ウェストミンスター公爵

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ウェストミンスター公爵
Duke of Westminster
Coat of Arms of the Duke of Westminster.svg
創設時期 1874年2月27日
創設者 ヴィクトリア
貴族 連合王国貴族
初代 ヒュー・グローヴナー(3代ウェストミンスター侯)
現所有者 ヒュー・グローヴナー英語版
相続人 なし
相続資格 初代公の嫡出直系の男系男子
付随称号 ウェストミンスター侯爵
グローヴナー伯爵
ベルグレイヴ子爵
グローヴナー男爵
(イートンの)準男爵

ウェストミンスター公爵 (Duke of Westminster) は、イギリス公爵位。連合王国貴族

1874年に第3代ウェストミンスター侯爵ヒュー・グローヴナーが叙されたのに始まる。爵位名はロンドン中心部の地区名ウェストミンスターに由来する。ロンドンメイフェアを中心に莫大な土地を所有しており、全ての英国貴族の中でも最も富裕な貴族である。 第6代ウェストミンスター公爵ジェラルド・グローヴナーが2016年8月9日に64歳で死去、長男のヒュー・グローブナー氏が第7代として継承した。

歴史[編集]

ウェストミンスター公爵家の邸宅イートン・ホール英語版

庶民院議員やチェシャーデンビーシャーハイシェリフ英語版を務めたリチャード・グローヴナー英語版(1584-1645)は、1622年2月23日にイングランド準男爵位の(チェシャー州におけるイートンのグローヴナー)準男爵(Baronet "Grosvenor, of Eaton, co. Chester")に叙せられた[1]

その来孫である7代準男爵サー・リチャード・グローヴナー英語版 (1731-1802)は、ホイッグ党庶民院議員を務め、1761年4月8日グレートブリテン貴族チェスター州におけるイートンのグローヴナー男爵(Baron Grosvenor, of Eaton in the County of Chester)に叙されて貴族院議員に列した。さらに1784年7月5日にはグレートブリテン貴族のグローヴナー伯爵(Earl Grosvenor)とチェスター州におけるベルグレイヴのベルグレイヴ子爵(Viscount Belgrave, of Belgrave in the County of Chester)に叙せられた[2][3]

その息子である2代グローヴナー伯爵ロバート・グローヴナー英語版(1767-1845)は、襲爵前にトーリー党の庶民院議員を務め、海軍省政務官(Lord of the Admiralty)やインド問題弁務官(Commissioner for Indian Affairs)などの政府役職を務めた。1802年に父の爵位を継承し、ついで1831年9月13日連合王国貴族ウェストミンスター侯爵(Marquess of Westminster)に叙せられている[4][5]

その孫である3代ウェストミンスター侯爵ヒュー・ルーパス・グローヴナー(1825-1899)は、襲爵前に自由党の庶民院議員を務めた後、1869年に襲爵し、1874年2月27日に連合王国貴族爵位ウェストミンスター公爵(Duke of Westminster)に叙せられた。1880年から1885年にかけては第二次グラッドストン内閣主馬頭英語版を務めた[6][7]

2016年現在の当主は初代公の曽々孫にあたる7代ウェストミンスター公爵ヒュー・グローヴナー英語版(1991-)である[6][8]

3代準男爵サー・トマス・グローヴナー英語版(1656-1700)は1677年に当時のロンドン郊外に存在した数百エーカーの土地を所有するメアリ・デイヴィスと結婚した。ロンドンの市街地が広がるにつれ、ウェストミンスター宮殿に近いこの土地は高級地区として開発され、現在のメイフェア周辺へと変貌した。そのためウェストミンスター公爵家は現在でもメイフェア一帯に1400軒を超える不動産を所有している[9]グローヴナー・スクエアベルグレイヴ・スクエアノース・オードリー・ストリートなど公爵家に因んだ名称も多い。そのほかにもイングランドやスコットランドに10万エーカーを超える土地を有しており、相続税・財産税対策でアメリカのカルフォルニアやオーストラリアにも多数の不動産を所有している[9]。公爵家が所有する不動産はグローヴナー・グループ英語版によって管理されている。

ウェストミンスター公爵家最盛期の第一次世界大戦直後の頃には同家は世界第三位の富豪だった(一位はアメリカのヘンリー・フォード、二位はアメリカのロックフェラー[10]。現在でも英国貴族の中ではトップの、平民や外国人を含めても英国有数の資産家である。2015年サンデー・タイムズ・リッチ・リスト英語版は、ウェストミンスター公爵の総資産額を約85億6,000万ポンド(約1兆5,408億円)と試算し、英国内で経済活動する者の中で第9位の資産家としている[11]

本邸はチェシャーにあるカントリー・ハウスイートン・ホール英語版[6]。家訓は「家柄ではなく美徳を(Virtus Non Stemma)」[6]

現当主の保有爵位/準男爵位[編集]

現当主ヒュー・グローヴナー英語版 は以下の爵位・準男爵位を保有している[6][8]

  • 第7代ウェストミンスター公爵 (7th Duke of Westminster)
    (1874年2月27日の勅許状による連合王国貴族爵位)
  • 第9代ウェストミンスター侯爵 (9th Marquess of Westminster)
    (1831年9月13日の勅許状による連合王国貴族爵位爵位)
  • 第10代グローヴナー伯爵 (10th Earl Grosvenor)
    (1784年7月5日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • チェスター州におけるベルグレイヴの第10代ベルグレイヴ子爵 (10th Viscount Belgrave, of Belgrave in the County of Chester)
    (1784年7月5日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • チェスター州におけるイートンの第10代グローヴナー男爵 (10th Baron Grosvenor, of Eaton in the County of Chester)
    (1761年4月8日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • (チェスター州におけるイートンの)第16代準男爵 (16th Baronet, styled "of Eaton in the County of Chester")
    (1622年2月23日の勅許状によるイングランド準男爵)

歴代当主一覧[編集]

(イートンのグローヴナー)準男爵 (1622年)[編集]

グローヴナー男爵 (1761年)[編集]

グローヴナー伯爵 (1784年)[編集]

ウェストミンスター侯爵 (1831年)[編集]

ウェストミンスター公爵 (1874年)[編集]


系図[編集]

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ Lundy, Darryl. “Sir Richard Grosvenor, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2016年4月21日閲覧。
  2. ^ Heraldic Media Limited. “Grosvenor, Earl (GB, 1784)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年4月21日閲覧。
  3. ^ Lundy, Darryl. “Richard Grosvenor, 1st Earl Grosvenor” (英語). thepeerage.com. 2016年4月21日閲覧。
  4. ^ Heraldic Media Limited. “Westminster, Marquess of (UK, 1831)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年4月21日閲覧。
  5. ^ Lundy, Darryl. “Robert Grosvenor, 1st Marquess of Westminster” (英語). thepeerage.com. 2016年4月21日閲覧。
  6. ^ a b c d e Heraldic Media Limited. “Westminster, Duke of (UK, 1874)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年4月21日閲覧。
  7. ^ Lundy, Darryl. “Hugh Lupus Grosvenor, 1st Duke of Westminster” (英語). thepeerage.com. 2016年4月21日閲覧。
  8. ^ a b Lundy, Darryl. “Gerald Cavendish Grosvenor, 6th Duke of Westminster” (英語). thepeerage.com. 2016年4月21日閲覧。
  9. ^ a b 小林章夫 1991, p. 165.
  10. ^ 小林章夫 1991, p. 164-165.
  11. ^ 英エリザベス女王長者番付TOP300から転落__連続入り25年で終了(2015年12月3日閲覧)

参考文献[編集]