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エチレングリコール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エチレングリコール
Wireframe model of ethylene glycol
Wireframe model of ethylene glycol
Spacefill model of ethylene glycol
Spacefill model of ethylene glycol
Ball and stick model of ethylene glycol
Ball and stick model of ethylene glycol
Sample of ethylene glycol
Sample of ethylene glycol
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
略称 MEG
バイルシュタイン 505945
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.003.159 ウィキデータを編集
EC番号
  • 203-473-3
Gmelin参照 943
KEGG
MeSH Ethylene+glycol
RTECS number
  • KW2975000
UNII
国連/北米番号 3082
性質
C2H6O2
モル質量 62.068 g·mol−1
外観 無色の液体
匂い 無臭[3]
密度 1.1132 g/cm3 (0.04022 lb/cu in)
融点 −12.9 °C (8.8 °F; 260.2 K)
沸点 197.3 °C (387.1 °F; 470.4 K)
混和
溶解度 アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサンに溶解する。ジクロロメタンと混和し、ジエチルエーテルとはわずかに混和する。トルエンやヘキサンとは混和しない。
log POW −1.69[4]
蒸気圧 7.99 Pa (20 °C)[3]
粘度 1.61×10−2 Pa·s[5]
熱化学
標準定圧モル比熱, Cp 149.5 J/(mol·K)
標準モルエントロピー S 166.9 J/(mol·K)
標準生成熱 fH298)
−460 kJ/mol
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
有害、摂取すると有毒なシュウ酸を生成、引火性
GHS表示:
急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
Warning
H302, H373
P260, P264, P270, P301+P312, P302, P314, P330, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 1: Must be pre-heated before ignition can occur. Flash point over 93 °C (200 °F). E.g. canola oilInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
1
0
引火点 111 °C (232 °F; 384 K) closed cup
410 °C (770 °F; 683 K)
爆発限界 3.2–15.2%[3]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
無し[3]
設定無し[3]
無し[3]
安全データシート (SDS) External MSDS

External SDS 2

関連する物質
関連するジオール
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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エチレングリコール: ethylene glycolIUPAC名: ethane-1,2-diol)は、溶媒不凍液、合成原料などとして広く用いられる 2価アルコールの一種である。分子式 C2H6O2構造式 HO-CH2-CH2-OH分子量 62.07。IUPAC命名法では エタン-1,2-ジオール、あるいは 1,2-エタンジオール と表される。粘稠な無色・透明な液体で、甘味があるが高濃度で毒性がある。水などの極性溶媒に溶けやすい。その性質に加えて融点が −12.6 と比較的低いので水冷エンジンなどの不凍液として用いられている。引火点 111℃、発火点 398℃で、消防法上の第4類危険物(第3石油類)に指定されている。宇宙空間で発見されている[6]

合成

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エチレングリコールは、エチレンオキシド(エポキシエタン、オキシラン)を酸触媒下で加水分解すると得られる。無触媒条件下でも、高温、高圧下でエチレンオキシドと水を反応させてエチレングリコールを得ることができる。

エチレングリコールの2008年度日本国内生産量は 628,793t、消費量は 12,089t である[7]

反応・用途

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触媒のもとに空気酸化すると、グリオキサールを与える。また二クロム酸カリウムを用いて酸化すると、シュウ酸を生成する。

エチレングリコールは、ポリエチレンテレフタラート (PET) の主原料のひとつである。PEN,PTTなどのほかのポリエステルの原料としても同様に用いられる。

エチレングリコールのエーテル類はセロソルブ (cellosolve) とも呼ばれ、ブチルセロソルブフェニルセロソルブジメチルセロソルブなどが塗料溶媒などとして広く用いられている。

融点が低い特性を生かし、自動車不凍液として利用される。またこのことからアンチフリーズなどとも呼ばれている。かつては不凍液によく使われていたグリセリンより不凍液としての性能が高いことから普及したが、自然界に漏れ出した場合の環境への悪影響が大きいことから近年では再びグリセリンが見直されている面もある。

毒性

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エチレングリコールは甘味を持ち、生体内で代謝を受けると有毒化する。代謝物のシュウ酸による低カルシウム血症シュウ酸カルシウムの析出による腎障害を引き起こす[8][9]不凍液の誤飲や、ワインなどの食品添加物に誤用(過去、日本ドイツでは故意に利用)されて中毒事件の発生や社会問題化することもある。ジエチレングリコールも同様である。

誤飲した場合や自殺目的で飲用した場合は、代謝を拮抗するためにエタノールを投与し、エチレングリコールが代謝されずに尿から排泄されるのを待つ。

法規制

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脚注

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  1. ^ Ethylene glycol (CHEBI:30742)”. 2025年9月11日閲覧。
  2. ^ International Union of Pure and Applied Chemistry (2014). Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013. The Royal Society of Chemistry. pp. 690. doi:10.1039/9781849733069. ISBN 978-0-85404-182-4 
  3. ^ a b c d e f NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0272
  4. ^ Ethylene glycol”. www.chemsrc.com. 2025年9月11日閲覧。
  5. ^ Elert, Glenn. “Viscosity”. The Physics Hypertextbook. 2007年10月2日閲覧。
  6. ^ Hollis, J. M.; Lovas, F. J.; Jewell, P. R.; Coudert, L. H. (2002-04-23). “Interstellar Antifreeze: Ethylene Glycol” (英語). The Astrophysical Journal 571 (1): L59. doi:10.1086/341148. ISSN 0004-637X. https://iopscience.iop.org/article/10.1086/341148. 
  7. ^ 経済産業省生産動態統計・生産・出荷・在庫統計 平成20年年計による
  8. ^ MSDS - エチレングリコール』(レポート)三協化学株式会社、2016年4月http://www.sankyo-chem.com/msds/ethylene_glycol_msds.pdf 
  9. ^ http://www.umin.ac.jp/chudoku/chudokuinfo/x/x101.txt
  10. ^ a b c 製品安全データシート | エチレングリコール”. 職場のあんぜんサイト. 厚生労働省 (2006年11月6日). 2020年2月11日閲覧。
  11. ^ 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署編、『<平成27年報告版>「有害物ばく露作業報告」の手引き』、2014年、厚生労働省 [1]
  12. ^ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和四十六年政令第二百一号)別表第1 海洋環境の保全の見地から有害である物質(Y類物質)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年4月26日). 2019年12月17日閲覧。 “平成三十一年政令第百六十三号改正、2020年1月1日施行分閲覧”

関連項目

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