キングスマン:ファースト・エージェント
キングスマン: ファースト・エージェント | |
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The King's Man | |
監督 | マシュー・ヴォーン |
脚本 | カール・ガイダシェク |
原作 |
マーク・ミラー デイヴ・ギボンズ |
製作 | マシュー・ヴォーン |
出演者 |
レイフ・ファインズ ジェマ・アータートン リス・エヴァンス マシュー・グッド トム・ホランダー ハリス・ディキンソン アーロン・テイラー=ジョンソン ダニエル・ブリュール ジャイモン・フンスー チャールズ・ダンス |
音楽 | ヘンリー・ジャックマン |
撮影 | ベン・デイヴィス |
編集 | ジョン・ハリス |
製作会社 | 20世紀スタジオ |
配給 |
20世紀スタジオ ウォルト・ディズニー・ジャパン |
公開 |
2021年12月22日 2021年12月24日 |
上映時間 | 131分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
興行収入 |
$37,176,373[1] 9億1000万円[2] |
前作 | キングスマン:ゴールデン・サークル |
『キングスマン:ファースト・エージェント』(原題: The King's Man)は、2021年公開のイギリス・アメリカ合衆国のアクションスパイ映画。監督はマシュー・ヴォーン、脚本はヴォーンとカール・ガイダシェクが務め、レイフ・ファインズ、ジェマ・アータートン、リス・エヴァンス、ハリス・ディキンソン、ジャイモン・フンスーらが出演する。マーク・ミラーとデイヴ・ギボンズのコミック『ザ・シークレット・サービス』を原作とする映画「キングスマン」シリーズの3作目。『キングスマン』(2014年)、『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017年)の前日譚で、第一次世界大戦をベースに実際に起こった史実に準えながら英国ロンドン・サヴィル・ロウの高級テーラーに本部を置く独立スパイ機関「キングスマン」の誕生の秘話を描く。またラスプーチンをはじめマタ・ハリやハヌッセン等実在した歴史上の人物たちが悪の結社としてクロスオーバーするところも本作の特徴である。
ストーリー
本作の主役となる英国の名門貴族、オーランド・オックスフォード公[3](レイフ・ファインズ)は英国軍人であったが、英国という国家の国外における欺瞞と戦場の殺戮に嫌気が差し、軍隊を退役後、世界の戦地に救援物資を届ける赤十字の活動を行っていた。
時は20世紀初頭、1902年の南アフリカにさかのぼる。英国は南アフリカの領有権を巡り、ボーア人(アフリカーナー)との激しい戦い・第二次ボーア戦争を繰り広げていた。オックスフォード公は妻のエミリー(アレクサンドラ・マリア・ララ)、息子のコンラッド(幼年期:アレクサンダー・ショウ)、執事のショーラ(ジャイモン・フンスー)とともに赤十字活動で英国軍の基地を訪問。オックスフォード公は盟友の指揮官・キッチナー(チャールズ・ダンス)と、彼の右腕となる副官のモートン(マシュー・グード[3])と基地内で面会するが、ボーア人兵士が放ったライフルの凶弾により、エミリーは命を落としてしまう。
時は流れ、1914年。「羊飼い」を名乗る謎の男が、世界に混乱を巻き起こすべく、とある断崖絶壁の小屋で秘密会議を開いていた。そこにいるのはロシアの怪僧、ラスプーチン(リス・エヴァンス)、女スパイ、マタ・ハリ(ヴァレリー・パフナー)、セルビアのテロリスト、ガヴリロ・プリンツィプ(ジョエル・バスマン)、ロシアの革命家、レーニン(アウグスト・ディール)、ドイツのニセ預言者、エリック・ヤン・ハヌッセン(ダニエル・ブリュール)など、後に世界を揺り動かすことになるキーパーソンたちで構成される「闇の狂団」[3][4]であった。「羊飼い」は彼らに「闇の狂団」のメンバー証である動物の絵柄入りの指輪を渡す。指輪の中には、自決用の青酸カリが封入されていた。「羊飼い」の目的は、いとこ同士となるイギリス国王のジョージ5世、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世、ロシア皇帝のニコライ2世(トム・ホランダーの1人3役)を反目させ、世界に破滅的な戦争を起こすことであった。
オックスフォード公はキッチナーの依頼を受け、成人したコンラッド(ハリス・ディキンソン)とともにオーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者であるフランツ・フェルディナンド大公(ロン・クック)を護衛する。しかし、オックスフォード公の努力も虚しく、大公はプリンツィプに射殺されてしまう。
