ゲーム依存症

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ゲーム依存症(ゲームいそんしょう、ゲームいぞんしょう)またはゲーム症/ゲーム障害(ゲームしょう/ゲームしょうがい、Gaming disorder)とは、普段の生活が破綻するほどの、持続的かつ反復的なゲームへののめり込みを指す[1]

WHO(世界保健機関)が2018年に6月18日に公表[2]した ICD-11(国際疾病分類 第11版)では「物質使用症(障害)群または嗜癖行動症(障害)群 - 嗜癖行動症(障害)群」および「衝動制御症群」カテゴリにおいて「ゲーム症(障害)」が採用された[3]

ICD-11における「ゲーム」とはデジタルゲームまたはビデオゲームを指し、インターネットを使用したオンラインによるものも、オフラインによるものも含まれる[3]

ネット上で不特定多数の者とプレイできるオンラインゲームに関しては、「インターネットゲーム障害」としてアメリカ精神医学会(APA)DSM-5(2013年)ですでに記述されている。 ただしこの「インターネットゲーム障害」は「今後の研究のための病態」であり、公式の精神疾患として採用するためには証拠が不十分と判定されたもので、今後の研究が推奨される病態として基準が示されたものである[4]

なお、本記事では、日本精神神経学会によるICD-11新病名案草案[5] に基づき、Gaming disorderを「ゲーム症(障害)」と表記する。

名称[編集]

一般的には「ゲーム依存(ゲームいそん、ゲームいぞん)」という語が浸透しており、よく使われているようであるが、専門的には「依存Dependence)」ではなく「嗜癖Addiction)」を用いるのが適切である。

ゲームに過度に依存することを俗に「ゲーム中毒(ゲームちゅうどく)」と呼ぶ場合があるが、精神医学的には「中毒Intoxication)」とは物質(アルコール、カフェイン、大麻、幻覚薬、オピオイドなど)摂取後に生じる可逆的な物質特異的症候群を指すため、この用語は適切ではない[6]

ICD(WHO)による分類[編集]

WHO(世界保健機関)による分類で、世界的に使用されているICD-10(国際疾病分類 第10版)では、ゲーム依存症(嗜癖)についての記述はない[7]

2018年6月18日に公表されたICD-11では「物質使用症(障害)群または嗜癖行動症(障害)群(Disorders due to substance use or addictive behaviours)- 嗜癖行動症(障害)群(Disorders due to addictive behaviours)」カテゴリおよび「衝動制御症群(Impulse control disorders)」において「ゲーム症(障害)Gaming disorder)」が採用された[3]

ICD-11には「ゲーム症(障害) Gaming disorder」の下位分類として以下の3つが記述されている[3]

  • ゲーム症(障害)主にオンラインGaming disorder, predominantly online)」
  • ゲーム症(障害)主にオフラインGaming disorder, predominantly offline)」
  • ゲーム症(障害)特定不能Gaming disorder, unspecified)」

ICD-11の記述[編集]

記述Description

ゲーム症(障害)は、持続的または反復的なゲーム行動(「デジタルゲーム」または「ビデオゲーム」、それはオンラインすなわちインターネット上、またはオフラインかもしれない)の様式(パターン)によって特徴づけられる。

  1. ゲームをすることに対する制御の障害(例:開始、頻度、強度、持続時間、終了、状況)。
  2. ゲームに没頭することへの優先順位が高まり、他の生活上の利益や日常の活動よりもゲームをすることが優先される。
  3. 否定的な(マイナスの)結果が生じているにもかかわらず、ゲームの使用が持続、またはエスカレートする。

その行動様式は、個人的、家庭的、社会的、学業的、職業的または他の重要な機能領域において著しい障害をもたらすほど十分に重篤なものである。

ゲーム行動の様式は、持続的または一時的そして反復的かもしれない。

ゲーム行動および他の特徴は、診断するために通常少なくとも12ヶ月の間にわたって明らかである。しかし、すべての診断要件が満たされ症状が重度であれば、必要な期間は短縮するかもしれない。


