オエノンプロダクトサポート

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オエノンプロダクトサポート株式会社
OENON PRODUCT SUPPORT CO.,LTD.
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
657-0864
兵庫県神戸市灘区新在家南町3-2-28
設立 1963年昭和38年)8月1日
(富久娘酒造株式会社)
業種 食料品
法人番号 5140001003958
事業内容 酒類・食品の製造販売
代表者 代表取締役社長 江辺 正英
資本金 5000万円
外部リンク https://www.oenon.jp/
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オエノンプロダクトサポート株式会社は、兵庫県神戸市灘区に本社を置く企業。オエノンホールディングスの子会社で、灘五郷の西郷(新在家地区)に醸造工場を有する。

2018年以前の旧社名は富久娘酒造株式会社(ふくむすめしゅぞう)。「富久娘」銘柄の清酒を醸造していた江戸時代からの蔵元(花木酒造)をルーツとする。第二次世界大戦後、変遷を経て一時は旭化成グループの清酒事業を担った。2003年にオエノングループ入りし、2018年に清酒事業をグループ他社に移管して(「富久娘」銘柄は福徳長酒類に移された)、社名を変更した。

沿革[編集]

花木家による経営[編集]

天和元年(1681年)の創業とされる。寛政5年(1793年)の新在家村の酒造家についての史料によれば、花木屋長兵衛ら花木屋を称する3人が4500石あまりの酒株高を有しており、米屋庄兵衛(のちの沢の鶴)らとともに有力な酒造家の一角であった[1]。江戸時代には、「芳名木」「盛大一」といった銘柄を用いていた[2]

明治時代に、東京・亀戸天神社の「おた福(福女)」にちなんで「富久娘」と名づけられた[3]

花木家(花木甚右衛門)は、日露戦争後に急速に拡大した酒造家の一つで1911年(明治44年)には造石高が1万石を越える大手の一角となった[4]。「富久娘」は東京市場において、「菊正宗」「桜正宗」「白鷹」「大関」ともに灘酒の五大銘酒として定評を得ていたという[5]。大正期には、下り酒問屋を通さず東京市場で直接進出を試み[6]、1910年代には一層造石高を増加させた[7]

富久娘酒造[編集]

1963年昭和38年)、花木酒造は経営破綻。旭化成工業が資本参加する東洋醸造によって事業が引き継がれ、「富久娘酒造株式会社」が設立された。その後、富久娘酒造は旭化成の子会社となった。

2003年、旭化成は富久娘酒造を合同酒精株式会社に譲渡。これにより、旭化成は清酒事業から撤退した。合同酒精は同年オエノンホールディングスに社名を変更し、持株会社化した(事業子会社として新たに「合同酒精」が設立された)。

2013年には日本酒の不正表示問題が発覚し、日本酒需要が拡大する中で波紋を広げ[8][9][10]、社長が更迭された[11]

2018年、清酒事業をグループ他社に譲渡。銘柄「富久娘」は福徳長酒類に、「富貴」は合同酒精東京工場に移管された。これとともに、商号を富久娘酒造株式会社からオエノンプロダクトサポート株式会社に変更した。

年表[編集]

拠点[編集]

本社・灘工場
  • 〒657-0864 神戸市灘区新在家南町3-2-28

提供番組[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 灘・今津の酒株”. 灘の酒造業. 神戸市文書館. 2021年4月9日閲覧。
  2. ^ 灘・今津の酒株”. 灘の酒造業. 神戸市文書館. 2021年4月9日閲覧。
  3. ^ 富久娘”. オエノングループ. 2021年4月9日閲覧。
  4. ^ 二宮麻里 2013, p. 310.
  5. ^ 二宮麻里 2013, p. 315.
  6. ^ 二宮麻里 2013, p. 318.
  7. ^ 二宮麻里 2013, pp. 318–319.
  8. ^ 杉村啓 (2013年11月13日). “富久娘酒造の偽装事件、何が問題だったのか?”. All About. https://news.allabout.co.jp/articles/d/55278/ 2021年4月9日閲覧。 
  9. ^ 杉村啓 (2013年11月22日). “富久娘酒造の偽装事件が教えてくれた、これからのおいしいお酒の選び方”. All About. https://news.allabout.co.jp/articles/d/55736/ 2021年4月9日閲覧。 
  10. ^ 塚田紀史 (2018年5月13日). “不正をやる危ない会社は「組織図」でわかる”. 東洋経済. https://toyokeizai.net/articles/-/219258 2021年4月9日閲覧。 
  11. ^ “純米酒偽造問題で富久娘酒造社長を解任”. 日本経済新聞. (2014年2月27日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2701O_X20C14A2CC0000/ 2021年4月9日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 二宮麻里「明治期から大正期にかけての灘酒造業: 問屋依存型販売からの脱却と新興商人の酒類流通への参入」『福岡大學商學論叢』第57巻3・4、2013年、2021年4月9日閲覧 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]