カイロ・ゲニザ

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カイロ・ゲニザ: Cairo Geniza)は、フスタートのベン・エズラ・シナゴーグで発見されたユダヤ教徒の文書。ゲニザ文書と呼ばれる場合は、カイロ・ゲニザを指す。ゲニザとは中世ヘブライ語で不要になった文書の保管庫であり、ユダヤ教徒は「神」という語の書いてある紙を保管したり買い集める習慣があり、カイロ・ゲニザもそのひとつであった。

カイロ・ゲニザには956年から1538年までの600年にわたる文書が存在し、25万葉以上の紙があり、そのうち歴史研究上の価値がある文書が1万葉あるとされる。ヘブライ文字で書かれ、ヘブライ語アラビア語が使われている。内容は裁判関係の文書、契約文書、婚姻文書、離婚文書、遺言、財産証書、売買契約書、商業通信文、帳簿、計算書、個人の手紙などが含まれている。地中海におけるユダヤ商人の活動がもっとも盛んだったのは11世紀から12世紀にかけてであり、10世紀末から11世紀にかけてファーティマ朝のエジプトが繁栄し、一方でマグリブの政治情勢が不安定になると、多くのユダヤ教徒がエジプトへ移住し、エジプトを中心としたユダヤ教徒のネットワークが出来上がった。カイロ・ゲニザからは、当時の地中海とインド洋におけるユダヤ商人の活動が読み取れる。

19世紀末にシナゴーグが改修された時に文書が発見され、欧米に流出したのちにケンブリッジ大学オクスフォード大学の図書館をはじめとする世界各地のコレクションに保存された。学問的価値の高さにも関わらず体系的な研究がされたのは1950年代になってからであり、S・D・ゴイティンは研究の成果を『地中海社会』という著作にまとめた。

出典・参考文献[編集]

  • 湯川武「ユダヤ商人と海 ーゲニザ文書からー」(『イスラム世界の人びと4 海上民』収録) 東洋経済新報社、1984年。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]