キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦

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キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
ジャンル ファンタジー
小説
著者 細音啓
イラスト 猫鍋蒼
出版社 KADOKAWA
レーベル ファンタジア文庫
刊行期間 2017年5月20日 -
巻数 既刊7巻
漫画
原作・原案など 細音啓(原作)
猫鍋蒼(キャラクター原案)
作画 okama
出版社 白泉社
掲載誌 ヤングアニマル
発表号 2018年No.10 -
発表期間 2018年5月11日 -
巻数 既刊2巻
その他 隔号連載
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル
ポータル 文学

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』(キミとぼくのさいごのせんじょう、あるいはせかいがはじまるせいせん)は、細音啓による日本ライトノベル。イラストは猫鍋蒼。ファンタジア文庫KADOKAWA)より、2017年5月から刊行されている。略称は「キミ戦」。

2018年4月5日に、YouTubeのKADOKAWAAnimeチャンネルにて、オーディオドラマが公開された[1]

あらすじ[編集]

高度な科学力を有する帝国に所属する、史上最年少で帝国の最高戦力である使徒聖に選ばれたイスカ。「魔女の国」と畏怖されるネビュリス皇庁の第2王女であり、「氷禍の魔女」と称され皇庁最強と謳われるアリスリーゼ。戦場で出会った二人は激戦の中、互いを互いの宿敵と認めあう。

二人が中立都市で再会すると、イスカはアリスの美しさと高潔さに心を奪われ、アリスはイスカの強さと生き方に惹かれ始める。そうして何度も偶然の出会いを重ねるうちに、お互いが世界平和を望み合っていることを知る。しかし、帝国と皇庁、敵対する国に所属する二人が共に歩むことは許されず、互いを打倒しそれぞれが目指す世界平和への礎とすることを選択する。

登場人物[編集]

「声」はオーディオドラマで演じる声優。

主要人物[編集]

