもソルジャーの正体に疑問を持ち始めるようになり、超人ニュースで本物の残虐チームのことが流されると、アタルは自分が偽ソルジャーであることを明かす。その正体が書かれた預言書のページを残虐の神が手に入れるが、バッファローマンが命がけで預言書を守り、ブロッケンJr.と同じく渓谷へ転落して消えた。

お互いのチームメイトが倒れ、一対一となったアタルは、倒れたチームメイトの技を次々使用し、チームメイトの息の吹き込まれた装飾品にも助けられ、フェニックスを後一歩の所まで追い込む。しかし、バッファローマンにKOされたかに思われたマンモスマンが息を吹き返し、預言書のページがアタルの身体に作用することに気付き、屋外のたいまつの中に放り込んでしまう。預言書が燃えて肉体が変色していく中、両親の口から偽ソルジャーの正体がキン肉王家の長兄・アタルだと公表されると、アタルは業火のクソ力を発動し、肉体の変色を一時的に遅らせ、マッスル・スパークの残りの50%であるアタル版マッスル・スパークをフェニックスに炸裂させ、キン肉マンの目に焼き付けさせた。それでもフェニックスを倒すには至らず、業火のクソ力の効力が解けたことで、両手足の消滅が始まり、フェニックスの放ったマッスル・リベンジャーに敗れ、残虐チームは敗退した。アタルはキン肉王家3つの心得をキン肉マンチームに伝え、彼らに看取られながら息を引き取り、肉体もキン肉マンの胸の中で消滅した。

人気投票では4位にランク入りした(集計は6人タッグマッチ直前)[7]

奇跡の灰[編集]

アタルの預言書は灰となってしまったが、その灰は復活したネプチューンマンの手により回収された。以降、アタルの魂を宿した灰は、ディフェンドスーツの着用を拒むキン肉マンを説得し、マッスルスパークを成功させるための力を一時的に与え、オメガマンに必殺技をかけられるジェロニモの窮地を救ってきた。ネプチューンマン消滅後、奇跡の灰は飛び降りたビビンバを救うために発動し、ビビンバの命を辛くも救った後、キン肉マンに「今のお前はフェニックスと同じように王位に目がくらんでいるに過ぎない」と忠告し、奇跡の灰の役目を終えた。

知性の神以外の邪悪神が倒された後、アタルは同様に消滅したジェロニモ、ロビンマスク、ネプチューンマンと共に邪悪大神殿に赴き、封印されたキン肉マンの火事場のクソ力を復活させた。王位争奪サバイバル・マッチ終了後、キン肉マンのフェイス・フラッシュで復活を遂げる。

完璧超人始祖編[編集]

直接の登場はないが、キン肉マンたちの台詞やブロッケンJr.の回想シーンに登場。ブロッケンJr.から「ソルジャー隊長」と呼ばれ、回想の中では「ペラペラ喋ることだけが友情ではない」ことをブロッケンJr.に説いていた。

主要対戦成績[編集]

  • タッグマッチ
    • ×知性チーム(キン肉マンスーパー・フェニックス / マンモスマン / プリズマン、マッスル・リベンジャー)
  • 団体戦
    • ×知性チーム(0勝2敗1引き分け)

『キン肉マンII世』でのキン肉アタル[編集]

キン肉マンソルジャーのマスクを付けて活動を続けている。甥のキン肉万太郎が生まれてから、キン肉星を離れ現在も現役超人として戦い続けているため、弟のスグルとは違い肉体の衰えは全くない。

キン肉星王位争奪サバイバル・マッチ後、ザ・ニンジャと超人警察隊(アンタッチャプル)を結成。多くの宇宙に散らばる悪行超人捕縛に活躍。その後もキン肉星を離れていたが、キン肉万太郎の一大事と聞き、キン肉星評議会に参加。万太郎にK.K.D(火事場のクソ力)修練を勧め、その様子を監視していた。

連載中に行われた人気投票では第9位にランク入りし、変わらぬ姿での再登場がファンの人気を呼んだと語られている[8]

得意技[編集]

