ウォータールー大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ウォータールー大学
Concordia cum veritate (ラテン語 真実との調和)
Concordia cum veritate (ラテン語 真実との調和)
大学設置/創立 1957年
学校種別 州立
設置者 University of Waterloo
本部所在地 オンタリオ州ウォータールー[1]
キャンパス ウォータールー
学部 数学学部
理学部
工学部
応用健康科学部
環境学部
人文学部
研究科 コンピュータサイエンス研究科
数学研究科
工学研究科
Optometry大学院
環境計画大学院
薬学大学院
建築学研究科
会計学大学院
環境学研究科
理学研究科
応用健康科学研究科
人文学研究科
ウェブサイト ウォータールー大学公式サイト
テンプレートを表示

ウォータールー大学英語: University of Waterloo)は、オンタリオ州ウォータールー[1]に本部を置くカナダ州立大学である。1957年に設置された。カナダにある理工系中心の大学である。

歴史[編集]

ウォータールー大学は1957年7月に設立された比較的新しい大学である。

概観[編集]

開学当初から数学とコンピューターサイエンス分野に注力し、先進的な学部学科を設置した。研究においては、英国のQS世界大学ランキング(2018年)の「数学・コンピューターサイエンス」カテゴリーで31位にランクされている。近年は量子コンピューティングとナノテクノロジーに注力し、2002年には世界有数の量子コンピューティング研究所を新設した。また応用健康科学部身体運動科学科や環境学部は北米で最初に設置された[2]。新興の大学ということもあり、新しい分野を先進的に切り開いてきた大学である[3]

数学・工学の学部教育に評判があり、定員数の限られたコンピューターサイエンスや工学系のプログラムは近年非常に人気が高い。

大学設置当初、オンタリオ州内には医学部を有する大学が5校もあったため(トロント大学マックマスター大学ウェスタンオンタリオ大学クイーンズ大学オタワ大学)、今日までウォータールー大学には医学部は設置されていない。

教育[編集]

コーオププログラム(Co-op)と呼ばれるインターンシップ制度に似た実務教育プログラムを開校と同時にカナダで初めて導入した。コーオプ教育を受ける生徒は4ヶ月のフルタイムインターンシップを計5回経験することが卒業条件となっており、5年間を通じて学業とインターンを交互に修める。インターンの経験を通じて起業をする学生も多い。

名声を得るようになったのもコーオプ教育によるところが大きく、IT関連企業や保険、金融関連企業は積極的にコーオプ教育を体験した学生を採用している。マニュライフ生命保険カナダロイヤル銀行などカナダ国内の大手金融機関に加え、近年ではアメリカでインターンをする学生が多く、GoogleFacebookUberテスラを始めとするシリコンバレーの企業からの採用が多い。北米のインターンは有給が一般的であり、学費や生活費をカバーすることにもなる。インターンシップは就職に繋がることが多く、グローバル企業で実務経験を積むことはウォータールー生にとって大きな魅力の一つである。

学部[編集]

2010年秋現在、専任教員数1,047名、フルタイムの学部学生26,451名と大学院生3,505名のほか、パートタイムの学部学生1,628名と大学院生921名を合わせると3万2千名程度の学生数規模を持つ大学である [4]

コア学群として次の6学部があり、これらの学部のほかに大学院研究科専門職大学院がある。

  • Faculty of Engineering(工学部) - 工学研究科の他に専門職大学院として建築学大学院などを持つ。
  • Faculty of Science(理学部) - 理学研究科の他に薬学大学院や眼科医養成大学院(Optometry)などの専門職大学院を併設する(カナダで眼科医の免許は医学部では取れない。)

キャンパス[編集]

通称"Math Building"。数学学部、コンピュータサイエンス大学院などがある。

トロント中心部から120km、高速バスで約1時間30分のところにあり、開校以来大学を中心に住宅地やハイテク企業のオフィスなどが次々と展開している。キャンパス周辺の治安は良く、トロントに比べて物価がかなり安い。理系の学生を中心にトロント方面から進学してくる学生が多く、帰省時期や週末のトロント行き高速バスは満席になることが多い。

サテライトキャンパスは今のところ2カ所にある。2004年から工学部建築学科(建築学大学院)はケンブリッジキャンパスに、2008年1月には理学部薬学科(薬学大学院)が近隣のキッチナーキャンパスに移った。ストラットフォードにデジタルメディアやグローバルビジネスを主とする新キャンパスがある[7]

2009年に、アラブ首長国連邦ドバイに初めての海外校が開校した。

コンピュータサイエンスのウィリアムGデービスセンターの館内

学生寮[編集]

学生寮はキャンパスの外縁部に散在しており、キャンパスまで徒歩10分ほどと学生にとっては非常に便利である。学生寮に住む学生の大多数は1、2年の学部生である。 日本や各国からの交換留学生は、新しいが比較的遠いコロンビアレイクビレッジ(Columbia Lake Village)という寮に応募することにより住むことができる。

