エステル・レデツカ
| エステル・レデツカ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 名前 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 本名 | Ester Ledecká | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| カタカナ | エステル・レデツカ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 基本情報 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 国籍 |
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| 種目 |
スノーボード パラレル大回転, パラレル回転 アルペンスキー 滑降, スーパーG | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 所属 | Dukla Liberec | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 生年月日 | 1995年3月23日(30歳) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 生誕地 |
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| 居住地 | 同上 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 身長 | 173cm | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 体重 | 68kg | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ワールドカップ戦歴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| デビュー年 |
スノーボード : 2012年 アルペンスキー : 2016年 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 総合優勝 | スノーボード : 4回 (2016-2019) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 通算成績 |
スノーボード 通算26勝 (PGS 20, PSL 6) 表彰台回数40回 (PGS 29, PSL 11) 種目別優勝3回 (PGS:2016年, 2018年, 2019年) アルペンスキー 通算4勝 (DH 2, SG 2) 表彰台回数12回 (DH 7, SG 4, CB 1) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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エステル・レデツカ(Ester Ledecká チェコ語発音: [ˈɛstɛr ˈlɛdɛtskaː], 1995年3月23日 - )は、チェコ共和国プラハ出身のスノーボードとアルペンスキーの選手。2018年平昌オリンピックでアルペンスキーとスノーボードで1位となり、冬季オリンピックの一大会において異なる競技で金メダルを獲得した最初の女性である。オリンピック金メダル2回。スノーボード世界選手権金メダル3回。スノーボード・ワールドカップ総合優勝4回。スノーボード・ワールドカップ通算26勝。2018年平昌オリンピック、スーパーG金メダリスト。2025年アルペンスキー世界選手権、滑降銅メダリスト。アルペンスキー・ワールドカップ通算4勝。
生い立ち
[編集]1995年3月23日、プラハにおいて父ヤネク・レデツキー(Janek Ledecký)と母ズザナ(Zuzana)・レデツカとの間に生まれた[1]。
父ヤネクはチェコやスロバキアで有名なミュージシャンである。母方はスポーツの家系で、エステルの祖父ヤン・クラパーチ(Jan Klapáč)はアイスホッケーの強豪国チェコスロバキア(当時)の選手としてインスブルック、グルノーブルの2つのオリンピック大会と、7回の世界選手権大会でメダルを獲得[2]したアスリート、母ズザナはフィギュアスケート選手[1][3]であった。