除外

  • 危険なゲーム行動(Hazardous gaming
  • 双極症 I 型 <双極 I 型障害>(Bipolar type I disorder
  • 双極症 II 型 <双極 II 型障害>(Bipolar type II disorder

除外診断に挙げられている危険なゲーム行動Hazardous gaming)とは、オンラインまたはオフラインのいずれかのゲーム行動の様式を指し、個人または周囲の他人に有害な身体的または精神的健康影響のリスクを相当に増加させるもので、リスクの増加は、ゲームの頻度、これらの活動に費やされた時間の長さ、他の活動や優先順位の無視、ゲームやその文脈に関連する危険な行動、ゲームの悪影響、またはこれらの組み合わせである。ゲーム行動の様式は、個人や他の人への危害の増加の危険性に対する認識にもかかわらず、しばしば持続する[8]

ICD-11「嗜癖行動症(障害)」[編集]

ICD-11には嗜癖行動症(障害)(Disorders due to addictive behaviours)カテゴリに以下の4つが分類されている[3]

  • ギャンブル症(障害)Gambling disorder)」
  • ゲーム症(障害)Gaming disorder)」
  • 嗜癖行動症(障害)、他の特定されるOther specified disorders due to addictive behaviours)」
  • 嗜癖行動症(障害)、特定不能Disorders due to addictive behaviours, unspecified)」

ゲーム症(障害)オンラインQ&A[編集]

[9]

ゲーム症(障害)とは何ですか?

ゲーム症(障害)は、国際疾病分類 第11版(ICD-11) 改定草案で、ゲームをすることに対する制御の障害によって特徴づけられるゲーム行動の様式(「デジタルゲーム」または「ビデオゲーム」)として定義されており、他の趣味や日常的な活動よりもゲームに没頭することへの優先順位が高まり、他の活動よりもゲームをすることが優先されます。 そして否定的な(マイナスの)結果が生じているにもかかわらず、ゲームの使用が持続、またはエスカレートします。 ゲーム症(障害)が診断されるためには、その行動様式が、個人的、家庭的、社会的、学業的、職業的または他の重要な機能領域において著しい障害をもたらすほど重大でなければならず、通常少なくとも12ヶ月間にわたって明らかです。


国際疾病分類とは何ですか?

国際疾病分類(ICD)は、世界的な健康動向と統計の識別の基礎であり、病気や健康状態を報告するための国際基準です。これは、世界中の医療従事者が条件を診断するために、また研究者が条件を分類するために使用されます。 ICDに疾患を含めることは、国が公衆衛生戦略を計画し、疾患の傾向を監視する際に考慮する事項です。 WHOはICDの更新に取り組んでいます。国際疾病分類(ICD-11)の第11回改訂版は、2018年中頃に公開予定です。


なぜICD-11にゲーム症(障害)が含まれているのですか?

ICD-11にゲーム症(障害)を含める決定は、入手可能な証拠のレビューに基づいており、ICD-11開発過程でWHOが行った技術協議のプロセスに関与した様々な学問分野および地域の専門家の合意を反映しています。 ICD-11にゲーム症(障害)を含めることは、世界の多くの地域でゲーム症(障害)の特徴と同じ健康状態の人々のための治療プログラムの開発に続き、医療従事者のリスクへの関心が高まる結果となり、したがって予防および治療に関連します。


ゲームに参加するすべての人々は、ゲーム症(障害)を開発することに心配する必要がありますか?

