オウム真理教のアニメ

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オウム真理教のアニメ(オウムしんりきょうのアニメ)では、オウム真理教が制作したアニメについて解説する。

概要[編集]

オウム真理教はアニメ漫画ファン層への布教を目的として、1991年に「MAT(マンガ・アニメ・チーム)」というスタジオを設ける。オウム出版から漫画を出版するかたわら、『超越世界』(全10話)、『超越神力』(全3話)、『創世記』、『仏典輪廻転生談ビデオ』、『私の真理実践記[注 1](全2話)と題したOVAも制作した。

『あなたもなれるかも? 未来を開く転輪聖王』(1巻・2巻、オウム出版)などの漫画単行本は、広く販売・配布された。それに比べてアニメの場合は内部関係者・信者向けの意味合いが濃く、一連の事件発覚前にはあまり知られていなかった。

アニメには麻原彰晃の他に、青山吉伸上祐史浩村井秀夫新実智光石井久子飯田エリ子松本知子遠藤誠一中川智正等も登場する。麻原のを演じているのは、麻原自身である。また、麻原がナレーションを務めることもあった。麻原だけでは無く、青山らも本人役で声を演じている(スタッフロールではホーリーネームでクレジットされている)。麻原の娘達が「神々の声」役を演じる事もあった。

本編・OP・ED共に実写パートが挿入される事があり(主に信者の修行の様子や教団の子供達が遊んでいる様子など)、麻原本人が出演する事もあった。

『超越神力』『超越世界』の主題歌はともに「超越神力」であり、両者でバージョンが異なっている。OPの場合『超越世界』では1番のみが流れるのに対し、『超越神力』ではフルバージョンが流れる。 『超越神力』のエンディングは「天へ帰れ」だが、クレジットではタイトルが「超越神力エンディングテーマ」となっている。OP同様フルバージョンで流れ、スタッフロールは3番から表示される。

後継団体であるAlephも、布教用にアニメを制作している。『進め真理教』など、旧団体の音楽も使用している。2015年8月にAlephの公式サイトのリニューアルに伴い、アニメは公開されなくなった。一部のアニメはYoutubeなどで閲覧することが可能。

アニメでの美化された麻原彰晃[注 2]と、実際の麻原とのギャップは、1995年当時マスメディアでも話題になった。なお『創世記』では美化の度合いが比較的低く、他作品と比べ本人に近い風貌となっている。

希少性、話題性に価値を見出す好事家も存在し、一部の動画共有サイトに『超越世界』がアップロードされ、ランキングの上位に入るなど話題になることもある。

超越世界[編集]

麻原彰晃を全面的に押し出した作品。一話につき5 - 6分の短編。前述の通り、麻原彰晃が美化されて登場している[注 2]。この作品における麻原彰晃は、単なる教団の代表としてだけでは無く、信者及び教団を幸福へと導く救世主かつ超能力者的側面が強い。作中でもそれが濃厚に出ている[1][2]

物語[編集]

登場人物[編集]

麻原彰晃(あさはら しょうこう)
- 麻原彰晃
主人公かつ実在の人物。オウム真理教の設立者であり、糞蟲。前述の通り作中では救世主かつ超能力者的側面が強く、幽体離脱をしてビルをすり抜けたり、後述の破戒をした信者に対し、電話で優しく諭したり、姿を消したりする場面が見受けられる。また、街を歩く姿を信者達に目撃されるが、それは彼の化身であった。
よしお
オウム真理教の信者。後述のんちこと共に、不邪淫の戒を破る(破戒)。回想シーンで1カットのみの登場であり、バレた後はポアされた。また、実在の人物かは不明。
んちこ
オウム真理教の信者。前述のよしおと共に、不邪淫の戒を破る(破戒)。それが麻原にバレた時は、彼から電話で諭される。よしおと同じく、実在の人物かは不明。
信者達
麻原曰く「修行をしないでお喋りをしている」、オウム真理教の4人の信者達。オウム真理教の道場で、よしおとみちこが不邪淫の戒を破った事で噂話をしており、それを麻原が異次元から立ち聞きをしていた。
カール・リンポチェ
チベット仏教の指導者かつ実在の人物(故人)。瞑想中の麻原の前に突如現れる。麻原は「超越神力」を以て彼との香港での巡り会いを予知していたが、彼もまた麻原の来訪を予知していたという。最期は超能力で麻原に別れを告げ、祖国チベットの土を二度と踏む事のないまま息を引き取った。
アーチャリー
麻原の娘(三女)。

各話リスト[編集]

超越世界
話数 サブタイトル 備考
これが尊師の超越神力 Part.1 浮揚! 麻原彰晃が初めて空中浮揚をする話を描いたエピソード[1]
これが尊師の超越神力 Part.2 異次元でのうわさ 麻原彰晃が異次元でよしおとみちこの破戒を知るエピソード[1]
これが尊師の超越神力 Part.3 化身の体験 麻原彰晃の化身を信者達が街で見掛けるエピソード[1]
これが尊師の超越神力 Part.4 巡り会い 麻原彰晃がカール・リンポチェと対面すべく、弟子達と共に海外へ飛び立つエピソード[2]
これが尊師の超越神力 Part.5 別れ 宗教的な交流を続けてきた麻原彰晃とカール・リンポチェの別れ(死別)を描いたエピソード[2]
これが尊師の超越神力 Part.6 尊師が消えた! 麻原彰晃が弟子達の前で、超越神力を用いて姿を消す能力を披露するエピソード[2]