イスカ[Iska]
声 - 小林裕介
本作の主人公。帝国に所属する少年兵。黒と白の一対の双剣である『星剣』という特殊な剣を使い、「黒鋼の後継」と呼ばれる。黒の星剣はあらゆる星霊術を遮断し、白の星剣が黒が遮断しただけの星霊術を一度だけ再現するという権能を持ち、イスカ以外には機能せず量産もできない唯一の真打《オリジナル》。それを見たアリスからは始祖を縛る鎖と酷似しているという印象を受けている。
史上最年少で帝国軍の最高戦力「使徒聖」に上り詰めたが、ある星霊使いの脱走を手引きしたことで称号を剥奪される。アリスとは互いに好敵手と認め合うが、食事から絵画など好みが見事に通じる以外にもなし崩し的に共闘することとなる事態に多く見舞われる。
中立都市で何度も鉢合わせ、なし崩し的な共闘を重ねる内に好敵手という意識が薄れかけている。というより完全に異性としての恋愛感情を抱いているが、両国の和平と師から託された黒鋼の後継としての使命を優先しているために無自覚である。
さらには称号剥奪の切っ掛けとなった脱走させた魔女が彼女の妹であるシスベルだったことから彼女からも好意と期待を寄せられ姉と同じく第907部隊ごと部下としてスカウトされるが、己の志のために当然拒否するも成り行きでまたも彼女を救い、その好意を意図せず深めさせてしまう結果となった上にミスミスの星紋の件を取引材料に部隊ごと一時的な護衛を務めることとなってしまう。
また妹たちに執着されていることから長姉のイリーティアからも興味を持たれるなど図らずも敵国王家の王女たち全員の関心を買っている。
一見すると温厚なようでいて根は非常に頑固で我が強くしつこい。帝国と皇庁の和平を純血種の魔女を捕虜にすることで強引にでも結ぶという強い目的意識を持っておりその為ならどんな星霊使いにも果敢に向かっていくことから「戦闘嫌いの戦闘狂」という皮肉な異名を持つ。その理想と志故にアリスやシスベルの誘いをにべもなく断っている。その一方で上記のように弱い星霊使いまで投獄するやり方を見過ごせず破れかぶれで脱走の手引きをするなど若干短絡的かつ詰めの甘さが目立ちジンからも指摘されている。
師であるクロスウェルから徹底して対星霊使い特化の訓練を受けておりジンをして「相手が星霊使いなら負けることはない」と断言し得る程の星霊使いを圧倒する神業の如き剣技を発揮するが、剣自体の才に恵まれていたわけではなくただただ百錬自得という凡事徹底の末に至った結果。
その一方で星霊使い特化であるが故に対人訓練は受けておらず、白兵戦それこそ使徒聖同士の乱闘を行えば恐らく中位に留まるのが精々で決して最上位には及ばないと自己評価しており、同じく剣を使う使徒聖一席のヨハイム相手では競っても精々一太刀、二太刀目で後れをとって、三の太刀で押し負けるだろうと確信している。
アリスリーゼ・ルゥ・ネビュリス9世[Aliceliese Lou Nebulis Ⅸ]
声 - 雨宮天
本作のヒロイン。ネビュリス皇庁の第2王女。通称アリス。強力な氷の星霊を宿す星霊使いで、帝国からは「氷禍の魔女」と呼ばれ恐れられ、その場を数秒足らずで氷河期さながらの氷漬けにし広範囲に及ぶ氷の剣を無数に射出する『氷禍・千枚の棘吹雪』と星剣すら防ぎ止める絶対防御『氷花』を持つ。
戦場で出会ったイスカとは互いに好敵手と認め合い、戦場で決着をつけることを望んでいる。しかし、中立都市で度々鉢合わせる内に無自覚ながらイスカに恋愛感情を抱くようになり、ある種の独占欲さえ抱いてシスベルとイリーティアがイスカに接近していると本気で二人を攻撃しようとする以外にも戦場でのライバル関係を持ちだして自分の物と公言するなど、自制心が弱くなって燐を苦労させている。
帝国の画家が描いた絵が好きなのだが、母を始め皇庁の者達からは問題視されており、何かと皇庁の絵が優れていると誇張する自身の好みを認めない周囲に憤りを抱く他にもいつの間にか遠くなっていた姉妹との関係にも苦悩を抱えている他、ゾア家やヒュドラ家を始めとした血族同士の骨肉の争いにも辟易しており、そんな中でイスカとの戦いというより邂逅そのものが生きがいになっており心中で彼がいなくなったら自分は生きがいを失くすと言い切っている上、イスカをシスベルに取られそうになった時には帝国との戦いも女王聖別儀礼さえも全てがどうでもいいと独白してさえいる。
ミスミス・クラス[Mismis Klass]
イスカが所属する防衛機構Ⅲ師・第907部隊の隊長。子供と間違えられるほど小柄で童顔だが、れっきとした22歳の女性。
スタイルは抜群なのだが、その体格のせいで逆に問題視されることもある。
兵士としてはお世辞にも優秀とは言えず隊長の昇級試験にもギリギリの成績でパスした。だが部下の感情の機微には非常に敏感でイスカがアリスと邂逅したことで調子を崩したことにも誰よりも早く察している。また普段は弱気ながら芯は強く一度覚悟を決めればジンすら眼を瞠る行動力を示す。
星脈噴出泉を巡る任務中で、皇庁のスパイだったシャノロッテに拘束された上、その当の星脈噴出泉に仮面卿によって落下させられた結果、魔女になってしまうが、イスカ達はそれを隠そうと奔走している。また、イスカを異性として意識している節も見られており、シスベルがイスカにアプローチを掛けた際には音々と共に妨害しようとしていた。
ジン・シュラルガン[Jhin Syulargun]
イスカと同じ小隊の狙撃手。かつてイスカと同じ師匠のもとで修行した過去を持つ。実家は銃工房。毒舌で皮肉屋。
神業的な狙撃技術を持ち、星霊使いの装甲の繋ぎ目を過たず撃ち抜き「何なら目をつむって撃っても問題ない」と豪語するほどのスナイパー。
頭の回転が非常に速く、907部隊ではイリーティアの陰謀を真っ先に見破った。またイスカがアリスと出会ったことで生じた変化にも気づいている節があり、燐の独断で皇庁に連れて行かれた挙句にシスベルとゾア家の一悶着に巻き込まれている彼に「らしくないんじゃないのか」と詰問している。
普段は冷静沈着だが、根は仲間想いでありミスミスが星霊に憑かれる切っ掛けとなった仮面卿に対しては、初対面で激情を顕わにしている。
音々・アルカストーネ[Nene Alkastone]
イスカと同じ小隊の通信技手。可愛い見た目に反して武器開発に長けており、一流の機工士として帝都に名を馳せている。イスカを兄のように慕っている。
帝都の制圧兵器開発部局から実験途上の対星霊兵器、衛星『テトラビブロスの星』を預かり受けており、指先に嵌めた機械仕掛けの指輪で操作し星霊の動きを乱す波長を破裂後に展開する対星霊擲弾を射出できる。
同時にイスカを異性として意識している様子もあり、シスベルのアプローチには警戒を見せている。
燐・ヴィスポーズ[Rin Vispose]
アリスの側近兼メイド。王家に仕える王宮守護星の出身。土の星霊を宿し、星霊使いとしての技量もさることながら暗殺術を初め武芸全般に長けている。服の下には様々な暗器が仕込まれている。
ゴーレムを生成し使役する他、粘着質の強い泥土を瞬時に生成するなどイスカからも一流の星霊使いと評されている。
主であるアリスを戦争を終わらせ世界を統一する女王になると心酔しており、自分はその右腕として支えることが夢。
それ故、イスカの人柄を認めながらも、一介の兵士であるイスカにアリスが拘ることをあまり良しとしてはおらず独断でその仲を裂こうと画策したこともあるが、イスカが絡むと暴走するアリスを宥めるのに四苦八苦して、最後はイスカに苦労を押しつけることもある。

