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ウダロイ級駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウダロイ級駆逐艦
1155型大型対潜艦

基本情報
艦種 一等大型対潜艦
運用者
就役期間 1980年 - 現在
計画数 15隻
建造数 13隻
前級 1134B型(カーラ型)
次級 最新
要目
#諸元表を参照
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ウダロイ級駆逐艦英語: Udaloy class destroyer)は、ソビエト連邦海軍ロシア海軍大型対潜艦BPK)の艦級。海軍での正式名称は1155型大型対潜艦、計画名は「フレガート」(: «Фрега́т»)であった。

通常の大型対潜艦と同様、対潜・対空任務に比重をおいて設計されているが、のちに汎用性を高めた艦として改設計された1155.1型(西側ではウダロイII級と呼称)が開発されている。設計番号からは、のちにピリオドが省略され11551型となっている。

概要

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本級は、1960年代初頭から建造が進められてきた大型対潜艦の系譜に属しており、1970年代に建造された1134A型(クレスタII型)大型対潜艦および1134B型(カーラ型)大型対潜艦の後継という位置付けになるが、設計面ではむしろ、より小型の2等艦である1135型(クリヴァク型)警備艦の拡大・発展版というべきものとなっている。当初は1135型よりわずかに大きい程度のサイズ(4,000トン級)で計画されていたが、各種の新装備を盛り込んだ結果、排水量はほぼ倍増するまでに大型化した。

本級は、強力なソナー装備、長射程の対潜ミサイル、2機の対潜哨戒ヘリコプターと、極めて有力な対潜戦闘能力を具備している。また、新型の3K95 キンジャール(SA-N-9 ガントレット)個艦防空ミサイルによって、かなり高度な個艦防空能力を備えている。ただし、専用の対水上火力を持たないことが弱点として指摘されており、のちに対艦ミサイルP-270 モスキート(SS-N-22 サンバーン)を搭載して汎用艦として改設計されたウダロイII級駆逐艦が開発された。

来歴

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ソ連海軍は、1960年代半ばよりソ連沿岸における西側潜水艦戦力に対抗するため、対潜艦の整備を進めてきた。これによって配備された1等大型対潜艦が1134型シリーズ、2等大型対潜艦(のち警備艦)が1135型シリーズ、小型対潜艦が1124型(グリシャ型)小型対潜艦であった。しかし、これらの対潜艦には2つの弱点が指摘されていた。

  1. 潜水艦探知能力の不足。対潜ミサイルの射程に対してソナーの有効距離があまりに短く、対潜哨戒ヘリコプターとの連携が必要であったが、ヘリコプターが発艦できる気象条件は限られた。
  2. 対水上打撃能力の欠如。対潜攻撃能力を重視するあまり対水上戦闘能力が低かったため、第二次世界大戦型の西側駆逐艦との砲撃戦にすら敗北する恐れがあった。

1972年、ソ連海軍は次世代対潜艦のコンセプト開発をほぼ完了した。この次世代対潜艦は、新型のソナーシステム、対潜哨戒ヘリコプター、個艦防空ミサイルシステム戦術情報処理装置を装備することとなっていた。1135型の設計主任であったN・P・ソボレフがプロジェクトマネージャとなり、設計はレニングラードの北方設計造船局で行われた。

本級は当初より1135型の設計に基づくこととなっており、当初は4,200トンという満載排水量で計画されていた。しかし、本級の最重要装備であるMGK-355 ポリノム統合ソナーシステムは容積・重量ともにかなり大規模なものであり、これのみで排水量を25%増加させるなど、4,200トンでは到底収まりきらなかった。試験によってポリノムの有効性が確認されると、これを搭載するためには艦型の大型化もやむなしとの判断が下され、新型の個艦防空ミサイルの搭載などもあり、最終的に艦の排水量はほぼ倍増することとなった。なお、この際に計画されていた「4,200トン級の対潜艦」は、のちに11540型(ネウストラシムイ級)警備艦として実現することになる。

