キリンソウ

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キリンソウ
Sedum aizoon var. floribundum in Mount Ibuki 2011-07-24.jpg
キリンソウ(伊吹山2011年7月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: ベンケイソウ科 Crassulaceae
: Phedimus
: キリンソウ
P. aizoon var. floribundus
学名
Phedimus aizoonL.) 't Hart
var. floribundusNakai) H.Ohba[1]
シノニム

Sedum aizoon L. subsp. kamtschaticum auct. non (Fisch.) Fröd.[1]
S. a. L. var. floribundum Nakai[1]
S. kamtschaticum auct. non Fisch.[1]

和名
キリンソウ

キリンソウ(麒麟草、Phedimus aizoon var. floribundus)は、ベンケイソウ科に属する多年草である[2]。和名は「黄輪草」と表記されることもある。

特徴[編集]

茎は太く高さ5-30 cm。葉は肉厚で、長さ2-7cmの倒卵形または長楕円形で互生する[3]。葉の縁は中央から先端にかけて鋸歯形状となる。茎の先端が平らな集散花序となり、マンネングサに似た多数の黄色い花を付ける。花弁は5枚で[4]、花期は5-8月[5]シノニムの種小名kamtschaticumは、カムチャツカを意味する[6]。別名は「キジンソウ」「キジグサ」ともいい、和名は「傷薬の草」を意味し、これが転訛して「キリンソウ」となったとする説がある[6]。また、中国の古書に登場する伝説上の動物麒麟に由来するという説もある[7]

分布[編集]

シベリア東部・中国朝鮮半島と日本の北海道本州四国九州の山地の日当たりのよい岩場などに分布する[3][6]伊吹山の上野登山道の岩場に群落がある[8]田中澄江が『新・花の百名山』の著書で弓張山地を代表する花の一つとして紹介している[9]

種の保全状況評価[編集]

日本では以下の都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[10]

近縁種[編集]

ホソバノキリンソウ(Phedimus aizoon (L.)'t Hart var. aizoon[1]
キリンソウよりも葉が細長く、葉の縁全体が鋸形状となる[5]神奈川県三重県絶滅し、岡山県で絶滅危惧I類に指定されている種である[10]
エゾノキリンソウ(Phedimus kamtschaticus (Fisch..)'t Hart
北海道、北千島、カムチャッカに分布し、岩れき地に生える。キリンソウよりも根茎が肥厚せず、地面を這い、葉にはきりとした切れ込みがある点で区別される。
タケシマキリンソウ(Sedum takesimense Nakai
日本と韓国の間の離島,UllONG−DO(鬱陵島,旧日本名は磯竹島または竹島)が原産とされ、草姿はキリンソウに似ており、越冬芽の状態が未展開芽で越冬し、茎が木質を呈する点が特徴とされるが、形状や性状の変異が多く複数の系統が存在すると考えられる。自生種であるため、大半の個体が6月に黄色の花を付ける。
ヒメキリンソウ(Phedimus sikokianus (Maxim. ex Makino) 't Hart[1]
四国山地固有の多年草。環境省によりレッドリストの絶滅危惧種(絶滅危惧IB類・EN)に指定され、徳島県により絶滅危惧I類、高知県により絶滅危惧II類に指定されている[10]。園芸用の採集・森林の伐採・草地の開発が、減少の主要因と推定されている[13]。 高知県の出身の植物学者である牧野富太郎がこの和名を命名した。高知県立牧野植物園が、2011年に植物園栽培での開花に初めて成功した[14]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

Status jenv EN.png

タケシマキリンソウ[編集]

「タケシマキリンソウ」(学名:Sedum takesimense Nakai)はベンケイソウ科に属する多年草で、日本と韓国の間の離島,UllONG−DO(鬱陵島,旧日本名は磯竹島または竹島)が原産とされる。

特徴:キリンソウ類は葉形が倒卵形または長楕円形で短い冬至芽で越冬するが、タケシマキリンソウは越冬芽の状態が未展開芽で越冬し、茎が木質を呈する点が特徴とされるが、形状や性状の変異が多く複数の系統が存在すると考えられる。自生種であるため、大半の個体が6月に黄色の花を付ける。

「タケシマキリンソウ」(学名:Sedum takesimense Nakai)は、東京大学教授で植物分類学者の中井猛之進により、1917年に韓国の鬱陵島において採集され、命名された植物の「種」の名称であり、特定の「品種」を示すものではない。DNAの国際データベースに登録されているが、現在キリンソウの品種をDNA分析(DNA分析で品種識別が可能な物は米やイチゴなどの限られた植物のみ)出来る技術は一般には確立されていない。唯一鳥取大学が一部の品種においてのみ分析が可能である。

