カラスビシャク
カラスビシャク | |||||||||||||||||||||
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カラスビシャク
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
カラスビシャク | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
crowdipper |
カラスビシャク(烏柄杓、学名:Pinellia ternata)とは、サトイモ科の植物の1種である。
特徴[編集]
地下茎は球形で、その上から根と茎葉が出る。葉は1-2枚ほどしかなく、長い葉柄があって立ち上がり、先端に3枚の小葉をつける。葉柄の中ほどにはムカゴをつける。
開花期は初夏。テンナンショウ属のものによく似た花で、緑色。付属体の先端が細長く伸びているので、ウラシマソウを小さくしたような花序の姿である。ただしこの属の特徴として雌花序部が背面で仏炎苞に癒合しているので、筒部の下半分がやや細くなって見える。
生育環境[編集]
分布[編集]
日本では北海道から九州まで広く分布し、国外では中国、朝鮮から知られる。日本の分布は人為的なものと考えられ、中国から古くに帰化した史前帰化植物と考えられている。 北アメリカの一部では、侵略的外来種として問題視されている。
分類[編集]
この植物は花の形がウラシマソウによく似ている。むしろテンナンショウ属の多くより似ているくらいであるが、苞の中の柱状の花序がその背面で苞と癒合するなど、はっきりと異なる点から別属とされる。同属のハンゲ属としては日本にはもう1種、オオハンゲ P. tripartita がある。一回り大きく、葉は深く3裂する。本州中部から奄美大島まで、限られた場所に出る。
変異[編集]
変異が多く、カラスビシャクの下位分類に次の3品種がある。
- シカハンゲ Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb. f. angustata (Schott) Makino -3枚の小葉が線形になる。
- ムラサキハンゲ Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb. f. atropurpurea (Makino) Ohwi -苞の内側が暗紫色になる。
- ヤマハンゲ Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb. f. subcuspidata Honda -小葉の先端が長く伸びる。
生薬[編集]
生薬・ハーブ | |
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原料 | カラスビシャク(塊茎) |
成分 | ホモゲンチジン酸 |
臨床データ | |
法的規制 | |
識別 | |
KEGG | E00148 D06778 |
別名 | 半夏 |
コルク層を除いた塊茎は、半夏(はんげ)という生薬であり、日本薬局方に収録されている。鎮吐作用のあるアラバンを主体とする多糖体を多く含んでおり、半夏湯(はんげとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などの漢方方剤に配合される。他にホモゲンチジン酸を含む。またサポニンを多量に含んでいるため、痰きりやコレステロールの吸収抑制効果がある。またかつては、つわりの生薬としても用られていた[2]。なお、乾燥させず生の状態では、シュウ酸カルシウムを含んでおり食用は不可能。
カラスビシャクが生える7月2日ごろが半夏生という雑節になっている。
参考画像[編集]
脚注[編集]
- ^ “医薬品の範囲に関する基準 (pdf)”. 別添2. 「「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」の食品衛生法上の取扱いの改正について」の一部改正について: 厚生労働省 (H27 4 改正46通知本文(最新版)). 2018年3月4日閲覧。
- ^ 『長野県衛生部薬務課薬草の知識』長野県衛生部薬務課昭和56年3月31日発行全39ページ中10頁
参考文献[編集]
- 北村四郎、村田源・小山鐵夫 『原色日本植物図鑑 草本編 3・単子葉類』 保育社〈保育社の原色図鑑17〉、1987年、増補改定49刷。ISBN 978-4-586-30017-4。
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』、1982年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)