ウシ血清アルブミン

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アルブミン
Bovine serum albumin 3v03 crystal structure.jpg
識別子
略号 ALB
Entrez 280717
Orthologs 105925
UniProt P02769
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ウシ血清アルブミン(英語:Bovine serum albumin、BSAまたは"フラクションV"と略される)はウシから得られる血清アルブミン英語版)である。このタンパク質は研究実験においてタンパク質の標準溶液に用いられる。

"フラクションV"という通称はアルブミンが血漿タンパク質の溶解度の違いを利用するコーンの浄化法英語版において5番目の留分英語版として出てくることに由来する。溶液の濃度pH、電荷、温度を変えることで、コーンは血漿の成分を分離することに成功した。これはまずヒト血清アルブミン英語版で商業化され、次にBSAについても商業化された。

フリーズドライにされたBSA

性質[編集]

ペプチド 位置 長さ(アミノ酸残基数) 分子量( Da
前駆体の全長  1 – 607 607 69,324
シグナルペプチド  1 –  18 18 2,107
プロペプチド英語版 19 –  22 4 478
完成型のタンパク質 25 – 607 583 66,463

BSAの物理的性質:

応用[編集]

BSAはELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)やウェスタンブロッティング免疫染色など、生化学の分野で多くの応用がなされている。BSAは小さいタンパク質で安定であり、余計な反応を起こさないため、免疫染色でブロッカーとして用いられる[7]。細胞内で抗原を特定するために抗体を使う免疫染色ではBSAに非特異的な結合部位に結合させるため、組織をBSAブロッカーと置いておくことが多い[8][9] 。BSAの非特異性結合部位への結合により、抗体が目的の抗原とだけ結合しやすくなる[10]。BSAブロッカーが結合部位に結合して非反応性タンパク質で覆ってノイズを減らすので、抗体の感度が上がる[11][12]。このプロセスでは異物への感度を最大限に高めるために非特異性部位との結合を最小限に抑えることが必要である[11]。BSAは細胞で栄養になり、微生物の培養にも役立つ。制限消化英語版ではBSAはDNAの消化中にいくつかの酵素を安定化させる働きをもち、酵素が試験管やピペットチップスなどの容器に付着するのを抑える効果がある[13]。このタンパク質は他の酵素に影響せず、安定化の必要はない。BSAは、量が未知のタンパク質と量が既知のBSAを比較することで他のタンパク質を定量するのにも用いられている。(ブラッドフォードのタンパク質アッセイを参照)BSAはアッセイ英語版でのシグナルを増幅させ、多くの生化学反応において副反応を起こしにくく、安くて純粋なものが畜産業の副産物としてウシの血液から大量に得られることから、頻繁に用いられる。BSAの他の使い道としては、酵素活性をブロックしてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を一時的に止めているときに物質を単離することがある[14]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ “Bovine serum albumin adsorption onto immobilized organotrichlorosilane surface: influence of the phase separation on protein adsorption patterns”. Journal of Biomaterials Science. Polymer Edition 9 (2): 131–50. (1998). doi:10.1163/156856298x00479. PMID 9493841. 
  2. ^ Peters T (1975). Putman FW. ed. The Plasma Proteins. アカデミックプレス英語版. pp. 133–181. 
  3. ^ “Hydrodynamic structure of bovine serum albumin determined by transient electric birefringence”. Biophysical Journal 15 (2 Pt 1): 137–41. (Feb 1975). doi:10.1016/S0006-3495(75)85797-3. PMC: 1334600. PMID 1167468. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1334600/. 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m Putnam FW (1975). The Plasma Proteins: Structure, Function and Genetic Control. 1 (2nd ed.). New York: Academic Press. pp. 141, 147. ASIN B007ESU1JQ. 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m Albumin from bovine serum”. Sigma-Aldrich. 2013年7月5日閲覧。
  6. ^ “Characterization of proteins and other macromolecules by agarose gel chromatography”. Journal of Chromatography A英語版 152 (1): 21–32. (May 1978). doi:10.1016/S0021-9673(00)85330-3. 
  7. ^ Serum Albumins and Allergies”. Structural Biology Knowledgebase. National Institute of General Medical Sciences of the National Institutes of Health (2013年10月). 2018年10月12日閲覧。
  8. ^ What Is Immunohistochemistry (IHC)”. Immunohistochemistry. Sino Biological Inc.. 2018年10月12日閲覧。
  9. ^ Farwell, Alan P.; Dubord-Tomasetti, Susan A. (1999). “Thyroid Hormone Regulates the Expression of Laminin in the Developing Rat Cerebellum”. Endocrinology (雑誌)英語版: 4221–4227. doi:10.1210/en.140.9.4221. 
  10. ^ Tips for Reducing ELISA Background”. Biocompare. Compare Networks. 2018年10月12日閲覧。
  11. ^ a b Ouellet, Michel (2006年12月24日). “How Blocking Works in Immunocytochemical Analysis with Serum or BSA”. MadSci Network: Biochemistry. MadSci Network. 2018年10月12日閲覧。
  12. ^ Blocker™ BSA (10X) in PBS”. Thermo Fisher Scientific. Thermo Fisher Scientific Inc.. 2018年10月12日閲覧。
  13. ^ BSA FAQ”. Invitrogen. 2012年1月19日閲覧。
  14. ^ KREADER, CAROL A. "Relief of Amplification Inhibition in PCR with Bovine Serum Albumin or T4 Gene 32 Protein." APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY 62.3 (1996): 1102-1106.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]