カイコガ科

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カイコガ科
Silk worm adult01.JPG
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 鱗翅目(チョウ目) Lepidoptera
階級なし : 有吻類 Glossata
階級なし : 異脈類 Heteroneura
階級なし : 二門類 Ditrysia
上科 : カイコガ上科 Bombycoidea
: カイコガ科 Bombycidae
学名
Bombycidae Latreille, 1802[1][2][3]
タイプ属
Bombyx Linnaeus, 1758[2][3]
和名
カイコガ科
亜科
  • 本文参照

カイコガ科Bombycidae)はカイコガ上科に属する鱗翅目(チョウ目)のひとつ。本科の分類は近年流動的だが、本項では基本的に形態学的に定義された本科[注釈 1]を「広義のカイコガ科(Bombycidae sensu lato」として扱い、こちらについて主に解説する。

形態的特徴[編集]

広義の本科は成虫後翅背面のひだ状になった(pleated)部位によって特徴づけられる。この部位はしばしば凹む。後翅には短く太い翅刺英語: frenulumを有する[3][4]口吻は発達せず、基本的に触角は雌雄とも櫛歯状[5][6]幼虫腹脚は4対(尾脚を含めて5対)で、体表に二次刺毛英語: setae、第8腹節に尾角を有する種が多い。また、胸部が肥大化する種も知られる[3][4][5]

分類[編集]

前述のとおり、本科の分類は近年流動的になっている。本科に複数の系統が含まれることは形態学的見地からも指摘されていたが[3][7]、 近年の分子系統学的研究は(広義の)本科が多系統群であることを明らかにしており[8]、したがって、本科は複数の科に分割される傾向がある[2][3][7][9]。ここではふたつの分類体系を紹介する。

Lemaire & Minet (1998)[注釈 2] Kitching et al. (2018)[注釈 3]
Apatelodidae
下位分類

(一部のみ)

Apatelodes
カイコガ科 Bombycidae カイコガ科 Bombycidae
下位分類

(一部のみ)

Apatelodinae亜科
Apatelodes
Phiditiinae亜科
Phiditia
スカシサン亜科[9]Prismostictinae
(= Oberthueriinae)
Prismostictini
Prismosticta
Oberthueriini
Oberthueria
カイコガ亜科 Bombycinae
Bombycini
Epiini
Bombycinae亜科
Epiinae亜科
カバガ科 Endromidae カバガ科 Endromidae
下位分類

(一部のみ)

Endromis
Endromis
Mirina
Oberthueria
Prismosticta
スイカズラガ科 Mirinidae
下位分類
Mirina
Phiditiidae
下位分類

(一部のみ)

Phiditia

とくに Oberthueriinae亜科 および Prismostictinae亜科に分類されていたのカバガ科 Endromidae への再分類にかんしては、形態学的な裏づけが不足していることを指摘する研究者もおり、従来の分類体系の採用を継続して「広義のカイコガ科」として扱う場合もある[2][3]

多様性[編集]

広義の本科は1998年時点でおよそ40属350種程度が知られていた[3][5]。狭義の本科にかんしては、27属202種が認められている[2]

分布[編集]

広義の本科は旧世界のすべての生物地理区新熱帯区[3][4]、および北米から知られる[5]。広義の本科のうち、下位分類ごとの分布域は以下のとおりである[5]

日本に分布する広義の本科は以下の6属7種である[6][10]

生態[編集]

既知の幼虫の食草は以下のように、下位分類ごとに異なる[5][9]。狭義のカイコガ科の多くがクワ科植物に依存している[3][9]

人との関係[編集]

カイコ B. moriを生産するための家畜として数千年前から人類に飼育されてきた生物であり[3][9]、本科のうちでもっとも有名な種であると言える[3][5]。クワコ B. mandarina野蚕としてよく知られる[3]。そのほか、複数の種が農業林業養蚕業園芸産業における、経済的に重要な害虫として知られる[3]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 具体的には、おもに Lemaire & Minet (1998) にもとづく。
  2. ^ おもに Minet (1994) にもとづく[5]。本項における「広義のカイコガ科」はこの体系におけるものを指す。
  3. ^ おもに ZWICK et al. (2011) にもとづき、Hamilton et al. (2019) などもこの分類体系を基本的に支持している[7]。本項における「狭義のカイコガ科」はこの体系におけるものを指す。
  4. ^ a b c Kitching et al. (2018) は本属をカバガ科 Endromidae に含めている[2]

出典[編集]

参考文献[編集]

和文[編集]

英文[編集]

  • Lemaire, Claude; Minet, Joël (1998). “18. The Bombycoidea and their Relatives”. In Willy Kükenthal (Ed.). Teilband 35 Volume 1: Evolution, Systematics, and Biogeography. Handbuch der Zoologie. doi:10.1515/9783110804744.321. ISBN 9783110804744. https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/9783110804744.321/html 
  • Wang, Xing; Chen, Zhuang-Mei; Gu, Xing-Shi; Wang, Min; Huang, Guo-Hua; Zwick, Andreas (2019). “Phylogenetic relationships among Bombycidae s.l. (Lepidoptera) based on analyses of complete mitochondrial genomes”. Systematic Entomology 44 (3): 490-498. doi:10.1111/syen.12337. 
  • ZWICK, ANDREAS; REGIER, JEROME C.; MITTER, CHARLES; CUMMINGS, MICHAEL P. (2011). “Increased gene sampling yields robust support for higher-level clades within Bombycoidea (Lepidoptera)”. Systematic Entomology 36 (1): 31‑43. doi:10.1111/j.1365-3113.2010.00543.x. 

外部リンク[編集]