天帝国[編集]

天帝ユンメルンゲン
天帝国の首長にして象徴。表向きは九代目とされているが、その実、表舞台に出ていた天帝は全員が影武者でユンメルンゲンは百年前より一度として代わっていない。
その正体は銀色をした獣のような人のような姿であり明らかな人外であるばかりか帝国の頂点でありながら、禁忌であるはずの星霊の力を帯びており、政務などは八大使徒に任せている一方で星剣の担い手であるイスカを気に掛け、サリンジャーに帝国の機密書類を渡すなど作中一謎の多い存在。
常に退屈に飽いてるらしく、一人で帝国の外に出歩いた挙句サリンジャーと接触した時には、あの璃洒をも慌てさせている。
八大使徒
帝国議会の最高権力者たちの総称。天帝から政務を実質任された存在でその正体も分かっておらず人前にも姿を現さない謎の集団。普段は帝都の地下五千メートルに存在する議事堂「見えざる意思」に引き籠っている。
イスカを反逆罪で投獄した一年後に釈放し純血種の捕獲を命じながら、彼の和平交渉という路線は端から眼中になく皇庁との全面戦争と魔女と魔人の殲滅に舵を切ろうとしており女王の捕獲作戦を画策している。
クロスウェルが皇庁よりも警戒していた存在。

使徒聖[編集]

