カーロケーションシステム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

カーロケーションシステム(カーロケータシステム、無線自動車動態管理システム、無線自動車動態表示システム)は、日本警察が導入している、警察用緊急自動車等(警察用無線自動車)の現在位置、進行方向や活動状況等を地図上(地図端末装置)に表示するシステムである[1]

俗に「カーロケ」、「カーロケータ」と呼ばれる。すべての警察車両にカーロケ端末が搭載されているわけではない。

概要[編集]

GPS衛星を利用して、カーロケータシステム端末を搭載している無線車(以下「カーロケ搭載車両」という。)の動態情報(地理的位置および、進行方向ならびに、走行速度、業務形態等)を通信指令室(通信指令センター)、地域部自動車警ら隊、交通部高速道路交通警察隊、交通機動隊、警察署、その他の警察内関係所属に設置された端末(大型表示パネル、無線指令台、受付台、署指令端末)等にリアルタイムで表示するとともに、カーロケ搭載車両の表示端末に周辺車両の位置および業態情報をリアルタイムで表示し、事案発生時には、カーロケ搭載車両に現場地図、現場情報(事案に関連のある文字、画像、映像、位置情報等)、その他事案情報等を送信するシステムである[2][3]

警察用無線自動車のカーロケーション情報(動態情報等)は、各都道府県の警察本部のサーバーにおいて全国統一規格に変換され、警察が独自に整備・維持管理している専用回線を用いた警察情報管理システムによって全国ネットで共有されているため、カーロケ表示端末には、他の都道府県の警察車両のカーロケーション情報も表示される[4][5][6][注 1][注 2]。したがって、カーロケ情報表示システムさえあれば、全国どの場所からでも全国のカーロケ搭載車両の動態情報を確認できる。

当該システムを有効に活用することによって、各地域の通信指令室等が当該システム端末を搭載しているパトロールカー等の警察車両(無線自動車)の現在位置や活動状況をリアルタイムに把握できるため、110番入電時および、事案発生時に臨場可能な最も近い警察車両を適切に選択して臨場させるなど、迅速かつ的確な対応ができる[7][8][注 3]

機能[編集]

カーロケ搭載車両のカーナビゲーションには、周辺を走行する警察車両の位置をお互いに表示できる「カーロケナビ(チームナビ)」が導入されている[2]。カーロケナビには、地図情報表示システムが組み込まれている[1][9][注 4]。「カーロケナビ」の導入によって、車両同士の位置を可視化できることに加え、通信指令室等から各車両のナビ画面に文字情報を表示させることができる[2]。また、現場で撮影した逃走車両の写真や犯人の似顔絵などを送受信でき、視覚的な情報を共有することもできる[2]。 当該システムのデータ通信機能により文字、画像情報、映像情報、位置情報等が適切に共有できる[2]。 当該システムとPSDの相互接続により相互の画像による手配が可能である[2]。 情報表示システム(位置情報表示装置、カーロケ搭載車両の表示端末やPSD型表示端末等)に交番勤務員等(PSW及びPSD所持者)の位置情報等の表示(マンロケータシステム、俗称:マンロケ)が可能である[2][3][10][11][12]。 情報表示システムに警察用ヘリコプターの位置情報等の表示(ヘリロケータシステム、俗称:ヘリロケ)が可能である。 警察官が110番通報等により現場臨場した際に所携の携帯電話のカメラを使用して撮影した現場画像等および、防災関係機関による防災映像等ならびに、PSDに付加された内蔵カメラを使用して撮影した画像等さらに、ヘリコプターテレビ(ヘリテレ)の映像等に加えて、通信指令室等が配信の必要性を認めた画像等を通信指令室等において情報ハイウェイ等を活用して、映像等を関係所属に設置されたテレビモニタおよび、現場活動中のカーロケ搭載車両ならびに、PSD等の受信端末を携帯する警察官に配信することが可能である[2][13]。 警備業者との申合せにより、その業者の管理する監視カメラ等の画像等の提供を受けて通信司令室等で即時に手配することが可能である[14][15]自動車ナンバー自動読取装置(Nシステム)を手配車両が通過して、ナンバープレートが正常に検出され、手配車両と判明すると同時に関係所属に設置された表示端末および、現場活動中のカーロケ搭載車両の表示端末ならびに、PSD型表示端末等に「N号ヒット(Nヒット)」情報が配信され、手配車両の通過方向や通過位置等が表示される。 これらにより、正確な事案情報の確実な伝達および、警察車両同士や警戒員同士のお互いの現在位置や活動状況等をリアルタイムに把握できるため、効果的な捜査および追跡活動等が期待できる。

