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キング (龍虎の拳)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キング
龍虎の拳のキャラクター
ゲームでの初登場 龍虎の拳
#キングを参照
詳細情報
職業 元バンサー(『龍虎2』)
格闘スタイル ムエタイ
家族 ジャン(弟)
出身 フランスの旗 フランス
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キング (King) は、SNKSNKプレイモア)の対戦型格闘ゲーム龍虎の拳』シリーズや『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズなどに登場する架空の人物。

キャラクター設定

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龍虎の拳シリーズ

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初代『龍虎の拳』(以下『龍虎』と表記)にて初登場。女性だが性別を偽っていた男装の麗人。「キング」という名前は男装していた際の偽名だが、女性であることを明かした後も「キング」と呼ばれており、本名は明かされていない。詳しい過去は明かされていないが、幼い頃には既に両親を失っているらしく、唯一の肉親である弟・ジャンを養いながら生きていくために、独学でムエタイを身に着け、ストリートファイトの世界に身を投じていた。

一時はサウスタウンの無法者たちを従わせていたが、暴走族「BLACK CATS」のリーダーであるジャック・ターナーとの喧嘩に敗北[注 1]。以来キングはジャックに報復を返そうとする[1]。その後はレストラン「ラ・モール[注 2]」でバンサー[注 3](用心棒)をしていた一方、ジャンの治療に莫大な金が必要だったためか、その実力を見込んだMr.ビッグに雇われる身でもあった。ユリの行方を探すリョウロバートに敗れ、港の軍事施設に捕らわれたユリのもとに辿り着くために必要な人間として、ダウン・タウンにいるミッキー・ロジャースの存在を教えた。

ユリ誘拐事件の後はバンサーを退職して裏世界からも足を洗ったが、『龍虎の拳2』(以下『龍虎2』と表記)では、足の不自由なジャンの治療費を稼ぐため、格闘大会に参加。本人のエンディングでは、リョウとロバートが以前ユリを救出するのに協力してくれた礼として払った治療費のおかげでジャンの足は完治した。

『龍虎』での服装は白のワイシャツと黒のスラックスとボウタイ。『龍虎』のストーリーモードの対戦前では黒の山高帽を被って登場する。『龍虎2』では『龍虎』の衣装に白のブレザーを羽織った姿。『龍虎2』の没デザインの一つに髪をセミロングに伸ばしたキングが存在するが、彼女の髪型はゲーム本編では前作と同じくショートヘアのままである。

『龍虎』開発スタッフによると、格闘ゲームに女の子を入れるかどうか大いに悩んだが、男臭いゲームなので紅一点を入れてみようということでキングが作られた。映画『007 美しき獲物たち』に登場する黒人女優のグレイス・ジョーンズがイメージの原型にあったが、そこから白人やハーフのような顔立ちになり、徐々に女らしいデザインになっていったという[2]。後のインタビューでは「モデルとなった人物は特にいない」と答えられている[3]

声優の生駒治美は「私の性格がサッパリ・クッキリ・ハッキリしているので、男性に扮したキングは自分の中で消火しやすいキャラだと思ったので親しみを感じました」とコメントしている[1]

KOFシリーズ

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『ザ・キング・オブ・ファイターズ 』(以下『KOF』と表記)のストーリーでは、弟のジャンの治療が終わった後、共にイギリスへ渡り、バー「イリュージョン」を開店。このバーは女性格闘家チームの結成の場となった。『KOF'97』(以下『'97』と表記)の頃には、自身が度々KOFに参戦して活躍した経緯から、すっかり店が有名になり忙しくなってしまっていることが明かされている。なおイギリスの「イリュージョン」は支店(サウスタウンにもある)であるらしく、本店がどこにあるかは不明。

また、ウェイトレスに双子姉妹であるサリーとエリザベスの2人がおり、女性格闘家チームのステージに登場することが多い。この2人は『KOF'95』(以下『'95』と表記)で女性格闘家チームのステージの背景キャラクターとして初登場して、『KOF'96』(以下『'96』と表記)以降は2人の服装と髪型が別々のものになっている。また、サリーは『KOF'98』(以下『'98』と表記)以降はキングの対戦前のデモでも姿をみせるようになった。

参加チームとしては女性格闘家チームとして出場することが多く、設定年齢や格闘家としての豊富な経験から、リーダー(まとめ役)を勤めることが多い。一方、ネスツ編以降はリョウ、ロバート、タクマ、ユリの極限流空手の使い手達ともチームを組むようになっている。

