オシダ科
| オシダ科 | ||||||||||||||||||||||||
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リョウメンシダ(カナワラビ属)
Elaphoglossum crassifolium(アツイタ属) | ||||||||||||||||||||||||
| 分類(PPG I 2016) | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Dryopteridaceae Herter (1949), nom. cons.[1] | ||||||||||||||||||||||||
| タイプ属 | ||||||||||||||||||||||||
| Dryopteris Adans. (1763) nom. cons. | ||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||
| 亜科 | ||||||||||||||||||||||||
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詳細は本文参照 |
オシダ科(オシダか、学名:Dryopteridaceae)は、薄嚢シダ類の科の1つ。東アジアでの多様性が高く[4]、本科のうちオシダ属、次いでイノデ属は日本で最も種数の多いシダ類となっている[6]。
かつてはメシダやヒメシダ、コウヤワラビなどを含んだこともある雑多な科であったが[7]、近年の分類体系、すなわちPPG I分類体系ではそれらは除外され、シダらしい特徴をもつカナワラビ属、イノデ属、オシダ属やヤブソテツ属などの狭義オシダ科(オシダ亜科)と、ヘツカシダ属やアツイタ属などの熱帯のシダ類(アツイタ亜科)などとを含む群となっている[8]。それでもなお、2,100種以上の種を含む大葉シダ類最大の科である[4]。オシダ属、イノデ属、カツモウイノデ属およびアツイタ属の4属でその70%の種を占める[5][9]。
「オシダ(雄シダ)」の和名は、ヨーロッパのセイヨウオシダ Dryopteris fillix-mas(英: male fern)の直訳である[10][注釈 2]。
形態
[編集]生活型は地上生、岩上生、または着生である[11]。多くの種は、地上生または岩上生である[4]。しかし、熱帯の分類群[注釈 3]には、付着根で樹上に登攀するつる植物になるものや、半着生性のものも知られる[4]。日本に広く見られるオシダ科(オシダ亜科)は、中型から大型のシダ類である[6]。
茎は匍匐、斜上、直立と多様[11][6]。稀に登攀性のものもある[11]。葉序は螺旋[6]。網状中心柱を持つ[6]。少なくとも先端には鱗片がある[11]。
葉
[編集]葉はふつう、胞子葉と栄養葉が同形であるが、稀に二形のものも見られる[11]。葉身は単葉から4回羽状複葉[注釈 4]となる[11]。アツイタ属はふつう全縁の単葉だが、外国産のもので切れ込みを持つものも知られる[13]。特にエラフォグロッスム・ペルタトゥム Elaphoglossum peltatum では、栄養葉が細かく裂ける[14]。ヘツカシダ属やヤブソテツ属では、多くは1回羽状複生(単羽状複葉)だが[注釈 4]、単葉のものも見られる[15][16]。イノデ属の葉身は単羽状から2回羽状複生で、ふつう基部が特に広くなることはないが、ジュウモンジシダのように最下羽片だけが大きくなるものもある[17]。カナワラビ属では、1回羽状複生から4回以上の羽状複葉になるものまである[18][19]。このような葉身の分裂の多様性は、亜科内で一貫しておらず、それぞれの末端群で独立に平行進化したものである[20]。成植物体の葉はかなり異なるが、ヘツカシダ属の幼植物の葉はオシダ亜科のものに似ている[14]。
葉に鱗片や腺毛を持つものがあり、有毛のものは比較的稀である[11]。カツモウイノデ属の葉の向軸面には、短い有節の多細胞毛がある[21]。これは「カツモウイノデ(属)型の毛 (ctenitoid hair)」と呼ばれる[21][20]。これはこの属の共有派生形質である。カツモウイノデ属以外にも、ナナバケシダ科には有節毛がある[21]。
葉脈は遊離脈または網状脈で、遊離小脈があるものとないものがある[11][6]。例えば、カナワラビ属・イノデ属・カツモウイノデ属ではすべて遊離脈で[18][17][21]、オシダ属もほぼすべてが遊離脈であるが[22]、例外的に不規則に網目を作るコスギイタチシダ Dryopteris yakusilvicola が知られる[23][24]。ヤブソテツ属は大きな網状脈を作り、遊離小脈を持つ[25]。
