イタリアン (新潟)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
イタリアン
Italian(2) (Mikazuki), Japanese local fast food.jpg
主な地域 新潟県新潟市長岡市、他周辺地域
発案時期 1959年
発案店
(発案者)
みかづき(三日月晴三)
長岡駅にあるフレンドの店舗

イタリアンとは、新潟県新潟市から三条市燕市を挟んで長岡市までの地域で独自の、主にカフェテリア型のチェーン店で販売されているファストフードジャンクフードで、ご当地グルメの一種である。新潟県民の中でも、とりわけ上記地域の在住者の間では長年に亘って浸透しており、中には県外に出て初めて「新潟だけの食べ物である」と気付く者もいる[* 1]程である。

概要[編集]

名前から想像されるスパゲティの類や、具にもやしキャベツを用いた焼きそば焼きうどんの類ではなく「洋風ソースかけ焼きそば」と表現すべきものである。

原材料は焼きそば同様に蒸した中華麺で、太めの中華麺とキャベツやもやし等を多めの食用油で炒め、ソースなどで味付けが施される。このソース焼きそばに様々な具材が入ったトマトソースを上掛けしたものがイタリアンである。

塩気は比較的控えめで、トマトソースの甘味と酸味が前面に出た味わいとなっている。上掛けするソースは、トマトソースの他にも、カレーソース、ホワイトソース、エビチリ、麻婆豆腐などがあり、更にハンバーグオムレツチーズや鶏の唐揚げおよび餃子等をトッピングしたものなど、種類が多い。

発祥[編集]

1959年に、新潟市(現在の同市中央区)の甘味喫茶であった『三日月』(1972年にみかづきに改称)のオーナー経営者であった三日月晴三は、箱根での経営者セミナー受講のために上京した際に、東京都中央区京橋の甘味処の『中ばし』で、大阪風の焼きそばをアレンジしたソース焼きそばに遭遇した。 彼はこれにヒントを得て、イタリアンスパゲッティのイメージを取り入れ、フォークを用いて食べるスタイルのイタリアンを考案したとされる。

『三日月』ではイタリアン発売開始の翌年、新潟市内の小学校で開かれた文化祭バザー模擬店を出店してイタリアンを売り出したところ、口コミで評判が広まり、『三日月』の売り上げの中心を占めるメニューへと成長した。 この新しいファストフードは翌1960年から『三日月』のメニューに加えられ、に地元で普及し始めた。

長岡市の甘味処であった『長岡饅頭本舗』(現在のフレンド)の経営者である木村政雄は同じ商業セミナーで学ぶなど、三日月晴三と親交があった[1]。 当時の両社の商圏はそれぞれ新潟市内と長岡市内に限られ、競合の恐れがなかったことから、こちらも『三日月』に続いてイタリアンを販売するようになった。

その後、両社は麺や具材の一般向け販売や、イベントの模擬店への出店協力も行った。

こうした影響から、1960年代後半以降に下越地方および中越地方学校の文化祭やバザーなどの模擬店がイタリアンを扱うようになり、両社がそれぞれのテリトリーで店舗をチェーン展開したことと相乗して、地元で広く親しまれるメニューとなった。

みかづきとフレンド[編集]

「みかづき」のセットメニューの一例。イタリアンとフライドポテト、ドリンク(共にSサイズ)のセット
「フレンド」のセットメニューの一例。イタリアンと餃子4個の「ペアセット」

両社のチェーン店は地元のスーパーマーケットなどに展開しており、地元の人々の間では店内でのイートインの他、テイクアウトで自宅や職場での軽食などにも重宝されている。

ただ、同じイタリアンでも、みかづきとフレンドでは特徴に違いがあり、それぞれ独自性を発揮している。みかづきのイタリアンは角太麺のソース焼きそばに、トマトの酸味とタマネギの甘みが前面に出たソースを掛け、白生姜の塩漬けを細かく千切りにしたものが付け合わせとして添えられ、フォークで喫食する。一方、フレンドのイタリアンは丸い中細麺のソース焼きそばに挽き肉入りのミートソースを掛け、付け合わせには紅生姜が添えられ、割り箸で喫食する。