本級は、アメリカにおいて5年ほど先行して整備されていたスプルーアンス級駆逐艦と同様の対潜艦で、同規模・同世代であることから常に対比され、西側観測筋からはスプルーアンスキーとも通称されている。スプルーアンス級も、当初の5,000トン級のシーホーク計画艦としてスタートしたのちに大型化をくりかえし、最終的に8,000トン以上にまで至ったという経緯をたどっており、期せずして米ソ双方がほぼ同じ過程を経て対潜艦を開発していたことになる。また当時、新型ソナーや艦の静粛化など各種の対潜戦闘用テクノロジーが発達しつつあったが、米ソ両国駆逐艦の開発プロセスは、これらがいかに大きな容積・重量を占めるものであるかを示しているとも言える。

アメリカはスプルーアンス級の建造に当たっていくつかの困難に直面したが、本級もやはり困難を抱えることになった。しかし、スプルーアンス級が建造マネジメントに失敗したのに対し、本級の問題は、むしろアメリカがカリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦で直面したのと同様のシステム統合の問題であった。アメリカのカリフォルニア級の開発難航は、

  1. 艦対空ミサイルの弾体を除き、主要なサブシステムが全て新規開発であった
  2. 統合システムの意義、および各サブシステムの連接に関する理解が不足していた

という原因によっていたが、これは本級にもそのまま当てはまるものであった。特にキンジャール個艦防空ミサイルシステムの開発は難航し、1980年・82年の1番艦・2番艦の就役にはついに間に合わず、3番艦も射撃指揮装置を未搭載の状態で就役することを余儀なくされた。しかし、同システムを搭載した4番艦以降は、良好な評価を受けている。

このようにして就役を開始したものの、これらの1155型は対水上戦能力の不足という問題を抱えていた。コンセプト開発の段階では、従来の対潜艦が対水上戦能力をほとんど持たないことが問題視されていたものの、ポリノムやキンジャールなど嵩をとる新装備を搭載するため、1155型においてもそれらの装備は割愛し、URPK-5 ラストルブ(SS-N-14 サイレックス)対潜ミサイルに副次的に対水上攻撃能力を付与することで妥協せざるを得なかった。

しかしその後、魚雷発射管からの運用を可能としつつ、従来のURPK-5と同等の性能を確保したRPK-6 ヴォドパッド(SS-N-16 スタリオン)が実用化されたことで、対潜システムを合理化し、余裕を作ることが可能となった。これに基づき、魚雷発射管をRPK-6運用能力を有する固定型に変更するとともに、P-270 モスキート(SS-N-22 サンバーン)対艦ミサイルを搭載して対水上戦能力を大幅に向上させた汎用艦が計画された。これが、1155.1型大型対潜艦(ウダロイII級駆逐艦)である。設計主任として、956型(ソヴレメンヌイ級駆逐艦)駆逐艦を設計したワレンチン・ミシンを迎え、設計作業は1982年より開始され、1番艦は1989年に起工された。

1155.1型は、1155型に続いて大量配備が計画された。しかし、ソビエト連邦の崩壊後の軍備縮小傾向のなか、ロシア海軍は艦隊防空能力を有する956型の整備を優先したため、1155.1型は起工された3隻のうち1隻が就役するにとどまった。

設計

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船体

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本級は、1135型(クリヴァク型)警備艦と同様の長船首楼船型を採用している。1135-M型(クリヴァク-II型)警備艦で艦後部に装備されていたAK-100 100mm単装砲2基は艦前部に移設された。一方、同級で艦首にあった対潜ミサイル発射筒は倍増されて艦橋両側に移動したが、これは、先行する大型対潜艦と同様の装備要領であった。船体の大型化に伴い、船楼の後端にはヘリコプター格納庫とヘリコプター甲板が設置された。また、本級は、途中でヘリコプターの搭載数を2機に増やすように設計変更された。これに伴い、本級の船体設計には1123型(モスクワ級)対潜巡洋艦で採用されていた「二重楔」型船体(鋭く尖った艦首に、広く平らな艦尾部)が採用された。また、ステルス性の向上を狙って、上部構造物は外壁を傾斜させ、電波吸収性塗料(RAM)も使用された。