レデツカが最初に経験したスポーツは母方の祖父の影響を受けたアイスホッケー[1]である。スキーは2歳の頃[4][注釈 1]、スノーボードは5歳の時に始め、どちらも1歳半年上の兄ヨナーシュ(Jonáš)が嗜んでいたことがきっかけである。13歳くらいまではフリースタイルスノーボードとスノーボードクロスをやっていた[5]。兄がアルペンスノーボードを始めたことに影響されて本人もアルペン競技を学びはじめ、最初はこの競技が好きではなかったが、負けず嫌いの性分から兄を打ち負かしたい一心で練習を続けたという[5]。
14歳の頃、スノーボードかアルペンスキーかのどちらかを選択するようコーチから求められた[4]際には、両方やることが問題ならば別のコーチを選ぶと言い切った[6]ところ、15歳を過ぎた頃になってようやくコーチから両方で勝負していくことへの理解を得られた[7]という。本人曰く「スキーで高速のレースをすることがスノーボードに活き、スノーボードの実績がスキーでの自信につながっている」とのこと[4]。
その後は、アルペンスキーにおいてはアメリカのボディー・ミラーや母国の英雄オンドレイ・バンク(Ondřej Bank)、スノーボードにおいてはオーストリアのベンジャミン・カール(Benjamin Karl)に触発され、彼らのスタイルを磨いてきた[8]。
なお、現在アーティストとして活動している兄のヨナーシュは、妹エステルのレース用ウェア、スキー板、スノーボード、プロテクター等のデザインを手がけており[9]、2023年までの公式ウェブサイトのトップページ[3]を飾るイメージ画像も彼の作品であった。
経歴
[編集]幼少期
[編集]2000-2001年シーズン、レデツカは5歳の時、別荘のあるシュピンドレルーフ・ムリーンで開催されたミルカカップスキーレース[注釈 2]に初めて参加して優勝した[3]。
その後、チェコ国内で2年毎に開催される子供と青少年のオリンピアードで5つの金メダルと2つの銀メダルを獲得するなどして、国内ではアルペンスキーとスノーボードのアスリートとして注目を浴びていた[8]。
2010-2011年シーズン、1月下旬にスペイン・ラ・モリーナで開催されたスノーボード世界選手権大会に初参戦し、パラレル大回転は33位[10]、パラレル回転は40位[11]の成績であった。
国際大会で頭角を現したのは、その一か月後となる2月中旬に地元チェコ・リベレツで開催された欧州ユースオリンピック大会である[3][12]。スノーボードクロスで5位に入賞[13]したその二日後にはパラレル大回転で優勝[13]を果たした。この時すでにアルペンスキーとの所謂二刀流を実践しているが、アルペンスキーの成績は大回転が38位[14]、回転が22位[14]と振るわなかった。むしろアルペンスキー会場であるリベレツとスノーボード会場であるレイディツェとの2会場を股にかけた過密日程(2月14-17日の4日間で4競技)をこなしたことに注目された。
W杯参戦
[編集]2012-2013年シーズンからはスノーボード・ワールドカップのアルペン種目に挑戦し、初参戦した12月21日のイタリア・カレッツア大会パラレル大回転では13位の成績[15]を残し[注釈 3]、レデツカ自身5戦目となり翌年のオリンピック前哨戦とされた2月14日のロシア・ソチ大会においてパラレル大回転で6位[16]に入賞した。また、3月にはトルコ・エルズルムで開催されたスノーボード世界ジュニア選手権大会で、パラレル大回転、パラレル回転ともに優勝[17][18]を果たした。
2013-2014年シーズンは、1月10日にオーストリアで開催されたスノーボード・ワールドカップ・バート・ガスタイン大会のパラレル回転で2位となり初めて表彰台に立つと[19]、翌週の1月18日にはログラ大会のパラレル大回転で同種目では歴代最年少の18歳[4]で初優勝に輝いた[3]。その勢いのまま2月のソチオリンピックに初出場し、パラレル大回転で7位[20]、パラレル回転で6位[21]の成績を残した。
2014-2015年シーズンは、1月にオーストリア・ラッハタールで開催されたスノーボード世界選手権においてパラレル回転で優勝した[22]。スノーボードのワールドカップではエントリーした8戦中、優勝2回を含むトップ10入り7回と安定した成績を残し、シーズンの成績はパラレル大回転が2位、パラレル回転が8位、パラレル総合が3位となった[23]。
