インハーモニシティ

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インハーモニシティ(英語: inharmonicity、不調和度[1]とは、倍音成分の周波数の長さ及び曲げ剛性によって倍音周波数ではなく部分音周波数となる現象である。弦を用いる楽器に等しく発生する現象である。

倍音周波数は基本周波数の倍であることが知られている。しかし、実際の倍音周波数はインハーモニシティにより僅かに高い周波数となり、これを部分音周波数と呼ぶ。

インハーモニシティのある音にはうねりが生じる。倍音周波数と部分音周波数の差の周期でうねりが生じるが、うねりの度合いによって快不快が異なる。うねりの周期が明確に感じ取れる程度で不快を感じるが,音圧レベルが異なると不快感は低減される。インハーモニシティが聴覚に与える協和・不協和の度合いについて研究する分野を感覚的協和理論と呼ぶ[2][3]

インハーモニシティの基本式[編集]

インハーモニシティは以下の式で定義される。

は実測的(elastic)な部分音周波数 [Hz]、は理想的(ideal)な基本周波数 [Hz]、は倍音数 []、はインハーモニシティ値 []である。になると周波数がになるため、の値を取る。

理想的な倍音周波数はで表され、弦の固有振動数より求められる。実際には部分音周波数になることから、弦の次の固有振動数は下式で表される。

は線速度 [m/s]、は弦長 [m]、は張力 [N]、は線密度である。はそれぞれ性質の異なる変数であるため明確に区別しなければならない。

インハーモニシティ値は以下の式で定義される。

ヤング率 [N/m2]、断面二次モーメント [m4]である。項は曲げ剛性とも呼ばれる。ギターやバイオリンのように、振動する弦長が変化する楽器では も変化する。

脚注[編集]

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  1. ^ 西口磯春: "ピアノの音響とその物理モデル", 高度情報科学技術研究機構, RISTニュース. No. 56, pp.25-35 (2014).
  2. ^ 井上千奈誉, 西口磯春, 佐々木正孝: "感覚的協和理論のピアノ音への応用について (第 2 報) 複数の感覚的協和理論の比較.", 日本音響学会, 音楽音響研究会資料, Vol.36, No.8, pp.19-24 (2018).
  3. ^ 山本由紀子: "聴覚的協和・不協和感の知覚に関する研究―楽音を用いた検討―.", 総合研究大学院大学, 博士号学位論文, pp1-140 (2015).

関連項目[編集]