ヨハイム
使徒聖の現第一席。『瞬(またたき)』の騎士の二つ名を持つ帝国最強の使徒聖。細身の長剣を提げ甲冑とコートが一体化した専用の戦闘衣を着こんだ紅の髪の大剣使い。
寡黙な性格で女王の護衛を務める星霊使いを一切の物音なく倒すほどの絶技を誇る剣士。
本来は天帝の傍に常に控えていなければならない立場だが、八大使徒の依頼で女王捕獲作戦のメンバーに選ばれ彼自身も「女王は自分が狩る」と積極的な意欲を見せている。
また、女王の傍に現在アリスがいないことを帝国領にいながら知るなど、皇庁そのものに深い情報網を持っている節がある。
女王の間にてミラベアと対峙し、皇庁を全ての星霊使いの楽園とする彼女に対してそれは欺瞞の夢であると切って捨て世界は生まれ変わると宣言する。
使徒聖の第三席。『降りそそぐ嵐』の二つ名を持つ野性味ある女兵士。機構Ⅴ師――無主地と呼ばれる未開拓領域に配属される帝国兵の中で頭角を現し、昇級した。非常に大雑把でざっくばらんな性格の女性。ネームレスとは一方的にからかって袖にされる関係。
超人的な動体視力を持ち、上空から放たれたキッシングの棘を視認できるほど。その肉体は帝国の機密仕様らしい。
上昇志向はかなり強く璃洒にどうやったら天帝は自分を第一席にしてくれるのかと冗談交じりに聞いている。
皇庁襲撃ではキッシングと交戦する。
マグナカッサ
使徒聖の第四席。機構司令部局長。女王捕獲作戦のメンバーに選ばれる。
璃洒・イン・エンパイア[Risya In Empire]
使徒聖の第五席。天帝の参謀。あらゆる分野で才能を発揮する万能の天才。ミスミスと士官学校の同期で仲が良く、いろいろと可愛がっている。
普段こそ気さくなお姉さんという風情だが、底知れぬ腹黒さと冷徹さも持っており、無理無謀な命令を笑顔と正論でゴリ押す上、第907部隊を平然と囮に使うなど、ジンからはまるで信用されていないどころか警戒さえされている。帝国と皇庁の二重国籍を持ち監獄のガラス壁を手も触れずに破壊するなど良くも悪くも謎が多い女性。
使徒聖に恥じない高い戦闘力を持ち、3巻で人為的に超人を製造するというコンセプトで作られたネームレスを模した光学化スーツを身に着け、皇庁の十三州『アルカトルズ』でサリンジャーを逃がした後に時間稼ぎのためアリスと交戦したことからもそれが窺え。その後、帰還した彼女に当のネームレスは「そもそもお前にそんな玩具は必要ない」と評されていることからも底知れない実力を未だ隠している節が見受けられる。
八大使徒から何らかの実験を依頼されている模様だが、詳細は不明。
参謀だけあってユンメルゲンからはかなり重用されており、彼に対して下記の女王捕獲作戦に腑に落ちないことがあると物申している。
女王捕獲作戦のメンバーにも選ばれ仮面卿と対峙する。
ネームレス[Nameless]
使徒聖の第八席。『神の見えざる手』の二つ名を持つ、頭部から足先までを帝都の制圧兵器研究機関が作り出した光学迷彩衣装に身を包んだ男。帝国の刺客部隊である機構第Ⅵ師から昇級した。格闘技術(サイレントキリング)の達人でアリスの鋼を上回る強度の氷を容易く破壊するほどの尋常ならざる膂力と銃弾並みに加速した氷の投槍をつかみ取るほどの獣すら超える動体視力の持ち主。
徹頭徹尾任務の遂行のみを優先し捕虜に取られたミスミスを始めとした同胞の命すら意に介さないなど冷徹なまでに合理と効率を尊ぶ人物である一方、星霊使いを徹底して「魔女」「魔人」「バケモノ」と過剰に蔑みアリス達純血種を「王族気取り」と見下す上、皇庁の三血族が王位争いをする様を、自分たち使徒聖や八大使徒などの蹴落とし合いを棚に上げて「しょせんはバケモノはバケモノ」と嘲るなど帝国の今の思想を具現化したようなレイシスト。
それ故、使徒聖でありながら魔女を脱獄させたイスカを裏切り者と蔑み信用してはいない。
女王捕獲作戦のメンバーにも選ばれ、ゾア家当主グロウリィと対峙する。
スタチュール
使徒聖の第九席。『天獄』の二つ名を持つ巨漢の使徒聖。
帝国が捕獲した魔人や魔女を繋ぎとめている地下の獄の門番。
身長二メートルを超える上背に、隆々と膨れ上がった筋肉の鎧に覆われた男。過剰なる熱量変換故に摂取物から得られる熱量の変換効率が、常人の十倍以上であるが故に常人と同じ食事をとると栄養のとりすぎで肉体が無尽蔵に膨れ上がる上に鍛錬も常人が鍛えるのと同じようにすれば鍛えすぎで肉体が自壊するために必要としない、あらゆる薬物(ドーピング)を凌駕する筋肉成長作用を持つ。
その肉体と極寒の天獄故か外の暑さに辟易している。
サー・カロッソス・ニュートン
使徒聖の第十席。『オーメン』の二つ名を持つ帝都第三セクターに存在する兵器開発部局の研究室長。
一見すると戦闘員にはまるで見えない如何にもな研究者と言う風情の白衣を纏った壮年の男性。兵器開発部局において、もっとも不健康な研究員として知られている。
4巻にて皇庁側から売られたシスベルを狩るため、スタチュールから天獄に実験用に搭載された兵器『殲滅物体(オブジエクト)』を借り受け、彼女のいる独立国家『アルサミラ』に投入した。
後に皇庁侵入と女王捕獲作戦にも身を投ずる。
ガルガンリィ
使徒聖の第十一席。イスカの後任に当たる機工士で『不在(ノーヒア)』の二つ名を持つ。女王捕獲作戦のメンバーの一人に選出される。

一般兵[編集]

ミカエラ
璃洒の友人で司令部の統括医療チームに従事している女性。専門は医療法(メディカル・リーガル)で、医療従事(コ・メディカル)チームの指導を主任務としている。堅物な性格で使徒聖ながらちゃらんぽらんな性格の璃洒にも容赦なく不備を糾弾する。過剰任務を強いられていた907部隊に60日間の休暇を命じた。
璃洒にある薬を処方しているらしいが、詳細は不明で璃洒自身にも口止めされているほど重要な薬らしい。

ネビュリス皇庁[編集]

ルゥ家[編集]