研究によれば、ゲーム症(障害)は、デジタルゲームやビデオゲームの活動に携わる人のほんの一部にしか影響しません。しかし、ゲームに参加する人は、ゲーム活動に費やす時間、特に他の日々の活動を除外するときに、ゲームの振る舞いのパターンに起因する彼らの肉体的または心理的な健康や社会的機能の変化に注意を払う必要があります。

DSM-5(APA)による分類[編集]

アメリカ精神医学会(APA)が出版し、世界的に使用されている診断基準「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(2013年)」では、第 III 部「新しい尺度とモデル」の第4章「今後の研究のための病態(Conditions for Further Study)」で「インターネットゲーム障害Internet Gaming Disorder)」が取り上げられており、この障害は“ 明らかな公衆衛生上の重要性をもつ ” とされている[1]

以下に提案された基準案を示す。この基準案は、公式の精神疾患診断として採用するための証拠が不十分であると判定されたもので、臨床において用いるためのものではない点に注意が必要である。

インターネットゲーム障害の基準案[編集]

[1]

臨床的に意味のある機能障害や苦痛を引き起こす持続的かつ反復的な、しばしば他のプレイヤーとともにゲームをするためのインターネットの使用で、以下の5つ(またはそれ以上)が、12カ月の期間内のどこかで起こることによって示される。

  1. インターネットゲームへのとらわれ(過去のゲームに関する活動のことを考えるか、次のゲームを楽しみに待つ;インターネットゲームが日々の生活の中での主要な活動になる):この障害は、ギャンブル障害に含まれるインターネットギャンブルとは異なる。
  2. インターネットゲームが取り去られた際の離脱症状(これらの症状は、典型的には、いらいら、不安、または悲しさによって特徴づけられるが、薬理学的な離脱の生理学的徴候はない)
  3. 耐性、すなわちインターネットゲームに費やす時間が増大していくことの必要性
  4. インターネットゲームにかかわることを制御する試みの不成功があること
  5. インターネットゲームの結果として生じる、インターネットゲーム以外の過去の趣味や娯楽への興味の喪失
  6. 心理社会的な問題を知っているにもかかわらず、過度にインターネットゲームの使用を続ける
  7. 家族、治療者、または他者に対して、インターネットゲームの使用の程度について嘘をついたことがある
  8. 否定的な気分(例:無力感、罪責感、不安)を避けるため、あるいは和らげるためにインターネットゲームを使用する
  9. インターネットゲームへの参加のために、大事な交友関係、仕事、教育や雇用の機会を危うくした、また失ったことがある

:この障害には、ギャンブルではないインターネットゲームのみが含まれる。ビジネスあるいは専門領域に関する必要性のある活動のためのインターネット使用は含まれないし、他の娯楽的あるいは社会的なインターネット使用を含めることを意図したものではない。同様に、性的なインターネットサイトは除外される。

現在の重症度を特定せよ

インターネットゲーム障害は、普段の活動の破綻の程度により、軽度、中等度、または重度とされうる。重症度の低い人は症状の数が少なく、生活上の破綻も少ないかもしれない。重度のインターネットゲーム障害をもつ人は、より多くの時間をコンピュータ上で過ごすであろうし、よりひどく、交友関係や、職歴もしくは学業面での機会を失うであろう。

疫学[編集]

DSM-5「インターネットゲーム障害Internet Gaming Disorder)」の「有病率」の項目には、正確な有病率は不明としつつも、アジア諸国および12〜20歳の青年で最も高いと書かれている[1]

三原、樋口ら独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターによる最新の研究[10]によれば、2016年5月時点でのインターネットゲーム障害の推計有病率は0.7〜27.5%である。

オンラインゲーム依存症[編集]

コンピュータネットワークインターネット)へと依存し、会社・学校などに行けなくなったインターネット依存症、ことにテレビゲームの中でもネットゲームに熱中するあまり、これらゲームに過剰な依存状態を示す人間が存在する[要出典]。 このようなオンラインゲーム依存者を俗に「ネトゲ廃人(ネトゲはいじん)」と呼ぶ場合がある。

月額課金の作品では、数千時間もの膨大な所要時間で何年も課金が必要となる設定となっている場合がある[要出典]。中国、タイ、ベトナムではプレイ時間が規制されており、韓国でも規制の動きがあるが、日本ではこのような規制は存在しない[要出典]。この膨大な所要時間により、通常の(オフラインの)ゲームでは生じないオンラインゲーム依存症とも呼べる問題が各国で発生している[要出典]