カーロケ搭載車両の表示端末には、交通取り締まり中の警察車両の位置も「交通」または「交取」という形で表示される[注 5]

旧型カーロケについて[編集]

以前は「パトカー動態表示システム(無線自動車動態表示システム)」と呼ばれる、407.725MHzの周波数を使用した旧型カーロケが多くの地域で実用化されていた。レーダー探知機には、この電波(407.725MHz)を検知して、パトカーなどの警察車両の接近や通過を知らせる機能を持つものもある。また、交通取締用警察車両等は、接近や通過を知られると適正な取締を行いにくいため、カーロケの電波(407.725MHz)を一時的に切っている場合もある。

なお、全ての都道府県に新型カーロケが導入されている。

警視庁管内のパトカーのみが旧型カーロケ(407.725MHz方式)を使用している。警視庁管内のパトカーには、新型カーロケのみを搭載したパトカーもある。また、新型・旧型カーロケの両方を搭載しているパトカーもある。

新型カーロケについて[編集]

以前、神奈川県において、ATM破壊(窃盗)犯がカーロケの電波(407.725MHz)を「警察車両の接近や通過を探知できる装置(広帯域受信機またはレーダー探知機もしくはそれに類する装置等)」で検知し、検挙を逃れるという事件が発生した。この事件により、無線自動車動態表示システム(407.725MHz方式)の犯罪への悪用(窃用)が表面化した。そのため、広帯域受信機およびレーダー探知機ならびに、それに類する装置等で検知しにくい新型カーロケ(パケット通信方式やAPR重畳方式のカーロケ)が全国的に導入された。それにより、新型カーロケに完全移行した地域では、レーダー探知機等の警察車両の接近や通過を知らせるカーロケ電波受信(407.725MHz受信)機能が働かない。その上、新型カーロケに用いられているパケット通信およびAPRの性質より、新型カーロケの受信機は複雑(回路部品点数やソフトウェアプログラミングが増える)で非常に高価となる。それ故、新型カーロケを探知できるレーダー探知機等は、現時点では販売されておらず、今後も販売されない可能性がある。

脚注[編集]

[ヘルプ]

参照[編集]

注釈[編集]

  1. ^ カーロケ搭載車両のカーロケ車載端末装置の電源を強制的に切らない限り、カーロケ搭載車両の位置情報は全国に共有される。
  2. ^ 通信事業者の無線WAN回線を用いたパケット通信方式や警察無線(APR)重畳方式のカーロケ搭載車両は、カーロケに使用している電波を送受信可能な場所であれば全国のどの場所でもカーロケーション情報を送受信できる。
  3. ^ ただし、臨場可能な最も近い警察車両が他の都道府県の車両であった場合は、緊急配備等でない限り、通信指令室等がその車両に直接に命令をすることはない。通信指令室等の指揮下にある臨場可能な最も近い警察車両を臨場させる。
  4. ^ 地図情報表示システム(地理情報システム)とは、110番の通報場所、緊急配備等の発令時における警戒員(地域警察官等)の配置箇所等の情報を地図上に表示するシステムである。
  5. ^ 他の都道府県の車両であってもカーロケーション情報は共有される。