カミツキガメ科

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カミツキガメ科
ホクベイカミツキガメ
ホクベイカミツキガメ Chelydrta serpentina
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : カミツキガメ上科
Chelydroidea
: カミツキガメ科 Chelydridae
学名
Chelydridae Gray, 1831[1]
和名
カミツキガメ科[2][3]

カミツキガメ科(カミツキガメか、Chelydridae)は、爬虫綱カメ目に分類される科。模式属はカミツキガメ属。

分布[編集]

北アメリカ大陸南アメリカ大陸北西部[4]

現生種は南北アメリカ大陸のみに分布するが、ユーラシア大陸からも本科の構成種の化石が発見されている[2]

形態[編集]

最大種はワニガメで、最大甲長80センチメートル[3]背甲腹甲の継ぎ目(橋)は細い[4]。腹甲は小型で、十字状[4]

頭部は大型[4]。尾は長い[4]

分類[編集]

1980 - 2000年代には頭骨や上腕二頭筋の形態・ミトコンドリアDNAシトクロムbおよび12s rRNAの分子系統解析などから、オオアタマガメ科を本科と単系統群を形成するとしてカミツキガメ上科に含む説が提唱された[5]。脊椎骨の形態や核形の比較からオオアタマガメ科はイシガメ科やリクガメ科に近縁とする説もあり、2000年代後半に行われた核DNAやミトコンドリアDNAの全塩基配列の分子系統推定ではオオアタマガメ科はリクガメ上科に含まれるとする解析結果が得られた[5]

カミツキガメ属は以前はカミツキガメC. serpentinaのみで構成されていたが、1996年にミトコンドリアDNAの制限酵素領域の解析から遺伝的的距離が大きいとして3種に分ける説が提唱された[2]。ワニガメ属は以前はワニガメM. temminckiiのみで構成されていたが、2014年にジョージア州とフロリダ州のSuwannee川流域の個体群がM. swanniensisとして新種記載する説が提唱された[6]

以下の分類・英名は、Turtle Taxonomy Working Group(2017)に従う[1]

生態[編集]

カミツキガメ属に関しては近年まで北アメリカ大陸から南アメリカ大陸に広域分布する1種と考えられていたこともあり、2000年代までの時点ではホクベイカミツキガメを除いた知見はほとんどない[3]。少なくともホクベイカミツキガメは底質が泥や砂で水生植物が繁茂した水場に広く生息するが、主に河川の流れの緩やかな箇所・池沼・湿地・河川の周囲にある水たまりなどに生息する[2]。ワニガメは主に河川三日月湖も含む・水路などのある程度の水深がある環境に生息し、底質が泥で水生植物の繁茂した環境を好む[3]。完全水棲で産卵するメスを除いて、上陸することは少ない[2][3]。一方で少なくともホクベイカミツキガメは水場が干上がったり水位の低下時・地域によっては降雨時に上陸して移動することもあり、水辺のアリ塚の周囲でアリを全身にたからせる(蟻浴)が報告された例もある[2]。水底を徘徊して活動する[2][3]

少なくともホクベイカミツキガメとワニガメは、魚類両生類、爬虫類、昆虫類甲殻類貝類、動物の死骸、果実などを食べる[2][3]。水底を徘徊し獲物を探すが、ワニガメは獲物を待ち伏せて捕食することもある[3]

人間との関係[編集]

河川改修やダム建設などによる生息地の破壊、水質汚染、食用やペット用の乱獲などにより、生息数が減少している種もいる[3]

2005年に印旛沼水系で繁殖・定着が確認されていること・他地域での発見例もあること・定着した地域で魚類や両生類への被害が懸念されることなどの理由から、広義のカミツキガメC. serpentina特定外来生物に指定された[7]。科単位(カミツキガメを除くため実質的にワニガメ)で、「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定されている[7]。。

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されていた。1989 - 1997年にかけてのアメリカ合衆国からの輸出量はカミツキガメ属が約100,000頭(主にホクベイカミツキガメの基亜種と考えられている)、ワニガメ属が36,000頭とされる[3]。ホクベイカミツキガメやワニガメは昭和初期からはじめは飼育施設やデパードなどでの展示用に、後にペット用に多くの個体が輸入された[2][3]。日本では2000年に動物愛護法の改正により、科単位で特定動物に指定された[3]。科単位での特定動物の指定により、輸入量は激減した[3]。2020年の時点でもかみつきがめ科(カミツキガメ科)単位で特定動物に指定(上述のように特定外来生物に指定されているカミツキガメは除く)され、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[8]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b Turtle Taxonomy Working Group [Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., Bour, R. Fritz, U., Georges, A., Shaffer, H.B., and van Dijk, P.P.]. 2017. Turtles of the World: Annotated Checklist and Atlas of Taxonomy, Synonymy, Distribution, and Conservation Status (8th Ed.). In: Rhodin, A.G.J., Iverson, J.B., van Dijk, P.P., Saumure, R.A., Buhlmann, K.A., Pritchard, P.C.H., and Mittermeier, R.A. (Eds.). Conservation Biology of Freshwater Turtles and Tortoises: A Compilation Project of the IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group. Chelonian Research Monographs 7: Pages 1-292. https://doi.org/10.3854/crm.7.checklist.atlas.v8.2017
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 安川雄一郎 「カミツキガメ科の分類と自然史 (前編)」『クリーパー』第18号、クリーパー社、2003年、4 - 21頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 安川雄一郎 「カミツキガメ科の分類と自然史 (後編)」『クリーパー』第19号、クリーパー社、2003年、4 - 23頁。
  4. ^ a b c d e Edward O. Moll 「カメ類の13科」松井孝爾訳『動物大百科 12 両生・爬虫類』深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編、平凡社、1986年、94 - 99頁。
  5. ^ a b 安川雄一郎「オオアタマガメの分類と自然史」『クリーパー』第45号、クリーパー社、2008年、18 - 51頁。
  6. ^ Thomas Travis M., Michael C. Granatosky, Jason R. Bourque, Kenneth L. Krysko, Paul E. Moler, Tony Ga, "Taxonomic assessment of Alligator Snapping Turtles (Chelydridae: Macrochelys), with the description of two new species from the southeastern United States," Zootaxa Volume 3786, Issue 2, Magnolia Press, 2014, Pages 141 - 165.
  7. ^ a b 特定外来生物等一覧特定外来生物等一覧(指定日別)特定外来生物の解説環境省 ・2020年12月13日に利用)
  8. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2020年12月13日に利用)

関連項目[編集]