ミラベア・ルゥ・ネビュリス8世
ネビュリス皇庁の現女王であり、アリスの実の母。彼女自身もアリスに及ばずとも一流の星霊使いで「風」系統の星霊を宿す。ゾア家程ではないが、彼女も帝国を自分たちを不当に迫害した蛮人と決めて掛かり、彼らとの戦いと打倒という思想に偏っているため和平は頭にはない。アリスが帝国の画家のフォットブックを集めることも苦々しく思っている(漫画版では燐に全て焼き払うよう命じている)。次期女王にはアリスをと堅く決めているが故の配慮でもある。
皇庁を星霊使い全ての楽園と称するも実の娘であり生まれながらの敗者と自称するイリーティアと襲撃してきたヨハイムからは否定されている。
実はかつて大罪人のサリンジャーとはアリスとイスカのようなライバル関係だったが、今現在はそれを過ちであったと自嘲している。
イリーティア・ルゥ・ネビュリス9世[Elletear Lou Nebulis Ⅸ]
ネビュリス皇庁の第1王女。アリスを凌ぐ抜群のスタイルを誇る美女で、二人の妹が拘るイスカの存在に強い興味を示している。しかし、その内面は今ある皇庁を根本から壊したいという憎悪に満ちており、かつて帝国にも渡った人脈を活かして皇庁侵攻を手引きする。
その根本には宿した星霊があまりにも弱く、女王即位候補からに外された上に母や妹たちと常に比べられ、肥大化したコンプレックスがあり、「楽園」という皇庁の文句も自分のような王家にもいる敗者という理由で否定しており、災厄の魔女にもなる覚悟がある。
「声」の星霊を宿しており過去に聞いた者の声を再現できる声真似のようなもので戦闘には元よりシスベルのような証拠能力としても使い道がなく本人も家臣たちも役に立たぬ星霊と評している。しかし、これによって女王の間の爆発の瞬間に仮面卿の声を真似ることで疑惑をゾア家に向かわせるなど、使い時によっては権謀において大きな効果を発揮する。
星霊が弱い分、知略と謀略に長け上記の権謀において星霊の弱さから歯牙にもかけていなかったグロウリィすら唸らせるほどの老獪さを20代で持つに至り、イスカからは八大使徒を想起させた。
シスベル・ルゥ・ネビュリス9世[Sisbell Lou Nebulis Ⅸ]
ネビュリス皇庁の第3王女。過去に起こった事象を映像で再生する「灯の星霊」を宿している。
実はイスカが脱獄の手引きをした魔女本人。皇庁内のある存在を知ってからは最悪の事態を回避するための味方を欲し、偶然再会したイスカに協力を要請するが、断られ悲嘆に暮れるも直後に仮面卿の襲撃や帝国の殲滅物体に捕獲されかけたところを結果的にせよまたも救われ、以来イスカには恋情に近い強い拘りを見せる。
王女としての心構えは出来ているが、「女王の品格など二の次」という考えており、双方の全面戦争を阻止するためならば多少の色仕掛けをも厭わない。一方で恩人であるイスカには好意を寄せており、姉達と、特にアリスとは度々張り合っている。
宿した星霊故に実の姉たちすら含めた人間不信に陥っており「自分が信じられるのは母だけ」と断言するほど頑なだが、自らを二度に渡って助けたイスカだけは例外となっている。
シュヴァルツ
執事姿の初老男性。シスベル付きの執務官。護衛を兼ねている燐とは違い彼の星霊は戦闘に不向きで主に隠密に優れている。シスベルが信頼できる数少ない直属の部下。
シスベルの王宮帰還を実現するため、一人中央州へと戻り女王への謁見を望むが、その寸前で捉えられ消息を絶つ。
梓(キササゲ)
ワーヴィック
男女の星霊使いで燐と同じく王宮守護星出身の護衛。帝国軍の最新光学迷彩を上回る隠密能力の星霊保持者で常に待機しているらしい。
ユミリーシャ
アシェ
ノエル
システア
ナミ
ルゥ家の別荘で働く使用人の少女たち。全員が星霊使いではあるが、攻撃的な星霊ではない。なし崩し的に別荘に招かれたイスカたちをイリーティアの命だからと歓待するも、当然内心は険悪この上なく隙を見せた瞬間に懐からナイフを取り出して襲い掛かって来そうだとイスカたちに思わせた。

ゾア家[編集]

