キイチゴ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キイチゴ属
Rubus
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: キイチゴ属 Rubus
和名
キイチゴ属(木苺属)
英名
Bramble
亜属
  • Anoplobatus
  • Chamaebatus
  • Chamaemorus
  • Comaropsis
  • Cyclactis
  • Diemenicus
  • Dalibardastrum
  • Idaeobatus
  • Lampobatus
  • Malachobatus
  • Micranthobatus
  • Orobatus
  • Rubus
  • 詳細は本文の分類を参照

キイチゴ属(きいちごぞく、学名Rubus L.[1]は、バラ科の1つ。キイチゴ(木苺[2]・黄苺[2]・懸鉤子、英語: Bramble)と総称される。ラズベリー (Raspberry)、ブラックベリー (Blackberry) などの栽培種群に代表される、数十〜数百(研究者により大きく違う)が属する。

分布[編集]

主に北半球寒帯から温帯に多く見られる。

特徴[編集]

キイチゴ属は種の数がとても多く、ほとんどは小柄ながら質化したを持つ落葉性低木[3]、一部に常緑や匍匐性のもの、草本がある。茎やを持つものも多い[2]

雌蘂は多数の心皮からなり、それぞれが独立した果汁を含んだ粒の形になる。したがって、果実はそのような粒の塊に見える。果実は味はいろいろであるが食べられるものが多く[2]、いわゆる野いちごは大部分がこの属のものである。

栽培と利用[編集]

ラズベリー (Raspberry)、ブラックベリー (Blackberry) の2つが主な栽培系統である。

ラズベリーの原生種はヨーロッパ北米に分布し、ヨーロッパの種が栽培化され、のちに北米の種も栽培化された。寒冷地に適す。

ブラックベリーの原生種は西アジア、ヨーロッパ、アフリカ南北アメリカと広い範囲に自生し、北米の数種が栽培化された。寒さに弱く、温暖な地に適す。

日本では古代から室町時代ごろまでは栽培されていたが、その系統は途絶えている。現在の日本では欧米のラズベリーやブラックベリーが小規模に栽培されているのみである。

キイチゴ類の果実は生食でき、ケーキの飾り、シロップ漬け、ジャムジュース果実酒リキュールなどの原料として利用されることが多い[2]

ゴショイチゴやクマイチゴ、トックリイチゴの未熟果を乾燥したものは覆盆子と呼ばれ生薬として使われる。

ラズベリーの葉はハーブティ(ラズベリーリーフティ)として、ゴショイチゴの変種Rubus chingii var. suavissimusの葉は甜茶(甜葉懸鈎子)として利用される。

キイチゴ類の果実の抽出物や種子油は、収斂作用や保湿などの効果を期待して化粧品原料としても利用される。

分類[編集]

キイチゴ属は分化が激しく雑種も多いため、種の認定には諸説ある。大きく数十種にわけそれぞれに多数の亜種や変種を認める説や、細かく数百種にわけそれらをいくつかの亜属や節に分類する説などがある。

たとえば、細かく分けるとヨーロッパ産の Rubus idaeusヨーロッパキイチゴ)とアメリカ産の Rubus strigosusアメリカイチゴ)は別種だが、大きく分けるなら Rubus idaeus 1種となる。

次に示す分類は、細かく分けたものである。属を13亜属に分け、そのうち最大のRubus亜属(ブラックベリーとデューベリーの仲間)はさらに12節に分けている。

主な種[編集]

キイチゴ属の主な種を以下に示す。日本に産する代表的な種に、モミジイチゴナワシロイチゴカジイチゴクサイチゴなどがある。

ナガバモミジイチゴは西日本に分布する本種。モミジイチゴは東日本に分布する地理変異種。
アマミフユイチゴは奄美大島と徳之島の高地に分布する本種。コバノアマミフユイチゴは奄美大島の渓流に分布する変種。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Rubus L.” (英語). ITIS. 2013年6月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e 金田初代 2010, p. 148.
  3. ^ 金田初代 2020, p. 148.

参考文献[編集]

  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、148 - 149頁。ISBN 978-4-569-79145-6 
  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本I』平凡社、1989年。

外部リンク[編集]