キヒトデ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
キヒトデ
海星(正面).JPG
キヒトデ Asterias amurensis
分類
: 動物界 Animalia
: 棘皮動物門 Echinodermata
: ヒトデ綱 Asteroidea
: キヒトデ目(叉棘目) Forcipulatida
: キヒトデ科 Asteriidae
: キヒトデ属 Asterias
: キヒトデ A. amurensis
学名
Asterias amurensis
Lütken, 1871
和名
キヒトデ
英名
Northern Pacific seastar

キヒトデ(黄海星、黄人手、学名Asterias amurensis)は、棘皮動物門ヒトデ綱の生物。一般に「ヒトデ」と呼ばれる生物群の中で、日本でもっとも普通に見られる種の一つのため、かつては単にヒトデと呼ばれた。

概要[編集]

やや平たい長三角形の腕を、一般的に5本放射状に伸ばすが、個体により4本や6本のものも存在する。体表にはイボ状の棘が密生している。体色は白色から黄色、濃褐色まで個体差が大きい。北太平洋沿岸に広く分布する。近年は船舶のバラスト水により移動し、オーストラリア沿岸にも増殖が認められ、漁業に被害を与えている。肉食であり、魚介類の死骸のほかアサリなどの貝類を捕食する。輻長は大型個体では20cmを超える大型のヒトデである。体内にサポニンを含むため他の生物に捕食されにくい。

分布[編集]

元々の生息地は北太平洋で、日本中国北部・朝鮮半島からロシアの沿岸。オーストラリア南部にも移入種として分布する。水温7-10℃を好むが、0-25℃に耐えることができる。塩分濃度18.7-41、深度220m以浅に生息する[1]。日本では北海道以南の浅海から海岸の岩礁から砂泥底に広く生息する。

生態[編集]

有性生殖と分裂による無性生殖を行うことができる。オーストラリアでの有性生殖は6-10月で、雌は2千万個の卵を放出する。孵化した幼生は着底まで120日間のプランクトン生活を過ごす。およそ12か月、直径10cmで性成熟する[1]

和名の混乱[編集]

本種の「標準和名」は文献によって「ヒトデ」、「キヒトデ」、「マヒトデ」などが使用されている場合がある。これは、1980年代頃まではヒトデが本種の和名として使用されていたが、ヒトデ綱の総称としてもしばしば「ヒトデ」(=ヒトデ類)が使用されるて紛らわしいため、発生学者などらによりキヒトデと呼ばれ始め、さらに本種の体色は黄色とは限らないことからマヒトデが提唱されたという複雑な経緯を持つためである[2]

人との関わり[編集]

日本では、ホタテガイアサリなどの漁業資源を捕食するため、しばしば駆除の対象となる。熊本県の一部の地域では卵巣を食用とするが、基本的に利用価値は低く、多くは邪魔者として扱われている。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。

利用[編集]

食用
熊本県上天草市ではガゼと称し、まるごと塩ゆで、または、網焼きにして、加熱した卵巣だけを食べる。茹でた卵巣を軍艦巻寿司ねたにする場合もある。同じ棘皮動物に属するウニの卵巣に似た甘味うま味がある。
発生学のサンプル生物として
本種はウニと並び、受精減数分裂などの実験に広く用いられた。これは、哺乳類などと異なり体外受精であること、サンプルが入手しやすいこと、飼育が簡単なことなどの理由による[3]
成分の有効利用研究
近年、ヒトデ抽出液に含まれる生理活性物質や酵素[4][5]サポニンなどを利用した殺虫効果や植物の成長促進効果などが認められ、有効利用法が検討されている[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b http://www.issg.org/database/species/ecology.asp?fr=1&si=82
  2. ^ 動物命名法解説
  3. ^ ヒトデ採卵・受精操作の手法 御茶ノ水女子大学 根元研究室
  4. ^ ヒトデ抽出物のヒト好中球に対する生物活性 Japanese Journal of Allergology Vol33, No.11(1984)
  5. ^ 有り余るヒトデから安全で新規なトリプシンを抽出!(pdf)鹿児島大学技術情報
  6. ^ 水産廃棄物から機能性化合物の構造決定と合成研究(pdf) 財団法人 北海道科学技術総合振興センター

関連項目[編集]