ウィンザーチェア

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スウェーデン製の現代風のウィンザーチェア。左の櫛に似た背もたれのものがコームバック型、右の扇形のものはファンバック型
ウィンザーチェア型の長椅子

ウィンザーチェアは17世紀後半よりイギリスで製作されはじめた椅子。当初は地方の地主階級民の邸宅や食堂などで主に使用されていたが、やがて旅館やオフィスや中流階級の一般家庭にも浸透していき、支持されるようになった。1720年代にはアメリカへ渡り、簡素で実用的な椅子として非常に流行を見せた。

以上が定説となっているが、もともとイギリスにおいて17世紀頃までジョイナー(指物師)とターナー(轆轤師)によって作られていた執拗なまでにろくろ加工が施されたスローンチェアというものがあった。17世紀下半期にそのターナーが地方に住みつくようになってその土地固有の椅子(カントリーチェア)を作り始めた。その一つにロンドンの郊外西方の街ハイ・ウィカムを中心に作られるようになっていった椅子がある。それがウィンザーチェアと呼ばれるようになり、当初はガーデンチェアとして王侯貴族に使われていたが、図書館などに使われるようになり、やがて庶民の家具として一般の住宅やオフィス、パブなどに使われるようになっていった。

17世紀初頭アメリカに移住していた英国の商人の遺言書(1708年)の中にウィンザーチェアが記されていることから当時すでにウィンザーチェアが存在していたことになるが、アメリカンウィンザーが作り始められたのは1725年以降のこと。

参考文献

Thomas Crispin, The English WINDSOR CHAIR, 1991 

概要[編集]

ウィンザーチェアはバナキュラー・ファニチャー(Vernacular Furniture)の一つでもあり、つまり英国固有の家具であり、自国の木材を使った家具であった。座板(シート)は40ミリ~50ミリ厚みの楡(elm)の一枚板で、脚や貫とアームや背の曲げにはトネリコ(ash)やブナ(beech)、一位(yew)などが使われ、スティックにはフルーツウッドが使われた。

参考文献 Christopher Gilbert, ENGLISH VERNACULAR FURNITURE, 1991

厚い座板に脚と細長い背棒、背板を直接接合した形状が特徴で、初期は背もたれがコームバック型で、18世紀後半からはボウバック型へと変遷している。19世紀に登場したローバック型は学校やオフィスの事務用椅子として幅広く利用が見られ、流行した。

名称の由来[編集]

ウィンザーチェアの名称の由来については複数の説があり、ジョージ2世がキツネ狩の際に民家で見つけた椅子を自前の職人に作らせたとする説や、ジョージ3世がウィンザー城の王室で使用していたことに由来する説などがあるが、定かではない。

ロンドンの西方、バッキンガムシャーにチルターンズという地方があり、18世紀ころまでブナやアッシュの森におおわれていた。そこのハイ・ウィカムという街を中心に家具産地が形成されて行くが、当時そこで作られた家具をロンドンに運ぶ交通手段としてテームズ川が最適であった。その上流、ウィンザー城の方から運ばれて来る椅子を見て、当時の豪華な張り物の家具にくらべて安っぽく見えたため、区別してウィンザーの方から来るウィンザーチェアと呼んだと言うのが一般的である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

 ’ウィンザーチェアとは’

ウィンザーチェア物語