『KOF'94』(以下『'94』と表記)ではユリと不知火舞の必死な説得で半ば妥協する形で参加したようだが、それを機に『'95』の際には格闘家としての闘志を再燃させたことでむしろ喜んで出場を快諾している。『'96』ではジャンが事故にあってしまったことから共にいるべく一度は出場を断ろうとしていたが、格闘家として戦う自身を誇りと思っているというジャンの後押しによって、知り合いの女性格闘家である藤堂香澄をユリの代役として招く形で、二代目といえる女性格闘家チームを結成している。『'97』では、ジャンを旅行に連れて行きたいという想いから出場を断ろうとしていたが、神楽ちづるにスカウトされ、ジャンも一緒に同行して世界を回って良いと言われた結果、出場している。オロチ編が終わってからは本人はどちらかというとKOF出場には乗り気でない様子で、ネスツ編や『KOF2003』(以下『2003』と表記)ではユリや舞などにせがまれて断り切れず参加していた。ただし『KOF XI』ではタクマとロバートが欠場するためにメンバーが足りないことにリョウが困っていたことを知って、自ら協力を申し出ている。

『KOF』シリーズでのリョウとの関係は「友達以上、恋人未満」の関係に描かれている。『KOF2000』(以下『2000』と表記)以降は周りの人間(特にタクマ)が2人をくっつけようと企んでいるが、キング本人はそういった周囲の干渉を快く思っていない。ただ、リョウを嫌っているわけではなく、むしろお互いに好意に近いものを抱いているが、余りに強烈な後押しを仕掛ける周囲に対して辟易している様子で、『KOF XI』でのエンディングではあまりに悪乗りが過ぎたために、激怒して暴れている[注 4]

カプコンとのクロスオーバー

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CAPCOM VS. SNK』(以下『CvS』と表記)シリーズにおいては同じ格闘スタイルのサガットおよびジョー・ヒガシと対戦する場合、戦闘前に専用の演出がある。また、春日野さくらからは「蹴りでも波動拳が出せる」と感心されている。このシリーズでは『'96』の衣装で登場し、チーム戦で1人目に選ぶかシングルモードにすると対戦前に『龍虎』のCPU戦前と同様に山高帽を被って登場する演出がある。

SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』シリーズでは全ての作品で個別キャラクターカードが存在する。このシリーズのネオジオポケット版では『龍虎2』の衣装だが、ニンテンドーDS版では『'94』と『'95』の衣装になっている。

脱衣K.O.

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必殺技で敗北すると服が破れて下着が露となる「脱衣K.O.」演出を初めて実装されたキャラクターである。『龍虎2』ではユリにも同様の演出がある。『KOF』シリーズにおいても『'95』以前と『KOF XIII』(以下『XIII』と表記)以降は『龍虎の拳』シリーズと同様に、必殺技で負けると脱衣K.O.となる。

なお、初代『龍虎』では脱衣KOを発生させた場合のみ、女性である事実が発覚したことを反映して、戦闘後のデモでの口調が女性的なものに変わる。

他のメディアでのキング

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デラックスボンボン』に連載された漫画版『龍虎の拳』(作者:ゴッセージ)では、秘密結社「MASK」の運営する地下闘技場のオーナーとして登場。ミッキーがリョウと戦って敗れた後、自らもロバートと数千度のマグマの上をロープ一本で戦うデスマッチを行うも、一瞬の隙を突かれる形で敗北した。一方、『ゲーメスト』で連載された漫画版『龍虎の拳』(作者:天獅子悦也)では、ユリの救出に直接協力しており、女性ながらも格闘技を身に受けていたキングの存在は、無力であったユリに大きな影響を与え、彼女が極限流空手に入門するきっかけになったとされている。

月刊少年エース』で連載された漫画版『ザ・キング・オブ・ファイターズ'94』(作者:真行寺たつや)では、過去にキングがユリに対して「格闘を志す者にとって大切なことは、その技を根本から学ぼうとする謙虚な姿勢と多種多様の格闘技への把握と理解、研究とセンス、そして何よりも大切なのが、素質とその術を会得するためにどんな逆境からも立ち直ることができる"魂(スピリット)"を持つことだ」と教えていたことが明かされている。また、同作の初期にキングはセミロングヘア姿で登場しているが、後に原作ゲームと同様のショートヘアに戻している。

アニメ『バトルスピリッツ 龍虎の拳』では原作ゲームと風貌は似ているが、最初から女性であることを明らかにしている上にMr.ビッグに忠誠を誓っている。

登場ゲーム

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声の出演

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キング

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ジャン

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脚注

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注釈

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  1. ^ 後の作品ではジャックを「不潔な奴」として毛嫌いしている。
  2. ^ フランス語で「死神」を意味する。
  3. ^ 英語の綴りはbouncerなので日本語で表記する場合「バウンサー」が最も適切と思われるが、初代『龍虎の拳』での設定およびセリフ表記では「バンサー」だったため、本稿ではこの表記とする。
  4. ^ この時、アンチ極限流チーム(如月影二藤堂香澄まりん)が極限流打倒を狙っていたのだが、暴れたキングに巻き込まれた結果、失敗に終わっている。

出典

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  1. ^ a b ネオジオフリーク 6月号』芸文社、1997年6月1日、14頁。 
  2. ^ 『ゲーメストムックVol.133 ギャルズアイランド1-2-3』新声社、1998年5月27日、205頁。ISBN 978-4881994856 
  3. ^ 『月刊ネオジオフリーク 2000年2月号』芸文社、2000年2月1日、134頁。 

参考文献

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