キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
Catch Me If You Can
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ジェフ・ナサンソン
原作 フランク・W・アバグネイル
スタン・レディング
製作 スティーヴン・スピルバーグ
ウォルター・F・パークス
製作総指揮 バリー・ケンプ
ローリー・マクドナルド
アンソニー・ロマーノ
ミシェル・シェーン
出演者 レオナルド・ディカプリオ
トム・ハンクス
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ヤヌス・カミンスキー
編集 マイケル・カーン
製作会社 アンブリン・エンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗 ドリームワークス
日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 2002年12月25日
日本の旗 2003年3月21日
上映時間 141分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $52,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $352,114,312[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $164,615,351[1]
日本の旗 29億円[2]
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(: Catch Me If You Can)は、2002年アメリカ映画1980年に出版されたフランク・W・アバグネイル・Jr著の自伝小説『世界をだました男』を元に製作されたドリームワークス作品。

題名の英語は「できるもんなら捕まえてみろ」の意味で、鬼ごっこの時の掛け声である。日本語の「鬼さんこちら」に当たる。

概要[編集]

パンアメリカン航空パイロット医師弁護士に偽装し(弁護士の資格は本当に取得した)、1960年代に世界各地で小切手偽造事件を起こし「天才詐欺師」と言われたフランク・W・アバグネイル・Jrレオナルド・ディカプリオ)と、彼を追うFBI捜査官カール・ハンラティ(トム・ハンクス)の姿を、痛快かつ人間味豊かに描く。

なお、トム・ハンクス演じるFBI捜査官カール・ハンラティは実在の人物ではなく、彼を追い、また更生の手を差し伸べた複数の人物をモデルとした創作である。

重厚な画面作りで評価を得ていたヤヌス・カミンスキーがコメディの撮影をし、また、劇中に1960年代のヒット曲をちりばめている。さらに、マーティン・シーンナタリー・バイを始め、重要な脇役を名優でそろえてあり、フランクの父を演じたクリストファー・ウォーケンは、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、英国アカデミー賞では助演男優賞を受賞した。

なお、アバグネイルは21歳で逮捕され刑に服した後、その才能を生かして詐欺防止を中心とした金融コンサルタント会社を設立。世界中に多くの顧客を抱え大成功している。この映画では彼を逮捕したフランス警察の1人としてカメオ出演も果たした。ブロードウェイミュージカル化も行われた。

あらすじ[編集]

プロローグ
物語は1968年、ニューヨークのブロンクスヴィルという街に、思春期を迎えた16歳の少年 フランクは、家族の愛を目一杯受けて、素直な青年に成長していた。彼は仲の良い自分の両親を心から尊敬しており、将来そんな家庭を自分も築きたいと考えていた。
だが、父親の事業が失敗し、そんな幸せな日々は突如として終わり、フランクの家族は困窮した生活を余儀なくされる。転校した学校で、フランクはフランス語の授業で代理教師のフリをして、生徒たちを1週間も騙して授業をしたため問題になっていた。
母親は父の知人と浮気していることが息子にバレて、しまいには家を出て新しい恋人の元へ去ってしまう。仲の良かった両親があっけなく離婚するところを見たフランクは、父と母のどちらと一緒に住むのかか決めろと迫られ、フランクは耐えきれなくなって家出してしまう。
「金さえあれば、今までの幸せな日々が続いていたはずだ」と悟ったフランクは、金を稼ぐためにマンハッタンへと渡り、金に対して強い執着を見せるようになっていく。
序盤
金のないフランクは小切手詐欺を働こうとするが、取引のない未成年のフランクではまともに取り合ってももらえない。金に飢えるフランクが目をつけたのは、社会的ステータスを持つ『パイロット』だった。フランクは高校の新聞記者を装ってパイロットに近づき、パイロットの仕事について詳細に聞き出した。
さらに、パイロットの制服を手に入れたフランクは、パイロットと身分を偽って生活を始めるようになる。パイロットという身分であれば偽造小切手を使っても、誰も怪しむことなくそれを使えるのだった。パイロットとして世界中を旅しながら、美女とのアバンチュールを楽しみ、偽造小切手で稼いだ金でフランクは優雅な生活を送っていた。
しかし、偽造小切手が出回っていることに銀行が気付いたことから、とうとうFBIが捜査を開始した。FBI捜査員のカールは、懸命の捜査の末に、ついにハリウッドのホテルに宿泊中のフランクを追い詰めるが、機転の利くフランクは「自分はフランクを先に逮捕したシークレットサービスだ」と騙して、巧みにその場を切り抜けてしまう。
FBIの追跡を切り抜けたフランクは有頂天になるが、言い知れぬ孤独感にも襲われていた。パイロットという身分に近づいてくる他人はいるものの、それは本当の自分ではないのだ。皮肉だが、本当のフランクの姿を知っているのは、捜査官のカールだけだった。
クリスマスの夜、フランクはカールに電話をかけ、束の間の交流を重ねる。カールは電話の内容から、フランクが漫画好きでニューヨークに住んでいる家出中の子供であることを看破する。そして、それからというものの、クリスマスだけのフランクとカールの秘密の電話は、毎年の恒例となる。
中盤
ある年フランクは、ブレンダという看護師の女性に恋に落ち、ブレンダに近づくために『小児科医』になりすまして恋人になる。彼女の父親が検事であると知ると、フランクは弁護士に早変わりして、2週間の猛勉強をして本当に弁護士資格を取得してしまい、父親に気に入られてブレンダとの婚約を認めてもらうのであった。フランクは「自分こそは幸せな家庭を築いてみせる」と固く決意していた。
家出した子供達のリストの中から、ついにフランクを突き止めたカールは、フランクが働いていた病院にまで辿り着くがまたしても取り逃す。だが、逮捕されるのも時間の問題だった。クリスマスの夜、カールに電話をかけたフランクは「結婚すること」を告げ、もう追わないように懇願する。カールは電話の聞かされた情報から、これから婚約パーティーをする「フランクが化けた偽医者と同じ名前」を探していく。
婚約パーティーの当日、ついにFBIが会場に乗り込んできた。フランクは再びブレンダに「空港で落ち合おう」と言い残して、スーツケースに詰まった現金を手にして、慌ててその場を逃亡してしまう。
2日後、約束した日時にフランクは空港へと向かったが、ブレンダの姿はそこにはなく、代わりに大量の捜査員たちが待ち構えていた。包囲網から逃げ切ったフランクであったが、父と母の出会ったフランスの某所であることを突き止められ、カールについに逮捕されてしまう。
アメリカに移送中、父親が首の骨を折って亡くなったことを知らされ、飛行機のトイレから脱走したフランクは、再婚した母親の家へと向かいそこで逮捕される。
終盤
フランクは罪状の悪さから未成年として扱われず、「禁錮刑12年」を言い渡されて、凶悪犯用刑務所に入れられ独居房で過ごすことになる。4年後、刑務所に面会に来たカールに、偽造小切手のアドバイスをした事がきっかけとなり、小切手偽造の腕やあらゆる詐欺についての技術を買われ、FBIの協力者として採用されることになる。
釈放されたフランクは刑期が終わるまでの間、自分を逮捕したFBIで働くことになる。一度は逃げ出して、偽造パスポートでフランスに逃亡しようとするが、友情の芽生えたカールに「お前は逃げないよ」と言われ、FBIに留まる決心をする。
エピローグ
その後、フランクは結婚して3人の息子を儲け、『偽造のできない小切手』を作り出すなど、銀行から年間数百万ドルを対価として受け取っている。国際手配をうけた悪質な偽造犯の逮捕に貢献、のちに『銀行詐欺と偽造摘発の権威』と称えられるようになる。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹き替え