本級の設計上の問題のひとつが、ダメージコントロール面の配慮が薄いことである。北極海の過酷な海象状況に対応するため、上部構造物を軽量化することを狙って広範にアルミ合金が使用されているが、これは、耐航性の向上と引き換えに抗堪性の低下をもたらした。それを顕著にあらわしたのが4番艦「アドミラル・ザハロフ」の火災事故である。出火原因そのものは仕様を超えてガスタービンエンジンを酷使したことであったが、ボイラー・機械室の隔壁は、火を遮断する代わりにそれ自体が燃え出してしまった。乗員による極めて迅速かつ断固とした応急対処によって弾薬庫への引火・轟沈という最悪の事態は免れたものの、火災は22時間におよび、同艦は最終的にその損傷を修復せずに退役している。なお、アメリカ海軍は同様にアルミ合金を多用した巡洋艦ベルナップ」が、衝突事故に伴う火災によって上部構造物を全焼させて以来、上部構造物にアルミ合金を使用せず製としている。

機関

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本級は、機関構成としてCOGAG方式を採用しており、巡航用に16,000馬力のM70 ガスタービンを2基、ブースト時にはさらに45,000馬力のM8KF ガスタービン2基を使用する。また、1155.1型(ウダロイII級)では、巡航用ガスタービンが18,000馬力のM63に変更されている。機関室は前後部にシフト配置され、これにあわせて煙突も前後部に2本ずつ並列配置されている。

装備

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C4Iシステム

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本級は、レソルブ-5戦術情報処理装置を中核として全てのセンサーおよび兵装を連接し、統合戦闘システムを構築することを狙っていた。しかし、上述のとおり、システム統合の困難さへの理解不足からその作業は極めて難航した。ただし、本級における経験からか、続く11540型(ネウストラシムイ級)警備艦におけるシステム開発については、この種の困難は伝えられていない。

対潜戦闘システム

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ウダロイI級の前甲板。右から短SAM用VLS、100mm砲2門、SUM発射筒。
アメリカ軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦と並走する改良型のウダロイII級(奥)。前甲板に130mm連装砲1門が配置され、100mm単装砲2門が配置されたI級とはシルエットが異なる。

本級の最重要装備が、その対潜戦闘システムである。

MGK-355 ポリノム統合ソナーシステムのうち、艦首装備ソナーMGK-335 プラチナ(ホース・ジョー)は50kmと、第1CZにも及ぶ探知距離を誇り、水温躍層をも通過できる強力な低周波ソナーであり、アメリカAN/SQS-53にほぼ匹敵する。また、より長距離の探知には可変深度ソナー(ホース・テール)を使用する。これによって、本級はヘリコプターの支援なしでも対潜ミサイルの射程外縁において対潜戦闘を展開することが可能になった。また、改良型の1155.1型大型対潜艦においては艦首ソナーはズヴェズダに変更されている。

本級を含め、ソ連ロシア海軍対潜艦の最大の特長は、その重厚な対潜火力にある。本級は、短距離の対潜火力として533mm対潜魚雷、中距離の対潜火力としてRBU-6000対潜ロケット、長距離の対潜火力としてURPK-5 ラストルブ(SS-N-14 サイレックス)対潜ミサイルを有し、さらにURPK-5射程外での対潜戦闘用にKa-25BSh ホーモン-A(のちにKa-27PL ヘリックス-A対潜哨戒ヘリコプター2機を搭載している。すなわち、4重にもおよぶ対潜火網を構築していることになり、西側海軍の同級艦に類を見ない強力な対潜戦闘能力を備えているということができる。西側諸国においては、中距離以遠での対潜戦闘には艦載ヘリコプターを使用することが一般的であるが、ロシア海軍が主たる作戦海域とする北極海においてはヘリコプターの運用が困難な気象・海象状況が稀でないため、このように自艦装備の対潜火力を充実させたと言われている。