1980年代に欧米で園芸種として流通し、我が国では野草店で販売されている。東京大学総合研究博物館のウエブサイトには、1917年6月にKorea.Dagelet Island.で採集されたとされる Sedum takesimense Nakai の標本の画像が掲載されているが、画像からは、園芸種として流通している物との同定は出来ない。

常緑キリンソウ[編集]

常緑キリンソウは一年中緑を保つように環境保全・都市緑化に適した改良品種で、種苗法における登録品種として「常緑キリンソウ」・トットリフジタ1号(品種番号第15866号)及びトットリフジタ2号(品種番号第15867号)があり、株式会社フジタによって開発・登録が行われた[15]。トットリフジタ1号及び2号は、他のキリンソウに比べ花が咲きにくい傾向を示す。

現在、国内で常緑キリンソウとして公式に農林水産省に認められている物は、トットリフジタ1号及び2号のみ。「種苗法」に基づいて登録、保護されている品種のため、無断増殖することは禁じられており、違反すると厳しい罰則規定が適用される。知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失がなかったことを立証しない限り、その過失責任を問われるが、侵害品とは知らずに購入する行為は育成者権の侵害にはならない。しかし、購入後の利用行為(増殖・販売等)については侵害の対象となる。

常緑キリンソウの購入は、正規品取扱店からの購入のみとなる。

鳥取県岩美郡岩美町の株式会社フジタ パラダイスパークの『常緑キリンソウ 緑の夢袋』(FTMバッグ)が、2009年に鳥取県発明くふう展の発明協会会長奨励賞を受賞した[16]。同社は、常緑キリンソウ普及協会及び常緑キリンソウ緑化協会を設立し、緑化の普及活動、緑化技術の研究と緑化工事を行っている[17]

2015年1月25日に種苗法違反の罪で逮捕された兵庫県の屋上緑化メーカーが、同年2月15日に起訴。同年7月6日、植物を生産していた農場経営者に種苗法違反の有罪判決。現在、屋上緑化メーカーと社長に対する種苗法違反の刑事裁判が鳥取地方裁判所(事件番号・事件名:平成27年(わ)第7号・種苗法違反)で継続中。

関連画像[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “キリンソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2011年10月9日閲覧。
  2. ^ 安原修次 『伊吹山の花』 ほおずき書籍、2003年8月、113頁。ISBN 4434033212
  3. ^ a b 永田芳男 『夏の野草』 山と溪谷社〈山溪フィールドブックス〉、2006年10月、438頁。ISBN 4635060675
  4. ^ 金丸勝実 『鈴鹿・伊吹山』 山と溪谷社〈花の山旅〉、2001年6月、30頁。ISBN 4635014134
  5. ^ a b ピッキオ 『花のおもしろフィールド図鑑 夏』 実業之日本社、2001年6月、174-175頁。ISBN 4408394750
  6. ^ a b c 大川勝德 『伊吹山の植物』 幻冬舎ルネッサンス、2009年10月、142頁。ISBN 9784779005299
  7. ^ 常緑キリンソウとは”. 城見住研株式会社. 2011年9月28日閲覧。
  8. ^ 草川啓三 『伊吹山案内』 ナカニシヤ出版、2009年6月、28頁。ISBN 9784779503580
  9. ^ 田中澄江 『新・花の百名山』 文春文庫、1995年6月、300-303頁。ISBN 4167313049
  10. ^ a b c 日本のレッドデータ検索システム(キリンソウ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年9月28日閲覧。
  11. ^ 徳島県版レッドデータブック (PDF)”. 徳島県. pp. 272 (2001年). 2012年12月30日閲覧。
  12. ^ 千葉県の保護上重要な野生生物-千葉県レッドデータブック-植物・菌類編(2009年改訂版) (PDF)”. 千葉県. pp. 270 (2009年). 2012年12月30日閲覧。
  13. ^ 植物絶滅危惧種情報”. 生物多様性情報システム. 2011年9月28日閲覧。
  14. ^ ヒメキリンソウ初開花”. 高知新聞 (2011年5月17日). 2011年9月28日閲覧。
  15. ^ 新しい屋上緑化植物「常緑キリンソウ」とは?”. 常緑キリンソウ普及協会. 2011年9月28日閲覧。
  16. ^ 鳥取県における6次産業化および農商工連携の実態と課題 調査報告書(屋上に小さな森をつくろう!夢袋ジェクト) (PDF)”. 中小企業診断協会 鳥取支部. pp. 26 (2010年3月). 2011年9月28日閲覧。
  17. ^ 常緑キリンソウ緑化協会”. 常緑キリンソウ緑化協会. 2011年9月28日閲覧。

外部リンク[編集]