2015-2016年シーズンから2017-2018年シーズンにかけての3シーズンのスノーボードの成績は、ワールドカップ27戦に参戦して15勝を含む表彰台22回という強さを見せ、パラレル大回転では2015-2016年シーズンと2027-2018シーズンで総合優勝[注釈 4]、パラレル総合成績で3連覇に輝いた。
また、2015-2016年シーズンからはアルペンスキー・ワールドカップにも参戦し[注釈 5]、自身初戦となる2月のドイツ・ガルミッシュ=パルテンキルヒェン大会では、滑降が42番スタートながら24位[24]、スーパー大回転が44番スタートで25位[25]に入る健闘を見せ、アルペンスキーとスノーボードという二つの異なる競技で世界的に活躍する選手として認知されるようになった。
2017年にスペイン・シエラ・ネバダで開催されたスノーボード世界選手権では、2連覇のかかるパラレル回転では決勝で惜しくもオーストリアのダニエラ・ウルビングに敗れ準優勝[26]に甘んじたが、パラレル大回転で優勝した[27]。
平昌五輪での活躍
[編集]平昌オリンピックでは、アルペンスキー競技のスーパー大回転とスノーボード競技のパラレル大回転にエントリー。オリンピックにおいてアルペンスキーとスノーボードの両方の競技にエントリーする初のケースとなった[7]。
大会前の2017-2018シーズンの成績は、スノーボード・ワールドカップのパラレル大回転に6戦出場して5勝と圧倒的な強さを見せ、平昌オリンピックでのこの種目における金メダル候補の最右翼と目されていた。一方、アルペンスキーのスーパー大回転は、平昌オリンピックまでの過去の実績がワールドカップ19位[注釈 6]、世界選手権29位[注釈 7]が最高成績であり、オリンピック前に参戦した最後のワールドカップ・スーパー大回転も24位(1月13日)と成績は芳しくなく、ワールドカップ・スーパー大回転ランキング(WCSL-SG[注釈 8])は50位[注釈 9]と注目度は低かった。
2月17日のアルペンスキー女子スーパー大回転ではメダル獲得の可能性が圧倒的に高いとされる滑走順(Bib Number)が20番までの選手(特に、滑走順19番までの奇数番号を振り分けられるWCSL-SG上位10人の選手がメダル最有力とされる)の滑走が終わった時点でトップに立っていたオーストリアのアンナ・ファイトが金メダル確実と見られていたが[注釈 10]、その約12分後に滑走順26番でスタートしたレデツカ[注釈 11]がファイトのタイムを0.01秒上回る快走を見せ、逆転で金メダルを獲得[28][29]する大番狂わせを演出して[注釈 12]大きな話題となった。ゴールの瞬間、自分の順位を示す掲示板を見て呆然と立ち尽くし、テレビ中継のカメラが近寄ると「No. Must be some mistakes.(いや、何かの間違いだわ)」[30]とつぶやき、子供の頃からの夢の一つを叶えた喜び[注釈 13]の表情ではなく当惑した姿が映し出された。
試合後の優勝インタビューでゴーグルを外さずに受けたことからその理由を問われ「インタビューを受ける立場になるとは思ってなく、化粧をしていなかった」[30]と切り返したことや、履いていたスキー板がこの種目のエントリーを見送ったチームの同僚ミカエラ・シフリンから拝借したものであったと噂される[31][32]など、レース後も話題が尽きなかった。
| 順位 | 選手名 | タイム | 年齢 | 滑走順 (Bib No.) |
WCSL-SG (ポイント) |
オリンピック | 世界選手権 | ワールドカップ | 合計 | 2017-2018シーズン ワールドカップの主な成績等 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 表彰台 | Top5 | 表彰台 | Top5 | 表彰台 | Top5 | 表彰台 (うちSG) |
Top5 | |||||||
| 1. | 1:21.11 | 22歳 | 26番 | 50位(15pt) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0(0) | 0 | ||
| 2. | +0.01 | 28歳 | 15番 | 7位(257pt) | 2 | 2 | 5 | 8 | 45 | 69 | 52(23) | 79 | 前回ソチ大会の金メダリスト。 | |
| 3. | +0.11 | 28歳 | 7番 | 1位(493pt) | 0 | 0 | 1 | 2 | 37 | 55 | 38(18) | 57 | SGランク1位。2017世界選手権2位。 | |
