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エリザベッタ・シラーニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エリザベッタ・シラーニ
Elisabetta Sirani
自画像(1658)、プーシキン美術館
生誕 1638年1月8日
ボローニャ
死没 1665年8月28日
ボローニャ
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エリザベッタ・シラーニ: Elisabetta Sirani1638年1月8日 - 1665年8月28日)は、イタリア画家。17歳から職業画家として働き、名声を得たが、27歳で急死した[1] 。ボローニャに女性のための絵画学校を開くなど女性画家として先駆的な役割を果たした[2]

略歴

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ボローニャで生まれた。父親のジョヴァンニ・アンドレア・シラーニ(Giovanni Andrea Sirani:1610–1670)は裕福な画商で、ボローニャ派の代表的な画家グイド・レーニ(1575-1642)の工房で画家として働いたこともあった。父親の最初の子供で、2人の妹とともに父親から絵を学んだ[3]。唯一人の弟は医学を学び、美術の道には進まなかった。エリザベッタ・シラーニは父親の友人の画家に才能を見いだされ、父親の工房で働く画家たちから絵画の技術を学んだ。絵画の技術だけでなく、人文科学や音楽の高い教育を受けることもできた。1654年までに痛風のため父親が絵を描けなくなると、父親の工房を引き継いだ。

17歳から注文を受けて、画家の仕事をするようになった。ボローニャの裕福な階層の人々や、当時、有名な大学であったボローニャ大学で働く人々から注文を受けた。後にトスカーナ大公となるコジモ3世・デ・メディチレオポルド・デ・メディチといったメディチ家の人々の支援を受けるようになり、バイエルン選帝侯マントヴァゴンザーガ家パルマファルネーゼ家もシラーニの作品を所有した。

22歳になった1660年に女性のための絵画学校を開き、同じ年にローマのアカデミア・ディ・サン・ルカの会員になった。シラーニが開いた学校で学んだ女性アーティストには版画家のテレサ・マリア・コリオラーノ(Teresa Maria Coriolano: 1620-1670)やヴェロニカ・フォンタナ(Veronica Fontana: 1651–1690)がいる。画家のジネブラ・カントフォリ(Ginevra Cantofoli: 1618–1672)もしばしばシラーニに学んだといわれてきた。

職業画家として働くようになってから、自分の作品の制作した記録を残していて、10年間に190点余りの作品の記録が残されている。

シラーニの作品を仕上げる時間が短かったため、男性の画家から、他の画家に手伝いを受けているという非難に反論するために、1664年5月に何人かの高官を招待して肖像画を描くのを見せたという逸話がある。

シラーニは 1665年に 27歳で急死した。失恋による自殺だとする噂や、メイドによる毒殺などの噂が生じたが、死因は胃の潰瘍による出血が原因であると考えられている[4]

グイド・レーニやフランチェスコ・アルバーニといったボローニャ派の画家のスタイルを継承した作品を描いた。

作品

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脚注

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  1. ^ Malvasia 1678, Vol II, 453–467.
  2. ^ Modesti, 1–2.
  3. ^ Marter, Joan; Barlow, Margaret (1 January 2012). “Parallel Perspectives”. Woman's Art Journal 33 (2): 2. JSTOR 24395282. 
  4. ^ Moedsti, 1.

参考文献

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  • Artist Profile: Elisabetta Sirani'. National Museum of Women in the Arts.
  • Bohn, Babette. "Elisabetta Sirani and drawing practices in early modern Bologna," Master Drawings, vol. 42, no. 3 (Autumn 2004): 207–236.
  • Dabbs, Julia K. Life Stories of Women Artists, 1550–1800: An Anthology. Burlington, VT: Ashgate, 2009, 121–132. ISBN 9780754654315
  • Fortune, Jane, with Linda Falcone. "Chapter 16: Drawing conclusions: Elisabetta Sirani and the Gabinetto Disegni e Stampe" in Invisible Women: Forgotten Artists of Florence. 2nd ed. Florence, Italy: The Florentine Press, 2010: 121–127. ISBN 978-88-902434-5-5
  • Frick, Carole Collier et al. Italian Women Artists: From Renaissance to Baroque. New York: Rizzoli, 2007. Catalog of an exhibition held at the National Museum of Women in the Arts, Washington, D.C. ISBN 9788876249198
  • Malvasia, Carlo Cesare. "Di Gio. Andrea Sirani e di Elisabetta sua figlivola", Felsina pittrice, vité de pittori bolognesi (2 vols, Bologna, 1678), vol. II, 453–487. Digital Edition: http://catalog.hathitrust.org/Record/000461733.
  • Modesti, Adelina. Elisabetta Sirani 'Virtuosa' Women's Cultural Production in Early Modern Bologna. Turnhout, Belgium: Brepols, 2014. ISBN 9782503535845
  • Tufts, Eleanor. "Chapter 7: Elisabetta Sirani, 1638–1665" in Our Hidden Heritage: Five Centuries of Women Artists. New York and London: Paddington Press Ltd., 1974: 81–87. ISBN 0-8467-0026-3