エリック・テームズ

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エリック・テームズ
Eric Thames
ワシントン・ナショナルズ時代
(2020年9月12日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州サンタクララ
生年月日 (1986-11-10) 1986年11月10日(37歳)
身長
体重
180 cm
106 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 一塁手右翼手左翼手
プロ入り 2008年 MLBドラフト7巡目
初出場 MLB/2011年5月18日
KBO/2014年4月1日
NPB/2021年4月27日
最終出場 NPB/2021年4月27日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

エリック・アレン・テームズEric Allyn Thames、英語発音: /θeɪmz/、1986年11月10日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ出身の元プロ野球選手一塁手外野手)。右投左打。

愛称は[1]サンナムジャ(상남자:「男の中の男」の意味)[2]

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

ペパーダイン大学時代はチェイス・ダーノーとチームメイトだった。2007年MLBドラフト39巡目(全体1191位)でニューヨーク・ヤンキースから指名されるが、この時は契約せずにもう1年間大学でプレー[3]

プロ入りとブルージェイズ時代[編集]

ブルージェイズ時代(2011年9月11日)

2008年MLBドラフト7巡目(全体219位)でトロント・ブルージェイズから指名され、プロ入り[4]

2010年はAA級ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツ打率.288・27本塁打・104打点という成績を残し、例年ブルージェイズが傘下マイナーリーグ各階級の最優秀選手を表彰する「ハワード・ウェブスター賞」(AA級の部)を受賞した[5]

2011年はAAA級ラスベガス・フィフティワンズで開幕を迎える。36試合出場時点で打率.342、6本塁打、30打点と活躍し、故障者リスト入りしたアダム・リンドの代替要員として5月18日のタンパベイ・レイズ戦でメジャーデビュー[6]。再昇格した夏場以降は左翼手のレギュラーとして起用され、12本塁打を放った。

マリナーズ時代[編集]

2012年7月31日にスティーブ・デラバーとのトレードで、シアトル・マリナーズへ移籍した[7]

オリオールズ傘下時代[編集]

2013年6月30日にタイ・ケリーとのトレードで、ボルチモア・オリオールズへ移籍した[8]。移籍後は主に傘下のAAA級ノーフォーク・タイズでプレーしていたが、9月1日にDFAとなった。

アストロズ傘下時代[編集]

2013年9月5日にウェイバー公示を経てヒューストン・アストロズへ移籍した。オフの12月9日に自由契約となった。

NCダイノス時代[編集]

2013年12月10日に韓国プロ野球(KBO)のNCダイノスと契約し[9]、球団史上初の外国人野手となった。登録名は테임즈(テイムジュ)。

2014年は、打率.343(リーグ8位)、37本塁打(同2位)、121打点(同2位)、305塁打(同3位)、95得点(同6位)、6三塁打(同8位タイ)などの好成績で、チームの4番打者としてシーズンを通して活躍した。

2015年4月9日、起亜タイガース戦でKBO史上16人目のサイクル安打を記録した。8月11日のネクセン・ヒーローズ戦でKBO史上初の1シーズン2度目のサイクル安打も記録した。8月28日のハンファ・イーグルス戦でKBO史上6人目の30本塁打・30盗塁を達成、10月2日にはSKワイバーンズ戦でアジアプロ野球史上初のシーズン40本塁打・40盗塁を達成した。また打率.381で自身初の個人タイトルとなる首位打者MVPを受賞し、他にも180安打(リーグ4位)、42二塁打(同1位タイ)、5三塁打(同6位タイ)、47本塁打(同3位タイ)、140打点(同2位)、373塁打(同2位)、40盗塁(同5位)、130得点(同1位)、103四球(同2位)、出塁率.497(同1位)、長打率.790(同1位)、OPS1.287(同1位)などと圧倒的な成績を残し、長打率とOPSでKBO記録を塗り替えた。一塁手としてゴールデングラブ賞も受賞した。

2016年は2年連続40本塁打を記録し、崔廷とともに自身初の本塁打王となった。しかしその一方で、9月30日に飲酒運転で取り締まりを受け、KBOから公式戦残り試合の出場停止、ポストシーズン1試合の出場停止、罰金5,000ドルの処分が下された。

ブルワーズ時代[編集]

ミルウォーキー・ブルワーズ時代
(2019年)

2016年11月29日にミルウォーキー・ブルワーズと3年総額1500万ドルで契約し、4年ぶりにメジャーに復帰した[10]

2017年は5年ぶりにMLB復帰[1]。4月にはリーグトップの11本塁打を記録すると同時に、4月月間最多本塁打記録に並んだ[1]。2017年シーズン通算では31本塁打を記録。これにより、初めてKBOとMLBの両方でシーズン30本塁打以上を記録した選手となった。シーズン後の10月19日に古巣NC戦にて始球式を行うために訪韓した。

2019年、オフの10月31日にフリーエージェント(FA)となった[11]

ナショナルズ時代[編集]