| 4. | +0.12 | 26歳 | 5番 | 2位(459pt) | 1 | 2 | 5 | 8 | 45 | 60 | 51(20) | 70 | 直前のSG優勝。2017世界選手権3位。 | |
| 5. | +0.16 | 33歳 | 3番 | 6位(264pt) | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 8 | 2(1) | 9 | 直前のSG2位。 | |
| 6. | +0.38 | 27歳 | 11番 | 4位(286pt) | 1 | 1 | 1 | 2 | 23 | 37 | 25(3) | 40 | SGとGSで各1勝。 | |
| 33歳 | 1番 | 10位(220pt) | 2 | 2 | 7 | 11 | 135 | 148 | 144(49) | 161 | SG通算28勝。 | |||
| 8. | +0.43 | 25歳 | 19番 | 9位(235pt) | 0 | 0 | 0 | 1 | 13 | 22 | 13(5) | 23 | DH1勝、SG最高3位。 | |
| 9. | +0.46 | 24歳 | 16番 | 11位(218pt) | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 7 | 5(1) | 8 | SG最高2位。 | |
| 10. | +0.51 | 28歳 | 14番 | 16位(164pt) | 2 | 3 | 1 | 4 | 39 | 57 | 42(4) | 64 | GS3勝。2017世界選手権4位。 | |
| 11. | +0.54 | 25歳 | 13番 | 5位(284pt) | 0 | 0 | 1 | 3 | 20 | 23 | 21(5) | 26 | DH2勝、SG最高2位。 | |
| 12. | +0.77 | 31歳 | 4番 | 18位(132pt) | 0 | 1 | 2 | 3 | 13 | 32 | 15(4) | 36 | DH最高3位、SG最高5位。 | |
大番狂わせから一週間後、今度は本命とされるスノーボード・パラレル大回転での金メダルの行方に大きな脚光が注がれた[33]。
2月24日に行われたスノーボード女子パラレル大回転では、予選の2本の合計タイムが2位の選手に対し1.26秒の大差をつける1位での通過となり、その後の決勝ではセリナ・イェルクを0.46秒差で破り、金メダルを獲得[34]した[注釈 14]。
この瞬間、レデツカは冬季オリンピック1大会において異なる2つの競技で金メダルを獲得した史上初の女子選手となった[35]。これは男女を通じても1928年サンモリッツオリンピックでヨハン・グロットムスブローテンがクロスカントリースキーとノルディック複合の2つの競技で金メダルを獲得して以来、冬季オリンピックでは90年ぶり3人目[注釈 15]の偉業[36]であった。似て非なるスポーツを両立させることについて、本人は冗談めかして「斜面を下るのは同じ。」といい、その苦労をあまり語らないが、3週間ずつ交互に積み重ねてきたという努力の成果が結実した瞬間であった[37]。また、二冠達成時のインタビューでは、子供たちに対し「自分がやりたいことを何でもやってください。私は両方を選びたいと思いました。多くの人が『両方でトップになるなんて無理だ』と言ったとしても」とエールを送った。
主軸をアルペンスキーへ
[編集]2018-2019年シーズンは、ワールドカップの出場回数がスノーボードの8戦に対しアルペンスキーが12戦と上回った。スノーボードでは優勝2回を含み全てベスト5以上の成績を残し相変わらず安定した強さを見せ、パラレル大回転で2連覇、パラレル総合で4連覇を成し遂げた。かたや、アルペンスキーの高速系競技においても10位以内に入るレースを見せるようになった。このシーズンは、スノーボード世界選手権が2月1日から10日にかけて米国・ユタ州のパークシティで、アルペンスキー世界選手権が2月5日から17日にかけてスウェーデンのオーレでの開催となり、二つの大会日程が重なることから両大会への出場が叶わずスノーボード大会への参加を断念した。
2019-2020年シーズンからは、前シーズンよりも更にアルペンスキーに力を入れるようになった。アルペンスキー・ワールドカップは16戦[注釈 16]に参戦し、12月のカナダ・レイク・ルイーズ大会の滑降にて、アルペンスキーでは初の金メダルを獲得[38][39]したのをはじめとして、高速系競技13戦中トップ10入りが7回と、トップアスリートの地位を築いた。シーズン中にはアルペン複合にも2戦出場し6位[40]と3位[41]を獲得した。スノーボード・ワールドカップについては、僅か2回の出場に激減したが2位[42]と優勝[43]の成績を残している。