みかづきがフォークを使用するのは、前述のようにイタリアンスパゲティをイメージしていることが背景にある。一方で、フレンドが箸を使用するのは、イタリアン餃子とセットで販売してきた名残りがそのまま残ったものである。

商圏[編集]

現在、みかづきのチェーン店は下越地方の新潟市を中心に、フレンドのチェーン店は中越地方の長岡市を中心に、それぞれイタリアンを販売している。これまでは互いの地元に出店しないという不文律が守られてきたこともあって、両社間の地域別棲み分けは現在も基本的に続いている。しかし、近年はこの地域別棲み分けが崩れつつある。

2003年以降、みかづきは中越地方への進出を段階的に進めており、小千谷市スーパーマーケットベイシア スーパーセンター小千谷店』、見附市パチンコ店『スーパーセンターPLANT5 見附店』に出店し、2010年3月19日に、長岡市内のロードサイド型複合商業施設の『アクロスプラザ長岡』に同市内初の店舗を出店した。さらに、同社は上越市スーパーマーケットバロー上越モール』に出店し、これまで両社の未出店地域であった上越地方にも進出した。しかしながら、現在までにそのいずれもが閉店に至っている[2][3]

一方のフレンドも、下越地方へ進出する動きを見せており、2010年10月30日に新潟市中央区の新潟駅西側連絡通路沿いに所在する『新潟駅ビルCoCoLo西』に同市内初の店舗を出店したが2012年4月15日で閉店し[4]、それ以後にフレンドは下越地方への出店は行っていない。

新潟市と長岡市のほぼ中間点に位置する下越地方と中越地方の境界部に位置する県央地域では、これ以前から両社の店舗が並存している。三条市内の『イオン三条店』にはフレンドが、燕市内の『イオン県央店』にはみかづきが、それぞれ入居している。この両店舗は燕三条駅を挟んで約3KMの距離(自動車で6分程度の距離)にある。以前、この他にも、三条市内にはみかづきが昭栄通りでの単独出店を経てジャスコパルム店内に出店していたが、2001年にイオンが同店を撤退させたことに伴い、みかづきも閉店した。

このように地域別棲み分けが崩れたことについて、両社は「時代の流れもあり、互いに成長すれば(相互進出は)避けられない」としている。また、近年のB級グルメブームも背景に、両社のイタリアンを食べ比べて貰い、相乗効果を狙いたいという思惑もある。フレンド側は「(みかづきの中越進出後も)売り上げは変わっておらず、(シェアの)食い合いはない。むしろ競い合うことで注目を集め、イタリアン自体の知名度を高めたい」とし、一方のみかづき側も「県全体にイタリアンが広がっていくのは互いにプラスになる。地域で違ったイタリアンがあることを認知されてこそ新潟名物になれる」と、両社とも相互進出を前向きにとらえている。実際に、イベントや物産展などの機会に両社間のコラボレーションが不定期で実施されており、過去にはフレンドの焼きそばにみかづきのソースをトッピングしたコラボメニューの販売が行われたりもしている。

全国展開の試み[編集]

みかづきとフレンドの両社は過去に新潟県外のフードテーマパークや、県外で開催されるイベントなどに出店しており、これらはイタリアン自体の特殊性もあいまって注目を集めている。また、両社とも過去に県外で店舗・テナントを出店したケースがあるものの、比較的短期間で撤退を余儀なくされるなど、こちらは現在のところ定着には至っていない。

