インストール (小説)

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インストール
著者 綿矢りさ
イラスト 装幀:泉沢光雄
装画:黒瀧顕
発行日 2001年11月20日
発行元 河出書房新社
ジャンル 中編小説青春小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 119
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インストール』は綿矢りさ中編小説。2001年、第38回文芸賞を受賞した当時17歳の作者のデビュー作。同年11月、河出書房新社より単行本が刊行され、発行部数50万部のベストセラーになった。

2003年(平成15年)3月にみづき水脈の手によりコミック化され、講談社から出版された。また、同名の映画作品は、2004年(平成16年)12月25日よりシネリーブル池袋ほか全国にて上映(監督:片岡K、主演:上戸彩)された。

あらすじ[編集]

受験戦争から脱落し、登校拒否児となった朝子。彼女はある日、マンションのごみ捨て場で小学生の男の子と出会う。その子は、朝子が捨てようとしていた壊れたコンピューターを欲しがり、朝子もそれをその子にあげることにした。ところが後日、いただいた試着品下着のお返しに図書カードを渡そうと、朝子が同じマンションに住む青木の家を訪ねると、中から現れたのはあの男の子だった。男の子は、あのコンピューターはなおすことができたと言い、朝子に、コンピューターを使った風俗チャットでのアルバイトを持ちかけてきた。そこで朝子は男の子―かずよしといっしょに、かずよしのメル友である売春婦の雅のかわりにそのアルバイトをすることにする。日中人のいない青木家に忍び込んで、押し入れの中のコンピューターで職業も年齢もバラバラな男たちとチャットをし、お金を儲ける日々。しかしある日・・・。

登場人物[編集]

野口朝子
主人公、17歳。英文系クラスに通う、高校3年生。受験戦争から脱落し、登校拒否児となる。人生に具体的な夢や目標はないが、有名になるという野望を持っている。登校拒否になってから、自分の部屋の物をすべて捨ててしまおうとゴミ捨て場に運んでいたところ、かずよしに会い、日中人のいない青木家にしのびこんで、押し入れの中のコンピューターで風俗チャットのバイトをするようになる。最初は文章もまともに打てなかったが、そのうち、風俗チャットに夢中になっていく。
青木かずよし
12歳。朝子と同じマンションに住む小学生。コンピューターに関する知識が豊富で、メル友であり、風俗嬢の雅にもちかけられた風俗チャットのアルバイトに朝子を誘う。実の母はすでに他界しており、今の母であるさよりの小さな癖を神経質に気にしてしまう。自分は心が病んでいるのか、という発言をしており、朝子に対して丁寧な言葉で話す。炭酸は飲めない。
26歳。かずよしのメル友の風俗嬢。人妻で子持ち。かずよしを、専業主婦の「かなこ」だと思い、メールしている。多忙のため、昼間チャットの仕事をすることができず、かなこに、自分になりすましてかわりにやってくれないかと持ちかける。
光一
朝子のクラスメイト。高校3年生。英文系の唯一の男子であり、担任のナツコ先生の恋人でもある。予備校のかけもちで疲れている朝子に、休養をすすめる。早稲田を受験する予定。
青木さより
マンションに引っ越してきた、少し変わった不器用な女性。かずよしの母だが、血はつながっていない。デパートの、「ソナチネ」という下着メーカーを販売するコーナーで仕事をしている。メーカーからサンプルでもらったド派手なパンツを、大量に朝子に「おすそわけ」する。ある癖をもっており、それがかずよしを苦しめる。
聖璽(せいじ)
浪人生。チャットの客だったが、かずよしが相手をしている時の雅を好いてしまい、朝子を偽物だと見破る。朝子について、ほかにも様々なことを見破り、自分のHPにアクセスさせて、ウイルスに感染させようとする。
ナツコ先生
朝子たちのクラスの担任。光一の恋人で、マゾ。光一いわく、「ハードスケジュールは自分の有能さと人気の証だと勘違いし、そんな自分に満足している幸せ者」。
朝子の母
名前は不明。夫とは離婚している。貴重な時間をつぶす世間話の類が一番嫌いで、意図的に沈黙をつくりあげ、それらを早く終わらせようとする。気に入らない人には、「生理的に受け付けないわ」というのが口癖。