2020-2021年シーズンは、アルペンスキーワールドカップにおいて12戦出場し、優勝1回[44]を含むトップ10入り8回と好調を維持し、スノーボードワールドカップにおいては唯一出場した12月のイタリア・コルティーナ・ダンペッツオ大会で優勝[45]を飾っている。2月中旬にコルティーナ・ダンペッツォで開催されたアルペンスキー世界選手権では、スーパー大回転と滑降で4位[46][47]、複合で8位[48]の好成績を残したが、3月上旬にスロベニアのログラで開催されたスノーボード世界選手権にはパラレル大回転でエントリーしたものの怪我のため欠場した[49][50]。
2021-2022年シーズンは、北京オリンピックでの平昌以来のダブル金メダルが期待されていた。スノーボードにおいては12月にワールドカップのパラレル大回転2戦に出場して2位[51]と1位[52]を獲得したあと、大きな国際大会に2か月間出場しないまま北京オリンピックを迎えることとなったが、他を圧倒して金メダルを獲得[53]してパラレル大回転2連覇を果たした。一方、アルペンスキーはオリンピック直前のワールドカップ4戦全てでトップ10入りして好調ではあったが、連覇のかかったスーパー大回転本番ではトップと0.43秒差の5位[54]で金メダルを逃した。その他の種目の成績は、滑降が27位[55]、複合が4位[56]であった。
2022年夏のトレーニング中に鎖骨を複雑骨折する大怪我を負った[57]ため、2022-2023年シーズンは、スノーボード、アルペンスキーともにワールドカップ序盤からの参戦を見送った[58]。その後も怪我の回復が遅れたことから2月6日〜19日のアルペンスキー世界選手権への参加を諦め[59]、2月19日〜3月5日のスノーボード世界選手権への参戦に向けて調整[60]をつづけてきたが間に合わなかった。復帰したのは、スノーボード・ワールドカップの終盤戦[61]である。2023年3月15日のスロベニア・ログラ大会でパラレル大回転に出場して2位[62]を獲得すると、その3日後、シーズン最終戦のドイツ・ベルヒテスガーデン大会のパラレル回転では見事に優勝[63]して復活を果たした。
なお、シーズン開幕前には、2018年の平昌オリンピックでレデツカに初めて金メダルをもたらしたスキーメーカー・アトミックとの契約を涙ながらに解除し、これに替わってチェコの資産家トマーシュ・ニェメツ(Tomáš Němec)が2018年にオーナーとなった[64]ケスレー(Kästle)と新たな契約を締結した。この決断には、レデツカが尊敬するチェコ出身のスキーヤー・オンドレイ・バンク[8]も関与した[57]。
2023-2024シーズンは、11月に感染したウイルス性の呼吸器系疾患が長引き、療養を続けながらのレースとなった[65]。
アルペンスキー・ワールドカップには序盤戦から出場したものの、前シーズンを欠場したブランクと体調不良との影響により、シーズン前半は精彩を欠き、1月14日にオーストリア・ザルヘンゼーで開催されたスーパー大回転での11位[66]が最高成績であった。
その後、ワールドカップから離れて6年振りにヨーロッパカップに参戦[67]するなどして調整してきたところ、2月後半からは漸く体調が改善し、2月18日のスイス・クラン=モンタナ(Crans-Montana)大会におけるスーパー大回転でトップ10(8位)[68]に入った。次に参戦したノルウェー・クヴィットフジェル(Kvitfjell)大会のスーパー大回転では3月2日に4位[69]、翌日には3位[70]に入り、本来の実力を取り戻すと、シーズン最後のオーストリア・ザールバッハ大会スーパー大回転では、この種目でランキング1位のララ・グート-ベーラミや同2位のフェデリカ・ブリリョネらを押さえて優勝[71]した。
一方、スノーボード・ワールドカップにおいては、初参戦した1月のブルガリア・パンポロヴォ大会のパラレル回転において体調が万全ではないにもかかわらず二日連続で優勝[72][73]するなど、出場した3戦ですべて優勝し[74][注釈 17]、パラレル種目で圧巻の強さを見せつけた。