胞子嚢群
[編集]葉の裏面には胞子嚢群がつく[6]。胞子嚢群はふつう円形であるが[11][6]、長楕円形や線形の胞子嚢群を持つものも見られる[6]。胞子嚢群の位置は脈背生で、稀に頂生するものもある[6]。分類群によっては、明瞭な胞子嚢群を形成せず、裏面全体につくものもある[11]。包膜は円腎形または楯状、稀に欠くものがある[11][6]。胞子嚢床は点状をなし[6]、柄は3細胞列からなる[11]。
内部系統の共有派生形質
[編集]
PPG I分類体系では3亜科が認められるが(下記参照)、それぞれの明確な形態の共有派生形質は見出されていなかった[26]。Zuo et al. (2025) の7亜科では(下記参照)、各亜科の分類形質として、生活型、根茎の形状、葉の形態、葉軸および羽軸の構造、葉柄基部および葉身上の毛状突起、胞子嚢群の配置が用いられる[20]。
半着生性または着生性で長く匍匐する根茎・異形葉・背軸面全体を覆う胞子嚢群 (acrostichoid sori) は、Zuo et al. (2025) における狭義のポリボトリア亜科および狭義のアツイタ亜科に特有の共有派生形質である[20]。ポリスティコプシス属Polystichopsis および Trichoneuron は Zuo et al. (2025) では独立した亜科 Polystichopsidoideae に分類されるが、この群にみられる葉柄基部から葉身にかけて分布する毛は、この亜科に特有の共有派生形質である[20]。
また、葉軸および羽軸の構造は各系統で特徴的である。オシダ亜科および広義のポリボトリア亜科(狭義のポリボトリア亜科 + Polystichopsidoideae)からカツモウイノデ属を除いた側系統群では、向軸側にV字状の溝をもつオシダ型葉軸が見られる[20]。カツモウイノデ属およびアカミャクシダ属では、向軸側がほぼ円形または平坦なアカミャクシダ型葉軸を持つ[20]。ミナミオシダ属・メデタワラビ属・Megalastrum・Parapolystichum の4属からなる亜科 Lastreopsidoideae では、底部がU字型の広がった溝をもつミナミオシダ型葉軸となっている[20]。狭義のアツイタ亜科では、葉柄下部には典型的な溝があり、その後円形から凸状へと変化し、最終的に葉軸上部および羽軸の向軸側で隆起を形成するヘツカシダ型葉軸を持つ[20]。
各系統の共有派生形質を持たない特殊な形態を持つ種も知られている。例えば、オシダ亜科の多くは同形であるが、Dryopteris cochleata は異形葉をもつ[20]。テラトフィルム属では、栄養葉に細かく裂けたバチフィルと大きなアクロフィルの2種類が区別され、胞子葉と合わせた3種類の異形葉を形成する[27][28]。また、ポリボトリア亜科の多くは内先分岐であるが、Polybotrya semipinnata の小羽片は外先分岐である[20]。葉柄から葉身まで毛に覆われるという特徴は亜科 Polystichopsidoideae の共有派生形質であるが、Elaphoglossum piloselloides も葉柄・葉軸・葉身の全体に毛をもつ[20]。
配偶体
[編集]染色体
[編集]分類と系統
[編集]Smith et al. (2006) で、「真正ウラボシ類I」と呼ばれた一群(ウラボシ亜目)を構成する一系統である[11]。中でも、「ツルキジノオ科+タマシダ科+ナナバケシダ科+ツルシダ科+シノブ科+ウラボシ科」からなるクレードと姉妹群をなす[11](右図参照)。
学名
[編集]オシダ科 Dryopteridaceae Herter (1949) のタイプ属はオシダ属 Dryopteris Adans. である。Dryopteridaceae を設立したのはヴィルヘルム・グスターフ・フランツ・ヘルターで、Revista Sudamericana de Botánica 中で公表された[1]。
- Herter, W.F. (1949). “Flora del Uruguay I. Pteridophyta. Estudios Botánicos en la Región Uruguaya XXIV”. Revista Sudamericana de Botánica 9 (1): 1–31.