仮面卿オン[On]
仮面をつけた黒服の男で皇庁の過激派にしてタカ派の代表的存在ネビュリスの純血種ゾア家の一人で空間を渡る「扉」の星霊を宿した魔人。如何にも紳士的な物腰と口調の持ち主だが慇懃無礼でその内には苛烈なまでの帝国への敵意と怨念が満ち満ちており現女王の体制を緩すぎると公言して憚らず帝国との全面戦争こそが星霊使いの悲願だと断言するなど皇庁の憎悪を具現化したような男。
策謀と奸計に富み上記の星霊の特性から奇襲と不意打ちを得意としているなどあらゆる意味で一筋縄では行かない人物。
ただ上記の恩讐が強すぎるが故にシスベルが帝国兵であるイスカを招き入れようとしたことを政敵であることを考慮したとしても一切の弁明も聞かず裏切りと断定したり、敵を始末する際にも過剰な恨み節が端々に顕れていたりと非合理的な判断や言動による失敗も目立ちジンからは「頭の回転は悪くないが空回るタイプ」と批評されている。
イリーティアの奸計により女王の間爆破の嫌疑を掛けられ一時的に拘束されるも、それすらもゾア家が一気に上り詰める好機と捉える。
皇庁襲撃にて璃洒と対峙しお互いに腹を探り合う。
キッシング・ゾア・ネビュリス[Kissing Zoa Nebulis]
眼帯をつけた黒髪の少女で年齢は十三か十四。ゾア家の秘蔵っ子で仮面卿をしてアリスをも超える逸材と評される星霊使い。「棘」の星霊を宿し産み出された無数の棘は刺したものを全て分解し消去するばかりか分解したものを再結合させることが可能。それを鞭のように連結させて広範囲縦横無尽に攻撃する。ただ星霊使いとしての技量と練度はアリスには未だ及ばず、大技を使う際に標的の指定といった細かなコントロールが利かない。
基本的に無口で口調もたどたどしい。仮面卿の命令を忠実にこなしている。
仮面卿からかなり殺人的な訓練を施された結果、分解したミサイルを再結合して爆発させつつ、その威力を分解して自らに爆発のダメージが及ばぬようにするなど自爆同然の絶技をこなす。
皇庁襲撃にて冥と交戦状態に入る。
グロウリィ
ゾア家当主にして特殊な逆襲型の『罪』の星霊保持者。車椅子の老人。帝国軍の負傷によって両足が動かない身ながら未だに眼光に宿る怨念は衰えていない。
ヒュドラ家に嵌められる形で帝国の襲撃を受けるも戦場に立つことが叶わなくなった身に、怨敵の方から自らの元へやって来たことに歓喜に等しい昂揚を抱きネームレスと対峙する。
シャノロッテ・グレゴリー
温和な女性で間延びした口調で喋る。帝国の機構Ⅴ師第一〇四部隊の隊長でミスミスの同期で友人だが、その正体はゾア家の派閥に属する皇庁のスパイで星脈噴出泉(ボルテックス)に近付いた帝国部隊を捕虜にしていた犯人。「雷」の星霊保持者で術の発動が極めて早い上に帝国兵としても習熟した技能を持つ。
本性は極めてサディスティックで正体を顕わにした途端、友人で会ったミスミスを雷の星霊術で甚振り拘束した挙句に溜め込んでいた恨み辛みを発散するなど典型的な過激派ゾアの信望者。

ヒュドラ家[編集]

タリスマン
ネビュリスの純血種ヒュドラ家の当主。『波濤』と『暴虐』(本人としては後者は本意ではないらしい)の二つ名を持つ魔人。格調高いスーツに身を包んだ際立つ体格の壮年の男性。表向きは女王やルゥ家に恭順し中立的な立場を取っているが、ゾア家を追い込む形でルゥ家を追い込む面従腹背であり良くも悪くも老獪な人物。敵と対峙した際にもそれは際立っており、のらりくらりとした会話を続けながら確実に敵を葬る攻撃を繰り出すなどイスカをして詐欺師と評される。
イリーティアと共謀し敵である帝国を皇庁に招き寄せルゥ家とゾア家を排除せんと企むなど仮面卿に比べると柔軟な判断力もある。その真意は星の中核(コア)に至るには帝国の力が不可欠であるかららしいが、詳細は不明。
「波」の星霊保持者で不可視の力学エネルギーを波動として放出する。さらに彼の場合はそのエネルギーを物理的な加速度に転換することで拳にかすめただけで肋骨と内臓がバラバラになるほどの破壊力を付与する。また体技のレベルも相当なもので、それを波動の後押しで加速させることでイスカが視認できないほどの速度を誇り、彼が機動力で振り払えないなど対星霊使い特化の天敵とも言える技量の持ち主。
ヴィソワーズ・アレク・ヒュドラ
ヒュドラ家の一人で異端審問官の少女。ただしネビュリスの直系から遠い血筋である彼女をヒュドラ家が養子に迎えた。
ヒュドラ家が遣わしたシスベルへの刺客で帝国の実験体悪星変異『被検体Vi』。異形へと変態する能力を持つ。その際の姿はシスベルがかつて見た怪物と酷似している。
星霊の力は『重力』だが、その枠組みすら超えた力を誇るが、その戦法はあくまでも人間である上に慢心も手伝い、その間隙を突かれる形でイスカに敗れ、そのまま燐やアリスに拘束されルゥ家に捕縛されるもタリスマンはイリーティアの進言もあり知らぬ存ぜぬを通している。
オルネイク
ヒュドラが独自に雇った諜報部隊の隊長。護衛としての実力は一級品で、刺客としては超一級である恐ろしく優雅で俊敏な振る舞いのスーツ姿の男性。
タリスマンの密命でシスベルの監視をすべくルゥ家の別荘に潜伏するも同じく密かに訪れていたサリンジャーによって撃退される。
グリューゲル
『白夜の魔女』の二つ名を持つ修道服を思わせる赤い服を纏った痩躯の魔女。同時に別の戦場に現れるまでアリスと同一視されていた『雪』の星霊使い。ヒュドラ家の派閥に属するシスベルへの刺客。
かつて、ただの一人で帝国の機構Ⅴ師一個中隊を丸々壊滅せしめ戦車と装甲車あわせて二十台をスクラップしたほどの圧倒的な力を持つ。
シスベルを連れた907部隊の行く手に立ちはだかる。