みかづきは、以前大阪府大阪市浪速区の『なんばパークス』内に所在したフードテーマパーク『大阪ヌードルシティ 浪花麺だらけ』に、オープン当初の2003年10月から2004年2月までの期間限定で出店していた。出店期間中のイベント『ご当地麺合戦』では、パーク内の店舗でどの店が美味しかったかを問うアンケートで複数回1位を獲得したこともある。なお、この麺だらけのオープン当時にはテレビ東京でも珍しい麺料理として『新潟イタリアン』が取り上げられ、首都圏でも紹介された。また、みかづきは2004年4月17日に長野県中野市のスーパー『ベイシアスーパーセンター中野店』のオープン時にテナントを出店したものの、同店は2005年5月7日に閉店した。

フレンドは1980年代に群馬県高崎市連雀町に店舗を出店していたが、同店はその後閉店した。

出店当時に来店した経験がある地元消費者の中にはイタリアンの味が忘れられず、長岡へ来訪した際にフレンドを訪れる人もいるという。

その他[編集]

フレンド喜多町店のドライブスルー設備(新潟県長岡市)

国道8号長岡バイパス沿いのフレンド喜多町店は1976年に開店した同社初のロードサイド型店舗で、ドライブスルーが設置されている。これはアメリカへの研修旅行の折り、ファストフード店のドライブスルーを目にした創業者が車社会への対応を見越して導入を決めたもので、日本国内のファストフード業界においては1977年に導入した日本マクドナルドに先んじた試みだった[* 2]。喜多町店の敷地内には「日本初 ドライブスルー発祥の地」と記された看板が設置されている[5]

みかづきは、県内で開催されるプロスポーツイベントでもイタリアンなどを販売している。デンカビッグスワンスタジアムJリーグアルビレックス新潟のホームゲームが開催される際や、HARD OFF ECOスタジアム新潟プロ野球公式戦(NPBBCリーグ)が開催される際には、それぞれ売店ブースに不定期的に出店している。

一方のフレンドも長岡まつりなどのイベントで売店を開設している。

他社[編集]

新潟県内[編集]

『茶しん 駅前本店』の『イタリアン焼きそば』
焼そばを主力商品として東日本を中心にファストフードチェーンを展開している『ピーコック』は、2007年11月23日から自社オリジナルのトマトソースを掛けた『イタリアン焼そば』の販売を開始した。
この『イタリアン焼そば』は、長岡市内にある『リバーサイド千秋』内の系列店『塚本家』など、県内外の主な店舗で販売している。
なお、同社はかつて千葉県印西市の『イオンモール千葉ニュータウン』内のフードコートにも出店していたが、同店は2009年2月頃に閉店した。
麺類および弁当や惣菜の製造・販売を手掛ける『小国製麺』は、2010年12月14日から袋入り生麺『みかづき監修 イタリアン』を販売している。
同社は県内のスーパーマーケット各社やコンビニエンスストアの『セーブオン』が主に新潟県内の店舗で販売するイタリアンの製造を従来から行っているが、『一般家庭でも店の味を再現できるように』との狙いから、みかづきに監修を依頼して約半年間にわたって開発を進めた。
麺は同社が自社製造し、トマトソースをパッケージに封入している。
同社は『新潟のソウルフードとしての位置付けを高めたい』、みかづき側も『相乗効果で知名度を高め、県外進出につなげたい』と、それぞれ展望を明らかにし、年数十万食の売り上げを見込んでいた。
まず、2010年12月下旬から県内のみかづき各店やスーパーで1万食程度を限定販売した上で、2011年1月10日から全国の大手スーパーで販売を開始し、のちに『カレーイタリアン』もラインアップに加わったが、2012年から商品名の『みかづき監修』が外され『新潟名物イタリアン焼そば』に改称し、『カレーイタリアン』は製造終了となった。
なお、FM‐NIIGATAの番組『SOUND SPLASH』の企画でセーブオンの新潟県内店舗限定で、みかづき監修のオリジナル商品『スプラッシュ イタリアン 魅惑のペスカトーレ』(2007年4月27日〜2007年5月14日)と『海の幸 辛口カレーイタリアン』(2008年4月22日〜)が発売されたこともある。
栗山米菓(Befco)は、2011年3月に原信(スーパーマーケット『原信』の経営元)との共同企画による煎餅『ばかうけ イタリアン味』を発売した。
この他県内のスーパーマーケット各社やコンビニエンスストア各社も新潟県内の店舗を中心に、それぞれ『イタリアン焼きそば』・『イタリアン風焼きそば』・『焼きそばイタリアン』などと称した類似商品を発売している。一部は県外の店舗でも発売されることがある。
かつて新潟県新潟市西蒲区(⟮旧⟯巻町)内でタカノ食品が経営していた『ラーメンタカノ』において、イタリアンの影響を受けて焼きそばにミートソースを掛けた『ナポリ』と同じくカレーを掛けた『カリーナ』が提供されていた[6]
現在、『ラーメンタカノ』は閉店してしまっているが、同地区のまき鯛車商店街の店舗が、タカノ食品から許諾を得て、『帰ってきたカリーナ』と銘打ち、商店街の飲食店が様々にアレンジを加えて提供している[1]