オシダ科はシノニムとして、アツイタ科 Elaphoglossaceae、ヘツカシダ科 Bolbitidaceae、ヘゴモドキ科 Peranemataceae を持つ[5][4][9]。これらのタイプ属であるアツイタ属およびヘツカシダ属はアツイタ亜科に属し[29]、ヘゴモドキ属 Peranema はオシダ亜科のオシダ属のシノニムとなっている[30][31][注釈 6]。
また、"Aspidiaceae"の学名も用いられたが、このタイプ属の Aspidium Sw. は、現在ナナバケシダ属 Tectaria のシノニムとなっており[3]、ナナバケシダ科 Tectariaceae の非合法名である[4]。この学名 Aspidiaceae Mett. ex A.B.Frank は、ヨハネス・ロイニスの著作 Synopsis der Pflanzenkunde 第2版の第3巻中でアルバート・ベルンハルト・フランクにより公表された[2][32]。
科の範囲
[編集]オシダ科のシダは、歴史的には Presl (1836) などにより、ウラボシ科 Polypodiaceae とされたり、Holttum (1947) のようにコバノイシカグマ科 Dennstaedtiaceae とされることもあった[4]。
特に、Aspidiaceae の学名が用いられることも多かった[4]。この学名は Christensen (1909) に採用され、秦 (1940)、Copeland (1947)、Pichi-Sermolli (1977) など、さまざまな研究者によって用いられた[4]。
日本の図鑑など[注釈 7]で良く用いられてきたエドウィン・ビンガム・コープランドの分類体系 (1947) では、現在のナヨシダ科、イワヤシダ科、ヒメシダ科、イワデンダ科、ヌリワラビ科、コウヤワラビ科、メシダ科、キンモウワラビ科、ツルキジノオ科、ナナバケシダ科に当たる分類群を含んでいた[7][注釈 8](下表参照)。しかし、現在ではコウヤワラビ科と姉妹群であると考えられているシシガシラ科は、すでに独立した科であるとされた[7][34]。コープランドのオシダ科は Aspidiaceae の学名が与えられていたことから、その後もしばしばオシダ科は Aspidiaceae と扱われた[11][35]。
1977年のピキセルモリの分類体系では細分化され、メシダ科、ヒメシダ科、イワデンダ科、コウヤワラビ科、ツルキジノオ科がオシダ科から区別された[7][注釈 9]。さらに、現在オシダ科の一亜科とされるアツイタ亜科も、アツイタ科 Elaphoglossaceae Pic.Serm. という独立科に分けられた[7]。オシダ科の学名には、引き続き Aspidiaceae が用いられた[4][9]。
クビツキーの植物分類体系、すなわち Kramer et al. (1990) では、それまで使われていた Aspidiaceae が非合法名であるとして、現在と同じ Dryopteridaceae の学名が用いられた[32]。オシダ科はコープランドよりは狭く定義されたが、広義イワデンダ科[注釈 10]を含んでいた[7](下表参照)。
岩槻 (1992) の分類体系(詳細は後述)では、ピキセルモリの分類体系のようにメシダ科などを除外して定義されたが、コープランドの分類にも触れ「オシダ科にヒメシダ科、イワデンダ科[注釈 10]、ツルキジノオ科をも含めることもある」と記述された[6][36]。岩槻 (1992) では、現在ではオシダ科アツイタ亜科とされるヘツカシダ属やアツイタ属をツルキジノオ科に含めていた[37]。また、現在はナナバケシダ科となっているナナバケシダ属(およびハルランシダ属)をオシダ科に含めながらも、葉の軸上に有節毛をもつものをナナバケシダ亜科、持たないものをオシダ亜科に分け、これらを独立科とすることもあると紹介している[6][注釈 11]。
Smith et al. (2006) の分類体系では、系統関係の解明が十分でないとして、暫定的にキンモウワラビ属をオシダ科に含んで定義されていた[11][40]。Smith et al. (2006) は分子系統解析に基づいた分類体系であり、それまでツルキジノオ属に近縁と考えられてきたヘツカシダ属やアツイタ属(ヘツカシダ–アツイタ群)が、オシダ科に含まれるようになった[11]。