本級が自艦に装備する最大の対潜火力であるURPK-5の4連装発射機は、1134A型(クレスタII型)大型対潜艦および1134B型(カーラ型)大型対潜艦と同様、艦橋構造物の下部両舷に装備されている。ただし、対水上戦能力の不足への対策から、本級の搭載する対潜ミサイルは、先行する対潜艦で搭載されるRPK-3 メチェーリに対水上攻撃能力を付与した改良型であるURPK-5 ラストルブとなっている。

また、中距離用のRBU-6000対潜ロケット12連装発射機2機、そして短距離用の533mm 4連装魚雷発射管2基は、ソ連海軍で一般的な対潜兵装であった。RBU-6000対潜ロケットは西側では既にほぼ見られなくなったボフォース 375mm対潜ロケットと同様のコンセプトに基づく装備であるが、ボフォースよりもはるかに長射程であり、弾頭として無誘導の爆雷を使用することから、特に浅海域での戦闘に有用であり、対魚雷防御にも使用可能とされている。

また、のちに533mm魚雷発射管から運用できるRPK-6 ヴォドパッド(SS-N-16 スタリオン)の実用化に伴い、1155.1型では、RPK-5にかえてこれを装備した。このため、旋回式の533mm 4連装魚雷発射管は、RPK-6発射機を兼ねた固定式の533mm 4連装魚雷発射管に変更され、また、URPK-5発射筒は撤去されている。

対水上戦闘システム

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本級の最大の弱点は、専任の対水上火力を持たないことであった。この欠点を補うため、URPK-5 ラストルブ(SS-N-14 サイレックス)対潜ミサイルには対水上攻撃能力が付与され、さらにAK-100 100mm単装砲の搭載によって、先行する大型対潜艦と比べて砲撃戦能力も強化されてはいるが、西側の同級艦と比べて、この面で劣っていることは否めなかった。例えば、本級と常に対比されるアメリカスプルーアンス級駆逐艦の場合、Mk 45 5インチ砲を2門と、ハープーン対艦ミサイルを8発搭載しており、ミサイル兵装、砲熕兵装ともに本級に対して大きく優越している。

このことから、1155.1型の設計において、RPK-6 ヴォドパッド(SS-N-16 スタリオン)対潜ミサイルの実用化によって、非常にかさばっていたURPK-5対潜ミサイル発射筒が不要になったとき、そこにP-270 モスキート(SS-N-22 サンバーン)対艦ミサイルの発射筒を搭載するという決定は極めて自然な発想であった。これは、艦隊防空艦である956型(ソヴレメンヌイ級)駆逐艦にも搭載された対艦ミサイルで、RPK-6など大型のミサイルに比して射程が短いため、どちらかと言えば艦隊の自衛用として運用するよう構想されているが、超音速で飛翔するなど、極めて強力なものである。これを搭載することによって、1155.1型は汎用艦と呼ぶに足る能力を備えた。

対空戦闘システム

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本級は、ソ連海軍の水上戦闘艦の伝統に則り相応に強力な対空戦闘能力を備えており、センサー火力ともに、これまでのソ連対潜艦よりも新しい世代のものを搭載している。

センサーとしては、MR-750 フレガート-MA(トップ・プレート)3次元レーダーを有することになっている。MR-750はSバンドで動作し、最大探知距離は対空で300km、対水上で30km、シースキマーの探知も可能である。ただし、1・2番艦はMR-750の実用化が間に合わず、トパーズ(ストラットペア)のみを装備している。

