エゴグラム

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エゴグラム (Egogram) とは、エリック・バーン (Eric Berne) の交流分析における自我状態をもとに、弟子であるジョン・M・デュセイ (John M. Dusay) が考案した性格診断法で、人のを5つに分類し、その5つの自我状態が放出する心的エネルギーの高さをグラフにしたもののことである。

概要[編集]

エリック・バーンの交流分析におけるP()、A(大人)、C(子ども)の「3つの自我状態」をもとに、弟子であるジョン・M・デュセイが、人の心をより細かく分類し、人の性格を診断する方法としてエゴグラムを考案した。

エゴグラムの歴史[編集]

バーンの交流分析では、親らしさの P(Parent)、大人らしさの A(Adult)、子供らしさの C(Child)の3要素が用いられた。デュセイはこれを、P の部分を、厳しい親である CP(Critical Parent)と、優しい親である NP(Nurturing Parent)に、C の部分を、自由奔放な子供である FC(Free Child)と、従順な子供である AC(Adapted Child)に分類し、これら5つの自我状態が放出する心的エネルギーの高さをグラフ化する方法を考案した。デュセイによれば、エゴグラムとは、「それぞれのパーソナリティの各部分同士の関係と、外部に放出している心的エネルギーを棒グラフに示したもの」である。

彼がエゴグラムを考案した当時は、質問紙法ではなく、でエゴグラムを描いていた。それは、まず最初に、特徴的な部分を最も高く描き、その次に、目立たない部分を最も低く描き、他の棒は、相対的な高さで描く、という方法である。

質問紙法のエゴグラムが考案されたのは、エゴグラムが日本に伝わって、当時、九州大学心療内科講師を務めていた杉田峰康氏が、エゴグラム・チェック・リストを作成したのが始まりである。

その後、日本では、この質問紙法によるエゴグラムが有名になった。

5つの自我状態[編集]

CP(支配性)
厳しい心。自分の価値観を正しいものと信じて譲らず、責任を持って行動し、他人に批判的である。この部分が低いと、怠惰な性格になる。
NP(寛容性)
優しい心。愛情深く、他人を思いやって行動し、世話好きで保護的で親切である。この部分が低いと、冷淡な性格になる。
A(論理性)
論理的な心。現実を重視しており、知的で計算力が高く、聡明で頭脳明晰で合理的である。この部分が低いと、非合理的な性格になる。
FC(奔放性)
自由奔放な心。明るく好奇心旺盛でユーモアがあり、自我中心性で自己中心的である。この部分が低いと、閉鎖的で暗い性格になる。
AC(順応性)
協調性的な心。他人からの評価を気にし、言いたいことを言わずに我慢してしまい、従順で遠慮がちである。この部分が低いと、マイペースな性格になる。

エゴグラムを用いた自己分析[編集]

質問紙法
5要素のそれぞれに関する質問が10問程度ずつ、全部で50問程度の質問に答えていき、最後にそれを集計し、点数化したものを、CP、NP、A、FC、ACの順に点数をもとに点を打っていき、グラフにする。そして、そのグラフの中の、点数の高い自我状態と低い自我状態が、その人の性格ということになる。点数が高い自我状態はその自我状態の傾向が強いということであり、低い自我状態はその自我状態の傾向が弱いということである。
直感による方法
エゴグラムの歴史を参照せよ。

理想的なエゴグラム[編集]

エゴグラムは、人の性格を交流分析の面から可視化・指標化したものである。このうち、どの自我状態が高い方がよいとか、どの自我状態が低い方がよいといった指標はない。ただ、性格を変えたい(自己の思考や感性の癖を変えたい、他人との関係を改善したいなど、交流分析が行われる趣旨)場合、現在の自分の特徴を把握し、さらに自分が望むエゴグラム的状態を目指して、計画を立てて実行するということができる。要するに、自分の性格を変えるツールとして、エゴグラムを利用することができる[1]

適応のよい、いわゆる「健全なエゴグラム」とされているのが、CPが中等度で、NPが高く、Aが高く、FCが中等度で、ACが中等度という、NPを頂点とするなだらかな山型だといわれている。特に、CPとACが50パーセント付近で、NPやAが高すぎない状態が健全とされる。しかし、あくまでも一般的な観点で健全で適応がよいとされているのであり、「自分自身がなりたい自分(の性格)である」ことが大切である。

脚注[編集]

  1. ^ https://www.mih-jp.com/egogram.html

参考書籍[編集]

  • 新里 里春 ほか「交流分析とエゴグラム」チーム医療(1986年)
  • 東京大学医学部心療内科「新版エゴグラム・パターン――TEG(東大式エゴグラム)第2版による性格分析」金子書房(1995年)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]