エールステ・ディヴィジ

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エールステ・ディヴィジ
加盟国 オランダの旗 オランダ
大陸連盟 UEFA
創立 1956
参加クラブ 20
リーグレベル 第2部
上位リーグ エールディヴィジ
下位リーグ トゥヴェーデ・ディヴィジ
国内大会 KNVBカップ
最新優勝クラブ ヘラクレス・アルメロ (3回目) (2022-23)
最多優勝クラブ フォレンダム (6回)
テレビ局 ESPN英語版
Veronica TV英語版
公式サイト 公式サイト
2023-24

エールステ・ディヴィジオランダ語: Eerste Divisieオランダ語発音: [ˈeːrstə diˈvizi], 英語: First Division)は、オランダにおけるプロサッカーの2部リーグである[注釈 1]

リーグの名称は、スポンサーであるオランダの台所製造企業のブランド名を冠して「ケウケン・カンピウーン・ディヴィジ」と呼称される。以前はベルギーのビール醸造会社がスポンサーで「ジュピラーリーグ」と、職業別電話帳の会社がスポンサーで「ハウデン・ヒッズ・ディヴィジ」[1] と称していた。なお、ベルギーのサッカーリーグは現在もジュピラーがスポンサーであり、こちらの呼び名はジュピラー・プロ・リーグである。

概要[編集]

エールステ・ディヴィジは基本的には20クラブで構成されており、2回総当りのホーム・アンド・アウェー方式で行われる。優勝クラブは自動的に翌シーズンのエールディヴィジに昇格し、代わりにエールディヴィジの18位(最下位)クラブが自動的に降格してくる。その他のエールステ・ディヴィジ8クラブとエールディヴィジ16位・17位のクラブが入れ替え戦(ジュピラーPO)に進出し、翌シーズンのエールディヴィジの枠を争う。

エールステ・ディヴィジからの降格・下部リーグであるフーフトクラッセからの昇格は、原則として認められていなかった。これはエールディヴィジとエールステ・ディヴィジのみがプロリーグであり、これより下のリーグはアマチュアリーグだったためである。しかし、2010-11シーズンからアマチュアクラブにもプロリーグ挑戦の門戸を開放することを目指し、トップクラッセを設立。初回のシーズンはエールステの最下位(19位[注釈 2])・FCオスがトップクラッセに降格した[注釈 3]

2012-13シーズンの2クラブの財政破綻を受け、KNVBは2013年夏にリーグ改革に着手。トップクラッセからアヒレス'29、エールディヴィジのリザーブからヨング・アヤックス、ヨング・PSV、ヨング・トゥエンテを加えた20チームでのリーグ戦に変更[2]。2015-16シーズンはヨング・トゥエンテが財政難からジュピラー・リーグを撤退したため、一時的に19クラブでのリーグ戦となった。

KNVBは2016-17シーズンから、オランダ・フットボールの新たなヒエラルキーの構成として『フットボール・ピラミッド』を導入。新設されるプロリーグとアマチュアリーグを繋ぐプロ3部リーグのトゥヴェーデ・ディヴィジ(18クラブ)と、ジュピラー・リーグの間での入れ替えが義務化される[3]

2019-20シーズンの4月24日、オランダ国内の新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、2部史上初のリーグ打ち切りが発表された[4]。これにより、打ち切り時点で自動昇格順位にいた2部首位のSCカンブール・レーワルデンと2位デ・フラーフスハップエールディヴィジ昇格が消滅し、翌2020-21シーズンもエールステ・ディヴィジで戦う事になった。

入れ替え戦[編集]

エールディヴィジ[編集]

オランダ独特の方式を採用している。入れ替え戦参加資格は以下のように決定する。

  1. エールディヴィジ 16位
  2. エールステ・ディヴィジのピリオド・チャンピオン[注釈 4]4クラブ
  3. ピリオド・チャンピオン以外でレギュラーシーズンの順位 上位2クラブ
  4. 上記項目で判断したが、ピリオド・チャンピオンが該当なしであった場合や、ピリオド・チャンピオンが既にシーズン順位で自動昇格を得ている場合など、参加資格に空きがあるときはレギュラーシーズンの順位が上位であるクラブ[注釈 5]に資格を与える。
  5. 決定したエールステ・ディヴィジからの6クラブにはシーズン順位を元に1~6位の順位付けがなされ、入れ替え戦の際にその順位が使用される。

エールディヴィジの1クラブを合わせた全7クラブがエールディヴィジ1枠を賭けて、3ラウンドで争う。全ラウンドともホーム・アンド・アウェー方式で行われ、1勝1敗、あるいは2分けに終わった場合そのまま延長戦・PK戦を行って決着をつける。