本級は、原型艦および前任艦が使用していた4K33 オサーM(SA-N-4 ゲッコー)個艦防空ミサイル・システムにかえて、新型の3K95 キンジャール(SA-N-9 ガントレット)個艦防空ミサイル・システムを搭載する。これは、4K33と同程度の規模・射程(12km程度)であるが、垂直発射化され、また、新型のMR-360 ポドカット(クロス・ソード)射撃指揮装置の採用もあり、即応性や同時交戦能力は飛躍的に向上している。本級では、射撃指揮装置は2基、発射機としては、8連装の回転式垂直発射機を8基、フル装填で計64発を搭載する。

しかし、キンジャール個艦防空ミサイル・システムはまったくの新規開発であったことから、実用化、さらにシステム統合に際して非常な困難が発生した。1・2番艦の就役にはまったく間に合わず、3番艦は垂直発射機のみを搭載し、射撃指揮装置は抜きで就役したが、当然これでは運用は不可能である。4番艦より、ようやく発射機と射撃指揮装置の両方を搭載して就役するようになった。

また、1155型ではCIWSとしてAK-630 30mm機関砲4基を装備するが、これはソ連海軍でもっとも一般的な機種である。しかし、改良型の1155.1型ではコールチク(CADS-N-1 カシュタン)を2基備えている[注釈 1]。これにより、本級は3K95個艦防空ミサイル、AK-100 100mm単装砲3M87(SA-N-11 グリスン)近距離対空ミサイル、AK-630 30mm機関砲と4重にもおよぶ防空火網を構築できることとなり、その防空能力は飛躍的に向上した。

砲熕兵器システム

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1155型では、先行する大型対潜艦が主としてAK-726 76mm砲を使用していたのに対し、原型艦である1135-M型警備艦(クリヴァク-II型)と同様にAK-100 100mm単装砲を装備している。これは、この世代のソ連海軍水上戦闘艦艇において一般的な砲であるが、対水上戦能力を補うために砲撃戦能力を向上させることも狙っていると言われている。

その後、改良型の1155.1型では、新型のAK-130 130mm連装砲が採用された。これは、艦隊防空艦である956型(ソヴレメンヌイ級駆逐艦)駆逐艦にも搭載されたもので、これによって砲撃戦能力はいっそう向上した。

艦載機

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艦尾より見た写真。

本級は当初、先行する大型対潜艦と同様、Ka-25BSh ホーモン-A対潜哨戒ヘリコプターを1機搭載するものとして設計されていた。しかし、これは西側のハンターキラーチームと同様に2機のペアで運用される必要があり、1機では航空機のみで独立しての作戦行動は不可能であった。このことから、途中で搭載機は2機に増やされた[注釈 2]

なお、のちに1機で独立した作戦行動が可能なKa-27PL ヘリックス-Aが配備されており、これにより、本級の対潜作戦の柔軟性はいっそう増した。また、必要に応じて対艦ミサイル対潜ミサイルの誘導・側的を行うKa-27RTも搭載される。1、2番艦は搭載機2機に対し着艦標識は1箇所しか設けられていなかったが、3番艦以降ヘリコプター甲板が若干拡大され、着艦標識も2箇所設けられた。

