ガガイモ

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ガガイモ
ガガイモ00 Metaplexis japonica.JPG
ガガイモ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentiales
: キョウチクトウ科 Apocynaceae
: イケマ属 Cynanchum
: ガガイモ C. rostellatum
学名
Cynanchum rostellatum
(Turcz.) Liede & Khanum
シノニム

Metaplexis japonica (Thunb.) Makino

和名
ガガイモ(蘿藦)

ガガイモ(蘿藦、鏡芋、芄蘭)はキョウチクトウ科クロンキスト体系ではガガイモ科)のつる性多年草。ガガイモの学名牧野 (1940) などで Metaplexis japonica と紹介されてきたが、Khanum et al. (2016) でMetaplexis属など[注 1]イケマ属Cynanchum)に統合するのが妥当とする学説が出され、ガガイモに関しては同論文480頁で提案された Cynanchum rostellatum という新学名がキュー植物園からも認められている[1]

名称[編集]

古名をカガミまたはカガミグサという。夏の季語。いずれの名も語源には諸説あり、イモというのは根ではなくて実の形によるともいう。高橋 (2003) は割れた実の内側が鏡のように光るのでカガミイモ(鏡芋、輝美芋)の名がつき、これが訛ってガガイモとなったとしている。

平安初期の『本草和名』で中国語名の蘿藦がガガイモを表す漢字表記としてあてられ、やがて蘿藦の表記が用いられるようになった。

日本神話では、スクナビコナの神が天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗ってきたといい、これはガガイモの実を2つに割った小さな舟のこと。

特徴[編集]

日本北海道本州四国九州のほか[2]朝鮮半島中国東アジア一帯に分布する[2][3]。各地の山野に自生し[2]、日当たりのよいの草原道端などに見られる[3]。日当たりと排水がよく、肥えた土地を好む性質がある[2]

つる性の多年草で、長い地下茎があり、白い線状で長く伸びると、その先にを出す[2]。地下茎はちぎれても、地下茎の一部分から容易に繁殖することできる[2]。つるは右巻き(Z巻き)である。対生し、やや長い心臓形で全縁[2]、葉脈が目立ち、葉身の表面は濃い緑色、裏面は白緑色をしている[3]。葉や茎を切ると白い乳液が出る[2]

夏に、葉腋から長い花柄を出した先に集散花序がつき、淡紫色から白色のが10数個ほど咲く[2][3]。花冠は5深裂して星型に反り返り、花冠の内側に毛が密生する[2][3]果実は大型の紡錘形の袋果で、長さは8 - 10センチメートル (cm) [3]、表面にイボがあり、熟すと割れてボート形になり、中から白い毛の生えた種子が出る[2]

ヘクソカズラに姿がやや似ており、比べると数は少ないが、横に伸びた根から芽を出して旺盛に繁殖するため、一度生えると雑草化する。

利用[編集]

かつては種子の毛を綿の代用や朱肉に用いた[4][5]。種子は漢方で蘿摩子(らまし)と呼んで強壮薬に用いることもある。若芽などはゆでて食べられる(多量に食べると有害ともいう)。

生薬[編集]

種子と葉は生薬になり、初秋に実を採って天日乾燥して種子を取り出し、葉は夏に採取して陰干しして調製される[2]。乾燥させた種子は蘿摩子(らまし)と称されていて、強精止血に、また葉は解毒腫れ物に薬効があるとして用いられる[2]民間療法では、強精目的に羅摩子の乾燥粉末1日量2 - 3グラムを1日2回服用する用法が知られる[2]。切り傷の止血には種子の白毛をつけるとよいとされ[2][3]、腫れ物には葉の粉末をクチナシの粉末(サンシシ末)と一緒にで練り合わせて、湿布する方法が知られている[2]

諸言語における呼称[編集]

日本では以下のような方言名が見られる。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ちなみに Metaplexis 以外にイケマ属に統合された属は AdelostemmaGlossonemaGraphistemmaHolostemmaMetalepisOdontantheraPentarrhinumRaphistemmaSeshagiriaSichuania である。
  2. ^ a b 牧野 (1940) もガガイモの別名として挙げている。
  3. ^ 高橋 (2003) はガガイモの別名として「草綿」を掲載している。

出典[編集]

  1. ^ Govaerts, Goyder & Leeuwenberg (2019).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 馬場篤 1996, p. 33.
  3. ^ a b c d e f g 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 93.
  4. ^ 牧野 (1940).
  5. ^ 高橋 (2003).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as 八坂書房 (2001).

参考文献[編集]

日本語:

  • 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』小学館、2010年4月10日、93頁。ISBN 978-4-09-208303-5
  • 牧野, 富太郎牧野日本植物圖鑑』北隆館、1940年、204頁。
  • 『日本植物方言集成』八坂書房、八坂書房、2001年、125-6頁。ISBN 4-89694-470-4
  • 高橋, 勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』山と溪谷社、2003年、84頁。ISBN 978-4-635-07015-7
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、33頁。ISBN 4-416-49618-4

英語:

関連文献[編集]

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