Christenhusz et al. (2011) では、オシダ科に34属を含め、オシダ亜科 Dryopteridoideae B.K. Nayar とアツイタ亜科 Elaphoglossoideae (Pic. Serm.) Crabbe, Jermy & Mickel の2亜科に分けた[4][2]。系統関係の解明が進み、キンモウワラビ属 Hypodematium が独立のキンモウワラビ科 Hypodematiaceae とされた[40][41]。従来オシダ科とされてきたディディモクラエナ属 Didymochlaena は、ここでキンモウワラビ科に含められた[5][40][2]。ただし、ディディモクラエナ属は残りの2属とは側系統の関係であることも示唆されており[2]、後の PPG I (2016) ではディディモクラエナ属を単型科ディディモクラエナ科とする分類が採用された[40][1]
Christenhusz & Chase (2014) では、Smith et al. (2006) の真正ウラボシ類Iの系統全体をただ一つの科、ウラボシ科にまとめる分類体系を提案した[11]。しかしPPG I分類体系 (2016) ではこれは顧みられず、大枠は Christenhusz et al. (2011) を踏襲した分類が用いられた[42]。PPG I (2016) では、Smith et al. (2006) で「真正ウラボシ類I」と呼ばれていた群がウラボシ亜目 Polypodiineae と呼ばれるようになり、オシダ科はここに含められた[1]。
| 系統 (Smith et al. 2006) |
Copeland (1947) | Pichi-Sermolli (1977) | Kramer et al. (1990) | 岩槻 (1992) | Smith et al. (2006) | Christenhusz & Chase (2014) | Christenhusz et al. (2011) PPG I (2016) 海老原 (2017) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 真正ウラボシ類I (ウラボシ亜目) |
オシダ科 Aspidiaceae |
ツルキジノオ科 | ツルキジノオ科 | ツルキジノオ科 | ツルキジノオ科 | ウラボシ科 | ツルキジノオ科 |
| オシダ科 Aspidiaceae |
オシダ科 Dryopteridaceae |
オシダ科 Dryopteridaceae |
ナナバケシダ科 | ナナバケシダ科 | |||
| オシダ科 Dryopteridaceae |
オシダ科 Dryopteridaceae | ||||||
| アツイタ科 | ツルキジノオ科[注釈 13] | ||||||
| メシダ科 | イワデンダ科 | キンモウワラビ科 | |||||
| 真正ウラボシ類II (チャセンシダ亜目) |
イワデンダ科 | チャセンシダ科 | メシダ科 | ||||
| ナヨシダ科 | |||||||
| イワヤシダ科 | |||||||
| ヌリワラビ科 | |||||||
| イワデンダ科 | イワデンダ科 | ||||||
| コウヤワラビ科 | コウヤワラビ科 | コウヤワラビ科 | |||||
| ヒメシダ科 | ヒメシダ科 | ヒメシダ科 | ヒメシダ科 | ヒメシダ科 |
下位分類
[編集]24属2,100種が知られる[11]。ほぼ全世界に分布するが、多様性が高いのは温帯域および熱帯の山地である[4]。特に東アジアにおけるオシダ属・イノデ属、新大陸におけるアツイタ属の多様性が顕著である[4]。海岸から高山の森林限界にまで分布する[4]。
日本には7属[11]、約150種が記録される[36]。日本で自生するシダ類のうち、最も種数が多いのはオシダ属である[6][43]。続いてイノデ属が最も種数の多いシダ類となっており、雑種起源の種形成を含む多様な種分化が起こっている[6]。身近なシダ類を多く含み[36]、ベニシダ、イノデ、カナワラビ、ヤブソテツなどはよく知られる。
PPG I分類体系
[編集]| Liu et al. (2016) の分子系統樹 |
PPG I分類体系 (2016) では、オシダ科は単系統群である3つの亜科、ポリボトリア亜科・アツイタ亜科・オシダ亜科に大別される[1][11]。これは Liu et al. (2016) に基づく[1]。このうち、ポリボトリア亜科はすべて新大陸に産する[11]。オシダ亜科は、6属のうち新世界産のファネロフレビア属以外の5属はすべて日本にも分布し[11]、特にオシダ属は東アジアで多様性が高い[44]。アツイタ亜科は世界に7属が知られるが、東南アジアから南太平洋、中南米が分布の中心で、日本には2属が知られる[11]。
