イヌサフラン

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イヌサフラン
Colchicum autumnale 01.JPG
イヌサフランの花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ユリ目 Liliales
: イヌサフラン科 Colchicaceae
: イヌサフラン属 Colchicum
: C. autumnale
学名
Colchicum autumnale L.

イヌサフラン Colchicum autumnaleイヌサフラン科の植物である。かつてはユリ科に分類されていた。ヨーロッパ中南部から北アフリカ原産。種名の通り、秋に花が咲く。なお名前に「サフラン」と付き見た目も良く似ているが、アヤメ科サフランとは全く別の植物である。

医薬品[編集]

イヌサフランの球茎(球根)や種子にはコルヒチン(colchicine)という物質が含まれている。この物質は痛風薬としても薬事法で認可、販売、処方されている。また植物の細胞分裂に影響を与えて倍数体にする作用があり、品種改良などに使われる。

医学・薬学方面ではイヌサフランをコルヒクム、種子をコルヒクム子、球根をコルヒクム根ということがある。

毒草[編集]

猛毒。日本の有毒植物の代表格であるトリカブトが、2006年から2016年の間に3人の死者を出しているのに対し、イヌサフランは同じ期間に6人の死者を出しており、誤食による食中毒が発生しやすい植物とされる[1]

イヌサフランの葉は時に食用の山菜であるギョウジャニンニクと、りん茎はジャガイモタマネギと間違えられることがある。また、ミョウガに間違われた事例もあった。イヌサフランは上記のとおりコルヒチンを含んでおり、これを誤って摂取すると下痢、嘔吐、皮膚の知覚麻痺、呼吸困難を発症し、重症の場合は死亡することもある[2]。またサフランと似ているため、花柱を乾燥させた物がスパイスや鎮静・鎮痛・通経薬として使用できると誤認しての中毒例もある。

死亡例[編集]

2007年4月、新潟県で50代の男性がギョウジャニンニクと一緒に誤ってイヌサフランを摂食し、その後死亡した[3]

2014年9月、静岡県御殿場保健所管内で70代の男性が、ギョウジャニンニクと間違えて栽培を続けていたイヌサフランを煮物にして食べ、その後死亡した[4]

2015年9月、山形県で高齢の女性が観賞用として栽培していたイヌサフランを摂食し、その後死亡した[5]

2017年5月、北海道富良野保健所管内でギョウジャニンニクと誤って食べ、一人が死亡する食中毒事件が発生している[6]

2018年4月、北海道空知地方に住む70代の夫と60代の妻が自宅敷地内に生えていたギョウジャニンニクとイヌサフランをジンギスカンの具材として調理して食し、夫が2日後に死亡。妻も発症したが回復している[7]

園芸品種[編集]

イヌサフランを園芸用に品種改良したものはコルチカムコルヒカムコルキカムとも)ということが多い。

コルチカムは球根草であるが、球根を土に植えなくても秋になると花が咲くという変わった性質がある。葉は開花後に出てくる。日当たりのよい室内などに球根を置いて、花を鑑賞してから土に植えても全く問題はない。土に植えておくと自然分球して殖えていく。

球根を犬が食べて死亡した例が報告されている。土に植えない、または室内などに球根を置いて花を咲かせる場合は特に注意が必要である。

脚注[編集]

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  1. ^ 食用そっくり有毒植物、10年11人死亡 見分けつく?:朝日新聞デジタル
  2. ^ 酒井英二. “自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン”. 厚生労働省. 2018年4月25日閲覧。
  3. ^ 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン
  4. ^ 山菜と毒草を間違え死亡・・・野草イヌサフランが危ない
  5. ^ イヌサフランで食中毒、女性死亡 山形、自宅で栽培
  6. ^ イヌサフラン食べ80代女性が中毒死 ギョウジャニンニクと誤る 北海道・富良野保健所
  7. ^ “毒草イヌサフランをジンギスカンにして食べ死亡 北海道で70代男性”. 産経新聞. (2018年4月25日). http://www.sankei.com/affairs/news/180425/afr1804250032-n1.html 2018年4月25日閲覧。 

参考文献[編集]

  • アリス・M・コーツ「花の西洋史事典」(八坂書房) ISBN 4896949056