カワイルカ科

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Platanista gangetica
Schnabeldelphin-drawing.jpg
Platanista gangetica
保全状況評価[1][2][3]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EN.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目/鯨偶蹄目
Artiodactyla/Cetartiodactyla
亜目 : Whippomorpha
下目 : Cetacea
小目 : ハクジラ小目 Odontoceti[4]
: ガンジスカワイルカ科[5] Platanistidae
: ガンジスカワイルカ属[5] Platanista
: P. gangetica
学名
Platanista gangetica (Roxburgh, 1801)[3]
シノニム

Delphinus gangetica Roxburgh, 1801
Platanista minor Owen, 1852

分布域

Platanista gangeticaは、偶蹄目(鯨偶蹄目とする説もあり)ガンジスカワイルカ科ガンジスカワイルカ属に分類される鯨類。本種のみでガンジスカワイルカ科ガンジスカワイルカ属を構成する。

カワイルカ科 (Platanistidae) はクジラ目に属する科の一つ。マイルカ科などよりも初期に分岐したグループで、祖先的な特徴を持つ。淡水から汽水域に生息する。カワイルカ属に属するのはインドカワイルカガンジスカワイルカインダスカワイルカである。分類についての詳細は本文の「分類学」を参照されたい。スースーとも呼ばれる[要検証 ]

分布[編集]

ガンジスカワイルカはガンジス川だけでなく、インドバングラデシュネパールブータンを流れるブラマプトラ川、Meghna川、Karnaphuli川、Sangu川に棲息する。 インドのVikramshila保護区 (Vikramshila Gangetic Dolphin Sanctuary) や南バングラデシュのSangu川における生息数は比較的多い。 ネパールのKarnali川にはごくわずかの個体(おそらく20頭程度)が棲息する。 全生息数は不明であるが、少なくとも数百頭、おそらく数千頭規模だと考えられている。(「人間との関り」も参照)

インダスカワイルカは主にパキスタンインダス川に棲息する。 19世紀における生息域は現在よりも約5倍も広く、インダス川の支流であるSutlej川、Ravi川、Chenab川、Jhelum川にも生息していた。 シンド州 (Sindh Province) における生息数が最も多い。 WWFパキスタンが行った2001年の調査によると、インダスカワイルカの全生息数はおよそ1,100頭に過ぎない。

形態[編集]

他のカワイルカと同じく長く尖った口吻を有する。 口を閉じた状態でも、上下の顎のが露出している。 口吻は先端の方が太い。 眼には水晶体はなく、の強さや方向がわかる程度で、ほぼ盲目に近い。 移動や食物探索は反響定位(エコーロケーション)を用いて行う。 褐色系の体色を有し、身体の中央部は大きい。 背びれはなく、三角形の小さな隆起があるだけである。 胸びれ尾びれは細く、体長と比較すると長い。 体長は雄が2mから2.2m、雌が2.4mから2.6mである。

分類[編集]

ガンジスカワイルカP. gangeticaとインダスカワイルカP. minorの2種とする説もあった[6]。一方でこれらは外観では区別できず、内部形態でも個体単位では区別ができないとして1種にまとめ2亜種とする説もある[6]

Platanista gangetica gangetica (Roxburgh, 1801)[3]
インドネパールブータンガンジス川ブラフマプトラ川水系、バングラデシュのカルナフリ川・サング川水系[6]
Platanista gangetica minor Owen, 1853[3]
パキスタンインダス川中流域

元々は1801年にRoxburghによって、インドカワイルカ(以下の文中にも登場する名称だが同様に)[要出典] (P. gangetica, Ganges and Indus River Dolphin) として一つの種として分類された。

ところが、1970年代になって、インドカワイルカの生息域はインドガンジス川パキスタンインダス川に完全に分かれており、長い間、交雑していないことがわかった。 頭蓋骨の特徴などを調べた結果、別の種であるとして分類された。 すなわち、ガンジスカワイルカ (P. gangetica, Ganges River Dolphin) とインダスカワイルカ (P. minor, Indus River Dolphin) である。

しかし、1998年、Riceはガンジスカワイルカとインダスカワイルカの形態的な差異は別の種として分類するには不十分であるとした[Rice98]。 このRiceの分類に従えば、種としてはインドカワイルカ(P. gangetica。英名はGanges and Indus River Dolphin あるいは Indian River Dolphin)1種のみが存在し、亜種としてガンジスカワイルカ (P. g. gangetica, Ganges River Dolphin) とインダスカワイルカ (P. g. minor, Indus River Dolphin) に分類される。 現在では、このRiceによる分類法に従うことが多い。

Riceによる分類[Rice98](インドカワイルカ1種のみとする分類法) カワイルカ科 Platanistidae

Rice以前の一般的な分類(ガンジスカワイルカとインダスカワイルカの2種とする分類法) カワイルカ科 Platanistidae

生態[編集]