なお、PPG I (2016) では、オシダ科のうち、亜科所属不明 (subfamilia incertae sedis) の分類群として、Aenigmopteris Holttum と Dryopolystichum Copel. が含まれたが[45]、その後の研究で前者はナナバケシダ属 Tectaria(ナナバケシダ科)に内包され[46]、後者はツルキジノオ科に含まれる属であることが明らかとなっている[47]。また、分子系統解析に基づき、Arachniodes bella がほかのカナワラビ属と単系統群をなさなかったことから新属 Pseudarachniodes が設立されている[48]。
以下に、これらの修正を加えたPPG I分類体系 (2016) におけるオシダ科内の分類を示す[49]。
- ポリボトリア亜科[11] Polybotryoideae H.M.Liu & X.C.Zhang
- キクロディウム属[50] Cyclodium C.Presl:約10種
- Maxonia C.Chr.:Maxonia apiifolia (Sw.) C.Chr. 1種のみからなる単型属
- オルフェルシア属[51] Olfersia Raddi:3種
- ポリボトリア属[52][53] Polybotrya Humb. & Bonpl. ex Willd.:35種
- ポリスティコプシス属[54] Polystichopsis (J.Sm.) C.Chr.:8種
- Stigmatopteris C.Chr.:40種
- Trichoneuron Ching:Trichoneuron microlepioides Ching 1種のみからなる単型属
- アツイタ亜科[11] Elaphoglossoideae (Pic.Serm.) Crabbe, Jermy & Mickel
- Arthrobotrya J.Sm.:2種[注釈 14]
- ヘツカシダ属[11][37][14] Bolbitis Schott:約80種[注釈 15]
- アツイタ属[11][37] Elaphoglossum Schott ex J.Sm.:約600種[注釈 16]
- ミナミオシダ属[57](タイワンキンモウイノデ属[58]) Lastreopsis Ching:16種[注釈 17]
- ロマグラマ属[59] Lomagramma J.Sm.:15種[注釈 18]
- Megalastrum Holttum:91種
- Mickelia R.C.Moran, Labiak & Sundue:10種
- Parapolystichum (Keyserl.) Ching:28種
- アカミャクシダ属[11][58](ウスバワラビ属[60]) Pleocnemia C.Presl:20種
- メデタワラビ属[61](ルモーラ属[62]) Rumohra Raddi:8種
- テラトフィルム属[63][28] Teratophyllum Mett. ex Kuhn:13種
- オシダ亜科[11] Dryopteridoideae Link
- カナワラビ属[11][6] Arachniodes Blume:60種[注釈 19]
- カツモウイノデ属[6][21][65] Ctenitis (C.Chr.) C.Chr.:約125種[注釈 20]
- ヤブソテツ属[11][6] Cyrtomium C.Presl:35種
- オシダ属[11] Dryopteris Adans.:約400種[注釈 21]
- ファネロフレビア属[73] Phanerophlebia C.Presl:8種[注釈 22]
- イノデ属[74][6] Polystichum Roth:約500種[注釈 23]
- Pseudarachniodes Z.Y. Zuo & Rouhan:Pseudarachniodes bella 1種のみからなる単型属[48]
Zuo et al. (2025) の分類体系
[編集]| Zuo et al. (2025)の分子系統樹 |

PPG Iの3亜科を基準とする分類体系は、分子系統のみに基づいており、形質状態は各亜科で一貫していない[76]。そこで、Zuo et al. (2025) は新たに Ctenitidoideae、Lastreopsidoideae、Pleocnemioideae、Polystichopsidoideae の4亜科を設立し、7亜科の分類体系を構築した[76]。また、PPG I (2016)で認められていた Arthrobotrya をテラトフィルム属 Teratophyllum のシノニムとし[55]、Pseudarachniodes bella のみを含む新属 Pseudarachniodes を設立した[48]。
