カトリーヌ・アルレー

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カトリーヌ・アルレーCatherine Arley, 1924年12月15日 - )は、フランス小説家推理作家。ベストセラーとなった、残酷な性格の女性を主人公とする『わらの女』などで知られる。本名はピエレット・ペルノ(Pierrette Pernot)。

人物[編集]

生年月日については1924年から1935年まで諸説ある。幼少時から両親とともに中国をはじめ東洋各国、アメリカで暮らす。高校を卒業した後、パリ国立演劇院に入学。幾つかのフランス映画製作に参加するが結婚を期に女優を引退した。また、その後別居している。

1953年に処女作"Tu vas mourir!"(『死の匂い』)を発表して作家となった。この処女作は、高い評価を得た。1956年に発表した『わらの女』(La femme de paille)は、それまで推理小説においてタブーとされていた完全犯罪の成立を描く衝撃的な結末が話題となり、1957年に英語訳され、続いて『リーダーズ・ダイジェスト』誌の紹介で26カ国語に訳され、世界的ベストセラーとなる。続いてアメリカでテレビドラマ化もされた。

心理的サスペンスに重点を置いた作風を特徴とする。犯罪に手を染めていく、または陰謀によって追い詰められていく登場人物の恐怖心理をサディスティックなまでに克明に描き、結末では破滅へと導かれるダークな後味の作風が多い。また、いわゆる「悪女」が登場する作品が多く、「悪女描きのアルレー」としばしば称される。

日本の資料においては、アフリカを舞台としてナチの財宝をめぐる異色作『剣に生き、剣に斃れ』(1968)で国際サスペンス大賞を受賞した[1]とされていたがこれは誤りで、実際の受賞作は『死者の入江』(1959)である[2]

翻訳されたものが日本の2時間ドラマで脚本に多数使用されている。1983年に来日した際に自身の作成のコラージュ作品を持参し、そのうち1点が日本語版『呪われた女』のカバーに使われている[3]

趣味は、料理、旅行、散歩と人間観察。

作家としての新作は1990年の『狼の時刻』以降途絶えていたが、邦訳の版元である東京創元社との間には、1995年の阪神・淡路大震災の際にアルレーから関係者の安否を気遣う手紙が寄せられるなど90年代まで交流が続いていた[4]。しかしその後は交流が途絶え、日本では『わらの女』一作のみはつねに増版が続いたものの他の著作の大半は絶版となり、フランス本国でもまた忘れられた作家となっていった。アルレーの現状が確認されたのは2013年のことだった。フランスの作家二コラ・ペルジュがアルレーと連絡を取ろうと試みたところ、介護士の女性から「マダムは、アルツハイマーが進んで、もう何もおわかりになりません。もう何もお答えすることはできないのです」との回答を得た[4]


作品[編集]

  • "Tu vas mourir!"(1953年)
    『死の匂い』(望月芳郎訳, 東京創元社創元推理文庫],1963年)
  • "La femme de paille"(1956年)
    藁の女』(安堂信也訳, 東京創元社[クライム・クラブ16],1958年)
    改題『わらの女』(東京創元社[創元推理文庫],1964年)
    『わらの女 新訳版』(橘明美訳, 東京創元社[創元推理文庫],2019年)
  • "La baie des trépassés"(1959年)
    別題:"Les beaux messieurs font comme ça"
    『死者の入江』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1962年)
  • "Le Talion"(1960年)
    『目には目を』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1961年)
  • "La galette des rois"(1961年)
    『黄金の檻』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1963年)
  • "Cessez de pleurer, Melfy!"(1962年)
    『泣くなメルフィー』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1964年)
  • "Le pique-feu"(1966年)
    『大いなる幻影』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1968年)
  • "Les valets d'épée"(1968年)
    『剣に生き、剣に斃れ』(荒川浩充訳, 東京創元社[創元推理文庫],1975年)
  • "Vingt millions et une sardine"(1971年)
    『二千万ドルと鰯一匹』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1974年)
  • "Bête à en mourir"(1972年)
    『死ぬほどの馬鹿』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1976年)
  • "Robinson-Cruauté"(1973年)
    『黒頭巾の孤島』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1976年)
  • "Le fait du prince"(1973年)
    『犯罪は王侯の楽しみ』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1975年)
  • "Duel au premier sang"(1973年)
    『決闘は血を見てやめる』(鈴木豊訳, 東京創元社[創元推理文庫],1975年)
  • "Oublie-moi, Charlotte!"(1974年)
    『またもや大いなる幻影』(荒川浩充訳, 東京創元社[創元推理文庫],1978年1月)
    改題『さよならメラニー』(荒川浩充訳, 東京創元社[創元推理文庫],1993年11月)
  • "La garde meurt......"(1975年)
    『共犯同盟』(小野萬吉訳, 東京創元社[創元推理文庫],1980年)
  • "Les armures de sable"(1975年)
    『砂の鎧』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1979年)
  • "A tête reposée"(1976年)
    『三つの顔』(窪田船彌訳, 東京創元社[創元推理文庫],1980年)
  • "La banque des morts"(1977年)
    『死体銀行』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1981年)
  • "L'enfer, pourquoi pas?"(1978年)
    『地獄でなぜ悪い』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1979年)
    園子温同名映画は無関係。
  • "L'amour à la carte (A cloche-cæur)"(1979年)
    『理想的な容疑者』(荒川浩充訳, 東京創元社[創元推理文庫],1981年)
  • "L'homme de craie"(1980年)
    『白墨の男』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1982年)
  • "L'ogresse"(1981年)
    『呪われた女』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1984年)
  • "Une femme piégée"(1982年)
    『罠に落ちた女』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1983年)
  • "Le battant et la cloche"(1982年)
    『死神に愛された男』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1986年)
  • "ALARM!"(1984年)
    『アラーム!』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1987年)
  • "La gamberge"(1988年)
    『疑惑の果て』(安堂信也訳, 東京創元社[創元推理文庫],1988年)
  • "Entre chien et loup"(1990年)
    『狼の時刻(とき)』(安堂信也訳, 東京創元社[創元ミステリ'90],1990年)


受賞[編集]

  • 国際サスペンス小説大賞 Prix international du suspense
    『死者の入江』 (1968年受賞)
  • フランス・サスペンス小説大賞 Prix du suspense français
    『三つの顔』 (1979年受賞)

映像化作品[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]


[編集]

  1. ^ 『剣に生き、剣に斃れ』東京創元社、1975年
  2. ^ Catherine Arley — フランス語版Wikipédia
  3. ^ 『呪われた女』東京創元社、1984年
  4. ^ a b Webミステリーズ!:堂々たる傑作、カトリーヌ・アルレー『わらの女』を新訳で!

関連項目[編集]

  • 美しい罠 - 『わらの女』を原案としたテレビドラマ。