主要人物[編集]

フランク・W・アバグネイル・Jr
演 - レオナルド・ディカプリオ猪野学
本作の主人公で、父親の名前と同じ。17歳の希代の詐欺師。パイロット詐欺の際には、最初に母親が知った時点で、130万ドルを詐取していた。その後、400万ドルまで詐取を続けている。
カール・ハンラティ
演 - トム・ハンクス江原正士
FBI捜査官。フランクを執拗に追う。

FBI捜査官[編集]

アール・アムダースキー
演 - ブライアン・ホウ塩屋浩三
FBI捜査官。ハンラティの部下。潜入捜査でミスをした罰で、小切手詐欺を捜査する課に異動となっていた。甘いものが好きで、アイスを食べる姿や、ポーラの家を訪ねた時に出されたケーキを早く食べたそうにする姿を見せる。
トム・フォックス
演 - フランク・ジョン・ヒューズ檀臣幸
FBI捜査官。ハンラティの部下。以前は、司法省の採用者の監査をしており、現場経験はない。詳細に捜査メモを残している姿を見せる。

フランクの家族[編集]

フランク・ウィリアム・アバグネイル
演 - クリストファー・ウォーケン土師孝也
フランクの父。経営者であったが、経営失敗により全てを失う。妻にも浮気をされて離婚することになる。
ポーラ・アバグネイル
演 - ナタリー・バイ小野洋子
フランクの母。
ジャック・バーンズ
演 - ジェームズ・ブローリン谷昌樹
ポーラの浮気相手で、父の知人。後にポーラの再婚相手で、娘が生まれる。ニュー・ロッシェルのロータリー・クラブの会長。

婚約者の家族[編集]

ブレンダ・ストロング
演 - エイミー・アダムス落合るみ
新人看護婦。病院に来たフランクと偶然に出会い、後に婚約する。
ロジャー・ストロング
演 - マーティン・シーン岩崎ひろし
ブレンダの父親。検事。
キャロル・ストロング
演 - ナンシー・レネハン定岡小百合
ブレンダの母親。

その他[編集]

ポール・モーガン
演 - スティーヴ・イースティン茶風林
パンナムの熟練パイロット。学校新聞の取材と称して、フランクからインタビューを受けて情報収集される。

スタッフ[編集]

挿入曲[編集]

ミュージカル[編集]

2009年7月、ワシントン州シアトル五番街劇場ミュージカルキャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のプレミア公演が行なわれた[3]。2011年3月11日よりブロードウェイニール・サイモン劇場でプレビュー公演が行なわれ、4月10日より正式に公開された[4][5]。この作品はミュージカル作品賞を含むトニー賞に4部門ノミネートされた[6]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c Catch Me If You Can (2002)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月9日閲覧。
  2. ^ 日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2003年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月9日閲覧。
  3. ^ Hetrick, Adam. Broadway-Aimed "Catch Me If You Can Ends Seattle Premiere Run Aug. 16". Playbill.com. 2009-08-16. Retrieved 2011-11-17.
  4. ^ "CATCH ME IF YOU CAN to Open on Broadway April 10; Previews March 7, 2011". BroadwayWorld.com. Retrieved 2011-10-17.
  5. ^ "Catch Me If You Can Books Broadway's Neil Simon Theatre". Playbill.com. Retrieved 2011-10-17.
  6. ^ "2011 Tony Nominations Announced; Book of Mormon Earns 14 Nominations". Playbill.com. Retrieved 2011-10-17.

関連事項[編集]

外部リンク[編集]