  • 第1ラウンド
    • A - エールステ・ディヴィジの1位 vs エールステ・ディヴィジの6位
    • B - エールステ・ディヴィジの2位 vs エールステ・ディヴィジの5位
    • C - エールステ・ディヴィジの3位 vs エールステ・ディヴィジの4位
  • 第2ラウンド
    • D - Aの勝者 vs Bの勝者
    • E - Cの勝者 vs エールディヴィジの16位
  • 第3ラウンド
    • F - Dの勝者 vs Eの勝者

Fの勝者が来季エールディヴィジへ。

トゥヴェーデ・ディヴィジ[編集]

オランダではプロとアマの棲み分けが完全になされた伝統から、2009-10シーズンまではエールステ・ディヴィジとアマチュア1部(実質3部)のフーフトクラッセとの入れ替えは認められていなかったが、アマチュアクラブにも将来的なプロリーグ参入を目指せる環境づくりを提供することを念頭に、トップクラッセという新ディビジョンを発足。2009-10シーズンはエールステ・ディヴィジ最下位(19位)のFCオスが降格したのみだったが、2010-11シーズンからはエールステ・ディヴィジの最下位チームとトップクラッセの総合優勝チーム[注釈 6]とが自動的に入れ替わる。ただしトップクラッセの優勝チームには昇格の拒否権があり、その場合はプレーオフで敗退したクラブが昇格する。そのクラブも拒否した場合、入れ替えは行われない。

2016‐17シーズンからは3部リーグの「トゥヴェーデ・ディヴィジ」が発足したのに伴い、エールステ・ディヴィジの下位数クラブと、トゥヴェーデ・ディヴィジの上位数クラブが自動入れ替え、または入れ替え戦を行う。4部に格下げとなるトップクラッセとの入れ替えは、トゥヴェーデ・ディヴィジとの間が対象となる。

リザーブチーム[編集]

2013-14シーズンから試験的に2年間、リザーブリーグからアヤックス、PSV、トゥエンテの各リザーブチーム(ヨング)がエールステ・ディヴィジに参加。2015-16シーズンからはトゥエンテが撤退し、アヤックスとPSVの両ヨングチームが参加している。リザーブチームはあくまで経験を積む場としての参加であり、昇格は争わないため、入れ替えプレーオフ参加資格もない[注釈 7]

現在の規定ではこれまでのリザーブチームのルールとは違い、同じ週にエールディヴィジとエールステ・ディヴィジの両方でプレーできる選手の数は、禁止規定が2015年夏に緩和されて2人まで。23歳以上でトップチームで10回以上スタメンまたは10回以上45分間以上プレーした選手は、それ以降ジュピラー・リーグでの出場資格を失う。また、リザーブチームはこれまで同様にKNVBカップの出場資格は持たない[3]

所属クラブ[編集]

2022-23シーズン
クラブ名 ホームタウン ホームスタジアム 収容人数 前年度順位
FCエメン エメン デ・アウデ・メールダイク 8,309 エールディヴィジ16位
SCカンブール レーワルデン カンブール・スタディオン 10,500 エールディヴィジ17位
FCフローニンゲン フローニンゲン エウロボルグ 22,550 エールディヴィジ18位
ヴィレムII ティルブルフ コニング・ヴィレムII・スタディオン 14,500 4位
MVVマーストリヒト マーストリヒト デ・ヘウセルト 10,000 5位
NACブレダ ブレダ ラット・フェルレフ・スタディオン 19,000 6位
VVVフェンロー フェンロー コフェボ=スタディオン 8,000 7位
アイントホーフェン アイントホーフェン ヤン・ルーヴェルス・スタディオン 4,600 8位
テルスター フェルセン BUKOスタディオン 3,060 9位
デ・フラーフスハップ ドゥーティンヘム デ・ファイフェルベルフ 12,600 10位
ヨングAZ アルクマール AFASトレーニング・コンプレックス 200 11位
ADOデン・ハーグ デン・ハーグ ビンゴール・スタディオン 15,000 12位
ヨング・アヤックス アムステルダム スポルトパルク・デ・トゥーコムスト 2,050 13位
ヨングPSV アイントホーフェン PSVキャンパス・デ・ヘルトガング 2,500 14位
ローダJC ケルクラーデ パルクスタット・リンブルフ・スタディオン 19,979 15位
ヘルモント・スポルト ヘルモント GSスタールヴェルケン・スタディオン 4,100 16位
TOPオス オス フランス・ヘーセン・スタディオン 4,560 17位
ドルトレヒト ドルトレヒト スタディオン・クロメダイク 4,235 18位
デン・ボス スヘルトーヘンボス デ・フリールト 8,713 19位
ヨング・ユトレヒト ユトレヒト スポルトコンプレックス・ズーデンバルヒ 550 20位

歴代優勝クラブ[編集]