諸元表

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1155型(ウダロイI級) 1155.1型(ウダロイII級)
排水量 満載:8,500t 満載:8,900t
全長 163.5m
全幅 19.3m
喫水 7.5m
機関 COGAG方式 2推進
M70 ガスタービン(16,000hp)×2基 M63 ガスタービン(18,000hp)×2基
M8KF ガスタービン(45,000hp)×2基
速力 最大:29.5kt 最大:28kt
航続距離 5,700nmi / 14kt 4,000nmi / 18kt
乗員 249名 296名
兵装 AK-100 100mm単装砲×2基 AK-130 130mm連装砲×1基
AK-630 30mm CIWS×4基 コールチク(CADS-N-1 カシュタン) CIWS×2基
3K95 キンジャール(SA-N-9 ガントレット)短SAM 8連装VLS×8基
URPK-5 ラストルブ(SS-N-14 サイレックス)SUM 4連装発射筒×2基 P-270 モスキート(SS-N-22 サンバーン) SSM 4連装発射筒×2基
RBU-6000対潜ロケット12連装発射機×2基 RBU-12000対潜ロケット10連装発射機×2基
533mm 4連装魚雷発射管×2基
(旋回式)
533mm 4連装魚雷発射管×2基
(固定式)
RPK-6 ヴォドパッド(SS-N-16 スタリオン)SUM発射機兼用)
艦載機 Ka-27 ヘリックス対潜ヘリコプター×2機
C4I レソルブ-5戦術情報処理装置
MR-360 ポドカット(クロス・ソード)ミサイルFCS(短SAM用)×1基
MR-184 レーフ(カイト・スクリーチ)砲FCS(主砲用)×1基
MR-123 ヴィーンペル(バス・ティルト)砲FCS(30mm CIWS用)×2基 ガルプン-BAL ミサイルFCS(SSM用)×1基
レーダー MR-750 フレガート-MA 3次元レーダー
MR-320M トパーズ-V低空警戒/対水上/射撃指揮レーダー
ソナー MGK-335 プラチナ艦首装備式 ブロンザ(オックス・ヨーク)艦首装備式
可変深度式 オックス・テール可変深度式
電子戦
対抗手段
スタート-2 ESM装置
ベル-クラウン ESM装置
ベル-スクワット ESM装置
PK-2囮展開装置×2基
PK-10囮展開装置×10基

運用

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1155型は、1980年 - 1991年に掛けて12隻が就役した。本級の建造を主導したのは1135型(クリヴァク型)警備艦の建造においても主導的な役割を果たしたカリーニングラード市の沿バルト海造船工場「ヤンターリ」であり、同工場では8隻が建造された。この他、レニングラード市のA・A・ジダーノフ記念工場でも4隻が建造された。

12番艦の就役直後、1991年12月末のソ連解体に伴ってソ連海軍も消滅し、かわってロシア海軍が成立した。ロシア海軍は、1993年春に「海軍兵力整備10カ年計画」を発表したが、この計画においてウダロイ級は就役済みの12隻が全て維持される事とされた。しかし、ソ連解体後の財政危機のあおりを受けて、本級の運命は決して平坦なものではなく、2017年現在で4隻が既に除籍されている。2番艦の「ヴィツェ・アドミラル・クラコフ」は2002年以降セヴェルナヤ造船所において中断期間を含む長期のオーバーホールを行っていたが、現在は艦隊に復帰している。

その一方、改正型の1155.1型の1番艦「アドミラル・チャバネンコ」は1992年に進水したものの、財政難から国家受領委員会の認定試験に合格するための資材をそろえることができず、1999年にようやくロシア海軍に就役した。1155.1型は1155型の後継として大量建造が計画されたが、ソ連解体後のロシア海軍は、艦隊防空艦である956型(ソヴレメンヌイ級)駆逐艦の建造を優先したため、1155.1型は3隻のみの起工に終わり、竣工したのは1隻だけであった。

このように、建造数は削減され、さらに除籍艦も相次いではいるが、就役中の艦は大部分が稼動状態にあり、同時期に建造された956型駆逐艦よりも稼働状況は良好である。これは、主機がガスタービンエンジンであるなど運用コストが956型駆逐艦よりも低く、現在のロシア海軍にとっては使い勝手の良い艦であるためと考えられている。

近代化

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2013年3月に近代化計画が発表され、その時点ではA-192 130mm単装砲3M54 カリブル(SS-N-27 シズラー)巡航ミサイル3K96 リドゥートなどの兵装が装備され、費用は20億ルーブルとされた[1]。2015年には、ウダロイ級の兵装や電子艤装を交換する大規模な近代化改装計画が発表された。改装は就役中の8隻全てに実施され、艦砲AK-100 100mm単装砲2基からA-192 130mm単装砲1基に換装し、既存のミサイル類もP-800 オーニクス(SS-N-26 ストロビル)および3M54巡航ミサイルが運用できる3S14多目的VLS9K331 トール-M対空ミサイルへ換装する。最初の改装を2年以内に完了してから順次行う予定で、改装によりウダロイ級の就役期間は10 - 15年延長される予定である[2]。また、改装後は大型対潜艦からフリゲートに再分類される。