Zuo et al. (2025) は、葉緑体全ゲノムを用いてオシダ科の系統樹を再構築したが、これで得られた系統樹は、Liu et al. (2016) のものとは、先述の Pseudarachniodes 以外にも、いくつかの属の分岐位置が異なっていた[12]。広義オシダ亜科の最基部で分岐していたカツモウイノデ属と広義ポリボトリア亜科の最基部で分岐していた Stigmatopteris の分岐位置が逆転しているほか、ポリボトリア亜科の Maxonia およびオルフェルシア属 Olfersia の分岐位置が逆転している[12]。
- ポリボトリア亜科 Polybotryoideae H.M.Liu & X.C.Zhang
- 亜科 Polystichopsidoideae Z.Y. Zuo
- 亜科 Ctenitidoideae Z.Y. Zuo & Jin Mei Lu
- アツイタ亜科 Elaphoglossoideae (Pic.Serm.) Crabbe, Jermy & Mickel
- 亜科 Lastreopsidoideae Z.Y. Zuo
- 亜科 Pleocnemioideae Z.Y. Zuo
- オシダ亜科 Dryopteridoideae Link
過去の分類体系で含まれていた属
[編集]岩槻 (1992)『日本の野生植物 シダ』では、日本産に8属133種を認めていた[6]。このうち、カナワラビ属・カツモウイノデ属・ヤブソテツ属・オシダ属・イノデ属を認める点は PPG I (2016) や海老原 (2017) と共通であるが、PPG I (2016) ではナナバケシダ科とされるナナバケシダ属をオシダ科に含めていた[6]。また、タイワンヒメワラビ属 Acrophorus およびハルランシダ属 Hemigramma が独立属として認められていた[6]。PPG I (2016) では、このうちタイワンヒメワラビ属はオシダ属に内包され、ハルランシダ属はナナバケシダ属(ナナバケシダ科)に内包される[3]。
| 科 (PPG I 2016) |
岩槻 (1992) | 海老原 (2017) |
|---|---|---|
| ツルキジノオ科 | ツルキジノオ科 ツルキジノオ属 ヘツカシダ属 アツイタ属 |
ツルキジノオ科 ツルキジノオ属 |
| オシダ科 | オシダ科 ヘツカシダ属 アツイタ属 カナワラビ属 カツモウイノデ属 ヤブソテツ属 オシダ属 イノデ属 | |
| オシダ科 カナワラビ属 カツモウイノデ属 ヤブソテツ属 オシダ属 イノデ属 ナナバケシダ属 ハルランシダ属 | ||
| ナナバケシダ科 | ナナバケシダ科 ナナバケシダ属[注釈 24] ワラビツナギ属 | |
| ツルシダ科[78] ワラビツナギ属 タマシダ属 | ||
| タマシダ科 | タマシダ科 タマシダ属 |
コープランドの分類体系 (1947) におけるオシダ科 Aspidiaceae については、コープランドの分類体系#オシダ科を参照。
化石記録と進化
[編集]これまで、確実な最古の記録として新第三紀中新世前期のアツイタ属が知られていた[11][79]。これはドミニカ共和国の1500万から2000万年前の琥珀から得られ、2014年に Elaphoglossum miocenicum Lóriga, A.R.Schmidt, R.C.Moran, K.Feldberg, H.Schneid. et Heinrichs として記載されたものである[79]。
2023年には、ミャンマーカチン州の白亜系セノマニアン最下部の琥珀から、Prosperifilix sepeliogladius S.Wang, C.Shi et M.Engel が記載された[80]。この化石は、単羽状複葉で、垂直方向の環帯を持つ円形の胞子嚢群を羽片縁付近につけ、単溝型胞子を持つことから、オシダ科に属すると推定されている[81]。この記載によって、それ以前のオシダ科の化石記録から約8,000万年遡ることになったが、分子時計に基づく科の起源が前期白亜紀と見積もられていることと整合する[82]。ただし、これらの特徴はヒメシダ科により近いとする意見もある[83]。
