ガレアモプス

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ガレアモプス
生息年代: 中生代ジュラ紀後期, 155–152.9 Ma
G.hayi の全身骨格
(ヒューストン自然史博物館)
地質時代
中生代ジュラ紀後期
(約1億5,500万 ~ 1億5,290万年前) - 
キンメリッジアン後期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 竜脚形亜目 Sauropoda
下目 : 竜脚下目 Sauropoda
階級なし : 新竜脚類 Neosauropoda
上科 : ディプロドクス上科 Diplodocoidea
: ディプロドクス科 Diplodocidae
亜科 : ディプロドクス亜科 Diplodocinae
: ガレアモプス属 Galeamopus
学名
genus Galeamopus
Holland1924
タイプ種
Galeamopus hayi
Holland1924
シノニム

ディプロドクス・ハイ
Diplodocus hayi Holland1924

和名
ガレアモプス
下位分類(外の

 Tschopp & Mateus, 2017

詳しくは本文を参照のこと

ガレアモプス(Galeamopus)(ラテン語で「ヘルメット欲しい」の意)は、ジュラ紀後期のアメリカに生息していた竜脚類ディプロドクス科恐竜の一つ。

研究史[編集]

ガレアモプス・パブスティのホロタイプ頭骨SMA 00011、通称マックス

ガレアモプスは1902年にワイオミング州シェリダン(Sheridan)のレッド・フォーク・パウダー・リバー・クオリーA (Red Fork Powder River Quarry A) でウィリアム・アッターバックによって最初に部分骨格が発見された。その骨格はウィリアム・ジェイコブ・ホランドによって、脳函が記載された際に、ディプロドクスと同定された[1]。 その標本はホランドによってディプロドクス属の新種ディプロドクス・ハイ(Diplodocus hayi)として1924年に記載された。種小名はオリヴァー・ペリー・ヘイ(Oliver Perry Hay)への献名である[2]

2015年、それはエマニュエル・チョップ、オクタビオ・マテウス、そしてロジャー・ベンソンによってガレアモプスとして新属が与えられた。属名はラテン語で「ヘルメット欲しい」を意味する。これは発見者ウィリアム・アッターバックと元記載者ウィリアム・ホランドのファーストネーム(ヴィルヘルム、Wil-helm)をラテン語で直訳したものである。また竜脚類の脆い頭骨にはヘルメットが必要であるという意味も込められている[3]

属模式標本はHMNS 175 (元 CM 662)で、最初に見つかった骨格である。モリソン層下部(キンメリッジ期)で発見された。この標本はガレアモプス・ハイのホロタイプでもある。模式種ガレアモプス・ハイはディプロドクス ・ハイのコンビネーションノヴァ(既存の種に基づいて命名される新たな学名)である。いくつかの他の標本もガレアモプスと同定されているが、ガレアモプス・ハイではない。これらにはAMNH 969という1903年にボーンキャビンクオリーでピーター・カイセンによって発見されたほぼ完全な頭骨、USNM 2673 という1884年にコロラド州ガーデンパークでマーシャル・フェルチに発見された部分頭骨などが含まれる。

マックス(Max)の愛称で呼ばれる SMA 0011 という骨格は、1885年6月にハウ・ステファンズ・クオリーで発見された。これは独自の種を設立するのに十分なほど他のガレアモプス標本と十分異なっていると診断された[3]。2017年、チョップとマテウスによって、このマックスはガレアモプス第2の種、ガレアモプス・パブスティ(G. pabsti)のホロタイプとされた。この標本を発見し、アータル恐竜博物館で骨格の設置を手伝ったスイスの古生物学者ベン・パブスト博士への献名である[4]

記載[編集]

ガレアモプス・パブスティの骨格。ユニオン駅のシンシナティー博物館センター。

2015年の研究で本属の7つの固有派生形質が提唱された。これらの解剖学的特徴は、派生的な形質である。頭骨背面の側面視において頭頂骨突起が湾曲している。歯に対をなす摩耗面がある。第1頸椎である環椎神経棘を持ち、棘の後方突起とは別個に、前部と内部に伸びる突起を持つ。この後方突起は長さの大部分にわたって横方向に連続した幅を示す。 環椎の神経弓はその基部の両側に小さな三角形の張り出しを持つ。 第2頚椎である軸椎は、前側の隆起の前端にこぶのある神経棘を持つ。中頸椎と後頸椎では、後関節突起間の隆起部が神経弓の後端から伸びていない[3]

ガレアモプス・パブスティの復元された頭部

またこの研究では、模式種であるガレアモプス・ハイ(Galeamopus hayi)の6つの固有派生形質も提唱された。後頭骨と脳函の間の縁を形成する部分が低く、大後頭孔の高さよりも低い。 脳蓋の下側にある基底突起は60°以上の角度で強く伸びる。尺骨は長く、最小長は上腕骨の76%に相当する。 尺骨と接する橈骨上の表面は大きさが限られており、比較的滑らかである。橈骨の下側の接合面は、軸に対して約15°の角度で面取られている。 脛骨上面の外縁は、前部の 脛骨突起の後ろに狭窄した突起を形成している。[3]

ガレアモプス・ハイの理論上の生体復元図

ガレアモプスには13の固有派生形質が存在し、上記は別の属と区別するための基準として用いられた最小限のものである[3]

系統関係[編集]

ガレアモプス・ハイ頭骨(AMNH 969)

以下のクラドグラムはガレアモプスと他のディプロドクス 類の系統関係を示したもので、チョップとマテウス(2017)に基づく[4]

 ディプロドクス科 
 アパトサウルス亜科 

アパトサウルス・アジャクス

アパトサウルス・ロウイサエ

ブロントサウルス・エクセルスス

アンフィコエリアス・アルトゥス

ブロントサウルス・ヤナピン

ブロントサウルス・パルヴス

 ディプロドクス 亜科 

カーテドクス

トルニエリア

スーパーサウルス・ロウリンハネンシス

スーパーサウルス・ヴィヴィアナエ

レインクパル

ガレアモプス・ハイ

ガレアモプス・パブスティ

バロサウルス

ディプロドクス・カルネギィ

ディプロドクス・ハロルム

出典[編集]

  1. ^ Holland, W.J. (1906). “The osteology of Diplodocus Marsh”. Memoirs of the Carnegie Museum 2: 225–264. 
  2. ^ Holland WJ. The skull of Diplodocus. Memoirs of the Carnegie Museum IX; 379–403 (1924).
  3. ^ a b c d e Tschopp, E.; Mateus, O. V.; Benson, R. B. J. (2015). “A specimen-level phylogenetic analysis and taxonomic revision of Diplodocidae (Dinosauria, Sauropoda)”. PeerJ 3: e857. doi:10.7717/peerj.857. PMC 4393826. PMID 25870766. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4393826/. 
  4. ^ a b Emanuel Tschopp; Octávio Mateus (2017). “Osteology of Galeamopus pabsti sp. nov. (Sauropoda: Diplodocidae), with implications for neurocentral closure timing, and the cervico-dorsal transition in diplodocids”. PeerJ 5: e3179. doi:10.7717/peerj.3179. PMC 5417106. PMID 28480132. https://peerj.com/articles/3179/.