2016年3月30日には、太平洋艦隊の「マーシャル・シャポシニコフ」がウラジオストックのダーリザヴォート艦船修理センターに入渠した。改修内容はこれまでの計画と異なり、主兵装のA-190 100mm単装砲3M24 ウラン(SS-N-25 スイッチブレード)対艦ミサイルへの換装や、近接防御システム、通信機器、電子戦装備の換装などにとどまっており、発注金額は約20億2,000万ルーブルとなっている[3]。2019年には3M54巡航ミサイルと3M24艦対艦ミサイルを搭載して年内に復帰し、さらに4隻に同じ改修を行うと報じられた[4]。「マーシャル・シャポシニコフ」は2020年7月10日に海上航試を始め、2021年4月27日に太平洋艦隊に復帰。5月5日には1164型(スラヴァ級)ミサイル巡洋艦ヴァリャーク」や2隻の20380型(ステレグシュチイ級)汎用コルベットと共に対馬海峡を南に向かうのを海上自衛隊が発見した[5]。日本の統合幕僚監部は、「マーシャル・シャポニコフ」を2024年までウダロイI級駆逐艦に分類していた[6]が、2025年6月以降はウダロイIII級駆逐艦に分類している[7]

同型艦

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1155型大型対潜艦(ウダロイI級駆逐艦)

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同型艦一覧
艦番号艦名起工就役除籍配属造船所備考
637 ウダロイ
(Удалой)
1980年
12月31日
2001年 北方艦隊 ヤンターリ
626 ヴィツェ・アドミラル・クラコフ
(Вице-адмирал Кулаков)
1982年
1月10日
ジュダーノフ
687 マーシャル・ワシレフスキー
(Маршал Василевский)
1983年
12月8日
2007年
2月10日
1990年代より予備役係留保管状態
513 アドミラル・ザハロフ
(Адмирал Захаров)
1983年
12月30日
1994年
6月
太平洋艦隊 ヤンターリ 1991年2月7日火災爆発事故
1994年9月解体
555 アドミラル・スピリドノフ
(Адмирал Спиридонов)
1985年
3月4日
1998年
8月
2002年以降解体
564 アドミラル・トリブツ
(Адмирал Трибуц)
1985年
12月30日
ジュダーノフ 2022年以降、艦橋上部に軍隊符号として「Z」と同様、ロシア海軍歩兵を意味する「V」を描いている[8]
543 マーシャル・シャポシニコフ
(Маршал Шапошников)
1985年
12月30日
ヤンターリ
619 セヴェロモルスク
(Североморск)
1987年
12月30日
北方艦隊 ヤンターリ
605 アドミラル・レフチェンコ
(Адмирал Левченко)
1988年
9月30日
ジュダーノフ
572
554
アドミラル・ヴィノグラードフ
(Адмирал Виноградов)
1988年
12月30日
太平洋艦隊 ヤンターリ
678 アドミラル・ハルラモフ
(Адмирал Харламов)
1989年
12月30日
北方艦隊 2006年9月予備役
548 アドミラル・パンテレーエフ
(Адмирал Пантелеев)
1991年
12月19日
太平洋艦隊

1155.1型大型対潜艦(ウダロイII級駆逐艦)

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同型艦一覧
#艦名起工就役除籍配属造船所備考
650 アドミラル・チャバネンコ
(Адмирал Чабаненко)
1999年
1月28日
北方艦隊 ヤンターリ
アドミラル・バシスティ
(Адмирал Басистый)
1990年 1994年建造中止、解体
アドミラル・クチェロフ
(Адмирал Кчеров)
1990年 1993年建造中止、解体