また2025年には、カチン琥珀から2008年にウラボシ目の一種として記載されていた Cretacifilix fungiformis G.O.Poinar et R.Buckley が[84]、羽軸の向軸側に溝を持つこと、遊離脈端の単純な羽状脈、脈端につく円形胞子嚢群、胞子嚢群の位置、全縁で腎形の包膜、単溝型胞子の形態などの特徴がオシダ属やカナワラビ属と共通することから、オシダ科に属すると考えられている[83]。これはオシダ属およびカナワラビ属の共通祖先に当たると推定されている[83]。
人間との関わり
[編集]食用
[編集]ジュウモンジシダ Polystichum tripteron(イノデ属)は食用となり、山菜として利用される[85]。林に生える本種の若い葉を採り、揉んで毛を除いた後に茹でて下処理される[85]。和え物やお浸しなどにして調理される[85]。苦みや癖がなく、利用しやすいとされる[85]。
薬用
[編集]オシダ Dryopteris crassirhizoma(オシダ属)は、漢名でメンマ(綿馬)と呼ばれる[10]。その根茎を乾燥させたものは「綿馬根」という駆虫薬として日本薬局方に記載され、十二指腸虫の駆虫に用いられる[86][10][36]。
ヨーロッパでは、古代ギリシア時代よりセイヨウオシダ Dryopteris filix-mas(オシダ属)を薬用に利用してきた[86]。
観賞用
[編集]オニヤブソテツ Cyrtomium falcatum(ヤブソテツ属)などは観葉植物としても用いられる[36]。畑土と砂を混合した用土で栽培されるが、肥料過多や強い光にも耐えるとされる[87]。同属のヤブソテツ Cyrtomium fortunei も用土を選ばず、庭植えされる[87]。ナポレオンが考案したとされるパリのブーローニュの森にあるバガテルの庭園の一画には、極東産のベニシダ・ヤブソテツ・オニヤブソテツなどが導入されている[88]。
クリスマスファーン Polystichum acrostichoides(イノデ属)は姿の良い常緑シダとして、クリスマスの装飾に用いられる[88]。同属のオリヅルシダ Polystichum lepidocaulon も園芸的価値が高いとされる[89]。鉢底に煉瓦片などを多用して、水はけよく育てられる[87]。
ハカタシダ(カナワラビ属)などは羽片に黄斑が見られるものがあり、斑入りものは好んで栽培される[90][91]。
レザーファーン Rumohra adiantiformis(メデタワラビ属)は[11][62]、卓上の盛花の彩りとして栽培され、経済植物となっている[88]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ タイプ属の Aspidium Sw. はナナバケシダ属 Tectaria のシノニムとなっているが[3]、歴史的にオシダ科と同義に扱われたため[4][5][2]、ここに掲載する。
- ↑ これは日本のオシダ Dryopteris crassirhizoma と同属ではあるが、その中では特に近縁ではなく、むしろオクマワラビ Dryopteris uniformis などに似ている[10]。
- ↑ Zuo et al. (2025) における狭義のポリボトリア亜科および狭義のアツイタ亜科[12]。
- 1 2 複葉の表現については羽葉#葉身の分裂と分岐を参照。
- ↑ 左に見えるのはミズスギ Palhinhaea cernua。
- ↑ ヘゴモドキ属は現在、旧ホオノカワシダ属 Nothoperanema、タイワンヒメワラビ属 Acrophorus、ディアカルペ属 Diacalpe とともに単系統群をなすことがわかっており、合わせてオシダ属の1亜属 Dryopteris subg. Nothoperanema とされる[31]。なお、Peranema の属名はユーグレナ藻の1属、フトヒゲムシ属 Peranema Dujardin, 1841 にも与えられている(Peranema D.Don (1825) の新参同名〈ホモニム〉)。ただし、フトヒゲムシ属は「原生動物」として、国際動物命名規約の下でも有効名として扱われ、植物命名法とは優先性を競わない(ICZN 条2)。
- ↑ 例えば、田川 (1959)『原色日本羊歯植物図鑑』や大井次三郎『日本植物誌』など[6]。
- ↑ 海老原 (2017) では、コープランドの分類はオシダ科にチャセンシダ科を含むように作図されているが[7]、Copeland (1947) ではチャセンシダ科は独立した科とされる[33]。