新潟県外[編集]

居酒屋『庄や』などの飲食店チェーンを展開する大庄は、2008年春から一部の店舗で『イタリアン新潟』の販売を開始した。
大庄の代表取締役である平辰は新潟県佐渡市の出身で、同年から東京新潟県人会の会長職を務めている。
ラーメンタカノの影響を受けた『ミート焼きそば』が1975年から『トミーフード』で提供されている。
『トミーフード』は、2003年にいったん閉店したものの、2007年7月から再開されている。
現在は、この料理が発展した会津カレー焼きそばというご当地グルメも提供されている[7]
1970年代初め頃に山梨県内で展開されていた『きねや』で『ミート焼きそば』がで提供されていた[8]が、紆余曲折を経て、現在では『金糸雀』(カナリア)が提供している。
また、起源を同じくして山梨市にある『チロル』にて『イタリアン焼きそば』が提供されている。
さらに、中央市において、中央市商工会青年部が『青春のトマト焼きそば』として発展させている[9]
滋賀県長浜市内で茶真商店が経営する軽食店『茶しん 駅前本店』でも、焼きそばにイタリア風ソースを掛けた『イタリアン焼きそば』を1980年頃から提供しており[10]ホワイト餃子とともに店の名物メニューとなっている。
トマトソースが主流の新潟県のイタリアンに対して、『茶しん 駅前本店』の『イタリアン焼きそば』はミートソース風味で、薬味に青海苔と生姜を使っている。

イタリアンが登場する著作[編集]

  • 麺屋台ロード ナルトヤ! ‐ 主人公の相手チームとしてイタリアンを作る屋台が登場し、主人公のチームは料理対決で負けてしまう。(第39話)
  • うらバン! ‐ 舞台となる架空の都市『浦和泉市』にイタリアンを扱うファストフードチェーン『みっかつき』が登場し、登場人物が学校帰りなどにイタリアンを食べに立ち寄る。
  • 青春ぱんだバンド ‐ 長浜市が舞台の青春小説。主人公らが『茶々屋』で『イタリアン焼きそば』を食べるシーンがある。
  • 艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 4コマコミック 吹雪、がんばります!イタリア料理と勘違いしてイタリアンが振る舞われる。なお、発案した登場人物の名前が阿賀野と妙高(それぞれ阿賀野川妙高山が名前の由来となっている。)、教わって調理した登場人物の名前が三日月(みかづき)というオチがついている。(第95話)
  • NGT48 ‐ 同グループの楽曲『NGT48』の歌詞にみかづきのイタリアンが出てくる。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

出典[編集]

書籍[編集]

  1. ^ 馬場民雄麺屋台ロード ナルトヤ!』5、秋田書店週刊少年チャンピオンコミックス〉、2005年12月1日、97頁。ISBN 978-4253208550ASIN B00D3DKMCW
  2. ^ 朝日新聞社『新潟の?』朝日新聞新潟支局、新潟日報事業社、2003年7月1日。ISBN 978-4-88862-985-0

ウェブ媒体[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]