ナパーム・ストレッチ
アタルのオリジナルホールド。相手をカンパーナ(釣鐘固め)の体勢に捕らえ、回転しながら空高く上昇した後急降下し、相手の胸部をキャンバスに激突させる技。
一撃で周囲を焼き払うナパーム弾並の威力を誇ることからこの名前が付いた[9]
相手は落下の際に胸部に強力な空気抵抗を受けるために胸にアルファベットの「A」の文字が刻まれる。アニメでは「X」の字が刻まれていた。
アタル版マッスル・スパーク
キン肉族三大奥義「マッスル・スパーク」のかけ方の50%。右脚で相手の首、左脚で左の太股を絡めて上昇し、空中で相手と背中合わせで覆いかぶさるようなブリッジの体勢となり、相手の両手をチキンウイングに捕らえ、相手の両足に自分の両足を絡ませた状態で落下しマットに激突させる。
50%の完成度ながら、相手の五体をくまなく破壊し、単独技としても充分通用する殺人技となっている。
『キン肉マンII世 究極の超人タッグ編』ではマッスル・スパーク"地"と命名された。
ローリングキューブスープレックス
名前の初出は読切「超人血盟軍、結成秘話」より。立方体リングにて繰り出した連続のドラゴン・スープレックス
肉のカーテン
キン肉族の先祖・キン肉タツノリが考案した鉄壁の防御法。貝が殻を閉じるかのように両腕で自分の頭と身体をガードする。マンモスマンの攻撃を防ぐために使用した。
ダブル・タスク・スープレックス
マンモスマンの2本のビック・タスクを両脇に抱え込んで後方に投げ捨てるスープレックス。
順逆自在の術
元はザ・ニンジャの技で、一瞬にして技の受け手と掛け手を入れ替える。フェニックスのマッスル・リベンジャーから逃れる際に使用。アニメ版では背転田楽刺しに変更された。
超人稲綱落とし
空中で逆さ状態にした相手の足の裏に自分の両膝を合わせて落下、リングに激突させる技。元はアシュラマンの「阿修羅稲綱落とし」。
ベルリンの赤い雨
元はブロッケンJr.の技。左腕で放つ鋭い手刀。
バッファロー・ハンマー
バッファローマンの残したアームサポーターを装着し、繰り出された左腕でのラリアット。
フェイス・フラッシュ
マスクを捲り上げた素顔から放たれる、キン肉王家の正当な血を引く証の光。マンモスマンの振り上げた鉄柱に照射し、溶解した。「超人血盟軍、結成秘話」ではアクシデントから負傷したチームメイトの回復のために使用した。

プロフィール[編集]

  • 分類 - 正義超人→伝説超人
  • 出身地 - キン肉星[6]
  • 身長体重 - 197cm 102kg[5]
  • 血液型 - O型[10]
  • スリーサイズ - B129 W76 H93[10]
  • 年齢 - 35歳[10](34歳、家出時9歳説もある)[6]
  • 超人強度 - 108万パワー[5](1億パワーとの記述もあり[11]
  • 家族 - 祖父・キン肉タツノリ、父・キン肉真弓、母・キン肉小百合、弟・キン肉スグル、義妹・キン肉ビビンバ、甥・キン肉万太郎
  • 備考 - 左利き[12]

異名[編集]

  • 心優しき孤高の戦士[13]
  • 悪を許さぬキン肉族の長兄[14]
  • 卓越した友情の闘士を救う渦中の人[15]
  • 戦鬼[16]
  • ミリタリー・トルーパー[17]

主な肩書き[編集]

  • 超人血盟軍・大将
  • キン肉王族長兄
  • 超人特別機動警察隊(アンタッチャブル)

コンピュータゲーム[編集]

初登場となる『キン肉マン キン肉星王位争奪戦』では大将戦用のキャラクターとして登場。ステージ3でフェニックスとの一騎討ちになり、彼でフェニックスを倒せればステージ4でネプチューンマンが使用可能になる。必殺技は「ナパーム・ストレッチ」と「アタル版マッスルスパーク」。

キン肉マンII世 超人聖戦史』では主人公の正悪を示す属性ゲージが一定値なら仲間になるが、中立ルートでないと仲間にする機会がない。主人公が投げタイプなら、「ナパーム・ストレッチ」を習得できる。主人公が選んだルートにより扱いが分かれる。以下はそれを示したもの。

正義ルート
フェニックスルート
原作同様。終盤バッファローマンとタッグマッチで闘う。
ソルジャールート
主人公が事情を話し、ザ・ニンジャに代わって超人血盟軍に加入。王位争奪編に優勝すると王位継承を辞退し、自分の正体を明かしてキン肉マンに王位を譲る。
中立ルート
主人公が王位継承サバイバルマッチによる超人界の混乱を防ぐ際の交渉に登場。事情を話すか話さないかにより戦闘になる。
悪行ルート
悪魔超人入りした主人公の前にキン肉マンと共に立ちはだかる。