そこで、オックスフォード公は女執事のポリー・ワトキンズ(ジェマ・アータートン)に命じて、国家権力に頼らない諜報網の構築を開始した。独自の諜報網から得られた情報により、ロシアのラスプーチンが世界大戦の元凶になることを察知したオックスフォード公、コンラッド、ポリー、ショーラの4名はロシアの宮殿に潜入。激しい戦闘の末、ラスプーチンは絶命する。同時期に、キッチナーが乗船していた装甲巡洋艦ハンプシャーが魚雷を発射され[注 1]、沈没するなどの不穏な事件が次々と発生する。
コンラッドは英国への愛国心から第一次世界大戦への従軍を強く希望するが、国家の欺瞞を知っている父親のオックスフォード公は乗り気ではなかった。結局、コンラッドは父親の反対を振り切り英国軍に入隊、ドイツ軍との戦闘の最前線に従軍する。コンラッドは英国軍の上官から帰還を命じられるが、下士官のアーチー・リード(アーロン・テイラー=ジョンソン)と入れ替わり、最前線への従軍を続ける。現場で勇敢な活躍を見せるコンラッドだったが、アーチーと入れ替わったことが仇となり、別の英国軍上官からドイツ軍のスパイと誤認され、射殺されてしまう。
妻エミリーに続き、息子のコンラッドにも先立たれてしまったオックスフォード公は悲嘆に暮れ、酒に溺れる日々を送っていた。しかし、「闇の狂団」が動き続けていることに気づいたオックスフォード公は立ち直るとともに、執事のポリーに命じて世界中の諜報ネットワークを駆使してドイツ軍の暗号を読み解く。オックスフォード公はアメリカにドイツの陰謀を伝えるが、アメリカのウィルソン大統領は「闇の狂団」メンバーのマタ・ハリのハニートラップにより淫行フィルムを盗撮されたことで弱みを握られ、動きが取れなくなっていた。オックスフォード公は盗撮フィルムを取り返すべく、ポリー、ショーラとともに3人で断崖絶壁にある「闇の狂団」の本部に乗り込む。しかし、黒幕の「羊飼い」は驚くほど意外な人物であった。
凶悪な「羊飼い」との死闘を終えたオックスフォード公は、英国国王ジョージ5世との協力の下、ポリー、ショーラ、アーチーらとともに、ロンドン・サヴィル・ロウ11番地にある高級テーラーに、国家権力から独立した諜報機関を新たに設立する。それが「Kingsman」であった。
しかし、恐ろしいことに「羊飼い」亡き後も「闇の狂団」は死に絶えてはいなかった。「闇の狂団」メンバーの生き残りである偽預言者ハヌッセンは、世界の混乱を継続すべく、左のレーニンに対抗する「右」の存在として、ある若者を新規メンバーとして連れてくる。キングスマンの闘いは終わらない…。
キャスト
- オーランド・オックスフォード公 / アーサー - レイフ・ファインズ(小澤征悦)
- コンラッド・オックスフォード - ハリス・ディキンソン(梶裕貴)
- 若い頃のコンラッド・オックスフォード - アレクサンダー・ショウ(加賀谷光輝)
- ポリー・ワトキンズ / ガラハッド - ジェマ・アータートン(園崎未恵)
- ショーラ / マーリン - ジャイモン・フンスー(乃村健次)
- グリゴリー・ラスプーチン - リス・エヴァンス(山路和弘)
- ジョージ5世 / パージヴァル - トム・ホランダー(上田燿司)
- ヴィルヘルム2世 - トム・ホランダー(上田燿司)
- ニコライ2世 - トム・ホランダー(上田燿司)
- モートン - マシュー・グード[3](中村章吾)
- ハーバート・キッチナー - チャールズ・ダンス(仲野裕)
- エリック・ヤン・ハヌッセン - ダニエル・ブリュール(内田夕夜)
- マタ・ハリ - ヴァレリー・パフナー[3](森なな子)
- アーチー・リード / ランスロット - アーロン・テイラー=ジョンソン(櫻井孝宏)
- ガヴリロ・プリンツィプ - ジョエル・バズマン[3](松陰寺太勇(ぺこぱ)[7])
- フェリックス・ユスポフ - アーロン・ヴォドヴォズ(シュウペイ(ぺこぱ)[7])
- アメリカ合衆国大使 / ベディヴィア - スタンリー・トゥッチ(井上和彦)
- アルフレッド・ル・デュ・ポン - トッド・ボイス(豊田茂)
- ウッドロウ・ウィルソン - イアン・ケリー[8]
- アレクサンドラ皇后 - ブランカ・カティク(村田遥)
- H.M.S.G. (ヒュー・マシン・シャーク・ガード) - オリヴィエ・リヒターズ
- フォレスト英陸軍大尉 - ニール・ジャクソン(川原元幸)
- ジョンストン英陸軍伍長 - ロス・アンダーソン(丹羽正人)
- リタ - アリソン・ステッドマン
- アトキンス軍曹 - ロバート・アラマヨ(岡本幸輔)
- エミリー・オックスフォード - アレクサンドラ・マリア・ララ(安藤麻吹)
- カデット警察官 - ティアゴ・マーティンス
- ウラジーミル・レーニン - アウグスト・ディール(佐久間元輝)
- アドルフ・ヒトラー - ダフィット・クロス(唐戸俊太郎)
製作