シーズン 優勝 準優勝
1956-57 ADO
ブラウ・ウィット
アルクマール'54
ストルムフォーヘルス
1957-58 ヴィレムII
SHS
DFC
ストルムフォーヘルス
1958-59 FCフォレンダム
シッターディア
レーワルデン
ストルムフォーヘルス
1959-60 GVAV
アルクマール'54
フィテッセ
DFC
1960-61 FCフォレンダム
ブラウ・ウィット
デ・フォレワイカース
DHC
1961-62 ヘラクレス
フォルトゥナ・フラールディンゲン
SBVエクセルシオール
DHC
1962-63 DWS ゴー・アヘッド
1963-64 シッターディア テルスター
1964-65 ヴィレムII USVエリンクワイク
1965-66 シッターディア クセルクセス
1966-67 FCフォレンダム NEC
1967-68 ホラント・スポルト AZ'67
1968-69 SVV HFCハールレム
1969-70 FCフォレンダム SBVエクセルシオール
1970-71 FCデン・ボス GVAV
1971-72 HFCハールレム AZ'67
1972-73 ローダJCケルクラーデ PECズヴォレ
1973-74 SBVエクセルシオール フィテッセ
1974-75 NEC FCフローニンゲン
1975-76 HFCハールレム FC VVV
1976-77 フィテッセ PECズヴォレ
1977-78 PECズヴォレ MVVマーストリヒト
1978-79 SBVエクセルシオール FCフローニンゲン
1979-80 FCフローニンゲン FCフォレンダム
1980-81 HFCハールレム SCヘーレンフェーン
1981-82 ヘルモント・スポルト フォルトゥナ・シッタート
1982-83 DS'79 FCフォレンダム
1983-84 MVVマーストリヒト FCトゥウェンテ
1984-85 SCヘラクレス FC VVV
1985-86 FCデン・ハーグ PECズヴォレ
1986-87 FCフォレンダム ヴィレムII
1987-88 RKCヴァールヴァイク BVフェーンダム
1988-89 フィテッセ FCデン・ハーグ
1989-90 SVV NACブレダ
1990-91 デ・フラーフスハップ NACブレダ
1991-92 SCカンブール BVVデン・ボス
1992-93 VVVフェンロー SCヘーレンフェーン
1993-94 ドルトレヒト'90 NEC
1994-95 フォルトゥナ・シッタート デ・フラーフスハップ
1995-96 AZ FCエメン
1996-97 MVVマーストリヒト SCカンブール
1997-98 AZ SCカンブール
1998-99 FCデン・ボス FCフローニンゲン
1999-00 NACブレダ FCズヴォレ
2000-01 FCデン・ボス SBVエクセルシオール
2001-02 FCズヴォレ SBVエクセルシオール
2002-03 ADOデン・ハーグ FCエメン
2003-04 FCデン・ボス SBVエクセルシオール
2004-05 ヘラクレス・アルメロ スパルタ・ロッテルダム
2005-06 SBVエクセルシオール VVVフェンロー
2006-07 デ・フラーフスハップ VVVフェンロー
2007-08 FCフォレンダム RKCヴァールヴァイク
2008-09 VVVフェンロー RKCヴァールヴァイク
2009-10 デ・フラーフスハップ SCカンブール
2010-11 RKCヴァールヴァイク FCズヴォレ
2011-12 FCズヴォレ スパルタ・ロッテルダム
2012-13 SCカンブール FCフォレンダム
2013-14 ヴィレムII FCドルトレヒト
2014-15 NEC FCアイントホーフェン
2015-16 スパルタ・ロッテルダム VVVフェンロー
2016-17 VVVフェンロー ヨング・アヤックス
2017-18 ヨング・アヤックス フォルトゥナ・シッタート
2018-19 トゥウェンテ スパルタ・ロッテルダム
2019-20 新型コロナウイルス感染症で中止
2020-21 SCカンブール ゴー・アヘッド・イーグルス
2021-22 エメン フォレンダム
2022-23 ヘラクレス・アルメロ PECズヴォレ

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「エールステ (Eerste)」とはオランダ語で1番という意味であるが、2部リーグである。
  2. ^ 当初20チームだったがハールレムがシーズン途中で経営破綻し、参加を辞退。それとの試合も無効扱いとなったため、19チームでの開催となった。
  3. ^ 2010年10月放映「FIFAフットボール・ムンディアル」より。
  4. ^ ピリオド・チャンピオンとはレギュラーシーズンの9~10節ごとにチャンピオンを決めるものである。既に前のピリオドでチャンピオンになっているクラブが、同シーズンに再びピリオド1位になった場合は、そのピリオド2位のクラブがピリオド・チャンピオンとなる。2位のクラブも既にピリオド・チャンピオンになっている場合は該当なしとなる。
  5. ^ 上記3で資格を得たクラブに続く順位のクラブ。
  6. ^ 土曜日組・日曜日組の予選リーグそれぞれの優勝クラブでのプレーオフの勝利チーム。
  7. ^ 日本のJ3リーグとほぼ同じモデルである。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • KeukenKampioenDivisie.nl – エールステ・ディヴィジ公式サイト (オランダ語)
  • KNVB.nl – KNVB公式サイト (オランダ語)(英語)
  • League321.com – Dutch football league tables, records & statistics database (英語)