評価[編集]

文藝賞選考では4人の審査員に絶賛され満場一致で受賞。第15回三島賞選評では福田和也は「話者の意識の構成、エピソードの継起の仕組みといい、きめ細かく構成されていて瑕疵がなかった」として、同じくインターネットを主題とした阿部和重『ニッポニア・ニッポン』よりも高い評価を与えている[1]

書籍情報[編集]

映画[編集]

インストール
監督 片岡K
脚本 大森美香
出演者 上戸彩
神木隆之介
音楽 Rita-iota
撮影 池田英孝
編集 大森晋
製作会社 「インストール」製作委員会
角川映画テレビ東京日活ハピネット
配給 角川映画
エンジェル・シネマ
公開 日本の旗 2004年12月25日
上映時間 95分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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インストール』は、綿矢りさの同名小説を映画化したものである。監督はテレビの深夜番組などを手掛けてきた片岡Kで、この作品が劇場映画初監督作である。PG-12指定作品。第17回東京国際映画祭コンペティション部門出品。国内での興行成績は不振に終わり作品的評価も高くなかった。

登場人物[編集]

野沢朝子(17歳)- 上戸彩、少女時代(9歳) - 橋本甜歌
主人公。登校拒否の女子高生。10歳の少年のかずよしに出会い、彼の家で雅という風俗嬢を装ってチャットを始めるが、チャット相手の一人に本物の雅ではないことがばれたのをきっかけに、学校生活に戻ることを決意する。過去、自分の片思いの相手に先立たれるという、苦い経験を持っている。
劇中のコウイチの台詞から4月5日生まれであることが伺える。
青木かずよし(10歳)- 神木隆之介
準主役。パソコンやチャットに関して、子供とは思えないほど豊富な知識を持ち合わせている。朝子を登校拒否から救うきっかけを作る人物。
性別も年齢も立場も全て偽った「かなこ」という専業主婦として、雅とメールの交換をしている。
モモコ先生の恋人・朝子の片思いの人 コウイチ - 中村七之助
朝子の想い人であったが、不運にも交通事故で命を落とす。
朝子の英語教師 モモコ先生 - 菊川怜(友情出演)

生徒であるコウイチと付き合っている。朝子が長期間学校に来ていないことを、泣きじゃくりながら電話で毬恵に伝える。

かずよしの母 青木かより - 小島聖
かずよしの母。下着売り場勤務。冷蔵庫のコーラの減り具合から、朝子が青木家に入り浸っていることを知る。
かずよしの父 - 片岡K(カメオ出演)
朝子の母・かずよしの担任 野沢毬恵 - 田中好子
朝子の母。小学校教師。たまたま欠勤した日に朝子の登校拒否を知る。すべてなくなった娘の部屋が落ち着くという。
朝子の祖父 - 今福将雄
朝子の祖母 - 花原照子
小学校教頭 - 大河内浩
正装の紳士 - 宇梶剛士
チャット相手1 サラリーマンあらし - 森下能幸
チャット相手2 浪人生 - 村島リョウ
チャット相手3 トラック運転手 - 田中要次
チャット相手4 老人 - 神戸浩
チャット相手5 明(神戸の男) - 矢作公一
チャット相手6 聖爾 - 吉田朝
女子高生1 - 藤谷舞
浴衣の男 - 脇知弘
雅 - Kaoru=井出薫
かなこ(=かずよし)のメル友であり、風俗チャットのアルバイトを持ちかけた人物。
風俗嬢だが、終盤子供を育てており、風俗の世界から足を洗っていた。

脚注[編集]

外部リンク[編集]