オオバノヨツバムグラ

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オオバノヨツバムグラ
福島県会津地方 2017年7月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: リンドウ目 Boraginales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : アカネ亜科 Rubioideae
: ヤエムグラ属 Galium
: エゾノヨツバムグラ
G. kamtschaticum
変種 : オオバノヨツバムグラ
G. k var. acutifolium
学名
Galium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. acutifolium H.Hara[1]
和名
オオバノヨツバムグラ(大葉の四葉葎)[2][3]

オオバノヨツバムグラ(大葉の四葉葎、学名Galium kamtschaticum var. acutifolium)は、アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属多年草[2][3][4]エゾノヨツバムグラ(蝦夷の四葉葎、学名:Galium kamtschaticum var. kamtschaticum)を分類上の基本変種とする変種[2][3][4]

特徴[編集]

地下茎は四角形で細く、浅い地中を横に這い、枝分かれし、節から細いひげを出す。は直立し、高さは20-40cmになり、断面は四角形で毛は無い。は4個が輪生し、各輪が隔たって茎につく。葉身は長さ2-5cm、幅0.8-2.3cm、楕円形または長楕円形で、先は円いか鈍く、先端は短くとがり、基部は円いややとがり、葉柄はない。葉はうすくて膜質、表面の3本の太い中脈が目立ち、縁と両面の脈上に上向きの剛毛が生える。これらの輪生する葉は、対生する本来の2個の葉と、残りの2個の、葉と同形の托葉となる[2][3][4]

花期は6-7月。茎先または上部の葉腋に2-3出集散花序を出し、まばらにをつける。花柄は果期に長さ3-5mmになる。花冠は杯形で、径2.5-3mm、黄緑色で先は4裂し、花冠裂片は先が鋭くとがる。雄蕊は4個あり、花冠基部に付着する。子房は2室に分かれ、各室に1個の胚珠がある。花柱は2裂する。果実は2個の分果となり、各分果に1個の種子がある。分果には長い鉤状の毛が密生する[2][3][4]

分布と生育環境[編集]

日本では南千島、北海道、本州、四国に分布し、亜高山の針葉樹林中に生育し、木陰の湿った場所を好み、しばしば群生する[2][3][4]。世界では、サハリン千島列島に分布する[4]

名前の由来[編集]

和名オオバノヨツバムグラは、「大葉の四葉葎」の意[2][3]。ムグラ(葎)は、草むら、藪の意味がある[5]

種小名(種形容語)kamtschaticum は、「カムチャツカの」の意味、変種名 acutifolium は、「葉の先の尖った」の意味[6]

ギャラリー[編集]

エゾノヨツバムグラ[編集]

エゾノヨツバムグラ(蝦夷の四葉葎)Galium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. kamtschaticum [7]は、オオバノヨツバムグラ(大葉の四葉葎)の分類上の基本種。オオバノヨツバムグラと比べて全体が小型。高さ10-20cmになり、4輪生する葉は長さ8-20mm、幅5-13mm、葉身は広楕円形、広倒円形または倒卵形で、小型。南千島、北海道、本州中部地方以北、千島列島、朝鮮半島、ウスリー、カムチャツカ半島北アメリカに分布する[2][3][4]

ヤクシマムグラ[編集]

ヤクシマムグラ(屋久島葎)Galium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. minus Sugim.[8], シノニム var. yakusimense (Masam.) T.Yamaz. は、エゾノヨツバムグラを基本種とする変種。全体がごく小型で、茎の高さ3-6cm。4輪生する葉も小さく、長さ4-9mm、幅2-4mm、葉身は長楕円形または倒卵状長楕円形になる。屋久島に産する[2][4]

脚注[編集]

  1. ^ オオバノヨツバムグラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f g h i 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』pp.390-391
  3. ^ a b c d e f g h 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.971
  4. ^ a b c d e f g h 内貴章世 (2017)「アカネ科」『改訂新版 日本の野生植物 4』p.276
  5. ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 春』pp.324-325
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1498, p.1482
  7. ^ エゾノヨツバムグラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ ヤクシマムグラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]

  • 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 春』、2002年、山と溪谷社
  • 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
  • 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)