寿命などは不明である。

川底近くに棲息するエビや小魚を食べる。 現在では単独で行動する様子が観察されることが多いが、以前の個体数が多かった頃には群を成しての行動が観察されており、本来は数頭で群を成して行動するものと考えられている。

人間との関係[編集]

1975年のワシントン条約発効時からワシントン条約附属書Iに掲載され、1981年からはガンジスカワイルカ属単位でワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]

P. g. gangetica
脂肪が漁業用の撒き餌とされることもあり、食用とされることもある[3]
堰堤建設による生息地の分断化、水質汚染、灌漑による水位低下、漁業による混獲、獲物の減少などにより生息数は減少している[3][6]
ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[3]
Status iucn3.1 EN.svg
P. g. minor
19世紀まではインダス川の河口からヒマラヤの丘陵地帯にかけての広域に分布していた[6]。1930年代から灌漑用のダム・堰堤建設により分布域が分断され、インダス川中流域の600キロメートルの堰堤で挟まれた区間にのみ分布するようになった[6]。増水により上流の個体が堰を超えて下流に流されることがあり、堰に妨げられ上流に戻れなくなってしまうこともある[3][6]。パキスタンでは法的に保護の対象とされているが[3]、それ以前は食用や釣り餌用に狩猟されていた[6]。一方で偶然に捕獲した場合でも処罰の対象となるため、混獲の状況解析や標本となる死骸の採集が難しく生活史の解明が困難となっている[6]。農薬による中毒[6]、灌漑による水位の低下、漁業による混獲などによる影響が懸念されている[3]
ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[3]
Status iucn3.1 EN.svg

両亜種とも、棲息流域の人間の行動による多大な悪影響を被ってきた。

個体数の壊滅的な減少の原因の一つは漁網による混獲である。 脂や肉を塗り薬、性欲増進剤、ナマズの餌などとして使用するための捕獲は、現在でも行われている。 灌漑が原因となって、生息域における水位の低下も発生している。 工業排水に含まれる有害物質の排出や、農薬の河川への流出などによる水質悪化も個体数減少の原因となっている。 個体数激減の最も大きな原因は、棲息流域に建設された50基以上のダムだろうと考えられている。 ダムはカワイルカの生息域を完全に分断してしまう。 繁殖に関る個体数が減ることにより遺伝子の攪拌が減少し、生物としての力の低下が起こってしまう。

インダスカワイルカについては、保護が適切であるならば棲息し続けることが可能であろうと考えられている集団は三つ存在する。

別名[編集]

インダス川のイルカの頭蓋骨

ガンジスカワイルカ、インダスカワイルカともに、スースーと呼ばれることがある。 英語ではBlind River Dolphin、Side-swimming Dolphin、 Susu、Bhulanと言った別名がある。

ガンジスカワイルカの英語での別名としては、Gangetic Dolphin、Ganges Susuがある。

インダスカワイルカの英語での別名としては、Bhulan、Indus Dolphin、Indus Susuがある。

出典[編集]

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  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed 09/02/2018)
  2. ^ a b UNEP (2018). Platanista gangetica. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 09/02/2018)
  3. ^ a b c d e f g h i j k Braulik, G.T. & Smith, B.D. 2017. Platanista gangetica. The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T41758A50383612. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T41758A50383612.en. Downloaded on 09 February 2018.
    Smith, B.D., Braulik, G.T. & Sinha, R. 2012. Platanista gangetica ssp. gangetica. The IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T41756A17627639. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T41756A17627639.en. Downloaded on 09 February 2018.
    Braulik, G.T., Smith, B.D. & Chaudhry, S. 2012. Platanista gangetica ssp. minor. The IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T41757A17628296. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T41757A17628296.en. Downloaded on 09 February 2018.
  4. ^ 日本哺乳類学会 種名·標本検討委員会 目名問題検討作業部会 「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
  5. ^ a b 大隅清治編著 「クジラ目、カイギュウ目の分類表」『動物たちの地球 哺乳類II 4 クジラ・ジュゴンほか』第9巻 52号、朝日新聞社1992年、114-115頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j 粕谷俊雄 「ガンジスカワイルカ」「インダスカワイルカ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年、148-149頁。
  1. Dale W. Rice, Marine mammals of the world: systematics and distribution, Society of Marine Mammalogy Special Publication Number 4, pp. 231 (1998).
  2. Randall R. Reeves, Brent S. Stewart, Phillip J. Clapham and James A. Powell, National Audubon Society Guide to Marine Mammals of the World, Alfred A. Knopf, Inc. (2002). ISBN 0-375-41141-0.
  3. Convention on Migratory Species page on the Ganges River Dolphin[リンク切れ](両亜種について説明)
  4. Walker's Mammals of the World Online - Ganges River Dolphin[リンク切れ]
  5. Cetacea.org page on Ganges River Dolphin[リンク切れ]
  6. 海棲哺乳類図鑑「ガンジスカワイルカ」 国立科学博物館 動物研究部
  7. 海棲哺乳類図鑑「インダスカワイルカ」 国立科学博物館 動物研究部

関連項目[編集]