ウラジロエノキ

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ウラジロエノキ
ウラジロエノキの葉
ウラジロエノキの葉
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: バラ目 Rosales
: アサ科 Cannabaceae
: ウラジロエノキ属 Trema
: ウラジロエノキ T. orientalis
学名
Trema orientalis (L.) Blume
シノニム
和名
ウラジロエノキ
英名
charcoal tree、gunpowder tree

ウラジロエノキ Trema orientalis (L.) Blume は、アサ科ニレ科)の樹木エノキにはさほど似ていない。成長が早く、アジアの熱帯域におけるパイオニア植物の一つ。

特徴[編集]

常緑高木、時に小高木で[3]。日本では小木だが熱帯では大木になる[4][5]。樹皮は灰白色で滑らか。よく分枝し、枝は横に伸びる傾向が強い。若枝は灰白色の短毛を密生するが、後になくなる。皮目は横に長く出る。葉は二列互生し、細長い枝に密生して付くために対生、あるいは羽状複葉にも見える[6]

葉は長さ8-10mmの葉柄があり、葉身は長さ5-12cm、幅2-6cm、卵状長楕円形で先端は長く尾状に伸びて尖り、基部は浅い心形にくぼみ、左右は不対称。葉質は厚手で、表面には短い毛が多くてざらつき、縁には細かな鋸歯がある。葉脈は主脈と基部で分かれる二脈の合わせて3脈がよく目立ち、ほかに側脈は4-5あり、それらは表ではくぼみ、裏では隆起して目立つ。葉裏には伏せた毛が密生して白く見える。托葉は披針形で長さ4mm、すぐに脱落する。

春から夏に葉腋から集散花序を出し、多数の小さな花をつける。花序の長さは1.5-3cm。花は単性または雑居性で、柄はなくて径約3mm。核果は卵球形で径3-4mm、無毛で黒く熟す。

分布[編集]

日本では屋久島種子島以南の琉球列島に見られる。国外では台湾中国南部、東南アジアインドマレーシアオーストラリアにまで分布する。また、アフリカにおいてもセネガルスーダンから南アフリカ共和国の旧ケープ州にかけての降雨量の多い、2200メートルまでの場所で見られる[7]

生育環境[編集]

成長が早くて日当たりのいい場所を好み、林縁や攪乱を受けた場所によく出現する[6]。特に路傍、開墾後、焼け跡、伐採跡によく出現し、痩せ地での生育がとても良好[8]

先駆植物的な性格が強く、東南アジアの照葉樹林帯の焼き畑後にいち早く出現する樹種の一つに挙げられる[9]

分類[編集]

エノキと同じくアサ科に属するが、属は異なる。同属のものは熱帯域を中心に20種以上があるが、日本にはもう一種、キリエノキ(コバフンギ) T. cannabina だけがある。本種ほど大きくならない小高木で、葉質は薄く、裏が白くならない。また果実は黄色から赤に熟する。

利用[編集]

材は柔らかくて器具や建材に使われる。成長が早くて10-20年で利用でき、下駄材としてはキリに次ぐ[8]。樹皮からはタンニンが取れるほか、その繊維から紙が作られる[6]

成長が早いことから護岸用に植栽されることもある[10]

ケニア南部のキクユ人も家の柱、特に垂木として[11]、また燃料として用いたり[12]、根を咳止めの目的で噛んだりしていた[12]ニエリ県においてもやはり根の煎じ汁を喘息に対して用いるとの報告がある[13]

諸言語における呼称[編集]

  • 英語: charcoal tree[7], Indian charcoal tree[1], gunpowder tree[7], Indian nettle[1], Oriental nettle[1], pigeon wood[1], poison peach[1]

ケニア:

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f Barstow (2018).
  2. ^ Trema guineensis (Schumach & Thonn.) Ficalho — The Plant List.
  3. ^ 以下、主として佐竹他(1999), p.82
  4. ^ 北村、村田(1979), p.255
  5. ^ ちなみに初島(1975)では中高木とされている。
  6. ^ a b c 寺林(1997), p.168
  7. ^ a b c Maundu & Tengnäs (2005).
  8. ^ a b 天野(1982), p.18
  9. ^ 中野(1997), p.160
  10. ^ 佐竹他(1999), p.82
  11. ^ a b Leakey (1977), p. 1345.
  12. ^ a b c Benson (1964).
  13. ^ Kamau et al. (2016).

参考文献[編集]

日本語:

  • 北村四郎村田源、『原色日本植物図鑑 木本編〔II〕』、(1989)、保育社
  • 佐竹義輔他編著、『日本の野生植物 木本 I』(新装版)、(1999)、平凡社
  • 寺林進、「エノキ」:『朝日百科 植物の世界 8』、(1997)、朝日新聞社:p.168-169
  • 中野和敬、「照葉樹林と人びとの暮らし」:『朝日 植物の世界 13』、(1997)、朝日新聞社:p.158-160

英語:

  • Barstow, M. (2018). Trema orientalis. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T61988133A61988136. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-1.RLTS.T61988133A61988136.en. Downloaded on 30 October 2018.
  • "hethu" in Benson, T.G. (1964). Kikuyu-English dictionary, p. 148. Oxford: Clarendon Press. NCID BA19787203
  • Kamau, Loice Njeri and Peter Mathiu Mbaabu and James Mucunu Mbaria and Peter Karuri Gathumbi and Stephen Gitahi Kiama (2016). "Ethnobotanical survey and threats to medicinal plants traditionally used for the management of human diseases in Nyeri County, Kenya", p. 11.
  • Leakey, L. S. B. (1977). The Southern Kikuyu before 1903, v. III. London and New York: Academic Press. 0-12-439903-7 NCID BA10346810
  • Maundu, Patrick and Bo Tengnäs (eds.) (2005). Useful Trees and Shrubs for Kenya, p. 426. Nairobi, Kenya: World Agroforestry Centre—Eastern and Central Africa Regional Programme (ICRAF-ECA). ISBN 9966-896-70-8 Accessed online 21 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees

関連項目[編集]