2018年6月、マシュー・ヴォーンは『Kingsman: The Great Game』と題した前日譚映画の製作を発表した。前日譚の舞台は1900年代初頭で、諜報機関「キングスマン」の誕生秘話を描く内容となっており、「時系列上の『キングスマン』第3作」と合わせて撮影することが明かされた[9][10]。同年9月にはレイフ・ファインズとハリス・ディキンソンの出演が発表され、ファインズは製作総指揮も務めることが明かされた[11]。同年11月にはダニエル・ブリュール、チャールズ・ダンス、リス・エヴァンス、マシュー・グッドの起用が報じられた[12]。
2019年2月にはアーロン・テイラー=ジョンソン、ジェマ・アータートン、トム・ホランダー、ジャイモン・フンスー、アリソン・ステッドマン、スタンリー・トゥッチ、ジョエル・バスマン、ニール・ジャクソンの出演が報じられた[13][14][15]。同年4月にアレクサンドラ・マリア・ララの出演が報じられ[16]、同年5月にはジョエル・バスマンの起用が決まった[17][18]。また、同月にヴォーンは「リーアム・ニーソンが出演する」という報道は誤報であるとコメントし[19][20]、「The Great Game」はワーキングタイトルであり、正式なタイトルではないことも明かした[19]。
2019年1月22日からイギリスで主要撮影が始まり[21]、同年4月からはトリノ、ヴェナリーア・レアーレでセルビア王国のシーンの撮影が行われた[22]。当初の撮影監督はベン・デイヴィスだったが、彼は『エターナルズ』に参加するために本作の再撮影中に製作から離脱している[23]。
公開
当初は2019年11月8日の全米公開を予定していたが、ウォルト・ディズニー・カンパニーによる20世紀フォックス買収の影響で延期[24]、その後2020年9月18日公開に設定されたが[25][26]、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で2021年2月26日に再延期となった[24]。日本についても2020年9月25日に劇場公開する予定だったが、アメリカでの公開延期を受けて、2021年2月26日の世界同時公開に変更となった[27]。さらにその後、全米公開が2021年2月12日に繰り上げられることが発表されると、日本公開は同年2月11日になったことが発表された[28]。しかし、再度延期となり、今度は同年3月12日に日米同時公開予定とされ、同日に公開が予定されていた同じディズニーグループの映画である『ラーヤと龍の王国』の公開日が1週間前倒しになる影響が発生した[29][30]。その後、アメリカでの公開が同年8月20日に再度延期されたため、日本での公開も再び延期となった[31]。2021年2月12日、日本での公開も同年8月20日と発表し、世界同時公開となる予定であった[32]。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは2021年9月10日に同年公開予定作品のスケジュールを発表し、本作品について、2021年12月22日に公開することを明らかにした[33]。また、公開から45日間は劇場独占とする方針も発表した[33][34]。日本では同年12月24日の公開となる[35]。最終的にアメリカでは2021年12月22日、日本では12月24日に公開された。
2022年1月18日、ウォルト・ディズニー・スタジオは本作品を同年2月からディズニー傘下の定額制動画配信サービスにて見放題作品として追加することを発表した。同月9日の日本・イギリス・アイルランド・韓国を皮切りに1か月の間にDisney+などのサービスを展開している国と地域にて順次配信を開始する。なお、アメリカではHuluの見放題作品として同月18日から、ラテンアメリカではスター+の見放題作品として同年3月2日から配信を開始する[36]。
脚注
注釈
出典
- ^ “The King's Man” (英語). Box Office Mojo. 2024年8月11日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2023年3月下旬特別号 p.38
- ^ a b c d e f 映画公式パンフレット(株式会社ムービーウォーカー『MOVIE WALKER PRESS 劇場パンフレットムック #2 『キングスマン:ファースト・エージェント』』株式会社ムービーウォーカー、2021年12月24日。)の翻訳による。
- ^ 原語では「The Shepherd's Flock(仮訳:羊飼いの群れ)」という名称になっている。
- ^ 市川遥 (2020年8月14日). “『キングスマン』新作、吹き替え声優は小澤征悦&梶裕貴!”. シネマトゥデイ. 2021年12月27日閲覧。