その他[編集]

クロスウェル・ネス・リビュゲート
通称『黒鋼の剣奴』の二つ名を持つかつての使徒聖筆頭にして帝国最強の剣士。イスカとジンの師匠で星剣の前任者。普段は無口で無感情で気だるげな視線の男。後継者に選んだイスカのことを今までの後継者候補の中で「一番見込みがなかったと」と評しながらも「自分に一番似ていたから」とも評していた。
「星剣こそが世界を"再星"する唯一の希望だ」など意味深な言葉を残して消息を絶った。
また帝国の最高意思決定機関である八大使徒を皇庁や星霊使いよりも毛嫌いしイスカとジンにも連中には心を許すなと忠言するほど。
何故か百年前の人物である大魔女ネビュリスと面識を持っていたなど謎が多い人物。
始祖ネビュリス
『時空星霊』とも呼ばれる最古にして最強の星霊を宿した少女でネビュリス皇庁の創始者(正確には彼女の双子の妹が創始した)。百年前、帝都を唯の一人で火の海に変えた『大魔女』と恐れられた伝説の魔女。赤銅色に日焼けした肌と真珠色の髪が印象的な少女で十二、十三の少女。
当然表向きは既に故人とされているが、実際はその強大な星霊の力で時間の流れさえ遮断し上記の少女の姿のままネビュリス王宮の地下で眠り続けていたが、アリスの星霊とイスカの星剣に共鳴する形で覚醒する。
しかし、その思考と意思はゾア家すら生温く思えるほどの破滅的な憎悪に支配されており帝国を滅するという恩讐に固執し、そのためなら同胞の星霊使いすら傷つけることも厭わない。その圧倒的な暴威で暴れ回るもアリスの氷花とイスカの星剣によって再び眠りにつき王宮の地下へと戻っていった。
その星霊の力は強大で、星紋が翼として具現化するほど。本来星霊が干渉できる事象は一つ切りのはずのところを炎、氷、土、風などを自在に操り空間破壊すら可能など全てが桁違い。
何故か星剣ばかりかその担い手の前任者であった百年後の人間であるはずのクロスウェルを知っている。
サリンジャー[Salinger]
美麗な白髪の青年。『超越』の二つ名を持つ、かつて皇庁に反旗を翻し先代ネビュリス7世の星霊を奪おうとした最悪最強の魔人。他人の星霊を二つに分裂させ、その半分を強奪する「水鏡」の星霊を宿す。これによって純血種など強力な星霊を多く奪ってきた大罪人であり監獄都市として名高い皇庁十三州のアルカトルズでも星霊使いの罪人を収監するオーレルガン監獄塔に三十年収監されていた。にも拘らず未だ力強き青年の姿を保っている。
性格は傲岸不遜で己の強さに微塵も疑いはなく「気高きは血筋にあらず。理念に宿る」という理の持ち主で星霊を奪うことを『星霊使いの王が国民に求める徴収」と称した上、星霊を極めることに余念がなく「全ての星霊の力を以て、王を『超越』する」と豪語する。
その傲岸さは口ばかりではなく、奪った星霊の殆どが純血種などの強力な星霊ばかりであり半分の力しかないにも拘わらず、その半分の力で燐を圧倒するばかりか、上記の星霊の力によって奪った二つの異なる星霊を統合させる「星階唄(サンクトウス)」の絶技を持ち並みの星霊術を凌駕する力を振るうが、これすら彼にとっては副産物に過ぎず、彼が目指すのはその先のステージである第三次統合「人と星霊の統合」である豪語するなど並々ならぬ上昇志向を持ち、それ故に純血種などの王家を生まれながらの星霊の強さに胡坐を掻いて力を高める意識もないと酷評している。
その一方で油断や慢心もまた微塵もなく上記の傲岸さとは裏腹に幾重にも慎重な策を講じる冷静な面もある。
上記のように三十年収監されていたが、璃洒の手引きと提案で脱獄。立ちはだかった燐を圧倒するが、イスカに横槍を入れられ最初こそ歯牙にも掛けなかったが、星霊術をことごとく斬り伏せる彼に星階唄の星霊術を繰り出すも、その力すら利用して迫る執念に怯み惜しくも敗北を喫する。しかし分身体を作ることでその場から逃れた上、未だに三つの星階唄を出し惜しんでいた。
現女王のミラベアを今も昔も歯牙にもかけたことなどないと公言していたが、実際は彼女を愛称の「ミラ」で呼び、かつてはその星霊を奪わんと挑戦しては撃退されていたなどイスカやアリスのような好敵手同士だった。しかし、ヒュドラ家の策謀によって上記の大罪人に仕立てられその関係は呆気ない幕切れを迎えた。ただ未だにその日々を自分が生涯唯一の「挑戦者」であった時代と評した上、現女王たる彼女のファーストネームを呼び捨てていいのは自分だけでありそれは自分に対する不敬と言い放つなど、かなりの思い入れを抱いている。
天帝ユンメルンゲンとも面識があり彼から帝国の機密文書を渡され、そこに記された皇庁への間者"純血種『E被検体』"の詳細を知らされ心当たりが二人ほどいたが、歯牙に掛けることなく燃やした。