2020年1月8日にワシントン・ナショナルズと400万ドルの1年契約を結んだ[12]。41試合の出場で打率.203、3本塁打、12打点だった。オフの10月28日に球団が契約延長オプションを放棄したため、FAとなった[13]

巨人時代[編集]

2020年12月30日に日本プロ野球(NPB)の読売ジャイアンツと120万ドル(約1億2500万円)の1年契約を結んだ[14][15]。背番号は44[16]

2021年COVID-19流行の影響による入国制限で開幕までに来日できず、3月29日に来日[17]。2週間の隔離生活を経て4月中旬にようやくチームに合流し、入団会見を行った[18]。その後は二軍公式戦9試合に出場し打率.500(22打数11安打)、4本塁打、15打点を記録し、4月27日に一軍へと昇格した[19][20]。同日の東京ヤクルトスワローズ戦(明治神宮野球場)では6番・左翼手で先発出場したが、3回裏一死一、二塁の場面でホセ・オスナの放った簡単な打球をジャンプして捕球しようとした際に右脚を負傷して転倒し、悶絶。そのまま自力で起き上がることが出来ずに担架に乗せられて退場した。試合後、病院にて右アキレス腱断裂と診断された[21][22]。その後は4月30日に手術を受けるためにアメリカへ帰国したまま[23]、復帰することなくシーズン途中の8月23日に退団が発表された[24]。結果的にわずか1試合、2打席、3イニング足らずの出場で日本を去った。

アスレチックス傘下時代[編集]

当初は韓国球界復帰を目指していたが、2022年2月18日にオークランド・アスレチックスとマイナー契約を結んだ。しかし、メジャー昇格することなく5月10日に解雇された。

2023年2月16日、自身のInstagramにて現役引退を発表した[25]

人物[編集]

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2011 TOR 95 394 362 58 95 24 5 12 165 37 2 1 1 3 23 0 5 88 7 .262 .313 .456 .769
2012 46 160 148 17 36 7 1 3 54 11 0 1 0 2 9 0 1 40 7 .243 .288 .365 .652
SEA 40 130 123 10 27 5 2 6 54 14 1 0 1 0 6 0 0 47 0 .220 .256 .439 .695
'12計 86 290 271 27 63 12 3 9 108 25 1 1 1 2 15 0 1 87 7 .232 .273 .399 .672
2014 NC 125 514 443 95 152 30 6 37 305 121 11 2 0 6 58 5 7 99 6 .343 .422 .688 1.110
2015 142 595 472 130 180 42 5 47 373 140 40 8 0 7 103 11 13 91 7 .381 .497 .790 1.287
2016 123 529 436 118 140 30 3 40 296 121 13 4 0 7 74 6 12 103 2 .321 .427 .679 1.106
2017 MIL 138 551 469 83 116 26 4 31 243 63 4 2 0 0 75 5 7 163 6 .247 .359 .518 .877
2018 96 278 247 41 54 10 3 16 118 37 7 0 0 0 29 4 2 97 3 .219 .306 .478 .783
2019 149 459 396 67 98 23 2 25 200 61 3 2 0 2 51 4 10 140 0 .247 .346 .505 .851
2020 WSH 41 140 123 10 25 5 0 3 39 12 1 0 0 0 14 1 3 42 2 .203 .300 .317 .617
2021 巨人 1 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 .000 .000 .000 .000
MLB:6年 605 2112 1868 286 451 100 17 96 873 235 18 6 2 7 207 14 28 617 25 .241 .325 .467 .792
KBO:3年 390 1638 1351 343 472 102 14 124 974 382 64 14 0 20 235 22 32 293 15 .349 .451 .721 1.172
NPB:1年 1 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 .000 .000 .000 .000
  • 2020年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高、赤太字はKBOにおける歴代最高。

年度別守備成績[編集]

一塁守備


一塁(1B)












2014 NC 118 913 71 13 92 .987
2015 125 934 70 4 88 .996
2016 114 803 52 4 88 .995
2017 MIL 108 805 71 6 79 .993
2018 29 194 15 3 15 .986
2019 105 639 45 3 63 .996
2020 WSH 27 163 9 2 20 .989
KBO 357 2650 193 20 268 .993
MLB 269 1801 140 14 177 .993
外野守備


左翼(LF) 右翼(RF)
























2011 TOR 52 91 1 1 0 .989 27 55 1 1 1 .982
2012 43 72 0 1 0 .986 -
SEA 1 3 0 0 0 1.000 35 70 1 2 0 .973
'12計 44 75 0 1 0 .987 35 70 1 2 0 .973
2014 NC 1 0 0 0 0 -
2017 MIL 25 25 0 1 0 .962 5 5 0 0 0 1.000
2018 10 11 1 0 1 1.000 31 46 1 2 0 .959
2019 - 12 10 1 0 0 1.000
2021 巨人 1 0 0 1 0 .000 -
MLB 131 202 2 3 1 .986 110 186 4 5 1 .974
  • 2021年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル[編集]

