インド共産党毛沢東主義派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
インドの旗 インド政党
インド共産党毛沢東主義派
Communist Party of India (Maoist)
South Asian Communist Banner.svg
党旗
成立年月日 2004年9月21日
政治的思想・立場 共産主義
修正主義
レーニン主義
毛沢東思想
公式サイト People's March
テンプレートを表示

インド共産党毛沢東主義派(インドきょうさんとうもうたくとうしゅぎは、Communist Party of India (Maoist))とは、インド極左武装組織である。インド毛派とも呼ばれている。

概要[編集]

2007年(左)と2013年(右)のナクサライトの勢力図

1960年代西ベンガル州ナクサルバーリー地方での小作争議から生じたナクサライト英語版の代表格であり[1]2004年にインド毛沢東主義派共産主義者センターと共産党マルクス・レーニン主義派・人民闘争グループが合流して結成され、2000年代に猛威を振るい、2006年にインドの首相マンモハン・シンはインド毛派をはじめとするナクサライトを「インド国内で安全保障上最大の脅威」と述べ[2][3]2013年にインド政府はインド国内の76の地域がインド毛派をはじめとするナクサライトのテロを受けており、106の地域が思想的な影響下にあるとしていた[4]

伝統的なヒンドゥー教のもたらしたカースト制度とグローバリゼーション市場原理主義による格差社会階級闘争人民戦争で打倒して政府から権力を奪取すべきと主張し[5][6]、歴代政権が経済発展を優先して貧困格差やカースト制の問題を放置した不満から農民や低カースト層の間で勢力を拡大させ[7][8]、特に赤い回廊英語版と呼ばれている貧富の差が激しい最貧地域で積極的に活動を行った[9][10][11]。また、都市部でナクサライトを支持する「アーバン・ナクサル英語版」の存在はインドで議論を呼んだ[12][13]

2011年11月、最高指導者の一人のマロジュラ・コテシュワル・ラオ英語版(別名、キシェンジ)が西ベンガルで治安部隊との交戦で殺害され[14]、翌2012年7月には西ベンガルで組織の再編成に当たっていた最高幹部の一人でインド工科大学の元学生であるアルナブ・ダム(別名、ビクラム)も治安部隊に逮捕され[15]、組織は打撃を受けるもその後もテロ活動が続くなど壊滅には至らなかった[16][17]

合法的な政権獲得と議会進出に転換したネパール共産党毛沢東主義派とはかつて協力関係にあった[18]

テロ活動[編集]

西ベンガル州鉄道脱線事故[編集]

2010年5月28日、西ベンガル州で走行中のコルカタ発・ムンバイ行きの特急列車13両が脱線し、そのうち4両が走行中の貨物列車に衝突し、148人が死亡。同党によりレールの部品が取り外されたものとされている[19][20][21]

マルチ・スズキ暴動事件への関与疑惑[編集]

2012年7月18日、インド北部のハリヤーナー州カサン村にあるスズキのインド法人マルチ・スズキのマネサール工場で暴動が発生。同社の幹部1人が死亡、日本人12人を含む約100人が負傷した。7月23日付の有力紙「ヒンズー」などは、インド内務省が同社労働組合幹部と同党との関係を調べるよう指示したと報じた[22]警察は労働組合幹部100人を拘束して取り調べたが、村の長老の一人は「村に左派はいない」と同党の介入を否定。周辺地区との工場の誘致合戦が原因ではないかとした[23]日本の新左翼過激派革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)の機関紙『前進』は7月19日付け速報で、暴動の内容を「ストライキ」として詳細に報道。同社の高圧的対応が労働組合の争議を過激化させたとした[24]

チャッティースガル州でのテロ[編集]