ランキング[編集]

カナダの大学評価にはMaclean's誌によるランキングが使われることが一般的である。医学部を持たない大学で構成されるComprehensive Research Universityグループ(約50校)の中で総合評価を指すnational reputation(評価)カテゴリーでは、2010年までの19年間で17度カナダ国内1位にランクされている[8]。また、most innovative(革新性)カテゴリーではMaclean's Ranking開始から26年間連続でカナダ国内1位にランクされている[9]

主に研究成果を評価する英国のQS世界大学ランキング(2018年)では、若い大学でありながら「数学・コンピューターサイエンス」のカテゴリーで31位にランクされている[10]。主に学部教育を評価をするUSニューズ・アンド・ワールドレポート誌(2018年)の「コンピューターサイエンス」のカテゴリーで世界15位、「工学」のカテゴリーで世界51位(カナダトップ)にランクにされている[11]

学生[編集]

上記のコーオプ教育のため就職・起業を意識した学生からの人気は高く、学部、特にコーオププログラムへの入学難易度は高い。カナダの大学入学は高校時代の成績・活動を考慮した総合評価で決まるため偏差値はないが、Maclean's誌の発表した各大学の生徒の高校時代の平均成績では、ウォータールー大学は一番であった[12]。(ちなみにマギル大学は2番目、トロント大学は14番目。)ただし選考基準は大学や専門学部によって様々であり、ウォータールー大学が一概に最も難易度の高い大学と言うことではない。産業志向の学生が多く、大学院進学者は比較的少ない。

特に数学とコンピューターサイエンスの分野で優秀な学部生が集まることで知られる。カナダ国内の高校生が参加する数学・情報コンテストを主催していることもあり、成績上位者はウォータールー大学に進む者が多い。北米の大学生を対象としたパトナム数学コンテストのトップ5入賞の回数はカナダ最多[13]ACM国際大学対抗プログラミングコンテストでは2度世界優勝を経験[14]、2017年には北米予選を一位で通過している。メカトロニクス、ナノテク、電気工学など、工学系の学部プログラムも近年は国内でトップと言われ、理系の学生に人気である。

学部生の19%、大学院生の38%が留学生であり(2017年時点)[15]、2009年の学部9%、大学院24%から上昇している。日本からの留学生は、国際的知名度の高いトロント大学ブリティッシュコロンビア大学などに比べて少ない。

経営[編集]

学内では純粋なアカデミック研究に加えて産業応用研究も推奨しており、民間企業や政府系シンクタンクなどからの委託研究費や奨学寄付金を積極的に獲得している。これらの資金と獲得したグラントの一部は大学の運営費として使われるだけでなく、大学院生向けの奨学金ポスドクの給与として使われるため、フルタイムで研究活動に専念できる大学院生が多く、好循環を生んでいる。2013年の大学収入は8億8千万カナダドル、そのうち最大の割合を占める寄付金と競争型研究資金は3億9千万カナダドルを獲得した[16]。大学収入だけを見るとトロント大学ブリティッシュコロンビア大学などの医学部を持つ大学より少ないが、赤字に陥りやすい医学病院を持たないウォータールー大学は財務体質が良い。

日本の交換留学提携校[編集]

世界の主な学生交流協定[編集]

主な卒業生[編集]

著名な関係者[編集]

産学提携[編集]

ウォータールー大学はコーオププログラムやスピンオフ会社によって、とても緊密な産学提携を築くことに成功している。本校が位置するウォータールー地域はIT、ハイテク企業が多く集積しているため、オンタリオのシリコンバレーとも呼ばれている。

日本にもコーオプジャパン(The Canada-Japan Co-op Program[13])などを通じて毎年何人もの生徒を日本企業に送り込んでいる。

卒業生が設立した会社[編集]

スピンオフ[編集]

大学の特徴を活かし、IT関連分野や精密機械分野でのスピンオフ企業が多い。

  • MapleSoft
  • Intelligent Mechatronics Systems Inc.
  • ダルサ社 カナダを代表する撮像素子、映像機器メーカー

脚注[編集]

  1. ^ フローレンス・ウィリアムズ 『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる』 NHK出版2017年、164頁。ISBN 978-4-14-081718-6
  2. ^ [1]
  3. ^ [2]
  4. ^ [3]
  5. ^ [4]
  6. ^ [5]
  7. ^ [6]
  8. ^ [7]
  9. ^ [8]
  10. ^ [9]
  11. ^ USニューズ・アンド・ワールドレポート誌”. 4/08/2018閲覧。
  12. ^ カナダの各大学の高校時代の平均成績”. 2018年3月18日閲覧。
  13. ^ [10]
  14. ^ ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト・歴代優勝校」、『Wikipedia』2018年5月2日
  15. ^ [11]
  16. ^ [12]

外部リンク[編集]