エントラント

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エントラント

  • ポリウレタン素材の商品名。本項で解説。
  • スポーツ全般における参加者。特にモータースポーツ業界で多用される用語。

エントラントEntrant)は東レが独自に開発した独自に開発したポリウレタン防水膜の防水透湿性素材である[1]

東レコーテックスは1960年代から人造皮革を作っておりポリウレタン素材やその発泡技術を持っていた[1]。高分子化学技術革新により防水透湿素材が世界の注目を集めてアウトドアウェア用にも広く使われ始めたのを受け、東レコーテックスは東レ本社のテキスタイル開発センターと共同で1979年に防水透湿素材の開発を始めた[1]

まず最初にベースとなる布地の上に水溶性溶剤を混ぜたポリウレタン特殊ポリマーを薄くコーティングし、水に潜らせるとポリウレタン中のポリマーが溶け出す過程で発泡したような無数の穴が開く[1]。その後ポリウレタン層は水中で凝固するが表面に天然皮革のような模様があり、中はスポンジのような人造皮革となる[1]。これを湿式凝固法という[1]。この方法で200マイクロメートル程の極薄の多孔膜を布地にコーティングしたものがエントラントである[1]

第一世代[編集]

1980年に初代製品が完成、耐水圧は2,000mm、JIS L-1099A-1法(以降A-1法と表記する)による透湿性は4,000g/1m2/24時間であった[1]。1982年にエントラントαへ進化、1983年エントラント20001984年エントラントHPに進化した[1]

第二世代[編集]

たまたま試した助剤が良い働きをするなど幸運に恵まれ、順調に進化した[1]

1993年エントラントGIIで耐水圧は5,000mm、A-1法による透湿性は8,000g/1m2/24時間を達成し、当時世界的ブームになっていたスノーボードブランドの注目を浴びてバートン(Burton )、セッションズ(Sessions )、フォースター(Fourstar )、ヴォルコム(Volcom )、ビラボン(Billabong )などが採用して一気に世界の表舞台に躍り出た[1]。またアウトドアブランドにも認められ、例えばジャックウルフスキンテキサポールは山岳用に特別に調整されたエントラントGIIのOEM製品であり、パタゴニアH2NoにもエントラントGIIをベースに東レと共同開発したものがある[1]1994年エントラント3L1996年に耐水圧20,000mm、A-1法による透湿性6,000g/1m2/24時間、JIS L-1099B-1法(以降B-1法と表記する)による透湿性20,000g/1m2/24時間のエントラントXT2001年エントラントHBが開発された[1]

第三世代[編集]

2000年代に入ると素材メーカーの競争は激化し、B-1法で測定される動的な透湿性の向上が求められるようになった[1]。東レは透湿性のバランスについて、アウトドアウェアの場合でA-1法8,000g/1m2/24時間以上、B-1法10,000-20,000g/1m2/24時間程度が最も快適であると仮定しB-1法10,000g/1m2/24時間を目標としたが、開発は難航した[1]。しらみつぶしに原料の配合比率や発泡制御溶剤の成分や比率を変え、さらに細かくさらに均一でさらに多くの空隙ができる配合を探した[1]

2002年に耐水圧10,000mm、A-1法による透湿性10,000g/1m2/24時間、B-1法による透湿性10,000g/1m2/24時間のエントラントVとなり、ヘンリー・ロイドに採用されたほか、独自の調整を受けてザ・ノース・フェイスハイベントパタゴニアの新型H2Noとして採用された[1]。2002年にはエントラントDT2006年には耐水圧20,000mm、A-1法による透湿性10,000g/1m2/24時間、B-1法による透湿性10,000g/1m2/24時間のエントラントW2008年には植物由来の樹脂をベースとしたエントラントECが開発された[1]

第四世代[編集]

2012年に耐水圧20,000mm、A-1法による透湿性10,000g/1m2/24時間、B-1法による透湿性20,000g/1m2/24時間の高透湿型が生産開始になった[1]2014年には裏地の代わりに網状カバーを掛けたいわゆる2.5層構造のエントラント3Dが完成し、2015年からアウトドアブランド各社に採用されている[1]

外部リンク[編集]

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 『特集 ベストバイ! 山道具完全カタログ』pp.088-091。

参考文献[編集]

  • PEAKS2015年4月版No.65『特集 ベストバイ! 山道具完全カタログ』枻出版社