登場作品

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映画

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空母いぶき
実写映画に架空の新興国家「東亜連邦」の北方艦隊の駆逐艦「ルサ」として登場。本来なら装備しているP-270 モスキート艦対艦ミサイルだが、作中ではYJ-95艦対艦ミサイル(名称的に中国製対艦ミサイルと思われる)を装備していると発言するシーンがあり、原型よりアップグレードされていると思われる。
作中では終盤に登場し、初島へ向かう「いぶき」率いる第5護衛隊群を迎え撃つべく僚艦「スレアグ」と共に現れるが、架空のこんごう型護衛艦「いそかぜ」の砲撃で対艦ミサイル発射筒、対空ミサイル発射筒、魚雷発射管など主要な艦載兵器を破壊され、沈没こそしなかったものの大破炎上し、戦闘能力を喪失した。

漫画・アニメ

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『ヱヴァンゲリヲンシリーズ』
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
ヴィレ艦隊に数隻が登場している。ネーメズィスシリーズ襲来の際にこんごう型と共に波に呷られている。
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
NERV所属艦が登場。ジオフロント内の地底湖に停泊しており、EVA弐号機戦略自衛隊ロケット弾攻撃から自機を守るために盾として使用する。
沈黙の艦隊
第46話に「アドミラル・スピリドノフ」が登場。架空の原子力潜水艦やまと」を撃沈するため、他の太平洋艦隊所属艦とともに出撃し、沖縄沖にて戦闘を繰り広げるが、「やまと」が発射した魚雷を回避中に衝突したキンダ型巡洋艦「グローズヌイ」とオグネヴォイ級駆逐艦「オスモトリテルヌイ」が沈没したことを受け、両艦乗組員の救助活動にあたる。

ゲーム

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Modern Warships
プレイヤーが操作できるティア2艦艇として、ウダロイI級駆逐艦から「アドミラル・パンテレーエフ」が、ティア3艦艇としてウダロイII級駆逐艦から「アドミラル・バシスティ」が登場。
エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
エルジア王国海軍の駆逐艦としてウダロイII級が登場。劇中では「カリュプソ」「エウノミア」「アパイア」などの固有艦名を持つ艦も登場する。

参考文献

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脚注

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注釈

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  1. これは、ガトリング式の30mm機関砲と3M87(SA-N-11 グリスン)近距離対空ミサイルを組み合わせたもので、世界初にして2009年現在唯一の砲・ミサイル複合型CIWSである。
  2. なお、アメリカスプルーアンス級駆逐艦LAMPSヘリコプター2機を搭載しているが、これは設計時に搭載が考慮されていたSH-2 シースプライトの連続行動時間が限られていたことから、2機を搭載することによって絶え間なくヘリコプターを作戦可能に保っておくためのものであり、本級とは異なる意図に基づいている。

出典

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  1. Россия модернизирует старый антипиратский флот
  2. 「海外艦艇ニュース 露ウダロイ級駆逐艦を全艦近代化改修へ」『世界の艦船』第821集(2015年9月号) 海人社
  3. 「海外艦艇ニュース 露太平洋艦隊 大型対潜艦シャポニコフの近代化開始」『世界の艦船』第838集(2016年6月号) 海人社
  4. 「海外艦艇ニュース ロシア海軍がウダロイ級に対地攻撃の能力付与改修」『世界の艦船』第907集(2019年9月特大号) 海人社 P.181
  5. 統合幕僚監部 (2021年5月6日). “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 防衛省 2025年9月15日閲覧。
  6. 統合幕僚監部 (2021年8月22日). “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 防衛省 2025年9月15日閲覧。
  7. 統合幕僚監部 (2025年6月26日). “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 防衛省 2025年9月15日閲覧。
  8. 統合幕僚監部 (2022年11月14日). “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 防衛省 2025年9月15日閲覧。