エッソ

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エッソ
Esso
設立 1911年
本部 テキサス州アーヴィング
製品 石油, 燃料
株主 エクソンモービル

エッソ (Esso) は、エクソンモービルおよびその関連会社によって使用される商標名。イースタン・ステーツ・スタンダード・オイル Eastern States Standard Oil の略。日本でのブランドはEMGマーケティング合同会社である。

スタンダード・オイル・トラストの解体[編集]

ロックフェラースタンダード・オイル反トラスト法により企業分割されたとき、同社が持つ商標の多くは分割後の企業が担当していた地域に合わせて権利が与えられた。「SO」はその一つであった。「Esso」はスタンダード・オイルを意味する「S」「O」の発音からトラスト解体後にスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーが作った商標である。

スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは、1926年3月にIG・ファルベンインドゥストリーが50%支配するドイツガソリン社へロイヤル・ダッチ・シェルと25%ずつ資本参加した。1927年にIGと協定、IGへ資金提供する見返りに、原油精製で水素を添加する技術をIGが世界規模でプールしてスタンダードにライセンスした。1929年11月、IGと合弁でSIG社を設立した。趣旨は1927年と変わらないので、スタンダードが8割を出資する代わりに、IGがSIGへ水素添加分野特許を使うドイツ以外での実施をライセンスした。このときIGは3000万ドル相当のスタンダード株式を取得し、また、実施による収益の2割をもらう権利を得た。[1]

その後、SIGは水素添加分野の特許権をスタンダードの子会社International Hydrogenation Patents Co. に譲渡した。そしてスタンダードはIHP株50%をシェルに売却した。このとき、IHPのライセンス業務に際してエンジニアリングを担当する会社International Hydrogenation Engineering & Chemichal Co. がオランダのハーグに設立された。1933-34年、IHPはインペリアル・ケミカル・インダストリーズへ水素添加特許の排他的実施権とIHP収入の1割をもらう権利を得た。[1]

この特許プールは国際カルテルであって、石油精製に関する各種標準規格の土台となった。パテントプールはライセンス料を下げるのが存在意義であるが、それを主張するときに歴史的な事例は顧みられない[2]

少なくともスタンダードは解体されたようでいて、実は生きていたのである。

商標をめぐる問題[編集]

スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは、他のスタンダード・オイルと互いの営業地域を侵さないというマーケティングの協定を持っていた。しかしトラスト解体後に他社の営業地域を侵すようになった。一例として1930年代初めに3つのガソリンスタンドがスタンダード・オイル・オブ・インディアナの領域である中西部で開業した。問題を複雑にしたのはラジオのコマーシャルで「Esso」と「SO」の区別が付かないことであった。訴訟が次々と起こされ、中西部で「SO」の商標を使用する権利を持つスタンダード・オイル・オブ・インディアナが勝訴した。

このためスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは、「Esso」の商標をアメリカ国内では旧来の自社営業地域以外で使用できなくなってしまった。そのため、同社は「ハンブル」「オーバルE」群小石油会社を悉く合併してはそれぞれの商標を使用する方法を選択した。

1960年頃、全米統一商標としてEnergy Company(燃料会社)の略である「Enco」を使用することに決定。米国の一部の州での採用を経たのち「Esso」に代わる全世界商標に採用すべく準備を進めていたが、「エンコ」が日本の俗語で「エンジントラブル」を意味していたことから日本のエッソ・スタンダード石油が待ったをかけ、採用は中止となってしまった。

1974年、他のスタンダード・オイルと誤解されず、かつ全世界で会社にとって不利益な意味とならない言葉として「EXXON」を採用。全米で使用を開始したが、それでも「エクソン」と「SO」の区別が付かないとして以前と同様の状況が発生した。

現在スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーはエクソンモービルである。一方スタンダード・オイル・オブ・インディアナはアモコBPの一部)である。

エッソの商標はアメリカ合衆国では使用されていないが、アメリカ合衆国以外の国では現在も使用されている。カナダに於いてエッソはインペリアル・オイル配下のガソリンスタンドで使用される。スタンダード・オイルおよびその後継の会社が、アメリカ合衆国を始めとする諸国でエクソンに商標を変更したとき、カナダではそれがエッソのまま継続された。

日本での展開[編集]

ESSOブランドのSS(日本)

日本では1961年にそれまでのスタンバックが本国で解体されることに伴い、ジャージー・スタンダードの日本法人としてエッソ・スタンダード石油株式会社として設立され、「Esso」ブランドでガソリンスタンドの展開を開始した。

当初は「Enco」ブランドも検討されたが、前述の理由により採用されなかった。その後「EXXON」ブランドが作られたものの、「クソ」の語感が不快に感じるという配慮からこちらも採用されず「エッソ」のブランド名を継続採用している。1982年にエッソ石油株式会社に改称。

1999年のエクソンモービル発足(スタンバックの再集結)により、2000年に米エクソンモービル傘下の有限会社に改組し、2002年にモービル石油有限会社などと合併し、エクソンモービル有限会社となった。なお、当社子会社に東燃ゼネラル石油(石油精製・ゼネラルブランドのガソリンスタンドを運営)が置かれている。

1998年、消防法改正によってセルフサービスステーションが解禁になったのを受け、モービル・ゼネラルと共に「エッソ エクスプレス(Express)」を展開している。「クイック&イージー」をキーワードに、誰もがすぐに、気軽に利用できるセルフSSとする戦略を採っている。

1995年には『ルパン三世』を起用した実写合成のテレビCMを放映していた(マッキャンエリクソン製作、葵プロモーション制作)。ルパンが運転する車の前に虎(いわゆるエクソン・タイガー)が現れ、追いかけるとエッソのスタンドに辿り着き、店員のサービスなどをアピールするものであった。なお、このCMが初代ルパン三世役の山田康雄がルパンの声を当てた最後の作品となった。

ピチカート・ファイブの楽曲「東京は夜の七時」のPVでリムジンがエッソのスタンドに立ち寄るシーンがあり、2006年に野本かりあが同曲をカバーした際のPVにおいては、同じタイミングでエッソの「Express」店に車を止めて野本が車外に出る演出がなされている。

テレビ番組では「クイズタイムショック」(テレビ朝日)や「ギミア・ぶれいく」(TBS)、「水曜ロードショー」(TBS)などのスポンサーを務めていた。

関連項目[編集]

  • 頭文字D・・・原作では主要キャラの勤めるスタンドとして登場し、樹が勤務先のことを指して「エッソ」と明言した回もあった。しかしアニメでは架空のスタンド、実写版ではENEOSになっている。また、新劇場版では同じエクソンモービル系列のゼネラルになった。
  • お早うネットワークNRN、エッソ・スタンタード石油時代に協賛スポンサーを務めていた)

脚注[編集]

  1. ^ a b I.G. Farben Control Office of the Decartelization Branch, Economics Division, of the Office of Military Government for Germany, Activities of I.G. Farbenindustrie AG in the Oil Industrie, 1946, p.152-155.
  2. ^ 平松幸男 技術標準に含まれる特許の問題に関する考察 2007年

外部リンク[編集]