2024-2025シーズンは、3シーズンぶりに体調万全な状態でシーズンを迎えた。11月30日に中国・美林で開幕したスノーボード・ワールドカップ第1戦のパラレル大回転で優勝[75]、第2戦のパラレル回転で4位と好発進したが、その後はアルペンスキー競技に専念するとして彼女のスノーボード・ワールドカップは早々に終了した。アルペンスキー・ワールドカップの高速系種目の第1戦となった12月14日のアメリカ・ビーバークリーク大会では、滑降で6位に入賞[76]すると、その後の大会で滑降が最高3位表彰台[77]、スーパー大回転が最高7位入賞[78]の結果を残して世界選手権を迎ることとなった。
2月4日-16日にかけてオーストリア・ザールバッハで開催されたアルペンスキー世界選手権では、2月6日にスーパー大回転で7位[79]、2月8日の滑降ではトップと0.21秒差の3位となり、アルペンスキー競技の世界選手権で初めて表彰台に登った[80]。3月下旬にスイス・エンガディンで開催されたスノーボード世界選手権では、12月1日のワールドカップ参戦以来のブランクを全く感じさせず、パラレル大回転で金メダルを獲得し[81]、この時点で同一シーズンにおける異なる競技での世界選手権のメダル獲得を達成した。その二日後にはパラレル回転の決勝で日本の三木つばきに敗れるも銀メダルを獲得した[82]。
ワールドカップ 成績
[編集]スノーボード
[編集]シーズンタイトル
[編集]| 年 | |
| 種目 | |
| 2016 | パラレル総合 |
|---|---|
| パラレル大回転 | |
| 2017 | パラレル総合 |
| 2018 | パラレル総合 |
| パラレル大回転 | |
| 2019 | パラレル総合 |
| パラレル大回転 |
シーズン成績
[編集]| 年 | ||||
| 年齢 | パラレル総合 | パラレル回転 | パラレル大回転 | |
| 2013 | 17 | 15 | 16 | 15 |
| 2014 | 18 | 2 | 2 | 3 |
| 2015 | 19 | 3 | 8 | 2 |
| 2016 | 20 | 1 | 5 | 1 |
| 2017 | 21 | 1 | 2 | 3 |
| 2018 | 22 | 1 | 24 | 1 |
| 2019 | 23 | 1 | 13 | 1 |
| 2020 | 24 | 17 | 8 | 17 |
| 2021 | 25 | 23 | — | 13 |
| 2022 | 26 | 15 | — | 12 |
| 2023 | 27 | 18 | 15 | 20 |
| 2024 | 28 | 13 | 3 | — |
| 2025 | 29 | 24 | 20 | 26 |
| 2026 | 30 | 23 | — | 22 |
- 2026年1月31日までの成績
ワールドカップ優勝
[編集]| 合計 | パラレル大回転 | パラレル回転 | |
| 優勝 | 26 | 20 | 6 |
| 表彰台 | 40 | 29 | 11 |
アルペンスキー
[編集]シーズン成績
[編集]| 年 | |||||||
| 年齢 | 総合 | 回転 | 大回転 | スーパーG | 滑降 | 複合 | |
| 2016 | 20 | 93 | — | — | 42 | 37 | — |
| 2017 | 21 | 77 | — | — | 42 | 37 | — |
| 2018 | 22 | 61 | — | — | 47 | 22 | — |
| 2019 | 23 | 54 | — | — | 28 | 24 | — |
| 2020 | 24 | 10 | — | — | 21 | 2 | 3 |
| 2021 | 25 | 13 | — | — | 5 | 8 | N/A |
| 2022 | 26 | 17 | — | — | 23 | 3 | |
| 2023 | 27 | 夏に負傷し、シーズン全休 | |||||
| 2024 | 28 | 23 | — | — | 6 | 23 | N/A |
| 2025 | 29 | 21 | — | — | 16 | 8 | |
| 2026 | 30 | 22 | — | — | 7 | 16 | |
- 2026年1月31日までの成績
ワールドカップ優勝
[編集]| 合計 | 滑降 | スーパーG | 複合 | |
| 優勝 | 4 | 2 | 2 | 0 |
| 表彰台 | 12 | 7 | 4 | 1 |
| 年 | |||
| 日付 | 場所 | 種目 | |
| 2020 | 2019年12月6日 | 滑降 | |
| 2021 | 2020年12月20日 | スーパーG | |
| 2022 | 2022年2月26日 | 滑降 | |