KBO

記録[編集]

KBO
NPB

背番号[編集]

  • 46(2011年)
  • 14(2012年 - 同年途中、2014年 - 2016年)
  • 10(2012年途中 - 同年終了)
  • 7(2017年 - 2019年)
  • 9(2020年)
  • 44(2021年 - 同年8月22日)

脚注[編集]

  1. ^ a b c 韓国“神”強打者、MLB復帰で「驚愕HRペース」を米メディア分析「次元違う」”. Full-Count (2017年4月25日). 2017年8月27日閲覧。
  2. ^ What you need to know for Players Weekend” (英語). MLB.com (2017年8月26日). 2017年8月27日閲覧。
  3. ^ 39th Round of the 2007 MLB June Amateur Draft” (英語). Sports Reference LLC. 2011年5月17日閲覧。
  4. ^ 7th Round of the 2008 MLB June Amateur Draft” (英語). Sports Reference LLC. 2011年5月17日閲覧。
  5. ^ Thames Wins Blue Jays R. Howard Webster Award” (英語). New Hampsher Fisher Cats. 2011年6月28日閲覧。
  6. ^ Chisholm, Gregor(2011-05-17). Thames takes his place with big league club” (英語). bluejays.com. 2011年6月28日閲覧。
  7. ^ http://www.tsn.ca/mlb/story/?id=401918
  8. ^ Orioles acquire outfielder Eric Thames from Seattle” (英語). MASN (2013年6月30日). 2021年5月2日閲覧。
  9. ^ Eric Thames is headed to Korea”. NBC Sports (2013年12月9日). 2021年5月2日閲覧。
  10. ^ Adam McCalvy (2016年11月29日). “Brewers add Thames on three-year deal” (英語). MLB.com. 2016年11月30日閲覧。
  11. ^ Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (2019年11月8日). “Here are every team's free agents this winter” (英語). MLB.com. 2019年12月2日閲覧。
  12. ^ Zachary Silver (2020年1月8日). “Cabrera, Thames excited to join Nats' infield mix” (英語). MLB.com. 2020年1月9日閲覧。
  13. ^ Nationals Decline Options On Eaton, Sanchez, Kendrick, Thames” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年10月28日閲覧。
  14. ^ 新外国人選手との契約合意について”. 読売巨人軍公式サイト (2020年12月30日). 2020年12月31日閲覧。
  15. ^ 巨人、大リーグからテームズ獲得”. 西日本スポーツ (2020年12月30日). 2021年5月2日閲覧。
  16. ^ 【巨人】テームズ&スモーク、岡本和真の後ろ5&6番で期待 デビュー最有力は20日阪神戦”. スポーツ報知 (2021年4月14日). 2021年5月2日閲覧。
  17. ^ 巨人 新外国人スモーク&テームズが来日 メルセデス、ウレーニャも”. スポーツニッポン (2021年3月29日). 2021年4月27日閲覧。
  18. ^ 巨人新外国人スモーク&テームズ シート打撃でパワー、20日デビューも”. 日刊スポーツ (2021年4月13日). 2021年5月2日閲覧。
  19. ^ 【27日の公示】巨人・野上、スモーク、テームズ登録 ソフトB高橋礼抹消”. スポーツニッポン (2021年4月27日). 2021年4月27日閲覧。
  20. ^ 【巨人】テームズとスモークが27日から1軍昇格! 2軍で絶好調メジャー292発コンビ”. スポーツ報知 (2021年4月26日). 2021年5月2日閲覧。
  21. ^ "巨人新外国人テームズが右アキレス腱断裂 1軍デビューでいきなり負傷…担架で運ばれ交代". Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. 27 April 2021. 2021年4月28日閲覧
  22. ^ "巨人新外国人テームズが右アキレス腱断裂 デビュー戦で悪夢". 日刊スポーツ. 日刊スポーツ新聞社. 27 April 2021. 2021年4月28日閲覧
  23. ^ 巨人テームズ帰国「必ず手術成功させる」デビュー戦で右アキレス腱断裂”. 日刊スポーツ (2021年4月30日). 2021年5月2日閲覧。
  24. ^ 自由契約選手 2021年度”. 2021年8月23日閲覧。
  25. ^ “超不運”な元巨人助っ人が引退宣言 初出場でアキレス腱断裂…日本にも感謝”. full count (2023年2月16日). 2023年2月16日閲覧。
  26. ^ NC 테임즈, 창원시 명예시민증” (朝鮮語). 慶南道民日報 (2016年4月3日). 2019年1月27日閲覧。
  27. ^ 「神」と呼ばれた韓国で強打者が美しすぎる歌声を披露!? MLB公式も特集で話題”. Full-Count (2019年1月26日). 2019年1月27日閲覧。
  28. ^ “【巨人】ラム肉をありがとう 自由契約のテームズから若手に託された未来”. スポーツ報知. (2021年8月23日). https://hochi.news/articles/20210823-OHT1T51077.html 2021年8月23日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]