カミツキガメ科

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カミツキガメ科
カミツキガメ
カミツキガメ Chelydrta serpentina
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : カミツキガメ上科
Chelydroidea
: カミツキガメ科
学名
Chelydridae Gray, 1831
和名
カミツキガメ科[1][2]
属・種

カミツキガメ科(カミツキガメか、Chelydridae)は、カメ目に分類される科。模式属はカミツキガメ属

分布[編集]

アメリカ合衆国エクアドル西部、カナダ南部、グアテマラコスタリカコロンビア西部、ニカラグアパナマベリーズ西部、ホンジュラスメキシコ南部[1][2]

現生種は南北アメリカ大陸のみに分布するが、ユーラシア大陸からも本科の構成種の化石が発見されている[1]

形態[編集]

最大種はワニガメで最大甲長80センチメートル[2]背甲腹甲の継ぎ目(橋)は細く、下縁甲板がある(カミツキガメではない個体もいる)[1][2]。腹甲は小型で十字状[1][2]。そのため脚の可動範囲が大きく、水底を歩く能力がすぐれている。脚は太く力強いが、水かきはあまり発達していない。

頭部は非常に大型[1][2]。尾の背面には稜条の大型鱗が並ぶ[1]

分類[編集]

1980 - 2000年代には頭骨や上腕二頭筋の形態、ミトコンドリアDNAチトクロムbおよび12s リボソームRNAの分子系統推定などからオオアタマガメ科を本科と単系統群を形成するとしてカミツキガメ上科に含む説が提唱された[3]。脊椎骨の形態や核形の比較からオオアタマガメ科はイシガメ科やリクガメ科に近縁とする説もあり、2000年代後半に行われた核DNAやミトコンドリアDNAの全塩基配列の分子系統推定ではオオアタマガメ科はリクガメ上科に含まれるとする解析結果が得られた[3]

カミツキガメ属はカミツキガメC. serpentinaのみで構成されていたが、ミトコンドリアDNAの制限酵素領域の解析から3種に分ける説もある[1]。ワニガメ属はワニガメM. temminckiiのみで構成されていたが、アラバマ州とジョージア州、フロリダ州のChoctawhatchee川とOchlockonee川の個体群をM. apalachicolae、ジョージア州とフロリダ州のSuwannee川流域の個体群をM. swanniensisとして分割する説もある[4]

生態[編集]

流れの緩やかな河川湿地などに生息し(汽水域に侵入することもあり)、底質が泥や砂で水生植物の繁茂した環境を好む[1][2]。完全水棲で、産卵以外で上陸することは少ない。表層や中層を泳ぎ回るよりは、水底を徘徊し活動する。

食性は動物食傾向の強い雑食で、魚類両生類、爬虫類、昆虫類甲殻類貝類果実などを食べる[1][2]。水底を徘徊し獲物を探すが、ワニガメは獲物を待ち伏せて捕食することもある[2]

人間との関係[編集]

開発による生息地の破壊、食用やペット用の乱獲などにより生息数が減少している種もいる[5]

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されていた。2000年に動物愛護法の改正により、科単位で特定動物に指定されている[6]。カミツキガメに関しては下記のように新規の飼育は禁止されている。ワニガメは、2008年現在日本で飼育するにあたってはマイクロチップの埋め込みや地方自治体の許可が必要になる。大型になるため飼いきれなくなることが多く、野外に遺棄されたと思われる個体の発見例が増加した。発見例が多くまた印旛沼周辺で繁殖が確認されたカミツキガメは生態系への影響が懸念され、2005年に施行された外来生物法にて特定外来生物に指定された[6]。科単位(カミツキガメを除くため実質的にワニガメ)で「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定されている[6]。特定外来生物に指定されたことで飼育(施行前から飼育されていた個体は登録すれば飼育可能)、販売、譲渡、遺棄などが禁止されたためカミツキガメは特定動物から除外されている。

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j 安川雄一郎 「カミツキガメ科の分類と自然史 (前編)」『クリーパー』第18号、クリーパー社、2002年、4-21頁。
  2. ^ a b c d e f g h i 安川雄一郎 「カミツキガメ科の分類と自然史 (後編)」『クリーパー』第19号、クリーパー社、2002年、4-23頁。
  3. ^ a b 安川雄一郎「オオアタマガメの分類と自然史」『クリーパー』第45号、クリーパー社、2008年、18-51頁。
  4. ^ Thomas Travis M., Michael C. Granatosky, Jason R. Bourque, Kenneth L. Krysko, Paul E. Moler, Tony Ga, "Taxonomic assessment of Alligator Snapping Turtles (Chelydridae: Macrochelys), with the description of two new species from the southeastern United States". Zootaxa. 3786(2), Auckland New Zealand, Magnolia press, 2014, pp.141-165.
  5. ^ 安川雄一郎 「ワニガメ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、219頁。
  6. ^ a b c 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) 特定外来生物等一覧環境省 ・2016年11月27日に利用)
  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、136頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、177-178頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類・はちゅう類』、小学館2004年、67頁。
  • 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、60-65頁。
  • 安川雄一郎 「水棲ガメの世界」『ハ・ペト・ロジー』Vol.3、誠文堂新光社、2005年、18-19、25頁。

関連項目[編集]