| 2024 | 2024年3月22日 | スーパーG |
オリンピック 成績
[編集]スノーボード
[編集]| 年 | |||
| 年齢 | パラレル回転 | パラレル大回転 | |
| 2014 | 18 | 6 | 7 |
| 2018 | 22 | N/A | 1 |
| 2022 | 26 | 1 | |
| 2026 | 26 | 5 |
アルペンスキー
[編集]| 年 | ||||||
| 年齢 | 回転 | 大回転 | スーパーG | 滑降 | 複合 | |
| 2018 | 22 | — | 23 | 1 | — | — |
| 2022 | 26 | — | — | 5 | 27 | 4 |
| 2026 | 30 | DNF | — | N/A |
世界選手権 成績
[編集]スノーボード
[編集]| 年 | ||||||
| 年齢 | パラレル回転 | パラレル大回転 | ||||
| 2011 | 15 | 40 | 33 | |||
| 2013 | 17 | 17 | 16 | |||
| 2015 | 19 | 1 | 5 | |||
| 2017 | 21 | 2 | 1 | |||
| 2021 | 25 | 怪我のため欠場 | ||||
| 2023 | 27 | 怪我のため欠場 | ||||
| 2025 | 29 | 2 | 1 | |||
アルペンスキー
[編集]| 年 | ||||||
| 年齢 | 回転 | 大回転 | スーパーG | 滑降 | 複合 | |
| 2017 | 21 | — | 37 | 29 | 21 | 20 |
| 2019 | 23 | — | — | 27 | 17 | 15 |
| 2021 | 25 | — | — | 4 | 4 | 8 |
| 2023 | 27 | 怪我のため欠場 | ||||
| 2025 | 29 | — | — | 7 | 3 | N/A |
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c CTV NEWS「Czech athlete transitions from snowboard to ski at World Cup」(2016年2月22日)
- ^ 国際アイスホッケー連盟公式HP「Jan Hrbaty passes away」(2019年7月24日)
- ^ a b c d e エステル・レデツカ公式ウェブサイト「STR」
- ^ a b c d 読売新聞社『読売新聞 第51043号「冬の二刀流レデツカV」』(2018年2月18日発行)
- ^ a b ice a trail「エステル・レデツカ」(2019年7月27日)
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- ^ 国際スキー連盟公式HP「オリンピック北京大会アルペンスキー・女子アルペン複合結果
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- ^ AFP「Emotional Olympic Champion Ledecka Returns From Injury(感動的な五輪チャンピオンとなったレデツカがケガから復帰)」(2023年3月15日発信)
- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「FISスノーボード・ワールドカップ2023 女子パラレル大回転結果」(2023年3月15日発行)
- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「FISスノーボード・ワールドカップ2023 女子パラレル回転結果」(2023年3月18日発行)
- ^ チェコ・プレミアムスポーツHP『トーマス・ネメック:近いうちにケスレーをワールドカップに出場させ優勝してもらいたい』(2018年12月6日配信)
- ^ チェコテレビジョンHP『レデツカは健康状態を理由に大会を欠場』(2024年1月26日配信)
- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「アウディFISスキー・ワールドカップ2023/24 女子スーパー大回転結果」(2024年1月14日発行)
- ^ skicm-cransmontana「クラン・モンタナにレデツカが笑顔で戻ってきた」(2024年2月15日配信)
- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「アウディFISスキー・ワールドカップ2023/24 女子スーパー大回転結果」(2024年2月18日発行)
- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「アウディFISスキー・ワールドカップ2023/24 女子スーパー大回転結果」(2024年3月2日発行)
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- ^ 国際スキー・スノーボード連盟公式HP「FISスノーボード世界選手権2025 女子パラレル回転結果」(2025年3月22日発行)
注釈
[編集]- ^ 2019年7月27日のice a trailによる別のインタビューではスキーを2・3歳の頃に始めたと語っている。また、CTV NEWSのインタビューではスキーを4歳の頃に始めたと答えている。
- ^ チョコレートメーカーのミルカ[1]は1995年からスキーレースのオフィシャルスポンサーとなっている。
- ^ 優勝は日本の竹内智香。
- ^ 2016-2017年シーズンはアルペンスキー・ワールドカップへの本格参戦のためにスノーボード大会の参戦数が少なく総合3位となっているが、出場したパラレル大回転3戦全てで優勝している。
- ^ 同じシーズンのスノーボードとアルペンスキーのワールドカップに参戦するのは2015-2016年シーズンが初めてであるが、アルペンスキーについてはFIS公認の大会に2010-2011年シーズンから参戦し、ワールドカップの登竜門とされるアルペンスキー・ヨーロッパカップ(Europa Cup)には2013-2014年シーズンから実績を積んでいる。
- ^ 滑降では7位の成績がある。
- ^ 複合では20位の成績が、また、チームパラレルでは9位の成績がある。
- ^ 「FIS World Cup Start List points for Super-G」の略。スタート順位を決めるためのシーズン中のワールドカップ戦績に基づくポイント。
- ^ 2017-2018シーズン最終順位は47位。
- ^ 20番目に滑走したロマヌ・ミラドリ(フランス)が16位(最終成績は19位)でゴールを切ると、オリンピック公式映像は、目頭を押さえて金メダルの獲得に喜ぶファイトや、直前のワールドカップ・スーパー大回転で優勝し本大会で金メダルを狙いながら惜しくも銅メダルに沈んで気落ちするスイスのララ・グート-ベーラミ(最終的にはメダルも逃した)の表情を映し出し、米国のNBCや日本のNHKはファイトがケガを克服してオリンピックのスーパー大回転二連覇を果たしたと称賛して報じた。
- ^ オリンピック直前のWCSL-SGが14位のヨアナ・ヘーレン(スイス)や26位のミカエラ・シフリン(米国)等、レデツカよりポイントの高い24人がエントリーしなかったため、WCSL-SGは50位ながら26番目の滑走順となった。
- ^ 2位から8位は全てWCSL-SG10位以内の選手が占め、また、レデツカを除く滑走順21番以降の選手で最も成績が良かった選手は28番スタートのブリージー・ジョンソン(米国)の14位であった。
- ^ 15歳の時の取材で、冬のオリンピックはアルペン種目とスノーボード、夏のオリンピックはウィンドサーフィンとビーチバレーで優勝したいと語っていた。
- ^ アルペンスキー女子スーパー大回転でのゴール直後の時とは違い、この日はゴール後に早々にゴーグルを外して観客に愛嬌を振りまいている。
- ^ 最初の達成者はトルライフ・ハウグで、1924年のシャモニー大会においてクロスカントリー(2種目)とノルディック複合の2競技3種目で金メダルを獲得した。
- ^ エントリーしたがスタートしなかった試合(DNS)1回を含む。
- ^ 3月10日のドイツ・ヴィンテルベルグで開催された混合パラレル回転戦にはチェコとしてAdam POCINEKとのペアで出場したが16位に終わっている。
外部リンク
[編集]- LEDECKA Ester - 国際スキー・スノーボード連盟のプロフィール (スノーボード)
- LEDECKA Ester - 国際スキー・スノーボード連盟のプロフィール (アルペンスキー)
- エステル・レデツカ - Olympedia
- Profile at Sochi2014.com at the Wayback Machine (archived 2014-06-28)
- Ester Ledecká (esterledecka.cz) - Facebook