オリンポスの果実

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オリンポスの果実』(オリンポスのかじつ)は、1940年に発表された田中英光の中編小説である。

概要[編集]

作者の田中英光自身が、青春期の1932年ロサンゼルス・オリンピックにボート競技選手として参加したさいの経験に基づく私小説で、主人公がある女子選手に淡い想いを抱くが、結局2人の間にほとんど何も起こらない純然たる片思い小説である。

初出は『文學界』1940年9月号で、同年11月に高山書院より刊行され、第7回池谷信三郎賞受賞作品となった。没後、田中の作品があまり読まれなくなる中で、新潮文庫に収録され青春小説として読み継がれている。

ヒロインの女子選手「熊本秋子」は、ロサンゼルス五輪に陸上競技(女子走高跳)代表選手として出場した相良八重がモデルとされている[1]。モデルとなった相良の夫は小説を読んで怒り、友人で同じく代表選手の中西みち(登場人物「内田」のモデルの一人とされる)は小説の内容が嘘で「大した小説ではない」と評し、真保正子も相良が「男の人なんか見向きもしなかった」と語っている[1]。相良にとってモデルにされたことは不名誉で、はた迷惑なことだった[2]

梗概[編集]

主人公の「ぼく」こと坂本重道が、ロサンゼルス・オリンピックにボートの選手として参加するために搭乗する、太平洋を渡る船の上が主たる舞台である。「秋ちゃん」という呼びかけで始まり、主人公は陸上の選手として同船している熊本秋子に淡い恋心を抱いているが、仲間の男たちの冷やかしを受け、秋子も坂本の思いに気づくが、遂に恋心を伝えるには至らない。帰国後、坂本は学生運動をへて別の女性と結婚するが、「あなたは、いったい、ぼくが好きだったのでしょうか」というつぶやきで終わっている。

テレビドラマ[編集]

NHKの『銀河テレビ小説』枠で、1977年1月10日から21日まで10回にわたって放送された[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b 勝場・村山 2013, p. 125.
  2. ^ 勝場・村山 2013, p. 126.
  3. ^ NHKアーカイブス保存番組検索結果一覧 2012年10月15日閲覧。

参考文献[編集]

  • 『日本近代文学大事典』講談社、1984年
  • 『国文学解釈と鑑賞 現代作品の造形とモデル』1984年11月(島田昭男執筆)
  • 勝場勝子・村山茂代『二階堂を巣立った娘たち―戦前オリンピック選手編―』不昧堂出版、2013年4月18日、171頁。ISBN 978-4-8293-0498-3

外部リンク[編集]