キン肉マン マッスルジェネレーションズ』では、タッグチームを組むキャラクターによっては特定のチーム名が付けられる。

いずれもゲームオリジナルの名称である。

キン肉マン マッスルグランプリ』シリーズでは『キン肉マン マッスルグランプリMAX』から登場。最後の隠しキャラクターとなっている。『キン肉マン マッスルグランプリ2』からは最初から使用可能。

声優[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 小説『ディープオブマッスル!!』では、強盗であるボックマンが凶行に走ったのは母親が寝たきりになったことが原因の一時の気の迷いであり、アタルも命までは奪わず「自分もかつて過ちを犯したが、罪を償うため世界を回って行脚している」と語り彼を励ました。

出典[編集]

  1. ^ ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― 〜キン肉星王位争奪編〜」『キン肉マン キン肉星王位争奪戦 (3) 壮絶死闘!超人血盟軍編』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2006年12月9日、ISBN 978-4-08-109314-4、310-311頁。
  2. ^ ゆでたまご「JC背表紙超人コレクション FILE NO.30 キン肉マンソルジャー」『キン肉マン 第30巻(復刻版)』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2013年7月6日、ISBN 978-4-08-870754-9、188-189頁。
  3. ^ ゆでたまご「第3章 ゆでたまごが選ぶ『キン肉マン』ベスト興業12」『ゆでたまごのリアル超人伝説』宝島社新書、2014年6月23日、ISBN 978-4-8002-2571-9、130-133頁。
  4. ^ 「『キン肉マン』生誕29周年ビジュアルブック MUSCLE GALLERY〜筋肉画廊〜」66頁。
  5. ^ a b c TEAM MUSCLE編「全超人ファイル 021 キン肉アタル」『キン肉マン超人大全集』集英社インターナショナル、2004年7月31日、ISBN 978-4-7976-1003-1、50-51頁。
  6. ^ a b c TEAM MUSCLE編「謎の74:グレて家出したアタルがなぜ正義超人になったの?」『キン肉マン 77の謎』集英社〈ジャンプコミックスセレクション〉、1998年12月16日、ISBN 4-83-421678-0、178-179頁。
  7. ^ 西村繁男編「キン肉マン超人人気投票発表」『週刊少年ジャンプ 1985年46号』集英社、1985年10月28日、雑誌29934-10/28、6頁。
  8. ^ ゆでたまご「番外編 超人人気投票発表!!」『キン肉マンII世 11』集英社〈スーパー・プレイボーイ・コミックス〉、2000年11月22日、ISBN 978-4-08-857376-2、206-207頁。
  9. ^ ゆでたまご「邪悪神の共謀!!の巻」『キン肉マン 第30巻』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、1987年2月15日、ISBN 978-4-08-851810-7、72頁。
  10. ^ a b c 後藤広喜編「永久保存版!! JUMPオールキャラクター総勢148名!! 名鑑」『週刊少年ジャンプ 1986年37号』集英社、1986年8月25日、雑誌29934-8/25、6頁。
  11. ^ TEAM MUSCLE編「伝説超人名鑑」『キン肉マンII世超人大全』集英社〈スーパー・プレイボーイ・コミックス〉、2002年7月24日、ISBN 978-4-08-857396-0、168頁。
  12. ^ ゆでたまご「ソルジャーの涙!!の巻」『キン肉マン 第29巻』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、1986年12月10日、ISBN 978-4-08-851809-1、184頁。
  13. ^ ゆでたまご「カラーイラスト集」『キン肉マン超人大全』集英社〈ジャンプコミックスセレクション〉、1998年7月22日、ISBN 978-4-8342-1677-6、30頁。
  14. ^ ゲーム『キン肉マン マッスルグランプリMAX
  15. ^ 生誕29(ニク)周年 みんなのキン肉マン特集 前編 <週刊特集 Vol.52> 59人を一挙紹介!超人大図鑑All About
  16. ^ ゆでたまご「ザ・ニンジャと血盟軍魂!!の巻」『キン肉マン 第49巻』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2014年12月31日、ISBN 978-4-08-880379-1、155頁。
  17. ^ スマートフォンゲーム『キン肉マン マッスルショット』

関連項目[編集]