2013年5月25日、インド中部のチャッティースガル州を移動中の国会議員団がおよそ300人の毛沢東派武装集団に襲撃され、関係者27名が死亡した。

2014年3月11日、チャッティースガル州スクマ地区の治安部隊が毛沢東派の集団に襲撃され、州警察によると警察官20人が死亡した[25]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Naxalite | Indian communist groups” (英語). Encyclopedia Britannica. 2019年5月18日閲覧。
  2. ^ Robinson, Simon (2008年5月29日). “India's Secret War”. Time. http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1810169-1,00.html 2019年5月18日閲覧。 
  3. ^ “India's Naxalite Rebellion: The red heart of India”. The Economist (London). (2009年11月5日). http://www.economist.com/world/asia/displaystory.cfm?story_id=14820724 2019年5月18日閲覧。 
  4. ^ "India: Maoist Conflict Map 2014". New Delhi: SATP. 2014.
  5. ^ "Communist Party of India-Maoist (CPI-Maoist)". South Asia Terrorism Portal. Institute for Conflict Management.
  6. ^ Anand, Vinod (2009). “Naxalite ideology, strategy and tactics” (PDF). Studies & Comments 9 – Security in South Asia: Conventional and Unconventional Factors of Destabilization (Munich: Hanns Seidel Foundation) 9: 19–32. オリジナルの18 May 2012時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120518115713/http://www.hss.de/uploads/tx_ddceventsbrowser/SC-9_South-Asia_01.pdf 2010年1月19日閲覧。. 
  7. ^ 毛派が襲撃、16人死亡 インド 日経新聞 2014年3月12日
  8. ^ Lancaster, John (13 May 2006). "India's Ragtag Band of Maoists Takes Root Among Rural Poor". Washington Post Foreign Service.
  9. ^ Magnus Öberg, Kaare Strøm, "Resources, Governance and Civil Conflict", Routledge, 2008, 0-415-41671-X. Snippet: ... the general consensus is that the insurgency was started to address various economic and social injustices related to highly skewed distributions of cropland ...
  10. ^ Debal K. SinghaRoy, "Peasant Movements in Post-colonial India: Dynamics of Mobilization and Identity", Sage Publications, 2004, 0-7619-9826-8.
  11. ^ *Loyd, Anthony (2015). “India's insurgency”. National Geographic (April): 84. https://www.nationalgeographic.com/magazine/2015/04/india-coal-conflict-minerals-maoist-insurgency/ 2018年3月13日閲覧。. 
  12. ^ Urban Naxals: The Making of Buddha in a Traffic Jam
  13. ^ "He's making a list of 'Urban Naxals', but who is Vivek Agnihotri?". ThePrint. 29 August 2018.
  14. ^ "Top Maoist leader Kishenji killed". Hindustan times. 26 November 2011.
  15. ^ “IIT dropout Maoist held in Bengal”. The Indian Express. (2012年7月17日). http://archive.indianexpress.com/news/iit-dropout-maoist-held-in-bengal/975730/ 2019年11月8日閲覧。 
  16. ^ "'Kishenji's killing won't solve Maoist problem'". Zee News. Kolkata: Essel Group. 5 December 2011.
  17. ^ "Kidnapped Chhattisgarh Cong chief, son found dead". The Hindu. 26 May 2013.
  18. ^ "Nepali Maoists Deny Ongoing Links with Indian Counterparts" by Jason Motlagh, World Politics Review. 6/12/08 Archived 21 June 2010 at the Wayback Machine.
  19. ^ インドで特急列車が衝突、65人死亡 背後に毛派か AFPBB、2010年5月28日
  20. ^ < 鉄道を標的としたテロの脅威に対する注意喚起 > 在ムンバイ日本国総領事館、2010年7月6日
  21. ^ インドで列車脱線事故、死傷者245人超す 毛派の攻撃 THE EPOCH TIMES、2010年5月29日
  22. ^ “インド・スズキ工場暴動、労組に「毛派」浸透か”. 読売新聞. (2012年7月23日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120723-OYT1T01264.htm 2012年7月25日閲覧。 
  23. ^ “インド:スズキ子会社暴動1週間 さまざまな臆測飛び交う”. 毎日新聞. (2012年7月25日). http://mainichi.jp/select/news/20120725k0000m030057000c.html 2012年7月25日閲覧。 
  24. ^ インドのスズキ子会社工場で暴動、1人死亡、90人以上が負傷 前進 2012年7月19日
  25. ^ 毛派が治安部隊襲撃、警官20人死亡の情報 インド cnn.co.jp 2014年3月12日

外部リンク[編集]