エンニオ・デ・ジョルジ

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エンニオ・デ・ジョルジ
生誕 (1928-02-08) 1928年2月8日
レッチェイタリア
死没 1996年10月25日(1996-10-25)(68歳)
ピサイタリア
国籍 イタリア
研究分野 変分法偏微分方程式
研究機関 ピサ高等師範学校
出身校 ローマ・ラ・サピエンツァ大学
博士課程
指導教員
マウロ・ピコーネ英語版
博士課程
指導学生
主な業績 カチョッポリ集合英語版理論、ヒルベルトの第19問題英語版の解決, 極小曲面の存在と正則性の定理
主な受賞歴
プロジェクト:人物伝
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エンニオ・デ・ジョルジEnnio De Giorgi1928年2月8日 - 1996年10月25日)は、イタリア数学者で、ジョルジ家英語版の一員である。デ・ジョルジは偏微分方程式数学基礎論の分野で活動した。名前は「エンニオ・ドジョルジ」とも表記される。

数学的業績[編集]

デ・ジョルジは極小曲面に関するベルンシュテインの問題英語版を解決した。そのような曲面は、与えられた境界に広がる最小面積の曲面として生じる。証明するうえで、デ・ジョルジはコンパクト性定理とともに、現在幾何学的測度論英語版と呼ばれているものの独自の形式を開発する必要があった。そしてデ・ジョルジは、余次元が少なくとも2の閉部分集合の外部では、極小超曲面は解析的であるとの結論を得ることができた。

デ・ジョルジは楕円型偏微分方程式の解の正則性に関するヒルベルトの第19問題英語版を解決した。デ・ジョルジが研究を開始した時代、数学者は2変数の2階非線型楕円型方程式を超えるものは何も扱うことができなかった。1957年の最初の主要なブレイクスルーの中で、デ・ジョルジは可測な係数だけを持った発散形式の一様楕円型2階方程式の解はヘルダー連続であることを証明した。この結果は、同じくヒルベルトの問題を研究していたジョン・ナッシュにより1957年から58年に並行して証明されていた。デ・ジョルジの結果が先に出版され、1958年のフィールズ賞はこの2人の数学者のどちらかに与えられると予想されていたが、結局ルネ・トムに授与された。

この業績により、デ・ジョルジは数学コミュニティの中で不朽の名声を得ることとなり、多くの賞が授与された。その中には、1960年のカチョッポリ賞英語版、1973年にイタリア共和国の大統領から贈られたアッカデーミア・デイ・リンチェイの国家賞、そして1990年にイスラエル共和国の大統領から贈られたウルフ賞数学部門が含まれる。デ・ジョルジは、1983年ソルボンヌの祝賀会にてパリ大学から数学の名誉学位を、1992年レッチェ大学英語版から哲学の名誉学位をそれぞれ授与された。多くのアカデミー、すなわちアッカデーミア・デイ・リンチェイローマ教皇庁科学アカデミー、トリノ科学アカデミー、ロンバルド科学文学協会、パリの科学アカデミー (フランス)、アメリカの米国科学アカデミーの会員に選出された。

デ・ジョルジはピサ高等師範学校に長い年月関わり、その時代におけるヨーロッパの解析学の傑出した学校へと導いた。ルイス・ニーレンバーグジョン・ナッシュレナート・カチョッポリ英語版といった、その時代の多くの指導的な数学者と文通をした。

名言[編集]

  • 「もし定理が証明できなければ、証明できるまで結論の一部を仮定に移行し続けよ。」[1]

主な著作物[編集]

論文[編集]

科学論文[編集]

  • De Giorgi, Ennio (1953), “Definizione ed espressione analitica del perimetro di un insieme” (Italian), Atti della Accademia Nazionale dei Lincei, Rendiconti della Classe di Scienze Fisiche, Matematiche e Naturali, 8 14: 390–393, MR0056066, Zbl 0051.29403 . The first note published by De Giorgi on his approach to Caccioppoli sets.
  • De Giorgi, Ennio (1954), “Su una teoria generale della misura (r-1)-dimensionale in uno spazio ad r dimensioni” (Italian), Annali di Matematica Pura ed Applicata, IV 36 (1): 191–213, doi:10.1007/BF02412838, hdl:10338.dmlcz/126043, MR0062214, Zbl 0055.28504 . The first complete exposition of his approach to the theory of Caccioppoli sets by De Giorgi.
  • De Giorgi, Ennio; Ambrosio, Luigi (1988), “Un nuovo tipo di funzionale del calcolo delle variazioni” (Italian, English), Atti della Accademia Nazionale dei Lincei, Rendiconti della Classe di Scienze Fisiche, Matematiche e Naturali, 8 82 (2): 199–210, MR1152641, Zbl 0715.49014, http://www.bdim.eu/item?id=RLIN_1988_8_82_2_199_0 . The first paper on SBV functions and related variational problems.
  • Ambrosio, Luigi; De Giorgi, Ennio (1988), “Problemi di regolarità per un nuovo tipo di funzionale del calcolo delle variazioni” (Italian, English), Atti della Accademia Nazionale dei Lincei, Rendiconti della Classe di Scienze Fisiche, Matematiche e Naturali, 8 82 (4): 673–678, MR1139814, Zbl 0735.49036, http://www.bdim.eu/item?id=RLIN_1988_8_82_4_673_0 .

レビュー論文[編集]

書籍[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ D'Ancona, Piero (2013年3月11日). “Should one attack hard problems?”. 2020年4月5日閲覧。

参考文献[編集]

伝記あるいは全般[編集]

科学[編集]

外部リンク[編集]