エアポート・レール・リンク

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エアポート・レール・リンクタイ語: รถไฟฟ้าเชื่อมท่าอากาศยานสุวรรณภูมิ英語: Airport Rail Link, ARL)とは、タイ王国スワンナプーム国際空港バンコクの中心部を結ぶ、都市高速鉄道である。2010年8月23日に正式開業した[1]

SA City Line用車両
SA Express用車両(パヤータイ駅)

概要[編集]

タイ国鉄(SRT)の運営ではあるが、タイ国鉄自体による直営ではなく、傘下に別組織SRTエレクトリファイドトレインが設立され、そこが運営に当たっている[2][3]

タイ国鉄東本線の敷地を利用し、路線距離は 28.6km、8つの駅が設置された。登記上はタイ国鉄東本線(正式線名;クルンテープ=アランヤプラテート線)の副線としての扱いである。マッカサン駅にはシティ・エアターミナルと呼ばれるチェックイン・カウンターが設置され、2011年1月4日からタイ国際航空及びバンコク・エアウェイズの便についてチェックインサービスの提供が開始された[4]。マッカサン駅は、バンコク・メトロペッチャブリー駅に接続する。

交流25kV電源による架線集電方式で電化されており、軌間は1,435mmである。

本来では2007年8月に完成予定であったが、高架支柱のひび割れなどにより工事が遅れ、2009年10月7日からマッカサン駅 - スワンナプーム駅間で一般市民による試乗が開始された。

2009年12月5日に開業、翌年3月から有料化される見込みであった[5]。しかし、12月5日からも時間を限定した試運転が行われ、正式開業の見込みは立っていなかった[6]。そして、2010年6月1日よりスワンナプーム - パヤタイ間において、7時-10時、16時-19時に限り、無料で試験運行を開始した[7][8]

2010年8月23日に正式開業し、当日に有料化された[9]

タイ国鉄マッカサン鉄道工場の東方に建設中の駅及びシティ・エアターミナル(2009年8月撮影)

運行形態[編集]

現在は、各駅停車であるSA City Lineのみの運行となっている。かつては、途中駅には停車しないノンストップの急行列車SA Expressも設定されていた。

2010年8月23日の開業時点では、SA Expressは100バーツ、SA City Lineは区間に関わらず15バーツ均一運賃とし、シティ・エアターミナルの稼動開始にあわせて正規運賃適用に移行して24時間運行にする計画であった[10]2011年1月4日から運賃については正規運賃適用に移行したが、運行時間帯については引き続き6時から24時までとなった[4]

SA City Line[編集]

空港駅からマッカサン駅を経由し、パヤータイ駅までを約30分で結ぶ各駅停車。車両は、車内がロングシートで車体に青色の帯が描かれた専用車両を使用していたが、SA Express運休後はSA Express専用車両も間合い運用で使用された。SA Expressが運転されていた当時は、フアマーク駅で待避を行っていた。

  • 6時から24時まで運行、12 - 20分間隔
  • 運賃 15 - 45バーツ(隣駅との間は15バーツ。1駅延長毎に5バーツずつ加算される)

SA Express (休止)[編集]

空港駅からマッカサン駅またはパヤータイ駅まで、それぞれをノンストップで結んだ急行列車。空港駅 - マッカサン駅間は約15分、空港駅 - パヤータイ駅間は約20分であった。なお、運賃はCity Lineとは別建てとなっていた。また、空港を利用する旅行客を想定していたことともあり、車内は固定式クロスシートとし、車体には赤色の帯が描かれた専用車両を使用した。このほか、空港駅ではCity Lineとホームが分離され、パヤータイ駅ではExpress利用客専用の待合スペースがあった。

2014年4月14日より、空港駅 - パヤータイ駅間列車が車両の整備の都合上運行休止となった。同年9月には、空港駅 - マッカサン駅間列車も同様に運行休止となった[11][12]。当初、2015年に再開予定とされていた[13]が、通勤・通学客の利用が増えたこともあり、結局再開されることなく廃止されることとなった[14]

以下は運休前の時点

  • 6時から24時まで運行 マッカサン駅発着:40分間隔
  • 運賃
    • 片道150バーツ
    • 2011年6月1日から12月31日までのプロモーション運賃(2012年末まで延長) 片道90バーツ、往復150バーツ(2週間有効)
  • 最高時速 160km/h

駅一覧[編集]