- ^ “キングスマン:ファースト・エージェント”. ふきカエル (2021年12月24日). 2021年12月27日閲覧。
- ^ a b “ぺこぱ「キングスマン」最新作で日本語版声優、「これシュウペイ?」って思うくらいのイケボ”. ナターシャ. (2021年11月9日) 2021年12月27日閲覧。
- ^ The King's Man - IMDb
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- ^ Sneider, Jeffrey (2018年11月29日). “Exclusive: 'Game of Thrones' Star Joins 'Kingsman' Prequel; Rhys Ifans in Talks” 2018年12月2日閲覧。
- ^ Sneider, Jeffrey (2019年2月7日). “'Kingsman' Prequel: Matthew Vaughn Recruits 'Kick-Ass' Star Aaron Taylor-Johnson”. Collider. 2019年8月16日閲覧。
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- ^ Marc, Christopher (2019年5月31日). “Matthew Vaughn Says Kingsman 3 Aiming For 2021 Release Date and There Could Be Two More Movies Coming – Debunks Report That Liam Neeson Is In Kingsman: The Great Game”. HN Entertainment. 2019年6月16日閲覧。
- ^ “Kingsman prequel begins filming”. The Knowledge Online (2019年1月22日). 2019年11月30日閲覧。
- ^ “Al via a Torino le riprese del film che racconta le "origini" dei Kingsman”. Film Commission Torino Piemonte (2019年4月24日). 2019年7月2日閲覧。
- ^ Marc, Christopher (2020年2月3日). “Matthew Vaughn's Kingsman Prequel The King's Man Undergoes Reshoots”. HN Entertainment. 2020年2月3日閲覧。
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- ^ “ディズニー新作『ラーヤと龍の王国』映画館&Disney+プレミアアクセス同時公開”. シネマトゥデイ (2020年12月28日). 2021年12月27日閲覧。
- ^ “映画『キングスマン:ファースト・エージェント』『Ron’s Gone Wrong(原題)』 公開延期のお知らせ”. 20世紀スタジオ (2021年1月27日). 2021年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月1日閲覧。
- ^ “映画『キングスマン:ファースト・エージェント』『Ron’s Gone Wrong(原題)』 新公開日のお知らせ”. 20世紀スタジオ (2021年2月12日). 2021年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月12日閲覧。
- ^ a b “Disney Announces Exclusive Theatrical Windows for Remaining 2021 Slate of Films” (英語). The Walt Disney Company (2021年9月10日). 2021年12月27日閲覧。
- ^ 稲垣貴俊 (2021年9月11日). “ディズニー、『エターナルズ』ほか6作品の劇場独占公開を決定 ─ 『キングスマン』『ウエスト・サイド・ストーリー』も”. THE RIVER. 2021年12月27日閲覧。
- ^ “映画『キングスマン:ファースト・エージェント』監督マシュー・ヴォーン、キングスマン誕生秘話描く第3弾”. ファッションプレス. (2021年8月27日) 2021年12月27日閲覧。
- ^ “20th Century Studios' 'The King's Man' to Debut on Hulu in the U.S. February 18”. The Walt Disney Studios (2022年1月18日). 2022年1月20日閲覧。