用語[編集]

帝国
正式名称は「天帝国」。
高度な科学力と軍事力を有する世界最大の大国。星霊を宿した星霊使いを迫害し、敵対しており、100年間戦争を続けている。
ネビュリス皇庁
「星」が持つ未解析エネルギーである星霊を宿す星霊使いたちが建国した国。自分たちを迫害してきた帝国を憎悪し、帝国の打倒を掲げており、100年間戦争を続けている。
中立都市
帝国、皇庁のどちらにも属さず、中立を宣言している都市の総称。中立都市内では一切の争いが禁止されており、違反した場合全ての中立都市が敵に回る。
星霊
星の地下深くに眠っていた未解析エネルギー。かつて帝国が地質調査を行っていたときに噴出し、発見された。人間に憑依する性質を持っており、星霊を宿した者には「星紋」と呼ばれる痣が生まれ、同時に魔法のような力が宿る。星霊を宿した女性は「魔女」、男性は「魔人」と呼ばれ迫害されていたが、始祖の魔女ネビュリスを中心に反旗を翻し、ネビュリス皇庁を建国した。星霊を宿す者や一部の者は魔女・魔人という呼称を使わず、「星霊使い」と呼んでいる。
使徒聖
帝国の君主である「天帝」の直属護衛であり、帝国の最高戦力。作中では11人おり、かつてイスカも選ばれていた。
純血種
ネビュリス皇庁を建国した始祖の魔女ネビュリスの直系の星霊使い。強力な星霊を宿しており、帝国から警戒されている。初代女王の三人の娘たちの末裔に当たる現女王のルゥ家と過激派のゾア家と中庸のヒュドラ家の三血族から成る。

漫画版[編集]

ヤングアニマル』(白泉社)にて、2018年No.10より連載。作画はokama。

既刊一覧[編集]

小説[編集]

巻数 初版発売日付 ISBN
1 2017年5月20日 ISBN 978-4-04-072307-5
2 2017年7月20日 ISBN 978-4-04-072308-2
3 2017年12月20日 ISBN 978-4-04-072518-5
4 2018年4月20日 ISBN 978-4-04-072519-2
5 2018年8月20日 ISBN 978-4-04-072866-7
6 2018年12月20日 ISBN 978-4-04-072867-4
7 2019年9月20日 ISBN 978-4-04-073179-7

漫画[編集]

巻数 初版発売日付 ISBN
1 2018年12月26日 ISBN 978-4-592-16301-5

脚注[編集]

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外部リンク[編集]