番号 駅名 略称 タイ語
英語
乗り換え
エアポート・レール・リンク
A1 スワンナプーム駅 空港 SVB สุวรรณภูมิ
Suvarnabhumi
A2 ラートクラバン駅 LKB ลาดกระบัง
Lat Krabang
タイ国有鉄道
東本線
A3 バーンタップチャーン駅 BTC บ้านทับช้าง
Ban Thap Chang
タイ国有鉄道
東本線
A4 フアマーク駅 HUM หัวหมาก
Hua Mak
タイ国有鉄道
東本線
A5 ラームカムヘーン駅 RKH รามคำแหง
Ramkhamhaeng
A6 マッカサン駅
(シティ・エア・ターミナル)
MAS มักกะสัน(สถานีรับส่งผู้โดยสารอากาศยานในเมือง)
Makkasan (City Air Terminal)
MRT (Bangkok) logo.svg バンコク・メトロ
ブルーライン:ペッチャブリー駅
タイ国有鉄道
東本線:アソーク駅[15]
A7 ラーチャプラーロップ駅 RPR ราชปรารภ
Ratchaprarop
タイ国有鉄道
東本線
A8 パヤータイ駅 PTH พญาไท
Phaya Thai
BSicon TRAM.svg バンコク・スカイトレイン
スクムウィット線

タイ国有鉄道
東本線

車両[編集]

SA City Lineの車内
SA Expressの車内(クロスシート時代)

ドイツシーメンス社製の鉄道車両・デジロ(デジロUK)が導入されたことで、結果的にバンコク・スカイトレイン及びバンコク・メトロと同じメーカーが選定された。

Express向けに4編成、City Line向けに5編成が製造された。客用ドアはプラグドアが採用されている。また、車内にはドア脇にドア開閉ボタンが備えられている。Express向けの編成では、シティ・エア・ターミナルからの手荷物積載スペースを設けている。

当初はExpressとCity Lineで運用が分けられていたが、今後はExpressを運行する見込みがなくなったため、Express用車両は全編成が2016年中にクロスシートからロングシートに改造され、City Line用編成と共通運用されることとなった。これにより元Express用であった編成は定員が340人から740人に増える[14]

元SA Express用車両 シーメンス・デジロ Class 360/2
西側 (マッカサン側) スワンナプーム側) 東側

1012 - 1014 - 1013 - 1011

1022 - 1024 - 1023 - 1021

1032 - 1034 - 1033 - 1031

1042 - 1044 - 1043 - 1041


SA City Line用車両 シーメンス・デジロ Class 360/2
西側 (パヤータイ側) スワンナプーム側) 東側

2012 - 2013 - 2011

2022 - 2023 - 2021

2032 - 2033 - 2031

2042 - 2043 - 2041

2052 - 2053 - 2051

脚注[編集]

  1. ^ バンコク、高架鉄道が開業 首都中心から空港まで15分 - 共同通信
  2. ^ 『鉄道ピクトリアル』2011年2月号(No.844)p.96
  3. ^ 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 p.303
  4. ^ a b タイ国政府観光庁公式サイト掲載「エアポートリンク 正規料金、フリーチェックイン開始」
  5. ^ タイのエアポートリンク、10月に一般試乗 newsclip.be
  6. ^ バンコクのエアポートリンク、無料運行見送り newsclip.be
  7. ^ バンコク空港への鉄道、1日に実質開業 newsclip.be
  8. ^ SRT、1日よりエアポートリンク試運転の搭乗が可能に タイ通
  9. ^ Airport Link in service from Aug 23 Bangkok Post
  10. ^ 空港→バンコク中心部、30分以内 タイ高架鉄道が開通 - asahi.com
  11. ^ エアポートリンクの急行列車が運行中止[運輸] NNA.ASIA 2014/09/08
  12. ^ バンコク―空港間高架鉄道 本数減少、特急運休 newsclip.be 2014年9月9日
  13. ^ “バンコクのエアポートリンク パヤタイ特急運休”. newsclip.be. (2014年4月14日). http://www.newsclip.be/article/2014/04/14/21464.html 2014年4月15日閲覧。 
  14. ^ a b “バンコクのエアポートリンク、定員増目指し特急改装・廃止”. newsclip.be. (2016年10月6日). http://www.newsclip.be/article/2016/10/06/30741.html 2016年10月6日閲覧。 
  15. ^ マッカサン鉄道工場の東側にある1面1線の地平駅。バンコク・スカイトレインの同名駅とは全く別の駅。

参考文献[編集]

  • 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)ISBN 978-4-87698-848-8

関連項目[編集]

外部リンク[編集]