- ↑ ただし、Pichi-Sermolli (1970) は Dryopteridaceae を用いていた[4]。
- 1 2 このイワデンダ科には、PPG Iにおけるイワデンダ科だけでなく、メシダ科、ナヨシダ科、イワヤシダ科、ヌリワラビ科、コウヤワラビ科が含まれている。
- ↑ カツモウイノデ属には有節毛があるため、真のオシダ科であるカツモウイノデ属もナナバケシダ亜科(ナナバケシダ科)に含まれると考えられていた[38][39]。
- ↑ 右図のPPG I分類体系の系統樹とは、真正ウラボシ類IおよびIIが上下逆になっていることに注意(系統樹の枝は等価であり、回転可能である)。また、オシダ科には学名を併記し、本項におけるオシダ科を含む科の背景色を赤くしている。
- ↑ アツイタ属・ヘツカシダ属
- ↑ Zuo et al. (2025) では、テラトフィルム属 Teratophyllum に内包され、そのシノニムとされる[55]。
- ↑ Campium C.Presl; Cyrtogonium J.Sm.; Edanyoa Copel.; オキナワキジノオ属[37] Egenolfia Schott; Heteroneuron ; Jenkinsia Hook.; Poecilopteris C.Presl を内包する[29]。
- ↑ Aconiopteris C.Presl; Dictyoglossum Sm.; Hymenodium ; Microstaphyla C.Presl; ペルタプテリス属[14] Peltapteris Link; リピドプテリス属[56] Rhipidopteris Schott ex を内包する[29]。
- ↑ Coveniella Tindale を内包する[29]。
- ↑ Cheilolepton Fée. を内包する[29]。
- ↑ Byrsopteris C.V.Morton; ナライシダ属[64][18] Leptorumohra (H.Ito) H.Ito; Lithostegia Ching; Phanerophlebiopsis Ching を内包する[30]。
- ↑ サツマシダ属[21][58] Ataxipteris Holttum; Pseudotectaria Tardieu を内包する[30]。
- ↑ タイワンヒメワラビ属[6][66] Acrophorus C.Presl; リュウキュウシダ属[67] Acrorumohra (H.Ito) H.Ito; Adenoderris J.Sm の一部; Arthrobotrys (C.Presl) Lindl.; ディアカルペ属[68][69] Diacalpe Blume; Dichasium (A.Braun) ; Diclisodon T.Moore; キヨスミヒメワラビ属[21][65] Dryopsis Holttum & P.J.Edwards; Filix Ség.; Lophodium Newman; ネフロディウム属[70] Nephrodium Marthe ex Michx.; ホオノカワシダ属[58](ホウノカワシダ属[71]) Nothoperanema (Tagawa) Ching; ヘゴモドキ属[72][58] Peranema D.Don; Pycnopteris T.Moore; Revwattsia D.L.Jones; Stenolepia Alderw. を内包する[30]。
- ↑ Amblia C.Presl を内包する[30]。
- ↑ Acropelta T.Nakai; Adenoderris J.Sm の一部; テンチョウシダ属[58] Cyrtogonellum Ching; オリヅルシダ属[58] Cyrtomidictyum Ching; Hemesteum H.Lév.; Hypopeltis Michx.; Papuapteris C.Chr.; Plecosorus ; プティロプテリス属[75] Ptilopteris Hance; Sorolepidium Christ を内包する[30]。
- ↑ ハルランシダ属 Hemigramma を内包する[77]。
出典
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関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Dryopteridaceae - GBIF
- Dryopteridaceae - Flora of China