キングクリップ

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キングクリップ
キングクリップ Genypterus blacodes
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アシロ目 Ophidiformes
亜目 : アシロ亜目 Ophidioidei
: アシロ科 Ophidiidae
: Genypterus
: キングクリップ G. blacodes
学名
Genypterus blacodes
Forster, 1801
和名
キングクリップ
ピンク・カスクイール
リング
英名
Pink cusk-eel
Kingklip

キングクリップ (学名:Genypterus blacodes、英名:Pink cusk-eelピンク・カスクイール)は、アシロ目アシロ科に属するリングとも呼ばれる。体長2 m。南アフリカなど南半球の国々では重要な食用魚で日本にも輸入されている。肉は白身で、癖のない淡白な味わいである。

分布[編集]

南アフリカチリブラジルオーストラリアニュージーランドなどの近海の南半球の海に生息する。表層から水深1,000 m までの深海で見られる。

形態・生態[編集]

体長は最大で2 m に達するが、普通は1 m 前後である。ただ、アシロの仲間の中では非常に大きくなる種であることは間違いない。体型はウナギのような円筒形に近いが、胴体は大きく太っており、尾部に向かうにつれて細くなっていく。背鰭(せびれ)・尾鰭(おびれ)・臀鰭(しりびれ)はつながって、横から見ると体の後半部を縁取るような形になっている。体色は全体的に薄いピンク色で、背側は褐色、腹側は白色に近い。また背側にはいくつかの濃褐色の斑紋や帯状模様が見られる。目は比較的小さく、口にはヒゲがある。

深海の海底付近を泳ぎ、甲殻類や他のを捕食する。動きは遅く、体を左右にくねらせて泳ぐ。

食用[編集]

南半球の生息海域周辺の地域では主に底引き網で漁獲され、食用魚として重要な役割を担っている。肉はあっさりとした白身で、癖がなく、現地ではフライなどにして好んで食べられる。高級魚として扱われている地域もある。味は良いものの、日本ではまだまだ認知度の低い魚であるためか、「白身魚の〜」などと称して売られていることが多い。

1970年代頃から日本にも輸入されるようになった。しかし一般にはなじみのない魚であったため以前は「アマダイ」という名称で売られていたが、平成15年4月から運用を開始した水産庁の「魚介類の名称のガイドラインについて」によって消費者に分類学上無関係であるにもかかわらず高級魚類の類縁種であるような誤認(いわゆる優良誤認)を防ぐため[1]、キングクリップについて「アマダイ」の名称を使用しないことと定められている[2]

脚注[編集]

  1. ^ 魚介類の名称のガイドラインについて”. 水産庁. 2013年5月29日閲覧。
  2. ^ 海外漁場魚介類及び外来種の名称例(別表2)”. 水産庁. 2013年5月29日閲覧。

関連項目[編集]