超越神力[編集]

麻原本人の超能力者性よりも、宗教的な専門知識の解説や麻原や教団の体験談をアニメ化したエピソードが中心となる作品。一本あたり30分 - 1時間程度と比較的長い。 「天耳通」、「他心通」ではオープニング、エンディングがフルバージョンのため、約半分をオープニングとエンディングが占めている。 「宿命通」のみ作画が「超越世界」と同一のものとなっている。

物語[編集]

登場人物[編集]

先述の通り、作中で出てくるオウム関連の人物はいずれも本人が担当している。

麻原彰晃
主人公。「超越世界」ほど彼の存在は全面的に押し出されておらず、出番も比較的少ない。空中浮揚や化身、姿を消す等と言った派手な超能力を披露する場面も見られない。ただし「六神通」と呼ばれる神通力を駆使しており、「天耳通」では神々と対話する事で、監禁され薬物を投与された弟子を救出すると言った活躍を見せる。
また「宿命通」では、自分がイムホテプの生まれ変わりであることを語る。
ヤソーダラー(松本知子
「天耳通」では、麻原の命令で上祐に連絡を取った。
マイトレーヤ(上祐史浩
「天耳通」では、青山らと共に徳島地方裁判所へ芦川順一の人身保護請求に向かう。
サクラー(飯田エリ子
「天耳通」では、オウムに出家する為に両親を説得しに徳島まで帰省する芦川を見送る。
アパーヤージャハ(青山吉伸
「天耳通」では、遠藤、中川と共に徳島へ飛び立ち、芦川の両親の下へ面会に向かう。何故か芦川の事を「あしわ」と呼んでいる。
ジーヴァカ(遠藤誠一
「天耳通」では、青山・中川と共に芦川の両親の下へ面会に向かう。
ヴァジラティッサ(中川智正
「天耳通」では、青山・遠藤と共に芦川の両親の下へ面会に向かう。コーヒーは好きではない。実際の中川と同様医師であり、青山らと同行した理由も、薬物を投与されている芦川の体調を麻原が危惧したためである。
アーチャリー(松本麗華
「宿命通」では、麻原から過去世や4つのサマディに関する教えを説かれる。
芦川順一(あしかわ じゅんいち)
声 - 芦川順一(仮名・本人) モデルは石川公一とされている。
「天耳通」に登場。東京大学医学部生(モデルとなった石川も同様)。麻原曰く、熱心に修行に励む優秀な修行者。元はオウムの在家信徒だったが、出家する事になった為、ある日出家に反対する両親を説得しに徳島まで帰省する。しかしその後、オウムとの連絡が途絶え、麻原の「天耳通」の力で芦川が徳島の実家で監禁され薬物を投与されている事が分かり、幹部らが麻原の指示の下救出に向かう事となった。
芦川の父
声 - シンガーラピタル
「芦川病院」の院長を務める。息子・順一のオウム出家に反対しており、面会に訪れた青山達に対して始めは「診療で忙しいから帰れ!」と激昂していた。しかし、再び出直した際には終始意味深な笑みを浮かべ、柔和な応対を取っていた。それでも「全財産を擲ってでも被害者の会に入りオウムと戦う」「横浜弁護士会とも連絡を取る」とオウムとの敵対心を顕にした。
芦川の母
声 - アバヤマーター
息子・順一と同様オウム真理教の信徒。しかし父と同じく順一の出家には反対の意志を示している。青山達に対しては、最初「順一はオウムには入信したくないと言っていた」と話していたが、順一が旅行に出掛けている理由を尋ねられた際に「出家に反対している父と顔を合わせたくないから」と答えた為、青山に「出家の意志はまだあるのでは?」と矛盾点を指摘されてしまう。しかし、午後に再び面会に来た際には、父と共に愛想笑いを浮かべながら「突然面会に来られたので気が動転していた」と弁解していた。
裁判官
声 - エーラカ

各話リスト[編集]

超越神力
話数 サブタイトル 備考
PART1 天耳通 麻原彰晃らオウム信者が監禁されている芦川順一を救出するエピソード
PART2 他心通 麻原彰晃が人の心を見抜く「他心通」について語るエピソード
PART3 宿命通 麻原彰晃が過去世を知るプロセスと、その例について語ったエピソード

関連書籍など[編集]

「AUM MAT STUDIO」関係者の証言は、以下の出版物に見ることができる。

太田出版 1997年4月、ISBN 4-87233-329-2
pp.202-213所収の、「フィルムは生きているか? -- 元オウム・アニメーターの告白」
  • 岡田斗司夫・著『世紀の大怪獣!!オカダ -- 岡田斗司夫のお蔵出し』
イースト・プレス 1998年7月 ISBN 4-87257-125-8 (上記インタビューを収録)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 現在Aleph公式サイトで信者の体験談に基づいたflashアニメ『わたしの真理実践記』が公開されているが内容に関連はない
  2. ^ a b アニメでの麻原の髪型は、作品によって前髪を中央から左右に分けていたりオールバックであったりと、キャラクターデザインは統一されていない。但し、左米神の黒子はいずれも再現されている。

出典[編集]