韓国中国では、10代や20代の人間が寝食を忘れてゲームに熱中し過労死してしまうという事態も発生している[要出典]。これに関しては中国国内でも社会問題化しており、2006年7月には国家主導によるオンラインゲーム依存症防止プログラムが導入されることが報じられている[11]

一部の事業者では、18歳未満の青少年によるサービスの利用を禁止または制限する自主規制を導入しており、例えば「DMMオンラインゲーム」では入会時の年齢確認を実施し、18歳未満者のサービス利用を完全に拒否している[要出典]

出典[編集]

  1. ^ a b c d アメリカ精神医学会 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、788-790頁 第 III 部「新しい尺度とモデル」第4章 今後の研究のための病態「インターネットゲーム障害」。日本語版用語監修:日本精神神経学会、監訳:高橋三郎・大野裕、、訳:染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉医学書院2014年6月15日ISBN 978-4260019071 
  2. ^ 厚生労働省『国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が公表されました』2018年6月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e ICD-11「Gaming disorder」”. 世界保健機関 (2018年). 2018年6月19日閲覧。
  4. ^ アメリカ精神医学会 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、775-798頁 第 III 部「新しい尺度とモデル」第4章「今後の研究のための病態」。日本語版用語監修:日本精神神経学会、監訳:高橋三郎・大野裕、訳:染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉医学書院2014年6月15日ISBN 978-4260019071 
  5. ^ 日本精神神経学会『ICD-11新病名案』2018年6月19日閲覧。
  6. ^ アメリカ精神医学会 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、478頁 第 II 部「診断基準とコード」第16章 物質関連障害および嗜癖性障害群「物質誘発性障害群 - 物質中毒と物質離脱」。日本語版用語監修:日本精神神経学会、監訳:高橋三郎・大野裕、訳:染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉医学書院2014年6月15日ISBN 978-4260019071 
  7. ^ WHO 『ICD-10 精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』、監訳・融道男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗。 医学書院2005年11月15日ISBN 978-4260001335 
  8. ^ ICD-11「Hazardous gaming」”. 世界保健機関 (2018年). 2018年6月19日閲覧。
  9. ^ 世界保健機関『Gaming disorder Online Q&A January 2018』2018年3月6日閲覧。
  10. ^ Satoko Mihara, Susumu Higuchi. Cross‐sectional and longitudinal epidemiological studies of Internet gaming disorder: A systematic review of the literature. Psychiatry and Clinical Neuroscience. 2017 April 24; Volume71, Issue7
  11. ^ 中国情報局『オンラインゲーム依存症防止システムがまもなく開始』2006年7月27日

関連文献[編集]

  • 芦崎治 『ネトゲ廃人』 リーダーズノート株式会社 2009年5月1日初版 ISBN 4903722163
  • 西村本気 『僕の見たネトゲ廃神』 リーダーズノート株式会社 2010年1月29日初版 ISBN 4903722171
  • 樋口進『ネット依存症』PHP研究所 2013年11月16日初版 ISBN 4569814980
  • 樋口進『ネット依存症のことがよくわかる本』 2013年6月11日初版 ISBN 4062597756
  • 樋口進『スマホゲーム依存症』 2018年1月5日初版 ISBN 4862573126
  • 総務省情報通信政策研究所「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査 調査結果報告書 (PDF)2010年2014年5月29日閲覧。
  • 大野志郎、小室広佐子、橋元良明 、小笠原盛浩、堀川祐介「ネット依存の若者たち、21人インタビュー調査」、『東京大学大学院情報学環情報学研究. 調査研究編』第27巻、東京大学大学院情報学環、2011年、 101-139頁。
  • 河島茂生「ネットゲーム依存に関するオートポイエーシス論的考察」、『聖学院大学論叢』第25巻第2号、聖学院大学、2013年、 1-15頁。

関連項目[編集]